東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!
いくら気をつけていて運転していても、巻き込まれる可能性があるのが追突事故です。
追突は、車同士の事故のパターンとして最も多く、近年では実に全体の3割〜4割ほどを追突事故が占めています。
赤信号での減速中や、高速道路の渋滞中など、さまざまな場面で発生する追突事故ですが、ぶつけられた際の対応や治療費・慰謝料が気になりますよね。
今回は、追突された際に請求できる慰謝料の種類と、目安となる金額を解説していきます。
目次
慰謝料とは、加害者側から償いの意味で支払われる損害賠償金を言います。
交通事故慰謝料には、以下の3種類があります。
交通事故の慰謝料
それぞれの慰謝料について詳しく見ていきましょう。
入通院慰謝料とは、入院や通院に伴う精神的苦痛に対して支払われる損害賠償金をいいます。
入通院慰謝料の金額は、以下の状況によって変動します。
入院慰謝料に影響を与える項目
症状固定とは「これ以上治療を続けても良くも悪くもならない」状態を指します。
症状固定の時期は、一般的には治療開始から6カ月程度になるでしょう。
また、入院や通院が条件になる慰謝料であり、痛みやしびれを我慢して仕事に出ていたときや、自宅療養のみのときは請求できません。
後遺障害慰謝料とは、交通事故の後遺症に伴う精神的苦痛に対し、加害者側から支払われる損害賠償金の一部です。
金額は14級から1級まである後遺障害の等級に応じています。
自賠責保険の場合はもっとも低い14級で32万円、1級は1,150万円が支払われます。
後遺障害慰謝料は、高額になるケースがほとんどです。
入通院慰謝料とは別に支払われ、被害者が受け取る賠償金に大きく影響します。
後遺障害手数料は、後遺障害の等級認定が要件になるため、認定機関となる自賠責保険調査センターに申請しなければなりません。
申請は被害者自身が必要書類を揃えて行う方法と、加害者側の任意保険会社を通じて書類を提出する方法の2種類があります。
等級は基本的に、書類の内容で審査されます。
もし、診断書の内容や添付資料が不十分だったときは、後遺障害の等級認定が非該当になる場合もあるでしょう。
認定結果に不服があるときは異議申し立てもできますが、同じ書類を提出しても結果は変わりません。
追加検査を行い、後遺症を確実に証明する必要があります。
医師任せでは後遺障害に認定されない可能性があるため、むちうちなどの後遺症が残ったときは弁護士にも相談してください。
交通事故の被害者が亡くなったとき、遺族は加害者側に死亡慰謝料を請求できます。
死亡慰謝料は遺族の精神的苦痛に対して支払われますが、被害者本人への慰謝料も含まれ、遺族が本人に代わって加害者側へ請求します。
ただし、被害者本人の慰謝料は以下の相続順位に従って相続するため、全員が受け取れるわけではありません。
死亡慰謝料の相続順位
たとえば、亡くなった被害者に配偶者と子どもがいた場合、死亡者本人の請求分としての死亡慰謝料は配偶者と子どもが受け取ります。
なお、死亡慰謝料の額は、保険会社との示談交渉によって決まります。
加害者がわからないひき逃げ事故では示談交渉を進められず、損害賠償訴訟も起こせません。
さらに、損害賠償請求権には時効があります。
加害者がわかったときから人身の場合は5年、物損の場合は3年経つか、事故から20年経過すると請求権が消滅します。
加害者が判明している場合でも消滅時効は適用されるため、死亡慰謝料はできるだけ早めに請求しておきましょう。
加害者や加害者が加入している保険会社が支払う慰謝料については、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類の基準があります。
ここからは、それぞれの基準について詳しく解説します。
自賠責基準とは、自賠責保険や共済の慰謝料算定基準です。
自賠責保険の保険料は国が定める基準に従っているため、どの自賠責保険会社から慰謝料を受け取っても金額は同じです。
また、自賠責保険は強制加入になっており、損害補てんが重視されているため、被害者に重大な過失がなければ、過失相殺による減額はありません。
過失相殺とは、過失割合に応じて損害賠償額を軽減する措置です。
過失割合とは、発生した交通事故の当事者のどちらに何割の過失があるのかを割合で示した数値を指します。
ただし、自賠責基準の慰謝料は最低限の損害補償になるため、満額の支払いを受けても不足するケースがほとんどです。
たとえば、自賠責基準の人身事故の補償の上限金額は、120万円です。
120万円のなかには治療費や休業損害も含まれ、十分な被害者補償とはいえないでしょう。
自賠責保険では最低補償部分をほぼ確実に受け取れます。
しかし、加害者の車が車検切れだったときは、自賠責保険も期限切れになっている確率が高いと言われています。
任意保険基準とは、任意保険会社から支払われる慰謝料の算定基準です。
