記事の要約
- 親が亡くなる前の準備は「絶対にやっておくべきこと」と「できればやっておきたいこと」の2段階に分けて考えるとよい
- 絶対にやっておくべきことは、「エンディングノートをプレゼント・葬儀会社の選定・身の回りの整理」の3つ
- 「遺言書の作成」は親の意思が前提になるため、子どもの立場としては「きっかけづくり」に留めるのがおすすめ
「親もずいぶん歳をとってきた。相続に向けて、元気なうちに何かしておいたほうがいいのだろうか?」
このような疑問をお持ちの方へ向けて、本記事では、親が亡くなる前にしておくことを「絶対にやっておくべきこと」と「できればやっておきたいこと」の2段階に分けてお伝えします。
最後までご覧いただければ、今日から何をすべきかが見えてくるはずです。
なお、私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしています。何かお困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。
目次
まずは「親が亡くなった後にやること」の全体像を知っておく

生前にできる準備の話に入る前に、少しだけ「親が亡くなった後の世界」を覗いておきましょう。
親御さんが亡くなると、悲しむ間もなく、次のリストに載っているような「膨大な手続き」が一気に押し寄せてきます。

特に「相続税の申告」が必要な場合、「親が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内」が期限となるため、慌ただしく手続きをすることになりがちです。
これらの手続きは、親御さんが元気なうちに準備をしておくだけで、格段にスムーズに進みます。
死後の手続きの全体像は、下記の記事で詳しくお伝えしているので、ぜひ併せてご覧ください。
親が亡くなる前に「絶対にやっておくべき」3つのこと

それでは本題です。まずは、親が亡くなる前に「絶対にやっておくべきこと」からお伝えします。
具体的にしておくべきことは、次の3つです。
それぞれ順番に見ていきましょう。
準備1:エンディングノートをプレゼントする

最初におすすめしたいのは、「エンディングノート」を親にプレゼントすることです。
エンディングノートは、万一のときに備えて、家族に伝えておきたいことを書き残しておくノートです。
エンディングノート
引用元 法務省Webサイト
エンディングノートは、書店や文具店などで1,000円前後から購入できます。
「終活の話は、なかなか親に切り出すきっかけがない」と感じる方は多いかと思います。
だからこそ、エンディングノートをプレゼントすることで、自然に将来の話をするきっかけを作れます。
ポイント
そのようなときは、「万一のときに困らないように、最低限の情報を共有して欲しい」と伝えて、持っている口座の情報だけでも聞いておく、というのも一手です。
エンディングノートを選ぶ際は、下記の項目があるものを選ぶのがおすすめです。
| 項目 | 記載すること |
|---|---|
| 死後に連絡してほしい人 | 万一のときに知らせてほしい親戚・友人・知人の名前と連絡先 |
| 財産の概要 | 預貯金・不動産・株式など、どのような財産を持っているか |
| 保険の加入状況 | 加入している保険の会社名と、証券の保管場所 |
| 契約しているサービス | 動画配信のサブスクなど、利用しているサービス |
| 携帯・PCのパスワード | スマートフォンやパソコンのロックの解除方法 |
これらの情報を把握できていると、亡くなった後の手続きが格段にスムーズになります。
特に、インターネット銀行・証券などにある「デジタル遺産」は、本人が亡くなった後に家族が調べるのが難しく、財産の存在に気づけないことも多いです。
このため、できる限りエンディングノートに書いておいてもらいましょう。
補足
親御さんが「誰に・どの財産を残すか」を正式に決めたいと思っているときは、遺言書が必要になります。
エンディングノートの書き方などについては、下記の記事で詳しくお伝えしているので、併せてご覧ください。
準備2:葬儀会社を決めておく

2つ目は、「葬儀会社」を親と一緒に決めておくことです。
親御さんが亡くなると、遺体の搬送のために、その日のうちに葬儀会社を決めなければなりません。
深い悲しみのなか、数時間で決断を迫られるため、複数社をじっくり比較する余裕はないのが現実です。
一方、親御さんが元気なうちであれば、ゆっくりと葬儀会社を検討できるうえ、下記のような「本人の希望」も聞くことができます。
- どのような形式の葬儀にしたいか
- 葬儀には、誰に来てほしいか
- 遺影に使う写真をどうするか など
もし、遺影に使う写真が決まっていなければ、葬儀会社の話をしたタイミングで撮影をするのも一手です。
これにより、亡くなった後に、あわてて古い写真を探さなくて済むようになります。
準備3:身の回りの整理を手伝う

