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最終更新日:2026/5/21

遺産分割協議とは?具体的な進め方と遺産の分け方を考えるときのポイント

田中 千尋 (司法書士)
この記事の執筆者 司法書士 田中千尋

VSG司法書士法人 司法書士 昭和62年生まれ、香川県出身。

相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profiletakana/

記事の要約

  • 遺産分割協議は、故人の財産を「誰が・どう引き継ぐか」を相続人全員で決める話し合い
  • 事前に「分割案のたたき台」を準備してから話し合いに入ると、スムーズに決まりやすい
  • 不動産の分け方から先に決めて、法定相続分を目安にバランスを取るのがコツ

「亡くなった家族が持っていた財産の分け方は、どうやって決めればいいの?」

相続人で遺産の分割方法を決める話し合いのことを、「遺産分割協議」といいます。

この記事では、遺産分割協議の「具体的な進め方」と「分け方を考えるときのポイント」を、はじめての相続の方にもわかりやすくお伝えします。

なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしているので、何かお困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。

遺産分割協議とは?

この記事の全体像1

法律上、亡くなった方の預貯金・不動産などのすべての財産は、相続が始まった時点で、いったん相続人全員の「共有」になります。

この共有状態を解消し、「誰が・どの財産を・どれほど引き継ぐのか」を決めるための話し合いが「遺産分割協議」です。

共有状態を解消するイメージ

遺産分割協議には、相続人の全員が参加しなければなりません

相続人が1人でも欠けた状態で行った協議は無効になるため、まずは「誰が相続人なのか」を正確に把握することが大切になります。

協議が必要になるケースは?

遺産分割協議が必要になるのは、「相続人が複数いて」「遺言書による指定がない」場合です。

反対にいうと、次のケースに該当すれば、遺産分割協議は不要になります。

協議が不要なケース

  • 法定相続人が1人しかいない
  • 有効な遺言書があり、その内容どおりに遺産を分ける

ただし、遺言書がある場合でも、「法定相続人受遺者※1遺言執行者※2」の全員が合意すれば、遺産分割協議によって分割方法を決められると考えられています。

遺言書があるときの相続手続きについては、下記の記事でお伝えしているので、必要な方は併せてご覧ください。

※1
遺言で財産を受け取る人
※2
遺言で指定されている場合には合意が必要

協議はいつまでに終わらせるべき?

遺産分割協議に、法律で定められた期限はありません

しかし、相続税の申告・納付の期限が「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内」であることを考えると、相続開始から「半年以内」を目安に話をまとめるのが理想です。

どうしても申告期限までに協議がまとまらないときは、いったん法定相続分どおりに相続したものとして手続きをする、「未分割申告」という方法もあります。

未分割申告の詳細については、下記の記事をご参照ください。

遺産分割協議の進め方

この記事の全体像2

遺産分割協議は、次の5つのステップを踏みながら丁寧に進めていくことで、スムーズに話し合いがまとまりやすくなります。

ここでは、それぞれのステップについて詳しく見ていきます。

ステップ1:相続人を確定させる

ステップ1

はじめに、遺産分割協議に参加すべき「法定相続人」が誰なのかを確定させます

法定相続人が1人でも欠けた状態で行った協議は無効です。後からやり直しになることを防ぐためにも、このステップは慎重に進めましょう。

そもそも法定相続人は、下記のルールで決まります。

ルール

  • 配偶者は、常に法定相続人となる
  • 配偶者以外の人は、「子ども → 直系尊属(父母など) → 兄弟姉妹」の順に法定相続人となる
  • 相続人になるはずだった「子ども」や「兄弟姉妹」がすでに亡くなっている場合、その子ども(孫やおい・めい)が代襲相続する

法定相続人の順位のイメージ

法定相続人を特定する際は、故人の「出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本を取得して、「過去の婚姻歴」や「養子の受け入れ」なども含めて、漏れなくチェックします。

法定相続人については、下記の記事で詳しくお伝えしているので、ぜひ併せてご覧ください。

ステップ2:相続財産を把握する

ステップ2

相続人が確定したら、続いて「故人が残した財産の全体像」を把握しましょう

ここでは具体的に、次の3つの作業を行います。

作業 概要
財産の調査 預貯金や不動産といったプラスの財産だけではなく、借入金などのマイナスの財産も含めて、すべてを洗い出す
財産の評価 不動産や株式など、価値が変動する財産については、被相続人が亡くなった時点での評価額を調べる
財産目録の作成 調査と評価が終わったら、その結果を「財産目録」という一覧表にまとめる

