東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。
目次
免停は免許停止の略称で、一定期間車を運転することが禁止される行政処分です。
交通違反に対する処分として免許の違反点数が加算され、それが一定の点数を超えると免停の処分が科されることになります。
免停に似たものとして、免取があります。
免取は免許取り消し処分の略称で、処分を受けると免許が剥奪されることになります。
免停と免取の違いは、処分の後に免許が復活するかどうかです。
免停は定められた期間は免許の効力が失われますが、期間が経過すると免許の効力が復活します。
一方、免取は処分が行われると免許が剥奪され、効力が復活することはありません。
前歴 | 違反点数 |
---|---|
なし | 6点〜14点 |
1回 | 4点〜9点 |
2回 | 2点〜4点 |
3回 | 2点以上 |
4回 | 2点以上 |
運転免許の違反点数が一定の数を超えると免停になりますが、免停になる違反点数は過去3年間の前歴の回数よって異なります。
前歴とは、免許停止処分や免許取り消し処分など、道路交通法違反に基づく行政処分を受けた違反歴のことです。
免停(免許停止)になる違反点数
・前歴なしの場合
違反点数6点〜14点で免停に該当します。
15点以上は免停ではなく免許取り消しになります。
・前歴1回の場合
違反点数4点〜9点で免停に該当します。
10点以上は免許取り消しです。
・前歴2回の場合
違反点数2点〜4点以上で150日間の免停期間です。
5点以上は免許取り消しです。
・前歴3回の場合
違反点数2点以上で120日間、3点以上で150日間の免停期間です。
4点以上は免許取り消しです。
・前歴4回の場合
違反点数2点以上で150日間、3点以上で180日間の免停期間です。
4点以上は免許取り消しになります。
前歴 | 免停期間 |
---|---|
なし | 6点〜8点で30日間 9点〜11点で60日間 12点〜14点で90日間 |
1回 | 4点〜5点で60日間 6点〜7点で90日間 8点〜9点で120日間 |
2回 | 2点で90日間 3点で120日間 4点で150日間 |
3回 | 2点で120日間 3点で150日間 |
4回 | 2点で150日間 3点で180日間 |
免停として免許の効力が失われる期間は、最短30日で最大180日です。
細かく分けると、30日、60日、90日、120日、150日、180日の6種類です。
免停の期間がどれくらい長くなるかは、前歴の回数と違反点数によって決まります。
前歴とは、免許停止処分や免許取り消し処分など、道路交通法違反に基づく行政処分を受けた違反歴のことです。
免停の期間については、過去3年間の前歴の回数が関係してきます。
免停の期間
・前歴なしの場合
違反点数6点〜8点で30日間、9点〜11点で60日間、12点〜14点で90日間の免停期間になります。
・前歴1回の場合
違反点数4点〜5点で60日間、6点〜7点で90日間、8点〜9点で120日間の免停期間です。
・前歴2回の場合
違反点数2点で90日間、3点で120日間、4点で150日間の免停期間です。
・前歴3回の場合
違反点数2点で120日間、3点で150日間の免停期間です。
・前歴4回の場合
違反点数2点で150日間、3点で180日間の免停期間です。
免停の期間中に車を運転した場合は無免許運転になります。
無免許運転の罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
懲役刑が科される可能性があることから、比較的重い罪といえます。
免許の違反点数として25点が加算されます。
前歴なしの場合でも25点が加算されれば、一発で免許取り消しになります。
警察に見つからなければバレないと思うかもしれませんが、検問や交通事故などの可能性は常にあります。
無免許運転だけでなく、飲酒運転や交通事故を起こした場合は、それだけ責任も重くなります。
免停期間中は一切車を運転しないことが最良の選択と言えます。
免停の処分が実行された後、その処分が終了してから1年以上の期間について、無事故、無違反、無処分であった場合は、過去に蓄積した前歴がリセットされて0回になります。