自賠責保険の慰謝料には上限があるため、補償しきれない部分を任意保険でカバーします。
任意保険基準は各保険会社の独自基準になっており、計算方法は非公開です。
しかし、任意保険基準で計算される慰謝料は、自賠責基準の慰謝料と大きな差がありません。
任意保険基準の慰謝料は示談交渉次第になるため、対人・対物賠償の限度額が無制限でも、かなり低い金額を提示されるケースがあります。
被害者補償を重視した自賠責保険とは異なり、任意保険会社の営利が優先されやすいため、交渉力がなければ十分な補償を獲得できないでしょう。
保険会社の主張に反論したいときは、根拠となる証拠や資料が必要になります。
任意保険基準の場合、被害者側の過失が軽微であっても、慰謝料が減額されてしまいます。
弁護士基準とは、交通事故裁判の判例などを参考にした慰謝料の算定基準です。
弁護士基準の慰謝料は個別事情が考慮されるため、被害者に過失がなければ、自賠責基準や任意保険基準の2〜3倍になるケースがあります。
また、「裁判基準」とも呼ばれている弁護士基準によって弁護士が代理人として慰謝料請求する場合、基本的に交通事故裁判と同等の結果を目指します。
慰謝料の算定根拠は、赤い本とも呼ばれる日弁連交通事故相談センターの実務書に準じています。
実務書に準じて事故の状況などを分析し、適性な慰謝料が算定されるでしょう。
弁護士が関係した交通事故は慰謝料が高くなるといわれる理由は、無理に金額を引き上げるわけではなく、司法の判断とほぼ同じ結果になるためです。
保険会社の慰謝料に納得できないときは、まず弁護士に相談してください。
まず、入院慰謝料はどの算定基準を適用するにしても、通院期間または通院実日数を慰謝料算定基準に設定します。
追突事故でよく用いられる自賠責基準の入院慰謝料は、以下の計算式で求めます。
自賠責基準の計算方法
治療に要した日数 × 4,300円
治療に要した日数とは「通院期間」と「通院実日数×2」を比較して、短い方の日数です。
任意保険基準による算定方法は各保険会社とも非公開にしています。
しかし、かつては統一されていた旧基準に沿った算定が一般的です。
旧基準で算定した場合、通院や入院慰謝料の相場は、以下の通りです。
入通院慰謝料の相場(旧基準で算定した場合)
1カ月間の通院:12万6,000円(日額4,200円)
1カ月間の入院:25万2,000円(日額8,400円)
なお、1カ月はカレンダーどおりの日数ではなく、30日として計算します。
弁護士基準の場合には、いわゆる「赤い本」に載っている民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準を参考に、慰謝料を算定します。
たとえば、むち打ち症などで他覚的所見がない場合の弁護士基準の入通院慰謝料は、以下の通りです。
他覚的所見とは、医師の診療により客観的に捉えられた症状です。
入院月数 | 1カ月 | 2カ月 | 3カ月 | 4カ月 | 5カ月 | 6カ月 | 7カ月 | 8カ月 | 9カ月 | 10カ月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通院月数 | 金額(万単位) | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 | 266 | 284 | 297 | 306 |
1カ月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 | 252 | 274 | 291 | 303 | 311 |
2カ月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 | 260 | 281 | 297 | 308 | 315 |
3カ月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 | 287 | 302 | 312 | 319 |
4カ月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 | 292 | 306 | 316 | 323 |
5カ月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 | 278 | 296 | 310 | 320 | 325 |
6カ月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 | 300 | 314 | 322 | 327 |
7カ月 | 124 | 157 | 188 | 217 | 244 | 266 | 286 | 301 | 316 | 324 | 329 |
8カ月 | 132 | 164 | 194 | 222 | 248 | 270 | 290 | 306 | 318 | 326 | 331 |
