東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!
「お金で解決できる問題ではありません。今すぐ返してください。」
可愛い我が子をある日突然失ったら、あなたならどうしますか?
目の前で起きていることすら理解できずに、出口の見えない真っ暗闇に放り込まれたような状況に陥るのではないでしょうか。
ご遺族の立場に到底立てるわけもありませんが、ここでは、慰謝料というかたちで償う方法を解説していきます。
確かに、お金で解決できる問題ではありません。
ですが、傷ついた心のケアにいつの日か役立つ時が訪れるかもしれません。
ご遺族の方々には「適正な慰謝料」を受け取る権利があるのです。
今後の生活再建の一助となれば幸いです。
目次
請求することのできる慰謝料についてみていきましょう。
それでは、一つずつみていきましょう。
【参考】
通常、交通死亡事故が発生すると以下のような手続きが進行します。
交通事故の慰謝料についてみていきましょう。
「交通事故の慰謝料」とは、交通事故により被害者が受けた精神的苦痛を金銭に換算したものです。
被害者は「慰謝料請求権」を有し、加害者は「慰謝料支払い義務」を負います。
〈参考〉混同しやすい用語解説
示談金 |
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慰謝料 |
|
このようなイメージで抑えていただくと、理解が及ぶのではないでしょうか。
葬儀に関連した費用のことです。
実際にかかった支出金額ではありません。
一般的な上限は、120万円〜150万円ほどです。
〈対象となるもの〉
〈対象外となるもの〉
交通事故で亡くなった子供が将来にわたり得られるはずであった収入分(推測値)を失ったことによる損害のことです。
一定の計算式によって求めることができます。
・逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
〈参考〉用語解説
基礎収入 | 交通事故により死亡しなければ将来にわたり労働で得られたはずの収入のこと。 子供の場合は、将来の収入額は不確定なので「賃金センサス」(厚生労働省が毎年実施している一斉調査のこと)の平均賃金を基礎収入として算出します。 |
---|---|
就労可能年数 | 原則67歳までです。 地位、職種、能力などにより67歳を過ぎても就労することが可能であったと考えられるような事情があれば、67歳を超えた分についても認められる可能性があります。 |
生活費控除 | 基礎収入-生きていればかかったはずの生活費=生活費控除
|
ライプニッツ係数 | 損害賠償金は、将来得られるはずだった収入を前倒しして受け取っています。 そのため、将来の収入が発生する時までの利息を控除する係数のことです。 民法改正により2020年4月1日以降に発生した交通事故の中間利息は年3%の割合で控除することとなりました。 (詳細については弁護士にご相談されることをおすすめします) |
損害賠償請求の場合は、請求認容額の10%ほどです。
例えば、5,000万円の損害賠償額を請求し認められた場合は、500万円ほどが弁護士費用として認められることとなります。
(1)〜(4)以外で請求できる費用をみていきましょう。
交通事故後「治療を経て死亡したケース」では、実際にかかった費用を請求することが可能です。
保険会社は必ずしも「適正な慰謝料額」を提示してくれるとは限りません。
適正な慰謝料額とはいったいどのくらいなのでしょうか?