それぞれの作業の詳細は、各リンク先でご確認ください。

なお、故人に関わる「すべての財産」が、遺産分割の対象になるわけではありません。

たとえば、仏壇や墓地などの「祭祀(さいし)財産」は、祭祀主宰者※1が引き継ぐことになるため、分割の対象にはなりません。

また、ご家族が受け取った「生命保険金」も、その人の固有の財産として扱われるため、遺産分割の対象外です。

※1
仏壇やお墓などの祭祀財産を管理・承継する人のこと。故人の指定や慣習などによって決まる

ステップ3:分割案のたたき台を作る

ステップ3

相続人と相続財産を把握できたら、話し合いに入る前に「分割案のたたき台」を準備するのがおすすめです。

何も準備をしないまま協議を始めると、議論の軸が定まらず、それぞれの希望がバラバラに出てきて収拾がつかなくなりかねません。

そこで、「誰が・何を引き継ぐのか」を、パソコンでも手書きでもいいので、簡単な表にまとめておくだけでも、話し合いが進みやすくなります。

たたき台の例

実際に分割案のたたき台を作成するときには、次章の「遺産の分け方を考えるときのポイント」も参考にしてみてください。

ステップ4:遺産の分け方を話し合う

ステップ4

ここまでの準備が整ったら、いよいよ遺産分割協議の山場である「話し合い」に入ります

この話し合いは、ステップ3で作った「分割案のたたき台」をもとに進めます。

まず、ほかの相続人にたたき台を見せる際は、「たたき台を作ってみたのだけど、みんなの意見も聞きながら、一番良い方法を考えたい」という言葉を添えましょう。

あくまで「たたき台」であって、「最終決定」ではないことを伝えると、ほかの相続人も意見を出しやすくなります。

また、実際に協議をするうえでは、次の2点を心がけると、話がまとまりやすくなります。

話し合いのコツ

  1. 「完全に平等な分割は難しい」と心得る。1円単位の平等に固執すると、かえって議論が停滞する原因になる
  2. 「相続人以外の第三者」を入れない。「子どもの配偶者」や「叔父・叔母」などが口を出すことで、話がこじれるケースは多い

