交通事故に遭い、やむを得ず仕事を休まなければならなくなった場合、その間本来得られるはずだった収入が減ってしまいます。
このような場合、保険会社から「休業損害」という補償を受けることができるのです。
どちらもけがで働けなくなったときに、収入や利益の損害補償をするものではありますが、厳密には違うものです。
休業損害とは、交通事故の加害者に対して損害賠償請求をするためのもので、国土交通省が管理する自賠責保険、もしくはドライバーがそれぞれ加入している任意保険で補償されます。
また休業補償とは、正しくは「休業補償給付」といい、勤務中や通勤中の事故を対象とし、厚生労働省が管理する労災保険で補償されるものです。
休業補償と休業損害では、その計算方法も違っています。
ここでは、休業損害の休業損害の計算方法について解説します。
休業損害の基本的な計算方法は下記です。
ちなみに、基礎収入の計算方法は、下記の計算式を使います。
これらの基礎収入については、被害者の事故当時の職業によって異なるので、要注意です。
休業損害の計算方法は、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの計算基準のどれをもとにするかによって違ってきます。
さらに、一般的に交通事故の慰謝料の算出基準は、下記の順に慰謝料が高額請求できるといわれています。
休業損害は、慰謝料と別に請求できる賠償金となっています。
交通事故が原因で減った収入を補うための賠償金ですから、正しい金額を受け取らなければなりません。
正しい金額の休業損害を受け取るには、どうしたらよいのでしょうか。
給与取得者は、休業した事実と事故前の直近3ヶ月分の収入を証明してもらうため、「休業損害証明書」を勤務先の会社に記載してもらいます。
この書類に事実とは異なる、少ない金額などが記載されていると、受け取れる休業損害も少なくなってしまうため、間違いなく正確に記入してもらうようにしましょう。
自賠責基準で休業損害の支払いを受ける場合、被害者が何も言わなければ日額の5,700円で計算されることになってしまいます。
この金額よりも収入が多い場合は、被害者側が休業損害証明書や給与明細などの証拠となる資料を提出する必要があります。
これらの資料を提出しなければ増額してもらうことはできないので、自分の1日あたりの収入を正しく把握しておきましょう。
休業損害における3つの基準のうち、どの基準で計算すると最も有利になるのかは、人それぞれです。
1日あたりの基礎収入が5,700円までの場合は自賠責基準でよいですが、それを超えると裁判基準の方が多く受け取れるということになります。
また、任意保険基準の場合は裁判基準に近いことが多いものの、ケースによっては自賠責基準を使用していることもあるので、注意が必要です。
計算結果が被害者にとって最もよい条件になっているのかは、専門家でなければ判断が難しい部分でもあります。
自分の場合はどの基準を用いて請求するのがよいのか、経験も豊富な弁護士に相談してみるのもひとつの賢い方法です。