慰謝料の算出には3つの基準が存在します。
この算出基準の違いにより結果的に受け取ることのできる金額が左右されます。
自賠責保険基準 (最も低い基準) |
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任意保険基準 (自賠責保険よりは少し上乗せされており3つの中で中間に位置する) |
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弁護士基準(裁判基準) (3つの中で最も高い基準) |
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まずは、このことについて知ることが何より重要です。
どの基準を用いて慰謝料請求の算出をするかによって、2倍ほどの差が生じるケースもあります。
基準ごとに慰謝料の相場をみていきましょう。
自賠責保険の慰謝料には限度額があります。
入通院慰謝料 | 120万円 |
---|---|
後遺障害慰謝料 | 4,000万円 |
死亡慰謝料 | 3,000万円 |
※改正により2020年4月1日以降に発生した事故に適用される金額です。
※入通院慰謝料に関しては、日額4,300円を元にして算出されるため、入通院期間が長期になればなるほど慰謝料額は高額となります。
次に「死亡慰謝料」についてみていきましょう。
自賠責保険では、一定の範囲に属するご遺族固有の慰謝料についても認められています。
「請求権者(慰謝料請求権を有する者)」の人数により異なります。
※請求権者とは以下に該当することが必要です。
【死亡慰謝料】
請求権者数 | 慰謝料額 |
---|---|
1人 | 550万円 |
2人 | 650万円 |
3人 | 750万円 |
※死亡した被害者に被扶養者がいる場合は、上記金額に200万円が追加されます。
「被扶養者」とは、死亡した被害者の収入で生計を立てている一定範囲に属する扶養家族のことです。
まず、「入通院慰謝料」からみていきましょう。
任意保険基準では、自賠責保険基準のように「日額〇〇円」を元に計算をするわけではありません。
前述のとおり、算出基準は非公開となっているため、一般的な推定値を元に下記のような算定表を参考にします。
(単位:万円)【入通院慰謝料】
入院 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | 6ヶ月 | 7ヶ月 | 8ヶ月 | 9ヶ月 | 10ヶ月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通院 | 25.2 | 50.4 | 75.6 | 95.8 | 113.4 | 113.4 | 128.6 | 141.2 | 152.4 | 162.6 | |
1ヶ月 | 12.6 | 37.8 | 63.0 | 85.6 | 104.7 | 120.9 | 134.9 | 147.4 | 157.6 | 167.6 | 173.9 |
2ヶ月 | 25.2 | 50.4 | 73.0 | 94.6 | 112.2 | 127.2 | 141.2 | 152.5 | 162.6 | 171.4 | 176.4 |
3ヶ月 | 37.8 | 60.4 | 82.0 | 102.0 | 118.5 | 133.5 | 146.3 | 157.6 | 166.4 | 173.9 | 178.9 |
4か月 | 47.8 | 69.4 | 89.4 | 108.4 | 124.8 | 138.6 | 151.3 | 161.3 | 168.9 | 176.4 | 181.4 |
5ヶ月 | 56.8 | 76.8 | 95.8 | 114.6 | 129.9 | 143.6 | 155.1 | 163.8 | 171.4 | 178.9 | 183.9 |
6ヶ月 | 64.2 | 83.2 | 102.0 | 119.8 | 134.9 | 147.4 | 157.6 | 166.3 | 173.9 | 181.4 | 185.4 |
7ヶ月 | 70.6 | 89.4 | 107.2 | 124.3 | 136.7 | 149.9 | 160.1 | 168.8 | 176.4 | 183.9 | 188.9 |
8ヶ月 | 76.8 | 94.6 | 112.2 | 128.6 | 141.2 | 152.4 | 162.6 | 171.3 | 178.9 | 186.4 | 191.4 |
9ヶ月 | 82.0 | 99.6 | 116.0 | 131.1 | 143.7 | 154.9 | 165.1 | 173.8 | 181.4 | 188.9 | 193.9 |
10ヶ月 | 87.0 | 103.4 | 118.5 | 133.6 | 146.2 | 157.4 | 167.6 | 176.3 | 183.9 | 191.4 | 196.4 |
次に「死亡慰謝料」についてみていきましょう。
自賠責保険の「請求権者数」とは違い、「被害者の属性」により金額が左右されます。
被害者の属性とは「亡くなられた被害者が家庭内でどのような立場であったか」ということです。
【死亡慰謝料】
被害者の属性 | 慰謝料額(推定値) |
---|---|
子どもや高齢者、その他 | およそ1,100〜1,500万円 |
専業主婦(主夫)、配偶者 | およそ1,300〜1,600万円 |
一家の支柱(家族の生計を立てている) | およそ1,500〜2,000万円 |
弁護士基準の入通院慰謝料をみていきましょう。
弁護士基準の場合も、任意保険度ように算定表を参考にして算出します。
軽症のケース、重症のケースで参考にする算定表が異なりますが、ここでは重症のケースをご紹介します。
(単位:万円)【入通院慰謝料】 ※重症の怪我のケースに適用されます。
入院 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | 6ヶ月 | 7ヶ月 | 8ヶ月 | 9ヶ月 | 10ヶ月 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通院 | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | 244 | 266 | 284 | 297 | 306 | |
