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交通死亡事故で慰謝料はいくらもらった?裁判例から見た死亡慰謝料の相場

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

交通死亡事故で慰謝料はいくらもらった?裁判例から見た死亡慰謝料の相場

この記事でわかること

  • 交通事故で被害者が亡くなった場合に請求できる「死亡慰謝料の相場」がわかる
  • 「死亡慰謝料は実際の裁判でどれくらい認められるのか」がわかる
  • 死亡慰謝料を「増額できるケース」がわかる

交通事故で被害者が亡くなってしまった場合、被害者遺族は死亡慰謝料を加害者側に請求できます。

この慰謝料は、用いる算定基準ごとに大まかな目安となる金額が決まっているため、あらかじめ請求できる金額を知ることができます。

この記事では、死亡慰謝料の相場や実際の裁判で認められた慰謝料額を紹介していきます。

死亡慰謝料を増額するためのポイントについても解説していくので、交通事故で被害に遭われた方はぜひ参考にしてみてください。

死亡慰謝料とは

死亡慰謝料とは交通死亡事故で遺族が請求できる死亡慰謝料とは、亡くなった被害者本人や遺族の精神的苦痛を賠償するために支払われるお金です。

この慰謝料は、「被害者本人に対する慰謝料」と「遺族に対する慰謝料(近親者慰謝料)」の2つに分けることができ、前者を請求できるのは請求権を受け継いだ法定相続人、後者を請求できるのは配偶者や両親、子どもなどの「近親者」と呼ばれる遺族となります。

被害者の兄弟もしくは姉妹、内縁の配偶者などは近親者慰謝料を請求できないのが原則です。ただし、長年同居していて事実上の夫婦と同士できる場合や、両親のいない被害者を小さいころから親代わりとして育ててきた兄姉など、近親者と同視できるようなケースでは、死亡慰謝料の請求が認められることがあります。

この死亡慰謝料は、事故後いつまでも請求できる訳ではなく、被害者が死亡しかつ加害者がわかった時から5年、もしくは、事故発生日の翌日から20年で時効が成立します。時効が成立すると、基本的に慰謝料を請求できなくなるので、事故があったら速やかに示談交渉をおこなう必要があります。

遺族が請求できる死亡慰謝料以外の賠償金

交通事故で被害者が亡くなってしまった場合、遺族が請求できる賠償金は死亡慰謝料だけではありません。

ここで、遺族が請求できる賠償金を一覧で確認してみましょう。

交通事故遺族が請求できる賠償金一覧
死亡慰謝料突然未来を奪われた被害者や大切な家族を亡くした遺族の精神的苦痛を賠償するお金
入通院慰謝料事故のけがで入院や通院を余儀なくされた被害者の精神的苦痛を賠償するお金
死亡逸失利益事故がなければ、被害者が将来的に得られるはずだった収入や利益
葬儀関係費葬儀代や仏壇・仏具の購入費など、被害者を弔うためにかかった費用
治療費関係被害者の治療や処置などにかかった費用
付き添い看護費被害者の介護・介助が必要な場合にかかる費用
交通費病院に通院する際にかかる交通費

死亡事故は、最終的にもらえる賠償金が高額になることから、被害者個人で請求すると賠償金の計算が雑になりがちです。請求漏れがないよう、しっかり請求できる項目を確認しておくようにしましょう。

なお、賠償金それぞれの項目に関するくわしい説明については、リンク先のページおよび以下の関連記事でくわしく解説しています。

死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料がいくらになるかを計算するための基準は、大きく3つあります。

自賠責保険会社が用いる「自賠責基準」、各任意保険会社が用いる「任意保険基準」、弁護士や裁判所が用いる「弁護士基準」で、どの基準を使うかで慰謝料額が大きく異なります。

以下では、算定基準ごとの死亡慰謝料の計算方法や相場を解説していきます。

【自賠責基準】自賠責保険から賠償を受ける場合

自賠責保険会社から賠償を受ける場合の死亡慰謝料の相場は、次のとおりです。

被害者本人の死亡慰謝料
被害者本人の死亡慰謝料400万円
遺族固有の死亡慰謝料
慰謝料請求権者が1名550万円
慰謝料請求権者が2名650万円
慰謝料請求権者が3名以上750万円
被害者に被扶養者がいるとき上記に加えて200万円
令和2年4月1日以降に発生した交通事故で死亡した場合です。
慰謝料請求権者とは、被害者の両親、配偶者、子どものことを指します。
被扶養者は、人数に関係なく一律で200万円が支給されます。