遺産分割協議は、相続人全員が集まって、対面で話をするのが理想です。

ただし、遠方に住む相続人がいる場合など、直接集まるのが難しいこともあるかと思います。

そのようなケースでは、「電話」や「オンライン会議ツール」で話し合っても問題ありません。

必要に応じて「代表相続人」も決める

協議で分割方法が決まった財産は、基本的には取得することになった人が、自分で名義変更などの手続きをします。

ただし、故人が持っていた預貯金は、「代表者」が解約・払い戻しの手続きをしたうえで、ほかの相続人に分配するケースも多いです。

このようなときには、手続きを行う「代表相続人」を協議の場で決めておき、その旨を「遺産分割協議書」に記載しておくのがおすすめです。

こうすることで、その代表相続人だけで、銀行の手続きを進められるようになります。

ステップ5:遺産分割協議書を作成する

ステップ5

最後に、話し合いで合意した内容を「遺産分割協議書」にまとめます

遺産分割協議書のイメージ

遺産分割協議書には、相続人全員が自筆で署名し、実印を押す必要があります。

この協議書は、下記のような相続手続きで必要になるので、大切に保管しておきましょう。

遺産分割協議書の作成方法の詳細は、下記の記事でお伝えしています。併せてご参照ください。

遺産の分け方を考えるときのポイント

この記事の全体像3

実際に遺産分割協議を行うときには、「どのように遺産を分けるべきか?」で悩まれる方が多いです。

そこで、ここからは遺産の分割方法を考えるときのポイントとして、次の2つを紹介します。

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

ポイント1:法定相続分を目安にする

ポイント1

法定相続人には、法律によって「遺産を受け取る割合の目安」が定められています。

この割合を「法定相続分」といいます。

法定相続分の表

遺産分割協議では、「法定相続分に近い割合」で遺産を分けられると、全員が納得しやすくなります。

また、「税負担」の面でも、将来の相続(二次相続)まで見据えたときには、法定相続分どおりに分割したほうが有利になりやすいです。

具体的に、下記のケースで考えてみましょう。

事例のイメージ

ケース

  • 夫が亡くなった数年後に、妻が他界
  • 子どもは長男・長女の2人
  • 遺産総額は1億円

2回の相続で、いずれも法定相続分どおりに遺産分割した場合、一次・二次相続でかかる相続税の合計は、「395万円」です。

法定相続分どおりに分割した場合の相続税

一方で、一次相続で「妻」がすべての遺産を取得し、二次相続で長男・長女が平等に分けた場合の相続税の合計は、「770万円」に増えます。

一次相続で配偶者がすべての遺産を取得した場合の相続税

これは、二次相続では「配偶者の税額軽減」が使えないうえ、法定相続人の数も減って「基礎控除額」が少なくなることが影響しています。

以上の「トラブルになりにくい」「税金面で有利になりやすい」という2点から、基本的には法定相続分どおりの遺産分割を目指すことをおすすめします。

ただし、「1円単位」で法定相続分どおりに分けることは不可能です。

このため、ある程度は相続人同士で「譲り合う気持ち」を持つことが、スムーズに話し合いを進めるうえでは大事になります

ポイント2:不動産の分け方から先に決める

ポイント2

分割方法を決める際は、まず「不動産を誰が相続するのか」を決めてから、預貯金などの財産で全体のバランスを調整すると上手くいきやすいです。

そもそも、遺産の分け方には、次の4つの方法があります。

分割の種類 概要
現物分割 「この土地は長男に、この株式は長女に」というように、財産をそのままの形で分ける方法
代償分割 相続人の一人が財産を多く相続する代わりに、ほかの相続人に対して自分のお金で「代償金」を払って調整する方法
換価分割 相続財産(不動産など)を売却して現金に換え、その現金を相続人で分ける方法
共有分割 一つの財産を、複数の相続人の共有名義にする方法


このうち「現物分割」がもっともシンプルで、トラブルになりにくい方法です。

そこで、まずは現物分割を軸に、遺産の分け方を検討してみましょう

ただし、不動産は簡単に「半分に分ける」というようなことができません。

補足

厳密に言うと、「土地」については、分筆をすることで複数に分けることが可能です。

ただし、手続きに手間と時間がかかることに加え、「どこに境界線を引くか」でトラブルになる可能性もあります。

そこで、「不動産を誰が相続するか」を先に決めて、預貯金などの財産で調整すると、法定相続分どおりに「現物分割」がしやすくなります。

不動産を軸にほかの財産で調整するイメージ

ただし、不動産が遺産の大部分を占めているような場合には、預貯金などの財産で調整しきれないこともあります。

そのようなケースでは、「代償分割」や「換価分割」も視野に入れて、分け方を検討しましょう。

代償分割と換価分割のイメージ

これにより、相続人同士での平等を保ちやすくなります。

一方で、「共有分割」だけは、できるだけ避けたほうが無難です。

特に「不動産」は共有状態だと、売りたくなったときには、共有者全員の同意が必要になります。

これによって、いわゆる「塩漬け」の状態になり、有効活用ができないまま、固定資産税だけを納め続けることになりかねません。

親子間の共有であれば、将来の相続で共有状態が整理されやすいため、そこまで大きな問題にはなりづらいです。

一方で「兄と弟」など、兄弟姉妹で物件を共有していると、共有状態が解消されないまま下の世代に相続が繰り返され、共有者が増え続けるおそれがあります。

以上、遺産の分け方を考えるときのポイントを紹介しました。

この記事をご覧いただいても、「どう分けるべきか迷う」という場合には、私たちVSG相続税理士法人にご相談ください。

あなたの状況をお伺いしたうえで、最適な分割方法をご提案いたします。

遺産分割協議に関するよくある質問

まとめ|遺産分割協議で迷ったら、専門家に相談しましょう

今回は、遺産分割協議の概要と具体的な進め方をお伝えしました。

ポイント

  • 遺産分割協議は、故人の財産を「誰が・どう引き継ぐか」を相続人全員で決める話し合い
  • 事前に「分割案のたたき台」を準備してから話し合いに入ると、スムーズに決まりやすい
  • 不動産の分け方から先に決めて、法定相続分を目安にバランスを取るのがコツ

協議をする際は、「分割案のたたき台」を作る段階で、税理士に相談しておくのがおすすめです。

相談することで、税金面で有利な分け方がわかるだけではなく、「専門家が関与した案」として提示できるため、ほかの相続人に納得してもらいやすくなります。

私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けております。何かお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご連絡ください。

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