処分が終了してから1年以上とは、免停になってから1年以上ではなく、免停の処分が終了してから1年以上という意味です。
注意点として、上記は違反点数のみに適用される制度であり、違反歴や事故歴自体は抹消されません。
そのため、免許更新時の講習区分や免許証の色については、過去5年間の違反歴や事故歴などで判定されることになります。
警察の取り締まりなどによって免停になると言われた場合でも、その場ですぐに免許の効力が停止するわけではありません。
免停の効力が発生するのは、免停通知と呼ばれる通知書が交付された時点になります。
そのため、取り締まり後も通知書が交付されるまでは車を運転することは可能です。
例外として、免停に該当するだけでなく重大な死傷事故などを起こしている場合は、危険な運転者を交通の場から排除するための措置として、仮停止処分通知書というものが交付されることもあります。
その場合は、仮の処分として即座に免許停止の効力が発生します。
免停通知は、免停の理由になった取り締まりの終了後、一般的に数週間〜1ヶ月程度で交付されます。
重大な事故を起こしてしまった場合などは2ヶ月以上かかる場合もあるので、注意が必要です。
免停通知には、違反した履歴、違反点数、免停の期間、出頭場所、出頭日などが記載されています。
指定された日に出頭することが困難な場合は、通知書に記載された連絡先に相談する必要があります。
免停通知は出頭要請通知書と意見の聴取通知書の2種類があります。
免停通知の種類
・出頭要請通知書
免停30日や60日など、免許停止の期間が90日未満の場合に交付されるもので、比較的軽い処分の場合の通知書です。
・意見の聴取通知書
免許停止の期間が90日以上に該当する場合に交付されるもので、処分が比較的重い場合の通知書です。
詳しく知りたい方は、下記記事を参照してください。
出頭要請通知書が届いた後は、記載されている内容に従って所定の手続を行うことになります。
手続きを行うためには、指定された日に指定された場所に出頭する必要があります。
出頭場所は管轄の運転免許センターが指定されるのが一般的です。
注意点として、免停通知が届いた後に出頭せずに無視し続けていたら、50万円程度の罰金や逮捕などの不利益が課されてしまったという事例もあります。
想像以上に重いペナルティが課される可能性があるので、通知が届いたら速やかに手続きを進めることが大切です。
また、通知書記載の日付に出頭し、手続きを行った時点で免停となります。
出頭当日に自分で車を運転して行ったとしても、帰りの運転はできませんので出頭当日は公共の交通機関やタクシーなどで出頭しましょう。
出頭場所の運転免許センターに着いたら、案内に従って申請書類に必要事項を記入し、運転免許証を提出します。
申請書類の提出が終わったら、免停の手続きは終了します。
停止期間が満了するまで、くれぐれも運転しないように注意する必要があります。
意見の聴取通知書が届いた後は、意見の聴取の手続きに出頭することになります。
意見の聴取の手続きは、停止期間が90日以上の免許停止や、免許取り消しなどの処分に該当する場合に行われる手続きです。
科される処分が比較的に重いことから、公平公正を実現するために、処分をする前に事実確認などを行うための手続きです。
手続きでは、違反についての事実確認、違反時の状況などの把握、処分を受ける人が自分の意見を述べる、有利になる証拠を提出する、などが行われます。
意見の聴取通知書が交付されたら、指定された日付に指定された場所に出頭することになります。
意見の聴取が行われる場所は、運転免許センターや警察署などです。
指定された日付以外に変更することは不可能ではありませんが、病気などのやむを得ないと認められるような事情でなければ、原則として日付の変更は認められません。
意見の聴取は付添人が出席することが制度として認められています。
付添人になれる人の制限は基本的にありませんが、法律の専門家である弁護士などが担当するのが一般的です。
弁護士に依頼することで、自分に有利な証拠を収集して処分を回避することが目的です。
運転免許の停止が失業に直結する可能性があるドライバーの方や、前科があると就業が難しくなる公務員などの職業を目指している人などは、弁護士に依頼する必要性が高くなります。
出頭後は意見の聴取や処分についての説明を受けた後、順番に呼び出されて聴取が行われます。