たとえば、被害者が30代男性で、専業主婦である妻と未成年の子どもが2人いる4人家族だった場合、死亡慰謝料は次のように算定します。

被害者本人の慰謝料:400万円
慰謝料請求権者(妻と子ども2人の合計3名):750万円
被扶養者:200万円
合計:1,350万円

ただし、自賠責保険は、交通事故被害者に対する最低限の補償をする保険であることから、請求できる賠償金額に上限が存在します。死亡慰謝料を含む「死亡による損害」部分については、被害者1名につき3,000万円までしか賠償してもらえないことを、頭に入れておきましょう。

【任意保険基準】任意保険会社から賠償を受ける場合

加害者が加入している任意保険会社から賠償をしてもらう場合、各社が独自に設定している算定基準を使って慰謝料額を算定します。

具体的な算定基準は非公表なので現在の相場はわかりませんが、過去に全ての保険会社が共通で使用していた旧任意保険基準に近い金額になることも多いので、金額の目安を推測することは可能です。

旧任意保険基準で算定される死亡慰謝料の相場
被害者の立場慰謝料の金額
一家の支柱1,500万円~2,000万円程度
母親・配偶者1,500万円~2,000万円程度
その他1,200万円~1,500万円程度
金額は「被害者本人の慰謝料」と「遺族固有の慰謝料」の合計額です。

旧任意保険基準で慰謝料額を算定する場合、亡くなった被害者の家庭内での立場によって金額が異なります。

「一家の支柱」とは、大黒柱として世帯の生計を維持している者のことを指します。たとえば、被害者が会社員で、専業主婦の配偶者と未成年の子どもがいる場合であれば、その被害者は表内における「一家の支柱」に該当します。

また、「その他」とは、一家の支柱や母親・配偶者以外の者のことをいい、たとえば、独身の男女や子ども(幼児を含む)などがこれに該当します。

被害者の家庭内での立場を考慮しない自賠責保険会社の賠償額と比べると、任意保険会社の賠償額が高いように感じるかもしれませんが、このあと説明する弁護士基準と比べると、被害者や遺族に対して本来の補償を実現できているとはいえません。

1度示談をしてしまうとあとから示談をやり直すことはできないので、保険会社と示談交渉は慎重におこなう必要があるのです。

【弁護士基準・裁判基準】弁護士に依頼した場合もしくは裁判になった場合

弁護士に依頼した場合や裁判になった場合における死亡慰謝料の相場は、次のとおりです。

弁護士基準で算定される死亡慰謝料の相場
被害者の立場慰謝料の金額
一家の支柱2,800万円
母親・配偶者2,500万円
その他2,000万円~2,500万円
「一家の支柱」や「その他」の意味は、旧任意保険基準の場合と同様です。

算定方法をみると、旧任意保険基準よりも慰謝料の相場が大きいことがわかります。最高額については、自賠責基準が1,350万円、旧任意保険基準が2,000万円程度ですが、弁護士に依頼すれば金額が2,800万円にまで跳ね上がります。

もちろん、金額はあくまでも相場であり、具体的な慰謝料額は事故ごとの個別具体的な事情を考慮して決定します。

一方で、基本的には弁護士基準で算定される金額がもっとも高額になるケースがほとんどで、遺族が個別に交渉しても、任意保険会社が提示額から増額してくれることはほとんどありません。

弁護士基準で算定された慰謝料額を獲得するためにも、死亡事故の示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。

死亡慰謝料はいくらもらった?被害者の立場ごとの裁判例

では、実際におこなわれた裁判では、どれくらいの死亡慰謝料が認められたのでしょうか。

ここでは、被害者の家庭内での立場ごとに、実際の裁判で認められた慰謝料額をご紹介していきます。

被害者が「一家の支柱」だった場合

娘が9歳のときに離婚し、女手一つで子どもを育ててきた兼業主婦(49歳)が、娘が17歳のときに事故にあって死亡したケースでは、被害者本人分が2,600万円、娘分が400万円の合計3,000万円の死亡慰謝料が認められています(東京地判平成17.7.12 交民38・4・938)。
会社員(46歳)である被害者が、夜間、前方を注視する義務を怠った加害者に追突され、事故から3日後に死亡したケースでは、事故態様や突然家族を奪われた家族の悲しみなどが考慮され、被害者本人分が2,800万円、妻分が250万円、子ども2人がそれぞれ100万円で、合計3,250万円の死亡慰謝料が認められました(千葉地松戸支判平成27.7.30 自保ジ1955・99)。
1つの事故で、結婚してから約1年しか経過していない夫(21歳)と子ども(生後11カ月)を同時に亡くし、妻も重傷を負ったケースでは、加害者の一方的かつ重大な過失により生じた事故であることや残された妻の精神的苦痛の大きさも考慮さた結果、相場以上の死亡慰謝料が認められました(秋田地判平成22.7.16 自保ジ1861・105)。

