東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故で高齢者が亡くなった場合、遺族は加害者や加害者の加入する保険会社に死亡慰謝料を請求できます。
死亡慰謝料は、被害者や遺族の精神的苦痛を賠償するために支払われるものです。被害者が高齢でも、遺族の精神的苦痛の度合いが低くなる訳ではないので、年齢によって死亡慰謝料額が変わることは基本的にはありません。
しかし、保険会社は少しでも賠償金を下げるために、高齢者であることだけを理由に慰謝料の減額を迫ってくることがあります。何も知らずに保険会社を信じて示談に応じると、適切な補償を受けられない可能性があるでしょう。
この記事では、高齢者(70歳・80歳・90歳)が交通事故で亡くなってしまった場合に請求できる死亡慰謝料の相場や増額できるケース、示談交渉の際の注意点などについて、わかりやすく解説していきます。
目次
高齢者の死亡慰謝料の相場は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)でそれぞれ異なります。
それぞれの基準における高齢者の死亡慰謝料の相場は、次のとおりです。
算定基準 | 概要 | 死亡慰謝料の相場 |
---|---|---|
自賠責基準 |
| 950〜1,350万円程度 ※ 慰謝料請求権者の人数によって異なる |
任意保険基準 |
| 1,200〜1,500万円程度 ※ 任意保険基準は公表されていないため、旧任意保険基準から推測される金額 |
弁護士基準 (裁判基準) |
| 2,000~2,500万円 |
弁護士基準は、過去の裁判例を基に定められている基準なので、事故ごとの個別事情を考慮して柔軟に慰謝額を算定することができます。
なお、死亡慰謝料を簡単に計算したい場合には、「慰謝料計算シミュレーション」をぜひ使ってみてください。
→交通事故の死亡慰謝料はいくら?|慰謝料計算シミュレーション付き
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高齢者の死亡事故で請求できる慰謝料は、被害者本人や遺族の精神的苦痛を賠償する目的で支払われるお金です。そのため、事故ごとの個別事情を考慮した結果、被害者や遺族の精神的苦痛を増大させるような事情が認められれば、相場以上の死亡慰謝料が認められる場合があります。
被害者や遺族の精神的苦痛を増大させるような事情としては、次のようなものが挙げられます。
加害者に事故を発生させる「故意」や「重大な過失」が認められる場合 | 酒酔い運転、無免許運転、著しいスピード違反など |
---|---|
加害者や保険会社の対応が不誠実な場合 | 反省することなく遺族に暴言を浴びせる、証拠の隠滅を図る、事故現場で被害者を放置して逃走する など |
その他 | 悲惨な事故で遺族がPTSDになってしまった場合など |
具体的にどれくらい慰謝料が増額されるかは、過去の裁判例を参考に、事故ごとに個別に判断されます。
ここでは、高齢者の死亡事故で、相場以上の死亡慰謝料が認められた裁判例をいくつかご紹介します。
このように、実際の裁判でも、高齢者の死亡事故で相場以上の死亡慰謝料が認められています。
高齢者の死亡事故で保険会社と交渉する際は、次の3つの点に注意しておく必要があります。
以下、それぞれわかりやすく解説していきます。
交通事故で被害者が亡くなった場合に請求できる慰謝料は、親族であれば誰でも受け取れる訳ではないことに注意してください。
死亡慰謝料は、「被害者本人に対する慰謝料」と「遺族に対する慰謝料」の2種類に分けることができます。
被害者本人に対する慰謝料については、請求権を持つ被害者がすでに亡くなっていることから、相続人が被害者の代わりに請求することになります。
一方、遺族に対する慰謝料は「近親者慰謝料」とも呼ばれ、被害者の配偶者や両親、子どもなどの「近親者」と呼ばれる遺族がそれぞれが請求権者となります。被害者の兄弟姉妹や内縁の配偶者などは請求できないのが原則ですが、法律上の近親者と同視できるようなケースでは、例外的に近親者慰謝料が認められる場合があります。
くわしくは、以下の記事をご覧ください。
保険会社は、被害者が高齢であることを理由にして低額な慰謝料額を提示してくることがあるので、注意が必要です。
「被害者の収入によって世帯生計を維持している訳ではない」「被害者が子どもの場合と比べると精神的苦痛の度合いが低くなる」など、減額する理由はさまざまですが、基本的に自賠責基準と同程度が、それに少し上乗せしたくらいの金額を提示してくるでしょう。
本来、被害者や遺族の精神的苦痛は年齢によって異なるものではないため、高齢を理由に慰謝料を減額することは認められないはずです。
弁護士基準であれば、保険会社の提示額よりも2倍以上増額できる可能性もあるので、安易に示談には応じないことが重要です。
保険会社は、死亡慰謝料だけでなく、過失割合についても加害者に有利に認定してくる可能性があります。
過失割合とは、交通事故における当事者間の責任割合のことです。たとえば、被害者にも過失が3割認められる場合であれば、加害者:被害者=7:3などと表されます。
交通事故の場合、追突事故など明らかに加害者のみに事故の責任が認められる場合を除き、被害者にも一定の過失が認められるケースが多いです。
一方、被害者が交通弱者である高齢者の場合、裁判では被害者の過失が低く修正される場合が多いです。
予備知識なく保険会社と示談交渉をおこなうと、本来であれば修正されるはずの過失割合を見逃してしまい、慰謝料を含む賠償額全体が減額されるおそれがあるので、注意してください。
高齢者の死亡事故で、遺族が適切な補償を受けるためには、交通事故に精通した弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士なら、弁護士基準で算定される慰謝料額を保険会社に認めさせることができるうえ、経験から得たノウハウを使って示談交渉をスムーズに進めることができます。
また、保険会社が高齢であることを理由に慰謝料額の減額を主張してきても、裁判まで視野に入れた交渉で慰謝料額を増額できる可能性が高いです。
さらに、死亡逸失利益や葬儀関係費など、慰謝料以外に請求できる賠償金を漏れなく請求できるのも、弁護士の強みの1つです。
交通事故で高齢者が亡くなってしまった場合には、遺族だけで対応しようとせず、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
高齢者が交通事故で亡くなってしまった場合、請求できる死亡慰謝料の相場は2,000~2,500万円程度です。
保険会社は、被害者が高齢であることだけを理由に慰謝料額を減額してくることがあるので、安易に示談をまとめないことが重要です。
交通事故に強い弁護士に依頼すれば、保険会社の提示額から1,000万円以上増額できる可能性もあるので、弁護士に依頼するメリットは大きいです。
「高齢者だと賠償金が減らされてしまうのが当たり前だ」と考えている方も多いですが、実際の裁判例では、弁護士基準における相場以上の慰謝料額が認められているケースもあります。
大切なご家族が交通事故で亡くなられた場合には、まずは1度弁護士に相談することをおすすめします。