1ヶ月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 | 252 | 274 | 291 | 303 | 311 |
2ヶ月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 | 260 | 281 | 297 | 308 | 315 |
3ヶ月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 | 267 | 287 | 302 | 312 | 319 |
4ヶ月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 | 273 | 292 | 306 | 326 | 323 |
5ヶ月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 | 278 | 296 | 310 | 320 | 325 |
6ヶ月 | 116 | 149 | 181 | 211 | 239 | 262 | 282 | 300 | 314 | 322 | 327 |
7ヶ月 | 124 | 157 | 188 | 217 | 244 | 266 | 286 | 301 | 316 | 324 | 329 |
8ヶ月 | 132 | 164 | 194 | 222 | 248 | 270 | 290 | 306 | 318 | 326 | 331 |
9ヶ月 | 139 | 170 | 199 | 226 | 252 | 274 | 292 | 308 | 320 | 328 | 333 |
10ヶ月 | 145 | 175 | 203 | 230 | 256 | 276 | 294 | 310 | 322 | 330 | 335 |
次に「死亡慰謝料」についてみていきましょう。
自賠責保険の「請求権者数」とは違い、「被害者の属性」により金額が左右されます。
【死亡慰謝料】
被害者の属性 | 慰謝料額 |
---|---|
子どもや高齢者、その他 | 2,000〜2,500万円 |
配偶者や母親 | 2,500万円 |
一家の支柱(家族の生計を立てている) | 2,800万円 |
いかがでしょうか。
「入通院慰謝料」「死亡慰謝料」ともに、3つの基準の中で最も高額であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
「この金額では到底納得できない!」
「お金には変えられないけれど、我が子の命がこの金額とは・・・」
突然の事故で、我が子を失ったご両親のお気持ちは想像を絶するものがあります。
実際の裁判においては、慰謝料の相場よりも大幅に増額されることが少なくありません。
裁判では、上記でご紹介した一般的な相場だけではなく、個々の事情を総合的に考慮して決められます。
子どもを亡くしたご両親の苦痛を斟酌して、合理的な範囲で裁判官が判断していきます。
過去の裁判例でも、子供が犠牲となった死亡事故のケースでは、一般の慰謝料相場よりも増額される傾向が多いです。
このようなケースでは、慰謝料が増額される可能性があります。
ただし、これら「増額要素」は被害者側が主張していかなければなりません。
裁判所が自動的に増額してくれるわけではないですし、ましてや保険会社側から増額した金額で提示してくれることはありません。
それでは、一つずつみていきましょう。
以下のようなケースが該当します。
以下のようなケースが該当します。
以下のようなケースが該当します。
※平成19年東京地方裁判所八王子支部の判例
この裁判では、被害者の8さいとう若さで突然命を奪われたことと、加害者の大幅なスピード違反が慰謝料増額の要因となっています。
また、事故後の凄惨な現場を目撃した兄に対しても慰謝料が認められている点が、着目するポイントです。
被害者が幼児で唯一の子供で遭ったケースなどでは両親の精神的苦痛が大きいとして慰謝料が増額されることがあります。
注意すべき点とは、いったいどのようなことなのでしょうか。
とてもお辛い状況だとは思いますが、残されたご両親が不利益とならないようにしていただくことを願って止みません。
ご参考になさってください。
一つずつ確認していきましょう。
結論からいえば、弁護士基準で慰謝料額を算出し、最高額の慰謝料を獲得していただくことをおすすめします。
子供が犠牲となる事故の多くは、歩行中や自転車乗車中、親の自転車乗車中のケースです。
つまり、子どもにとっては無防備な状態で遭った事故なのです。
子供は社会の宝であり、同時にとても弱い立場に置かれています。
大切に育ててきた可愛い我が子が負った精神的な苦痛を不当に安い金額で終わらせてよいのでしょうか。
それは、絶対に避けていただきたいところです。
悪質な加害者ならなおさらではないでしょうか。
弁護士に依頼することで、慰謝料だけではなく漏れなく精査することができます。
結果的に、受け取る示談金の額を「適正な」金額で受け取ることが可能となります。
過失 | 不注意・落ち度のこと |
---|---|
過失割合 | 交通事故の結果に対する過失(落ち度、不注意)の割合のこと |
つまり、どちらにどれだけの過失があり、責任を求めることができるのかともいえます。
8:2や7:3などと表現されます。
交通事故の場合、当事者双方に過失があることがほとんどです。
しかし、子供は社会的弱者であるため、子供が犠牲となった事故の場合は、子供側の過失が低くなる傾向が一般的です。
また、歩行中の事故についても過失割合が低くなる傾向があります。
これらを主張立証していくためには、客観的で有力な証拠が必要となります。
よくある例として、事故現場やお見舞い時、葬儀の時などに示談を持ちかけられることがありますが、絶対に応じてはいけません。
果たして、加害者が持ちかけてきた示談内容は適正なものといえるのでしょうか?