  • 夫の死亡について…被害者本人分が2,800万円、妻分が400万円、被害者の両親分がそれぞれ100万円
  • 子どもの死亡について…被害者本人分が2,200万円、母分が300万円、祖父母分がそれぞれ50万円

被害者が「母親・配偶者」だった場合

公務員として働いていた妊娠中の被害者(30歳)が、横断歩道を横断中に事故に遭い亡くなったケースでは、事故後帝王切開で分娩したあとに死亡したことなどを考慮し、夫分1,500万円、子ども2人がそれぞれ200万円、被害者の両親がそれぞれ100万円で、合計3,200万円の死亡慰謝料が認められました。
保育士として働いていた女性(31歳)が事故に遭ったケースでは、家庭内では家事労働も担っていたこと、本件事故が加害者の居眠り運転により引き起こされたことなどを考慮して、被害者本人分が2,500万円、夫分が200万円、子ども分が200万円、被害者の両親がそれぞれ100万円で、合計3,100万円の死亡慰謝料が認められました。
事故の7日後から病院臨時職員(雇用期間6カ月、更新あり)として採用が内定していた専業主婦(32歳)につき、被害者本人分が2,400万円、子ども2人がそれぞれ200万円で、合計2,800万円の死亡慰謝料が認められました。

被害者が「その他」だった場合

ここでは、被害者が、①独身の男女、②子ども・幼児等、③高齢者等、④内縁関係にあった者等、⑤胎児、のそれぞれに該当する場合における裁判例を確認していきます。

独身の男女

事故当時、大学生だった被害者(19歳・男性)につき、死に至る態様が極めて凄惨で残酷なこと、居眠り運転で引き起こされた事故だったことを考慮し、被害者本人分が2,500万円、被害者の父分が300万円で、合計2,800万円の死亡慰謝料が認められました(名古屋地判平19.7.31 校民40・4・1064)。
*母親および弟も同事故で死亡しており、別途死亡慰謝料が認められています。
事故当時、高専生だった被害者(18歳・男性)につき、夫と離婚してから被害者を女手一つで育ててきたこと、長期にわたって事故の真相解明に尽くしてきたことなどから、被害者本人分が2,200万円、被害者の母分が600万円で、合計2,800万円の死亡慰謝料が認められました(大阪高判平21.7.31 判時2070・57)。
会社員である男性(31歳)が事故で亡くなったケースで、希望していた鉄道会社に就職したあと真面目に勤務していたことや、父母想いの優しい息子で遭ったこと、結婚を誓っていた交際相手もいたことなどから、被害者の両親分で合計2,800万円の死亡慰謝料が認められました(東京高判平22.10.28 判夕1345・213)。

子ども・幼児等

3歳の女児が事故で亡くなったケースで、まだ本人が死の意味すらまともに理解できない幼少の身で突然の死を余儀なくされたこと、両親が子どもの死を受け入れ難い状態であることなどが考慮されて、被害者本人分が2,000万円、両親がそれぞれ300万円づつで、合計2,800万円の死亡慰謝料が認められました(大阪地判平20.3.13 判時1767・97)。
宅配業者が配達のために被害者宅を訪れたものの、被害者(3歳・男児)から母親が入浴中であることを聞いたため帰ろうとした際に、あとから追ってきた被害者を轢いてしまったケースでは、被害者の過失に基づく過失相殺が否定され、被害者本人分が2,000万円、両親がそれぞれ300万円づつ、事故を目撃した兄(4歳)に200万円で、合計2,800万円の死亡慰謝料が認められました(東京地判平21.7.8 交民42・4・871)
小学生(9歳・男性)が事故で死亡したケースでは、母親が一緒にいた被害者の兄を責めるなど、遺族の精神的苦痛が大きいことを考慮して、被害者本人分が2,400万円、両親がそれぞれ300万円づつ、兄2名がそれぞれ150万円づつで、合計3,300万円の死亡慰謝料が認められました(名古屋高判平成29.9.28 自保ジ2011・105)

