東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故の被害者は、加害者側の保険会社から慰謝料を含む示談金を受け取れますが、事故後すぐに振り込まれるわけではありません。
けがの影響で仕事を休んでしまったり、車の修理やけがの治療にお金がかかるため、できるだけ早く示談金を受け取りたいと考えるでしょう。
この記事では、いつ示談金を受け取れるのかについて解説したうえで、示談金を早く受け取る方法や示談交渉をスムーズに進める方法について解説していきます。
目次
加害者が任意保険に加入している場合、示談金を受け取れるのは、保険会社との示談交渉がまとまってから1〜2週間後です。示談交渉がまとまるまでの時間は事案ごとに異なりますが、たとえば、後遺障害がない人身事故であれば、4カ月〜1年程度が目安となります。
交通事故の被害者は、けがの治療にかかった費用や車の修理費用など、事故によって余儀なくされた出費を損害として請求できます。この損害額が全て確定するまでは、示談交渉をまとめることはできません。
また、死亡事故の場合であれば、葬儀費用や四十九日の法要にかかる費用も請求できるため、示談交渉の開始はそれ以降になる場合が多いでしょう。
なお、示談交渉の流れについては、こちらの記事をご覧ください。
→交通事故の慰謝料はいつもらえる?示談金の計算方法や交渉のポイントまで解説
交通事故後は何かとお金がかかるため、示談が成立するまで数カ月も待ってられないという方も多いでしょう。
示談金を早く受け取るための方法は、次の7つです。
もし、保険会社との示談成立後、1〜2週間経っても示談金が振り込まれない場合には、1度保険会社に問い合わせてみることをおすすめします。
示談書を取り交わしている以上、振り込まれないことは基本的にありません。振り込まれないかもしれない……と不安に感じてしまうかもしれませんが、その点については心配する必要はないでしょう。
ただし、保険会社側の何らかのミスで振込み作業を忘れてしまっている可能性もゼロではないので、不安であれば保険会社に振込みが遅れている理由を確認してみましょう。
なお、加害者が任意保険未加入だった場合、自賠責保険の補償上限を超える部分については、加害者に直接請求することになります。
交通事故の賠償金は高額になるケースが多く、加害者が賠償金を踏み倒そうとして意図的に示談金を支払わないケースがあります。
もし、加害者に連絡しても任意に支払ってくれる見込みが低い場合には、訴訟を起こして財産を強制的に差し押さえることも検討しましょう。
被害者請求であれば、任意保険会社との示談交渉がまとまる前でも、自賠責保険が支払う部分につき先に賠償金を受け取れます。
被害者請求とは、加害者側の任意保険会社を通さず、直接自賠責保険に対して賠償金を請求する方法のことです。必要書類を自分で準備する必要がありますが、任意保険会社を通さない分、スムーズに賠償金を受け取れます。
ただし、受け取れる金額は自賠責保険が定めた一定額に限られ、また、物損部分に関する賠償金は受け取れないことに注意が必要です。
示談交渉が成立する前であっても、損害が確定している部分があればその部分のみ先に示談することも可能です。
たとえば、けがの治療が長期に渡り損害額が確定できない場合であっても、車の修理費などの物損部分については早い段階で損害額が確定するため、その部分についてのみ先に示談して賠償金を受け取ることも可能です。
ただし、示談を急ぐことで早急にお金が必要であることが保険会社にバレてしまう可能性があります。足元をみられて低額な示談金を提示される可能性もあるので、慎重に交渉をおこなう必要があります。
また、早く示談金を受け取りたいからといって、物損部分の示談において妥協した過失割合で交渉をまとめるのはNGです。本来、物損部分と人損部分における過失割合は同じである必要はありませんが、少しでも賠償額を下げたい保険会社が、先に示談した物損部分における過失割合を主張してくる可能性があるからです。
加害者が加入している自賠責保険に仮渡金請求をすれば、被害者に支払われる自賠責保険金の一部を前もって受け取ることができます。
受け取れる金額は、次のとおりです。
けがの程度 | 受け取れる金額 |
---|---|
①死亡 | 290万円 |
②以下のいずれかの傷害を受けた場合 ・脊髄損傷を伴う脊柱の骨折 ・合併症を有する上腕または前腕の骨折 ・大腿または下腿の骨折 ・腹膜炎を併発した内臓の破裂 ・14日以上の入院と30日以上の治療を要する傷害 | 40万円 |
③以下のいずれかの傷害を受けた場合 ※ ②に当たるものを除く ・脊柱の骨折 ・上腕または前腕の骨折 ・内臓の破裂 ・入院と30日以上の治療を要する傷害 ・14日以上の入院を要する傷害 | 20万円 |
11日以上の治療を要する傷害を受けた場合 ※ ②または③に当たるものを除く | 5万円 |
請求には、仮渡金支払請求書や交通事故証明書のほかにも、医師の診断書や診療報酬明細書、戸籍謄本などが必要になります。取得までに時間がかかるものもあるので、必要書類の準備は時間に余裕をもっておこないましょう。