後々、不利益を被ることが想像に難くありませんので、くれぐれもご留意ください。
示談交渉のタイミングは以下の通りです。
多くの場合はこれらのタイミングで、保険会社から示談金の提示につき連絡があります。
これまでみてきたことを考慮した上で、ご遺族のみで裁判で争うことは一般的には難しいです。
なぜなら裁判手続きは、煩雑かつ厳格であることが理由です。
証拠集めや、書類作成、裁判所や相手方とのやり取り、調査などやらなければならないことが山ほどあります。
弁護士に相談・依頼されることで得られるメリットをまとめてみました。
一つずつみていきましょう。
これまでもみてきたとおり、弁護士に依頼することで漏れなく適正な慰謝料を請求することが可能となりますので、結果として慰謝料の増額が期待できます。
キーワードは「弁護士基準」です。
事故後のご遺族の精神的ダメージはかなりのもので、精神疾患に罹患されることも決して珍しいことではありません。
ご自身の精神的なケアを優先するべきです。
とはいえ、事件を放っておくわけにもいかないのが現実です。
弁護士に一任することで、事件に関することから解放され、ご自身のケアに専念することができます。
示談交渉や、裁判の過程では証拠や主張立証に関わることが多く想定されます。
事故後、ご遺族の精神的ダメージが回復していない中で事故のことを詳細に思い出していく作業は、酷以外の何者でもありません。
もちろん、弁護士に依頼しても適切な証拠や主張をしていく上では、ご遺族の協力が欠かせません。
ですが、加害者側や裁判所とのやり取りは回避することができますので負担を軽減することが可能となります。
「被害者参加制度」のサポートをしてもらうことができます。
加害者が起訴されるまでには、およそ6ヶ月〜1年かかります。
その間に被害者は警察署または検察庁に行き以下のことを行う必要があります。
このとき作成された供述調書に基づき、検察官は「起訴or不起訴」「正式な裁判or略式裁判」を判断します。
起訴されることになると、この「供述調書」が後の民事裁判で活用されることとなります。
正式裁判に移行した場合に、裁判所が認めれば「被害者参加制度」を利用することができます。
被害者参加制度とは、加害者にどのような刑罰を科すべきか、裁判官に対して意見が述べられる制度のことです。
被害者がお亡くなりになられた場合は、以下に該当する方(被害者参加人といいます)が刑事裁判に参加することが可能となります。
これらの活動を弁護士が代理人として行うことができます。
最後になりましたが、死亡事故のご遺族の方に心よりお悔やみを申し上げます。
未だになくなることが無い死亡事故の被害者の方はもちろんのこと、ご遺族の方の苦痛は
到底測り知ることなどできません。
心の傷が癒えるまでにはどのくらいの時間が必要であるか検討もつきません。
癒える時など訪れないのかもしれません。
ご夫婦で、またはお一人で悩まれているご遺族の方の苦悩を少しでも緩和するために弁護士に相談されることをおすすめします。
なぜなら、普通に考えれば可愛い我が子を無くして間もない時に、示談交渉を行う精神状態ではいられないはずだからです。
提示された慰謝料額が適正かどうかなど考える余裕もなく示談(合意)に応じてしまうことが少なくありませんが、それは絶対に避けたいところです。
通常の精神状態ではなく、考える余裕のないほど深い悲しみにあるご遺族にとって、裁判や示談交渉はあまりに酷であり不利益があってはなりません。
しかし、残念ながら保険会社は営利企業なので、低い慰謝料額を提示してきます。
保険会社の提示を安易に鵜呑みにせず、一度弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。