高齢者等

75歳の女性が死亡したケースでは、病気により介護を必要とする夫がいたことや、知的障害を持つ孫の世話をする人がいなくなってしまったことが考慮され、被害者本人分が2,500万円、夫分が100万円、子ども2人および孫分がそれぞれ50万円、知的障害を持つ孫分が300万円で、合計3,050万円の死亡慰謝料が認められました(大阪地判22.2.9 交民43・1・140)。
75歳の専業主婦が死亡したケースでは、加害者に前方注視義務や信号無視などによって起きた事故であること、被害者は青信号に従い横断歩道を渡っていたことから何の落ち度もないことなどが考慮され、被害者本人分が2,300万円、夫分が200万円、子ども分が100万円で、合計2,600万円の死亡慰謝料が認められました(東京地判平成26.1.28 判時2261・168)。
86歳の男性が死亡したケースでは、家業である農業を手伝っていたことについての損害は逸失利益では評価が困難であることを理由に、2,300万円の死亡慰謝料が認められました(神戸地判平成18.12.15 交民39・6・1756)。

内縁関係にあった者等

会社員である被害者(55歳)と、約9年間にわたり事実上の夫婦として暮らしていたことが考慮され、内縁の配偶者に1,000万円の死亡慰謝料が認められました(大阪地判平成9.3.25 交民30・2・470)。
55歳で退職したあと、妹と2人暮らしをしてきた年金受給者(61歳・男性)につき、被害者本人分が1900万円、妹分が300万円、生後間もなく引き取り父親代わりとして育ててきた姪分が100万円で、合計2,300万円の死亡慰謝料が認められました(大阪地判平成14.3.15 交民35・2・366)。
料理店の女将(78歳)として働いていた被害者が亡くなったケースで、料理店を共同経営し、29年間同居していた内縁の配偶者(69歳・妻あり)の婚姻関係が破綻していたことや、被害者が給与を受けずに尽力していたことなどが考慮され、1,300万円の死亡慰謝料が認められました(大阪地判平成21.12.11 交民42・6・1620)。

胎児

出産予定日の4日前に事故で死産したケースでは、800万円の死亡慰謝料が認められました(高松高判平成4.9.17 自保ジ994・2)。
妊娠36週の胎児が死亡したケースでは、母親分が700万円、父親分が300万円の死亡慰謝料が認められました(東京地判平成11.6.1 交民32・3・856)。
妊娠中の25歳主婦が事故に遭い、妊娠18週の胎児が死亡したケースでは、初産婦であったことや、事故後ふたたび妊娠を望んで排卵誘発剤等のホルモン投与を受けているものの、2年経過しても妊娠に至っていない状況などが考慮され、350万円の死亡慰謝料が認められました(大阪地判平成13.9.21 交民34・5・1298)。

死亡慰謝料を増額できるケース

裁判例を見てもわかるように、事故ごとの事情を総合的に考慮した結果、被害者の精神的苦痛を増大させるような事情が認められれば、相場以上の死亡慰謝料を請求できるケースがあります。

死亡慰謝料が増額されやすいケースとしては、次のような場合が挙げられます。

  • 悪質な事故だった場合
  • 加害者側の対応が不誠実だった場合
  • 遺族の健康・仕事・学業に悪影響を及ぼした場合

たとえば、酒酔い運転や煽り運転、信号無視や著しいスピード違反など、事故態様が悪質だった場合には、死亡慰謝料が増額される可能性があります。

また、加害者が自身の不利になる証拠の隠滅を図ったり、反省することなく遺族に対して暴言を浴びせてきた場合には、その不誠実な態度が被害者の精神的苦痛を増大させるとして、慰謝料の増額が認められる場合があります。

なお、死亡慰謝料を増額できるケースの詳しい解説については、こちらの記事をご参照ください。
交通事故の死亡慰謝料の相場はいくら?計算方法や賠償金の増額方法を解説

死亡慰謝料が減額されるケース

一方で、具体的事情によっては、死亡慰謝料が減額される可能性もあります。

死亡事故で、死亡慰謝料が減額されるケースとしては、次のような場合が挙げられます。

  • 被害者にも過失が認められる場合
  • 被害者側の身体的な特殊事情により死亡した場合

過失割合において、被害者にも一定の過失が認められる場合には、その分、死亡慰謝料が減額されます。たとえば、過失割合が加害者:被害者=8:2で、慰謝料を含む賠償額が3000万円だった場合、実際に受け取れる賠償金は、3,000万円から2割減額され2,400万円となります。