なお、仮渡金は実際に生じた金額を基に支払い額が算出されるわけではなく、けがの程度に合わせて金額が決められています。そのため、けがの程度によっては、受け取れる金額では十分な補償を受けられない場合があります。
また、仮渡金による前払いは1度しかできないことも頭に入れておく必要があるでしょう。
加害者側の保険会社によっては、仮渡金請求と同じように一部の示談金を先に受け取れる「内払金請求」ができる場合があります。
仮渡金請求は加害者の加入する自賠責保険会社に対しておこないますが、内払金請求は加害者の加入する任意保険会社に対しておこないます。
法律で定められている制度ではなく、あくまでも保険会社のサービスの一環として利用できるサービスです。そのため、請求したからといって必ずしも賠償金を受け取れるわけではないことに、注意が必要です。
仮渡金請求のように回数制限はありませんが、請求額は以下のように限定されているケースが多いです。
費目 | 上限金額 |
---|---|
傷害部分 (入通院慰謝料、治療関係費、休業損害など) | 120万円 |
後遺障害部分 (後遺障害慰謝料、逸失利益) | 74万~4,000万円 |
死亡部分 (死亡慰謝料、逸失利益など) | ~3,000万円 |
なお、内払金請求なら治療費や休業損害について月ごとに支払いをしてもらうことも可能ですが、受け取った金額は、のちの示談交渉の際に差し引かれることを頭に入れておく必要があります。
被害者自身が「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」に加入していれば、示談成立前でも損害額に対する補償を受けられます。
支払われる金額は保険契約ごとに異なりますが、過失割合の影響を受けることなく一定額を受け取れます。
また、「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」のみを使った場合であれば、いわゆる「ノーカウント事故」として等級が下がることはないので、翌年の保険料も上がることはありません。
通勤中もしくは勤務中の事故であれば、労災申請をして休業補償給付や休業特別支給金の給付申請をおこないましょう。
支給調整がおこなわれる関係で、労災保険と保険会社からの賠償金を二重に受け取ることはできません。
ただし、休業特別支給金などについては、損害の填補を目的とする損害賠償とは性質が異なるため、保険会社から賠償金を受け取っても支給調整がされることはありません。
また、過失割合に応じた減額もされないため、けがの治療にかかった費用を全額請求できるのも、大きなメリットです。
交通事故の示談金をいち早く受け取りたいのであれば、スムーズに示談交渉を進めることが重要です。
損害が確定してる部分のみ示談を成立させることも可能ですが、それ以外の部分における示談交渉の際に揉める可能性があります。
また、保険会社は、それぞれの会社独自の支払い基準に基づき示談金額を算出してきますが、裁判で認められている金額よりも大幅に低い金額を提示してくるケースが多いです。
その点、交通事故対応に精通している弁護士に依頼すれば、交渉をスムーズに進められるだけでなく、最大限の示談金を保険会社に認めさせることができます。
また、後遺障害等級の認定申請などの面倒な手続きも全て任せられるため、被害者の負担を大きく減らすことができるでしょう。
状況に応じて、示談金の一部を先に受け取るための手続きも任せられるのも、弁護士に依頼する大きなメリットの1つです。
示談金の振り込みが遅い理由としては、次のような原因が考えられます。
くわしくはこちらの記事をご参照ください
→交通事故の示談金の支払日はいつ?遅れる理由と早く受け取りたいときの請求方法や相場について解説
示談金は、加害者が任意保険に加入しているのであれば、一括で支払われるのが基本です。
一方、加害者が任意保険に加入していない場合、自賠責保険の補償を超える部分については、加害者に対して直接請求するのが基本です。
この場合、示談金を一括で支払うか分割で支払うかは交渉次第ですが、交通事故の賠償金は高額になるケースが多いので、分割で支払うことになるケースも多いです。
ただし、分割払いは途中で支払いが滞るリスクがあるため、連帯保証人や担保等の確認を十分におこなったうえで、示談書を取り交わす必要があります。
示談金を受け取れるのは、保険会社との示談交渉がまとまってから1〜2週間後です。そのため、示談交渉がスムーズに進まないと、いつまで経っても損害の賠償を受けられないことになります。
もし、いち早く示談金を受け取りたいなら、仮払金請求や内払金請求などを利用することも検討しましょう。
特に、治療費や仕事を休んだことによる損害については、示談金の受け取りが遅くなればなるほど、被害者の経済的負担は増大します。
弁護士なら、事故状況やけがの程度なども踏まえて、適切な示談金をスムーズに獲得できます。
弁護士費用特約を使えば無料で弁護士に依頼できるので、交通事故対応は弁護士に任せることをおすすめします。