記事の要約
- 相続手続きでは、「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」と「相続人全員の現在の戸籍謄本」が必要になる
- 「広域交付制度」を使えば、本籍地以外の窓口でも戸籍謄本をまとめて取得できる
- 集めた戸籍は「法定相続情報一覧図」にしておくと、戸籍謄本の束を持ち歩かずに済んで便利
「相続手続きには戸籍謄本が必要らしいけれど、誰のものが必要になるの?」
このような疑問をお持ちの方に向けて、本記事では「相続で必要な戸籍謄本」と「効率的な集め方」をお伝えします。
なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしています。戸籍集めや相続税の手続きでお困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。
目次
相続で必要になる戸籍謄本は?

下記のような相続手続きをする際には、戸籍謄本が必要になります。
- 相続税の申告
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 銀行口座の解約・払い戻し など
これらの手続きでは、「誰が相続人なのか」を確認するために、戸籍謄本の提出を求められます。
具体的に必要になる戸籍謄本は、主に次の2つです。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
亡くなった方の「出生から死亡まで」の戸籍
1つ目は、亡くなった方の「生まれてから亡くなるまで」の連続するすべての戸籍謄本です。
戸籍は、下記のようなタイミングで新しいものが作られるため、亡くなった方には「複数の戸籍」があるのが一般的です。
- 結婚して新しい戸籍を作ったとき
- 引っ越しなどで本籍を移したとき(転籍)
- 法律の改正で戸籍の様式が新しくなったとき(改製)

相続手続きで、これらのすべての戸籍謄本を求められるのは、「相続人が誰になるのか」を正確に把握するためです。
たとえば、過去に認知した子どもや、前の結婚での子どもがいる場合、「最新の戸籍」には記載がないことがあります。
そこで、生まれたときからの戸籍をさかのぼって確認することで、ようやく「相続人は誰か」を確定できます。
それでは、実際に戸籍謄本を集めると「どのくらいの通数」になるものでしょうか。
たとえば、80歳を超えている方は、下記のような内訳で「5通」前後になっていることが多いです。
| イベント | 概要 |
|---|---|
| ① 出生 | 親の戸籍に入る |
| ② 戦後の法改正 | 戸籍が新しく作り替えられる |
| ③ 結婚 | 親の戸籍を出て、自分の戸籍を作る |
| ④ 引っ越し | 本籍を移して、新しい戸籍を作る |
| ⑤ 戸籍の電子化 | コンピューターで戸籍が作り替えられる |
なお、古い戸籍謄本を取得するときには、「除籍謄本」や「改製原戸籍謄本」という用語を耳にすることがあるかと思います。
それぞれの用語の意味は、下記のとおりです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 除籍謄本 | ■ 戸籍に入っている人が結婚や死亡などで全員いなくなり、閉鎖された戸籍の証明書 ■ 様式は戸籍謄本とほとんど同じだが、書類のタイトルが「除籍全部事項証明書」になっていて、すべての人の欄に「除籍」の印が付いている |
| 改製原戸籍謄本 | ■ 法律の改正によって新しい様式に作り変えられる前の、古いバージョンの証明書 ■ 縦書きのフォーマットで、特に古いものは手書きで記されていることもある |
相続人全員の「現在」の戸籍
2つ目は、相続人全員の「現在」の戸籍です。
これは、「相続人が今も生きていること」と「亡くなった方との続柄(関係)」を証明するために必要になります。
たとえば、父親が亡くなり、下記のように「母親・長男・長女」が相続人になったとしましょう。

このうち「母親」は、亡くなった父親と同じ戸籍に入っているので、父親の戸籍を集めた時点で、母親の情報もそこに含まれています。
そのため、母親の分については、あらためて戸籍を取る必要はありません。
一方で、長男と長女は、それぞれ結婚して別の戸籍を作っているので、それぞれの現在の戸籍を用意する必要があります。
【例外】ほかの戸籍謄本も必要なケース
基本的には、ここまでお伝えした戸籍謄本を集めれば、相続手続きを進められます。
ただし、例外的に下記のケースでは、追加で戸籍謄本が必要になります。
| ケース | 追加で必要になる戸籍謄本 |
|---|---|
| 代襲相続が発生している | 本来の相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 |
| 故人の兄弟姉妹が相続人になる | 故人の父母の出生から死亡までの戸籍謄本 |
どちらのケースも、相続人の範囲が通常より広がるため、確認のための戸籍謄本が増えます。
ご自身のケースで「誰が相続人になるのか」の判断方法を詳しく知りたい方は、下記の記事も併せてご覧ください。
戸籍謄本の効率的な集め方

戸籍謄本は、下記の流れで集めると効率的です。
ここでは、次の家族を例に、戸籍謄本を集めるまでの流れを見ていきます。

ステップ1:集めるべき戸籍を把握する

まずは、ご自身のケースで「誰の・いつの戸籍謄本」が必要なのかを整理することから始めましょう。
今回のケースで必要な戸籍謄本を整理すると、下記のようになります。
| 対象者 | 必要な戸籍謄本 |
|---|---|
| 父親 | 出生から死亡までの戸籍謄本 |
| 母親 | 不要(父親の戸籍謄本に含まれるため) |
| 長男 | 現在の戸籍謄本 |
| 長女 | 現在の戸籍謄本 |
ステップ2:自分で取れる戸籍を見分ける

