東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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目次
交通事故によって物的損害が生じた際には、その賠償を加害者へ請求できます。
民法709条では、故意過失によって他人に損害を与えた場合は、その損害を賠償する責任を負うと定められています。
そのため、交通事故によって物的損害が生じたことを証明できれば、賠償請求が可能です。
この場合、壊れた物を新品と交換するのではなく、壊れた物の時価や修理費用等をお金で支払われることになります。
賠償金は、任意保険によって支払われるのが通常です。
自賠責保険は人身損害についてのみ適用されるため、物的損害については自賠責保険は利用できません。
人身事故と物損事故の違いについてもっと知りたい方は下記記事をご参照ください。
交通事故の影響で服や装飾品が壊れた場合は、損害賠償請求の対象になります。
時計や装飾品などは、ブランド物など高価なものもありますので、きちんと請求したいところですよね。
注意しておきたい点としては、交通事故被害での損傷であるということを、被害者本人が証明する必要があることです。
「交通事故が原因で物的損害を被った」という、事故と壊れた物の因果関係示さなくてはいけません。
この因果関係を証明する時に、壊れた物の写真はとても有力な証拠です。
どの部分が壊れたり傷ついたりしたか、はっきりと見えるように写真を撮り、提出するとよいでしょう。
また、壊れた物を現物として提出する必要がある場合もあります。
このような場合に備えて、事故によって壊れた所持品や携帯品は、すぐに捨てずにしばらく身近な場所で保管しておきましょう。
被害者としては当然損害賠償請求の対象となると思いがちですが、証拠がないと任意保険会社から事故との因果関係が不十分といわれてしまうことがあります。
事故直後に損傷した現物の写真をとっておいたり、購入時の領収書など価格を証明できるものがあれば用意するなど、必要な準備をしておきましょう。
物的損害の賠償金額は、加害者加入の任意保険と示談交渉を進める際に話し合います。
物的損害の限度額や、算定方法はどのように決まっているのかについて説明します。
物的損害に対して、加害者の加入保険会社より支払いが可能な賠償金の限度額については、原則、その物的損害を被った物の時価になります。
つまり、交通事故発生時点における、その物の価値と同等の金額に当たります。
物の価値は、いくら購入時に高価なものでも、時間の経過や通常の使用による傷等で下がっていくものです。
例えば、購入時に10万円だった物が、年月が経って事故発生時点での価値が2万円と評価されたなら、その価値が時価となり、事故による物的損害賠償金の限度額となります。
また、事故によって物的損害を被ったけど、修理すれば使えるという場合であっても、その修理費用と時価を比べて、修理費用が時価よりも高額となれば、賠償額は時価額までとなってしまいます。
例えば、事故によって壊れた腕時計の修理費用が10万円だったとして、その腕時計の時価が2万円とされたなら、この場合に支払われる賠償額は2万円が限度です。
時価額の算定方法には、市場価格方式という方法と、確定申告等で用いられる減価償却を利用して算出する方法があります。
市場価格方式とは、時価を評価する一般的な方法で、事故によって物的損害を被った物と同類・同型、使用年数の物の価額を時価額と考えるものです。
また、減価償却を利用した時価額の算定方法は、時間の経過によって減少する物の価値を算定することで時価額を出すことになります。
つまり、その物の購入時の価格と、使用年数によって減少した物の価格を時価と考えるものです。
しかし、鑑定人の鑑定評価や参考価格表等によって、物的損害を被った物の時価を証明すれば、減価償却によって算出した時価を用いる必要はありません。
減価償却については、あくまでも目安であるということを頭の隅に置いておきましょう。
身に着けている衣類や装飾品、携帯品が事故によって損傷した場合の具体的な賠償例を見ていきましょう。
カバンや衣類のポケットに入れてあったスマートフォンやパソコンが、事故の衝撃によって損害を被った場合、事故発生時点での時価が賠償額の限度となります。
この場合、スマートフォンやパソコンの購入時の金額がそのまま支払われるわけではなく、使用年数等によって減少した時価額が支払われることになりますので、注意が必要です。
また、スマートフォンやパソコン等が事故により壊れ、修理ができない状態であったり、修理費用が時価を上回ったりする場合には、買取金額が賠償額の限度になります。
一方、修理が可能で修理費用が時価を下回る場合は、修理費用が賠償額として支払われます。
事故当時に身に着けていた衣類や腕時計等の装飾品についても、物的損害を被った場合は、時価を限度として賠償額が支払われます。
例えば、事故当時にブランド物の高級な製品を身につけていた場合、時価や製品が本物かどうか等について、示談交渉の際に加害者側と揉めるおそれがあります。
この時に話が煩雑化しないよう、購入時の領収書や修理見積書、鑑定書等を提示することで証明できますので、できるだけ証拠となる書面を用意しておきましょう。
しかし、衣類については、時価による賠償を受けられない場合があります。
事故当時身につけていた眼鏡については、人身損害の補償として、自賠責保険から賠償してもらえる可能性があります。
交通事故で破損したものがある場合は、事故発生後時間を置かずにできるだけ早めに補償を請求しましょう。
時間が経ってしまうと、市場価値が下がって時価が落ちるため、賠償される金額も少なくなってしまいます。
また、すぐに賠償請求をしないと、相手に交通事故以外の原因で壊れたのではないかと疑われてしまう可能性もあります。
いかがでしたでしょうか。
交通事故に遭うと、人身損害や物的損害等のあらゆる損害が発生する場合があります。
その交通事故で服や装飾品が破損した場合、請求のために被害者がやるべき事項についてご理解いただければ幸いです。
弁護士に相談するタイミングについては下記記事をご参照ください。