東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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目次
交通事故で怪我をしたときに受け取れる慰謝料は、交通事故や被害者の状況に応じて、3種類あります。
今回は、7ヶ月入通院したときの慰謝料をご紹介します。
慰謝料の算定には3種類の算定基準があり、どの基準で慰謝料が算定されたかによって金額が大きく変わります。
《交通事故で7ヶ月入通院したときの慰謝料額》
種類 | 内容 | 慰謝料相場 |
---|---|---|
自賠責保険基準 | 最低限度の補償 | 60万2,000円(※) |
任意保険基準 | 任意保険会社が独自に設定 | 70万6,000円 |
弁護士基準 | 弁護士依頼・裁判時に採用される基準 | 97万~124万円 |
※自賠責保険基準の慰謝料相場については、入院日数0日、実通院日数70日(1ヶ月あたりの通院日数10日×7ヶ月)として計算しています。
交通事故の慰謝料は自賠責保険基準がベースとなり、不足分を任意保険基準や弁護士基準で補いますが、それぞれ算定根拠が異なっています。
具体的には以下のような違いになるので、各算定基準の考え方を理解しておくとよいでしょう。
自賠責基準とは、自動車損害賠償保障法に基づいた慰謝料の算定基準です。
自賠責基準で算定される慰謝料は必要最低限の保障となりますが、被害者保護を目的としているため、ほぼ請求どおりの金額が支払われます。
ただし、被害者に重過失(無免許運転など)があれば、過失相殺によって減額されるケースもあります。
入通院慰謝料の計算方法は「日額4,300円×対象日数」となりますが、対象日数は以下のどちらか短い方を選択します。
1ヶ月を30日として計算するので、通院7ヶ月、入院なし、実通院日数70日だった場合は以下のように対象期間を判定します。
後者の方が短いので、入通院慰謝料は「4,300円×140日=60万2,000円」となります。
なお、2020年3月31日以前に発生した交通事故は日額4,200円で計算します。
7ヶ月の治療期間中に入院が必要となった場合、入院日数や実通院日数に応じた慰謝料相場は以下のようになります(実通院日数は1ヶ月あたり10日で計算)。
入通院期間 | 自賠責基準の入通院慰謝料 |
---|---|
入院1ヶ月(入院日数30日+実通院日数60日) | 64万5,000円 |
入院2ヶ月(入院日数60日+実通院日数50日) | 68万8,000円 |
入院3ヶ月(入院日数90日+実通院日数40日) | 73万1,000円 |
※一般的な怪我の入通院日数に比べ、あまりにも入通院日数が多い場合や、治療期間(治療開始日から完治するまでの期間)において、治療の中断期間が15日以上の空白がある場合は、被害者側の入通院日数が認められるとは限りません。
任意保険基準とは、自賠責保険に加えて、任意で加入している保険の基準です。
任意保険基準では、実際の入通院日数は考慮せず、治療を受けてから完治するまでの期間がベースとなります。
従って、今回の具体例の場合、計算の根拠となるのは7ヶ月という期間のみで、その7ヶ月間、病院に何日入通院したか、という点は考慮されません。
※怪我の一般的な完治するまでの期間と、被害者が実際に完治するまでの期間に大幅な違いがある場合は、適切な治療を受けていなかったと判断され、慰謝料が減額される恐れがあります。
旧統一基準によれば、7ヶ月通院した場合の慰謝料(入院期間なし・後遺障害なし)は、70万6,000円とされています。
実際に任意保険会社から提示される金額は、この数値に加えて骨折など比較的重症な場合は10%前後上乗せされた数字つまり77万6,600円前後の金額が支給されます。
脳や内臓にも損傷が出たなど比較的重症の場合には、25%前後上乗せされた188万2,500円前後の金額が提示されることもあります。
※今回は「入院期間はなし」が前提ですが、完治するまでの期間が同じ7ヶ月間だったとしても、入院0ヶ月+通院7ヶ月なのか、入院6ヶ月+通院1ヶ月の計7ヶ月間によって、金額は異なります。
弁護士基準とは、今まで蓄積された交通事故における裁判に基づき作成された基準となります。
解決を弁護士に頼んだ場合や、裁判に解決を求めた場合は、この基準をベースに計算されます。
今回の7ヶ月通院した場合の慰謝料(入院期間なし・後遺障害なし)計算を弁護士基準で計算すると下記の通りになります。
その他、実際の入通院した日数(回数)は考慮せず、治療を受けてから完治するまでの期間が計算の基準となるのは、任意保険会社と同様ですが、通院が長期間で不規則になっている場合は、実際の通院日数(回数)の3.5倍を期間の根拠とされる場合もあります。
また症状が特に重い場合は、上記数値に2割程度加算されることもあります。
入院や通院期間が長期化した場合、苦痛に対する慰謝料も増額されるべきですが、保険会社が十分な金額を提示するとは限りません。
以下の方法は慰謝料を増額できる可能性が高いので、保険会社の提示額に納得できないときは検討してみましょう。
慰謝料の増額が必要なときは、まず弁護士に相談してください。
弁護士は慰謝料の算定に弁護士基準を用いるため、保険会社の提示額よりも高額な慰謝料を獲得できる可能性があります。
保険会社の提示額が妥当性を欠いている場合は訴訟を起こすケースもありますが、決着までに時間がかかり、裁判費用や専門知識も必要となります。
弁護士に相談すれば、裁判所を介さなくても慰謝料の増額を見込めるでしょう。
交通事故で負ったケガが完治せずに後遺障害が残った場合、後遺障害等級認定も申請しておきましょう。
後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益も請求可能になります。
なお、弁護士のサポートがあれば適切な等級に認定されやすくなるので、事前に相談しておくことをおすすめします。
入院日数や通院日数は慰謝料の額に大きく影響するので、正確に数える必要があります。
以下のような状況であれば、実際の入院日数よりも長くカウントされる可能性があるので、忘れないようにメモや日記に付けておきましょう。
任意保険会社は治療内容を把握しているので、通院の間隔が空いてきた場合や、必要性が疑われる治療を受けていると、治療費の支払いを打ち切るケースがあります。
治療費が打ち切られたときは、以下のように対処してください。
交通事故で7ヶ月入通院したときの慰謝料は、3種類の算定基準のどれを選択するかによって金額が大きく異なります。
3種類の算定基準のうち、慰謝料額が一番高くなるのは弁護士基準です。
示談交渉をするときは、弁護士基準で計算した慰謝料額を提示し、弁護士をつけて増額交渉するといいでしょう。
また、後遺障害等級認定の申請をしたり、入通院の日数を正確に数えたりすることで慰謝料の増額が見込めます。
弁護士に依頼することで慰謝料額の算定や示談交渉やなどをサポートをしてもらえるので、早い段階で弁護士に相談してみることをおすすめします。