次に、必要だとわかった戸籍のうち、「どれを自分で集められるのか」を確認します。
ここで知っておきたいのが、「広域交付制度」です。
従来、戸籍謄本を取得するには、「本籍地の市区町村役場」で個別に手続きをする必要がありました。
しかし、「広域交付制度」が始まってからは、最寄りの市区町村役場の窓口で、別の本籍地の戸籍謄本をまとめて請求できるようになっています。

この広域交付制度で取得できるのは、下記の戸籍謄本に限られます※1。
- 請求者本人の戸籍謄本
- 請求者の配偶者(夫・妻)の戸籍謄本
- 請求者の直系尊属(父母・祖父母など)の戸籍謄本
- 請求者の直系卑属(子ども・孫など)の戸籍謄本
今回のケースで「長女」が中心となって手続きを進める場合、「父親の出生から死亡までの戸籍謄本」と「長女(自分)の現在の戸籍謄本」は、広域交付制度を使えばすべて取得できます。
一方で「長男の現在の戸籍謄本」については、長女では取得することができません。
このため、長男本人に「自分の分の戸籍謄本を取ってきてほしい」と依頼する必要があります。
なお、自分の現在の戸籍を取るだけなら、マイナンバーカードを使って「コンビニのマルチコピー機」でも取得できます※2。
- ※1
- この範囲内の戸籍謄本でも、ごく一部の「電子化されていない古い戸籍」は、広域交付制度では取得できない。該当する戸籍があるときには、本籍地の役場に直接、請求することになる
- ※2
- 本籍地と住所地(お住まいの市区町村)が異なる場合は、事前の利用登録申請が必要なことがある
ステップ3:役場で請求手続きをする

ご自身で集められる戸籍謄本を確認できたら、実際に市区町村役場で請求をします。
役場には、下記のような「請求書」が置いてあるので、記入したうえで窓口に持って行きましょう。
戸籍証明書等請求書
引用元 千代田区Webサイト
請求書の様式は、市区町村によって多少異なりますが、記載すべき項目は似通っています。
手続きをするにあたって、よくある質問は下記のとおりです。
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| ① 手続きをするのに必要なものは? | ■ 手続きをする人の「運転免許証」や「マイナンバーカード」など、顔写真付きの本人確認書類が必要になる |
| ② 発行手数料は? | ■ 戸籍謄本(全部事項証明書): 450円 / 1通 ■ 除籍謄本・改製原戸籍謄本 : 750円 / 1通 |
| ③ 本籍地・筆頭者がわからないときは? | ■ 戸籍が必要な方の「住民票」を「本籍の記載あり」で取得すると、本籍地と筆頭者を確認できる |
| ④ 発行するのは「戸籍抄本※1」でもいい? | ■ 「相続人」のほうの戸籍は、抄本でも手続きができることがある ■ ただし、窓口によっては「謄本」を求められることもあり、手数料も変わらないため、謄本を取っておくほうが無難 |
- ※1
- 「謄本」はその戸籍に入っている全員の情報が載っているのに対し、「抄本」はそのうち一部の人だけの情報を抜粋したもの
なお、「広域交付制度」を利用した際には、戸籍を特定する作業に時間がかかるため、交付が後日になることもあります。
注意
このため、戸籍謄本は「亡くなってから2週間以上経った後」に発行することをおすすめします。
以上、戸籍謄本の集め方をお伝えしました。
ご自身で手続きするのが難しそうなときには、専門家を頼るのも一手です。
私たちVSG相続税理士法人では、相続税の申告と併せて、戸籍集めのサポートもしております。ご興味のある方は、下記からお気軽にご連絡ください。
集めた戸籍は「法定相続情報一覧図」にまとめると便利

必要な戸籍謄本をすべて集めると、たいていは大量の紙の束になります。
手続きのたびに、この紙の束を持ち歩いたり、郵送したりするのは、意外と面倒なものです。
また、相続の手続きでは、基本的に「戸籍謄本の原本」の提出を求められます。
手続き後に返却されることも多いですが、複数の手続きを同時に進めたければ、その分だけ謄本を用意しなければなりません。
そこで、戸籍謄本を集めたら、それを使って「法定相続情報一覧図」を作ることをおすすめします。
法定相続情報一覧図とは、下記のような「被相続人と相続人の関係」をまとめた図で、法務局からお墨付き(認証)をもらった書類です。

法定相続情報一覧図は、各種の相続手続きで「戸籍謄本の束」の代わりに使えます。
また、保管期間である「5年」の間は、無料で必要な枚数を発行してもらえるため、複数の手続きを同時進行で進めやすくなります。
法定相続情報一覧図を取得する方法は、下記の記事をご参照ください。
相続手続きに使う戸籍謄本に関するよくある質問
Q1:戸籍謄本に有効期限はある?
Q2:戸籍謄本のホチキスは外してもいい?
Q3:戸籍謄本と戸籍全部事項証明書の違いは?
Q4:戸籍謄本と住民票の違いは?
まとめ|戸籍集めが大変なら、専門家に任せるのも一手
この記事では、相続手続きに必要な戸籍謄本とその集め方をお伝えしました。
- 相続手続きでは、「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」と「相続人全員の現在の戸籍謄本」が必要になる
- 「広域交付制度」を使えば、本籍地以外の窓口でも戸籍謄本をまとめて取得できる
- 集めた戸籍は「法定相続情報一覧図」にしておくと、戸籍謄本の束を持ち歩かずに済んで便利
相続税の申告が必要な方は、「申告手続き」と併せて「戸籍謄本の収集」を税理士に任せてしまうのも一手です。
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戸籍集めから相続税の申告まで、あなたの状況に合わせて丁寧にサポートいたしますので、ぜひお気軽にご連絡ください。