また、本来であれば死ぬような事故ではなかったにもかかわらず、既往症や疾患にあたるとされる程度の身体的特徴が原因で死亡した場合、死亡慰謝料が減額される可能性が高いです(素因減額)。この場合、損害の賠償を被害者に全て負わせるのは不公平だと考えられるからです。

なお、死亡慰謝料が減額されるケースの詳しい解説については、こちらの記事をご参照ください。
交通事故の死亡慰謝料の相場はいくら?計算方法や賠償金の増額方法を解説

交通死亡事故で慰謝料を増額するポイント

死亡事故で慰謝料を増額させるための主なポイントは、次の3つです。

  • 弁護士基準で算定された金額で示談をまとめる
  • 事故ごとの個別事情を慰謝料算定で考慮する
  • 賠償金を漏れなく請求する

以下、それぞれ確認してみましょう。

弁護士基準で算定された金額で示談をまとめる

死亡慰謝料を増額するためには、3つある算定基準のうち「弁護士基準」に基づいた慰謝料額を保険会社に認めさせる必要があります。

とくに、死亡慰謝料は、交通事故で被害者が請求できる賠償金の中でも高額になりやすい項目であり、用いる算定基準によってもらえる賠償額が大幅に変わってきます。

保険会社から賠償を受けるからといって任意保険基準を使わなくてはいけないわけではないので、示談交渉をする際には、相手の言い分に素直に応じないことが重要です。

ただし、被害者遺族が弁護士基準に基づく慰謝料額を請求しても、残念ながら保険会社が素直にその金額に応じてくれることはほとんどありません。

死亡事故で、被害者遺族が適切な補償を受けるためには、交通事故トラブルに精通した弁護士に依頼することが、何よりも重要になるのです。

事故ごとの個別事情を慰謝料算定で考慮する

死亡慰謝料は、被害者や遺族の精神的苦痛を賠償する目的で支払われるお金なので、それぞれのケースごとの具体的な事情によっては、慰謝料を増額できる可能性があります。

示談交渉の際は、この記事内でも紹介した「裁判例」や「慰謝料を増額できるケース」を参考に、事故状況や被害者側の事情、事故後の加害者側の事情などを総合的に考慮し、それらの事情を慰謝料額に反映できるかを検討する必要があるでしょう。

ただし、適切な死亡慰謝料額を算定するためには、法律や裁判例などの専門知識が必要になります。自己判断で慰謝料額を算定すると損をすることにもなりかねないので、注意してください。

賠償金を漏れなく請求する

死亡事故で最大限の賠償金を受け取りたいのであれば、慰謝料だけでなく、ほかの賠償項目についても漏れなく請求することが重要です。

死亡慰謝料を算定するのであれば、「被害者本人に対する慰謝料」と「遺族に対する慰謝料」を分けて考える必要がありますし、入通院慰謝料や治療費、葬儀関係費などについても、損害額を適切に算定する必要があります。

遺族が請求できる項目は多岐にわたるため、専門知識のない個人で対応するには限界があります。示談交渉で損をしないためにも、専門家である弁護士に対応を任せることをおすすめします。

弁護士費用特約を使ってタダで弁護士に依頼しよう

被害者本人もしくは遺族の保険に「弁護士費用特約」がついていれば、多くの場合実質タダで弁護士に依頼できます。

弁護士費用特約とは、加入している保険会社が、加入者の代わりに弁護士費用を支払ってくれる保険会社のサービスです。保険会社ごとに補償上限は異なりますが、一般的に300万円までの弁護士費用を保険会社が立て替えてくれます。

この特約を使うことによるデメリットは基本的にありません。保険等級が下がったり、翌年の保険料が上がることもないので、費用の心配なく弁護士に依頼できます。

生命保険や火災保険に特約がついていることもあるので、死亡事故で弁護士に依頼する場合には、あらかじめ保険会社に特約の有無を確認してみましょう。

まとめ

死亡事故の場合、被害者がすでに亡くなっているということもあり、被害者自身が事故状況に関する主張をすることができません。そのため、交渉次第では、加害者側の主張に基づいた過失割合になってしまう場合があります。

飲酒運転やひき逃げ等の悪質な事故では、死亡慰謝料が増額される可能性が高くなりますが、遺族が家族を亡くした精神的苦痛を背負いながら相手方保険会社と交渉することは、より精神的苦痛が増すことになると考えられます。

死亡事故の損害賠償額は非常に高額となるため、わずかな主張の差によって金額が大きく変動することがあります。早い段階で交通事故にくわしい弁護士に相談して、適正な損害賠償を請求するようにしましょう。

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