9カ月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 274 | 292 | 308 | 320 | 328 | 333 |
10カ月 | 145 | 175 | 203 | 230 | 256 | 276 | 294 | 310 | 322 | 330 | 335 |
弁護士基準の算定方法については、次の記事を参考にしてください。
後遺障害慰謝料の算定は、どの算定基準を適用するとしても後遺障害等級ごとに、以下のように慰謝料の金額が設定されています。
後遺障害等級 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
第1級 | 1100万円 | 1600万円 | 2800万円 |
第2級 | 958万円 | 1300万円 | 2400万円 |
第3級 | 829万円 | 1110万円 | 2000万円 |
第4級 | 712万円 | 900万円 | 1700万円 |
第5級 | 599万円 | 750万円 | 1440万円 |
第6級 | 498万円 | 600万円 | 1200万円 |
第7級 | 409万円 | 500万円 | 1030万円 |
第8級 | 324万円 | 400万円 | 830万円 |
第9級 | 245万円 | 300万円 | 670万円 |
第10級 | 187万円 | 200万円 | 530万円 |
第11級 | 135万円 | 150万円 | 400万円 |
第12級 | 93万円 | 100万円 | 280万円 |
第13級 | 57万円 | 60万円 | 180万円 |
第14級 | 32万円 | 40万円 | 110万円 |
しかし、自賠責基準と弁護士基準では、同様の後遺障害等級であっても差が大きく出てしまいます。
たとえば、追突事故では多くの人が悩まされるむちうちが認定されやすい後遺障害等級は、14級です。
この14級の場合の後遺障害慰謝料が、自賠責基準では32万円ですが、弁護士基準では110万円となります。
このように後遺障害慰謝料の場合は、認定された後遺障害等級によっても差が出ますが、それ以上に適用する算定基準が重要です。
後遺障害慰謝料の算定基準については、以下の記事をご覧ください。
追突された場合、むちうちや打撲などのケガを負うケースが多く、以下のような相場で慰謝料が支払われます。
むちうちについて、重度か軽度かにわけて、目安金額を例示します。
なお、任意保険基準はそれぞれの保険会社での非公開の計算方法によるため、本記事では省略します。自賠責基準と同等か、やや高いとお考えください。
また、弁護士基準はあくまで目安であり、実際の事例によって増減します。
入院なし、通院3カ月、うち月平均10回(合計30回)通院、後遺障害14級認定の場合、慰謝料の目安は以下の通りです。
慰謝料の目安
入院2カ月、通院3カ月、うち月平均10回(合計30回)通院、後遺障害12級認定の場合、慰謝料の目安は以下の通りです。
慰謝料の目安
頚椎骨折の場合も、比較的軽い場合と重い場合に分けて例示します。
むちうちと同様、任意保険基準は省略します。
頚椎骨折について後遺障害が認められた場合の等級は、11級〜6級のいずれかに該当するケースが多いです。
入院なし、通院3カ月、うち月平均10回(合計30回)通院、後遺障害11級認定の場合、慰謝料の目安は以下の通りです。
慰謝料の目安
入院6カ月、通院3カ月、うち月平均10回(合計30回)通院、後遺障害6級認定の場合、慰謝料の目安は以下の通りです。
慰謝料の目安
追突事故で怪我をした場合の平均治癒期間は、怪我の種類と大きさによって変わります。
例えば、追突事故の怪我のパターンとして最も多いのが、むちうちです。
むちうちの平均治癒期間は3カ月程度で、後遺症が残るほど重度の場合は6カ月ほどと言われています。
むちうちは、医学名で外傷性頸部症候群や頸椎捻挫、腰椎捻挫と呼ばれ、シートベルトで固定された身体について、腰から上部や頸椎部分が大きく振られて起こります。
これにより、事故後すぐまたは72時間以内には痛みだすケースが多いですが、交通事故の直後は痛みを感じにくい場合があります。
痛みが出るまでに1週間〜1カ月以上の期間が空く場合もあり、その際は、治療期間も後ろにずれるでしょう。
追突事故にあった際、慰謝料以外にも賠償金を受け取れる可能性があります。
慰謝料はあくまで精神的苦痛に対する賠償金であり、示談金は、最終的な示談における総額を差すためご注意ください。
慰謝料以外に、示談の際に請求できる可能性のある賠償金の例は、以下のとおりです。
示談の際に請求できる可能性のある賠償金
これらのほか、基本的に損害を受けた範囲で補填を請求するのが損害賠償です。
特段、パターン化されていなくても、請求が認められる例があります。
ご不明な点があれば弁護士にご相談ください。