聴取においては、違反の内容、事故の概要、今までに免停などの処分を受けた回数、過去3年間の違反点数の合計などの確認が行われます。
違反についての事実確認の質問も受けることになります。
質問の例としては、違反をしてしまった原因、相手がいる場合に示談が進行しているかなどです。
聴取が終了すると、弁明の機会が与えられます。
その際に、勤務先や知人からの嘆願書、被害者との示談書、自筆の反省文などを提出することができます。
弁護士などの付添人がいる場合は、自分の代わりに弁明してもらうこともできます。
免許停止処分が相当と判断された場合、意見の聴取が終わった後は、免許停止の日数が書かれた運転免許停止処分書という書類が渡されます。
この書類に書かれた内容によって、自分に下される処分が判明します。
また、処分書を渡された時点で処分の執行が行われます。
具体的には、意見の聴取の当日が免許停止期間の第1日目となります。
免許停止処分が科された場合、免停期間を過ごすにあたって注意すべき点や、免停の期間を短縮することができる免停講習の制度についての説明などが行われます。
処分の結果免停になったとしても、免停講習を受けることで免停の期間を短縮することができます。
免停講習とは、免許停止の処分を受けた方が受講することができる特別な講習です。
免停講習をきちんと受講することができれば、免停の期間を短縮することができます。
免停講習を受講することは義務ではなく、受けるかどうかは任意です。
必要がないと判断すれば受講しないという選択も可能です。
講習は有料で、免停の期間が長いほど費用も高くなります。
免停期間が30日の場合の費用は1万円程度です。
種類 | 免停期間 | 講習時間 |
---|---|---|
短期講習 | 30日 | 6時間(1日) |
中期講習 | 60日 | 10時間(2日) |
長期講習 | 90~180日 | 12時間(2日) |
免停講習は、短期講習、中期講習、長期講習の3種類に分かれています。
短期講習は、免停期間が30日の方が受講する講習です。
講習時間は6時間程度で1日で終了します。
中期講習は、免停期間が60日の方が受講する講習で、10時間程度の講習を2日間で受けることになります。
長期講習は、免停期間が90日以上の方が対象の講習で、12時間程度の講習を2日間で受講します。
免停講習は所轄の交通安全センターや運転試験場などで受講することになります。
免停講習の具体的な内容はとしては、教本やビデオを用いた講義、自動車の運転の実技テスト、公道を運転するにあたっての適性検査、道路交通法や交通ルールなどについての筆記試験などです。
注意点として、免停講習を受講することが可能な期間は、処分を受けた日から期間の半分が経過するまでの間に限定されています。
期間を過ぎてしまうと受講する資格を喪失し、免停の期間を短縮できなくなってしまいます。
免停期間 | 短縮期間 |
---|---|
30日 | 20日~29日 |
60日 | 24日~30日 |
120日 | 40日~60日 |
150日 | 50日~70日日 |
180日 | 60日~80日 |
免停講習を受講することで短縮される日数は一定ではなく、受講者の態度や試験の結果によって異なります。
総合的な成績は優、良、可の三段階に分かれており、成績が優秀なほど免停期間は短縮されます。
講習によって短縮される日数は、免停期間30日の場合は20日~29日、60日の場合は24日~30日、120日の場合は40日~60日、150日の場合は50日~70日、180日の場合は60日~80日です。
免停とは免許停止処分の略称で、せっかく取得したはずの運転免許の効力が失われてしまう行政処分です。
免停の期間は30日〜180日で、期間が経過すると免許の効力が復活します。
運転免許の違反点数が一定以上になると免停になります。
免停になる違反点数や免停期間は一律ではなく、免停になるまでの前歴と点数によって異なります。
警察の取り締まりから数週間〜1ヶ月間ほどで免停通知が交付されます。
免停通知を受け取ると、通知の指定日に運転免許センターなどの指定場所に出頭して手続きをする必要があります。
免停になった場合でも、免停講習を受講することで免停期間を短縮することができます。