追突事故で慰謝料を受け取るまでの流れは、以下の通りです。
慰謝料を受け取るまでの流れ
それぞれの流れを詳しく解説します。
追突事故が発生したら、まずは自身と同乗者の身の安全を確保し、警察に通報しましょう。
事故は道路交通法により警察への報告義務があり、怠った場合には3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
その後は、自分が加入する任意保険会社にも連絡しておきましょう。
事故後の流れや、車のレッカー移動、または弁護士への連絡等について、アドバイスしてくれます。
加害者の情報については、免許証を見せてもらい写真を撮らせててもらうのがよいです。
見せてくれない場合は、警察官到着後か保険会社連絡後に行いましょう。
最後に、可能な限り事故の証拠を集めておきましょう。
ただし、必ず身の安全を確保しつつ行ってください。
相手方の車両も含め、ブレーキ跡や破損個所を写真に撮っておくと、不利な状況を回避できる場合があります。
警察が到着したら、指示に従って事故の処理を行います。その場で少しでも痛みや違和感があれば、人身事故として処理してもらえるよう警察に伝えましょう。
事故の記録が作成されると事故の処理は終了し、その場は解散になります。
なお、事故現場で過失を認める発言や示談は避けましょう。
事故の処理が終わったら、すぐに病院の診察を受けましょう。
見た目で怪我がないと思っても、骨折(ひびも含む)や、内出血を起こしている可能性があり、検査で発覚する場合があります。
脳にダメージがある場合は重大な後遺症が残るか、死に至る可能性も0ではありません。
むちうちの症状は怪我から72時間以内に現れるケースが多く、時間が過ぎてしまうほど、事故と怪我との関連性がわからなくなる可能性があります。
すると、医師の診断書がもらえず、結果として治療費を相手方から受け取れない可能性も出てきます。
事故処理の際に警察が物損事故として処理した場合は、診断書をもらって人身事故に切り替える手続きが必要になります(目安として事故から10日〜14日以内)。
そして、整骨院や接骨院では、医師がいないため診断書は発行されません。
整骨院・接骨院での施術後に痛みが増すと、施術失敗によるものか事故による痛みなのかすらわからなくなるケースもあります。
整骨院・接骨院は、医師の指示があった場合に利用するのが無難です。
事故処理後は、怪我がないと思っても、当日中(遅くても2〜3日以内)に、病院での診察を受けるようにしましょう。
病院での治療等が全て終わったら、相手方と示談交渉を行います。
示談とは「これで終わりにしましょう」とする最終的な話し合いです。
主に話し合う内容と、示談の流れは下記のとおりです。
示談の本質は損害賠償金の清算です。
被害者が加害者に侵害賠償を請求できる根拠は、民法709条の不法行為責任によります。
引用:民法709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:民法|e-GOV法令検索
損害は、怪我の治療費や車の修理等・慰謝料・休業損害など全てを含み、これらの確認を一つひとつ行っていきます。
被害額を確定して支払いが済めば、互いに債権債務はなくなり、事故についての賠償責任追及は終わりになります。
なお民事賠償と刑事事件は別物です。示談交渉では、刑事事件としての責任追及は行いません。
示談交渉がまとまると、示談書にサインや押印等を行い、交通事故についての交渉は終了になります。
その後は任意保険会社の内部的な手続きを経て、およそ2週間ほどで、指定した口座へ慰謝料やその他の賠償金が振り込まれます。
もしも双方が主張を譲らず、話し合いがどうしてもまとまらない場合は、訴訟または調停・仲裁・和解といった裁判所を利用した手続きに移行し、解決を目指します。
また、ADR(裁判外紛争手続)を利用する方法もあります。
ADRとは、専門機関が選定した公正中立な第三者(弁護士等)を間に挟んで、当事者同士で話し合いを続ける手続きです。
しかし、当事者同士の話し合いであるのに変わりはなく、決裂すればいずれかの裁判手続に移行するでしょう。
追突事故の被害に遭った場合、事故直後の対応を間違えると、慰謝料や治療費を請求できなくなる可能性があります。
自動車保険に示談交渉サービスを付けていても、追突事故の状況によっては自分で加害者側と示談交渉しなければなりません。
追突事故で慰謝料請求するときは、以下の注意点をよく理解しておきましょう。
追突事故によってケガを負ったときは、接骨院や整骨院ではなく整形外科を受診してください。
接骨院や整骨院の施術でケガが回復するケースもあります。
しかし、医学的な治療ではないのを理由に、保険会社が慰謝料請求を拒否する場合も珍しくありません。
接骨院や整骨院は病院ではないため、施術を受けても治療として認められず、通院期間中の入通院慰謝料を減額される場合もあります。
整形外科以外で治療するときは、医師の指示で治療を受けている状況にしなくてはならないため、必ず主治医の承諾を得てください。
後遺障害の認定も考慮すると、整形外科をメインに治療を続けた方がよいでしょう。
追突事故の被害から一定期間を過ぎると、加害者側の保険会社が治療費打ち切りを打診してくる場合がありますが、安易に応じないようにしましょう。
交通事故のケガの平均的な治療期間は、骨折は1〜2カ月程度、むちうちは3〜6カ月程度です。
しかし、症状や個人差によって長期的な治療になるケースもあります。
保険会社は平均的な治療期間を基準に治療費を支払うため、完治や症状固定の時期が近付くと、治療費の支払いを打ち切ろうとしてくるでしょう。
まだ治療を続けているにも関わらず、治療費打ち切りの打診に応じた場合のデメリットは以下の通りです。
治療打ち切りに応じた場合のデメリット
保険会社は病院側と連絡を取り合って治療の経過を把握していますが、完治や症状固定は医師が決定します。
保険会社から治療費打ち切りを打診されても、痛みやしびれが残っているときは治療を続けましょう。
加害者と被害者の過失割合が10対0になると、自分で加害者側の保険会社と示談交渉をする必要があります。
自分にまったく過失がない追突事故の場合、任意保険に示談交渉サービスを付けていても、保険会社が代理交渉できません。
示談交渉サービスは加入者であるご自身にも過失があり、加害者側に対して賠償責任を負うときのみ利用できます。
加害者に100%の過失があっても、被害者補償は示談交渉によって決まります。
専門知識や交渉力がなければ、慰謝料を引き下げられてしまうでしょう。
保険会社によっては被害者側の過失を主張してくるケースもあるため、事実と異なるときは自分の無過失を証明する必要があります。
追突事故は自分で示談交渉する確率が高いため、どのように対応してよいかわからない方や、交渉が苦手な方は弁護士に相談してください。
追突事故の示談交渉をスムーズに済ませ、適切な金額を受け取るためには、弁護士への依頼をおすすめします。
弁護士に依頼するメリットは、大きく分けて以下の4点です。
弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼した場合には弁護士基準で賠償額を計算します。
保険会社の提示に惑わされずに、法律で認められる適正な金額を請求できるため、依頼なしの場合と比べて増額できるケースがほとんどです。
交渉や手続きを任せられるのも、弁護士に依頼する大きなメリットです。
追突事故で過失がゼロの場合、またはゼロを主張する場合などは、自分が契約する任意保険会社の代理交渉サービスを利用できません。
仕方なく個人で手続きしようと思っても、適正な証拠をうまく集められないケースや、不利になる発言をしてしまうケースが多くなってしまいます。
弁護士に依頼しておけば、不利な状況を回避でき、交渉をスムーズに進められるようになるでしょう。
相手方保険会社と直接やり取りする必要もなくなるため、安心して治療に集中できるのも弁護士に依頼する大きなメリットです。
お困りの際は、まず弁護士に相談してください。
弁護士への依頼のタイミングは、病院での初診後、早ければ早いほどよいです。
遅くても、示談成立前には依頼しましょう。
ただ、示談成立後に交渉を再開できる場合もあるため、諦めずに一度ご相談ください。
弁護士への相談は、早いほど金銭的にも得をする場合が多いです。
弁護士へ依頼した方が、証拠を的確に集められる可能性が高く、請求できる賠償金を見落としもなくなるためです。
さらに、交渉を代理できるため、不必要に揉めてしまう状況や、失言等によって不利になる状況を避けられます。
相手方保険会社としても、相手が弁護士だと無理な主張や減額提示をしてこなくなるため、手続きもスムーズに進むようになるでしょう。
依頼が早いほど自分で行う手続きが減るため、精神的なストレスも減り、安心して治療に集中できるようになります。
なお、弁護士費用は、依頼が遅くても早くても変わりません。
まずは弁護士にご相談ください。
追突事故の慰謝料は、怪我の大きさや、弁護士に依頼するかどうかによって大きくかわります。
例えば、2〜3カ月の通院で治療をやめてしまい、後遺障害の申請もしなかった場合は、数十万円ほどの慰謝料が予想されます。
同じ怪我でも治療を続けて弁護士にも依頼し、後遺障害が認定された場合には慰謝料は300万円以上になるケースもあるでしょう。
怪我があるのに我慢して治療を途中でやめてしまうと、治らない上に金銭的に損をしかねません。
追突事故にあったら、まず病院へ、その後はすぐに弁護士へ、がキーワードです。
自分では怪我がないと思っても、医師による検査によって初めて怪我が見つかる可能性があります。
同じように、弁護士に相談して初めて、個別の状況に合った適正な賠償金額や行動がわかる場合があります。
交通事故については、自己判断せずに弁護士への相談が大切です。