3つ目は、親の「身の回りの整理」を手伝うことです。
高齢になると、片付けは体力的・気力的に大きな負担になります。ご自身が親御さんの手足になるつもりで、一緒に進めましょう。
思い出の品をどうするかを一緒に話しながら整理する時間は、それ自体がかけがえのないものになるはずです。
片付けをするときに確認しておきたいのが、「大切な書類の保管場所」です。
- 預貯金の通帳・キャッシュカード
- 不動産の権利証(登記識別情報)
- 生命保険の保険証券
- 年金手帳・年金証書
これらは死後の手続きで必要になり、どこにあるかわからないと手続きがストップするおそれがあります。
このため、あらかじめ保管場所を確認しておくことをおすすめします。
親が亡くなる前に「できればやっておきたい」4つのこと

ここからは、親が亡くなる前にできればやっておきたい、下記の4つのことをお伝えします。
これらの準備をしておくことで、相続手続きがよりスムーズになったり、相続税の負担が軽くなったりします。
それでは、この4つの準備について詳しく見ていきましょう。
準備4:財産目録を一緒に作る

親御さんが元気なうちに、一緒に「財産目録」を作っておくと、亡くなった後に財産調査をする手間が大きく省けます。
財産目録とは、預貯金・不動産・株式などの「プラスの財産」と、借入金などの「マイナスの財産」を一覧表にまとめたものです。

前述のエンディングノートにも「財産の概要」を書いておけますが、財産目録には「より詳細な情報」を載せることになります。
財産目録は、「遺産分割協議」の話し合いの土台になるほか、「相続税の申告」をする際にも作成します。
財産目録の作成方法は、下記の記事で詳しくお伝えしているので、併せてご覧ください。
準備5:銀行口座の整理を勧める

親御さんが持っている銀行口座の数が多いほど、亡くなった後の「解約の手続き」が増えます。
そこで、利用頻度の低い口座は生前に解約し、口座の数を減らしておくのがおすすめです。
なお、預貯金の相続手続きについては、下記の記事で詳しくお伝えしています。
準備6:一緒に相続税対策をする

親御さんがお持ちの財産の総額が「3,000万円」を超えると、相続税がかかる可能性が出てきます。
相続税がかかりそうな場合は、生前に対策をしておくことで、税負担を軽くできます。
代表的な相続税対策としては、次の3つが挙げられます。
それぞれの対策を詳しく見ていきましょう。
対策1:生前贈与をする
1つ目の相続税対策は、親から子どもなどに「生前贈与をする」ことです。
お元気なうちに、ほかの人に財産を渡しておくことで、亡くなった後に相続税の対象となる財産が減り、税負担が軽くなります。
ただし、贈与を受けた金額が「年間110万円」を超えた人には、「贈与税」がかかる点には注意が必要です。
また、亡くなる前の一定期間内に行われた生前贈与の財産は、相続税の課税対象として持ち戻されることがあります。
生前贈与によって相続税対策をする方法は、下記の記事で詳しくお伝えしているので、ぜひ併せてご覧ください。
対策2:生命保険を活用する
2つ目の相続税対策は、「生命保険を活用する」ことです。
親が亡くなったことで受け取った生命保険金は「みなし相続財産」として、相続税の対象になります。
相続税の計算をするうえで、生命保険金には、下記の非課税枠があります。
計算式
この非課税枠があることから、「現金」よりも「保険金」としてお金を遺族に渡したほうが、相続税の負担は軽くなります。
なお、この非課税枠は保険金の受取人が「相続人」の場合のみ使えます。
たとえば、受取人が「孫」になっている場合、その孫が相続人にならないケースでは非課税枠を使えないため、受取人の変更も検討しましょう。

もし、お孫さんに財産を渡したいのであれば、前述の「生前贈与」がおすすめです。
また、これから新しく生命保険への加入を検討するのであれば、「生存給付金付終身保険」も選択肢に入れてみてください。
「生存給付金付終身保険」は一般的に、下記のような仕組みになっています。
- 契約時に保険料の全額を一括で支払う
- 被保険者が生きている間は、指定された人が「生存給付金」を受け取れる
- 給付金を全額受け取る前に被保険者が亡くなった場合、残額が「死亡保険金」として受取人に給付される
これにより、「生前贈与」と「生命保険金」の2つの相続税対策を同時に行えます。
生存給付金付終身保険の詳細は、下記の記事でお伝えしているので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
対策3:お墓・仏壇を生前に購入する
3つ目の相続税対策は、「お墓・仏壇を生前に購入する」ことです。
お墓や仏壇などの「祭祀財産」には、相続税がかかりません。
もし購入の予定があるなら、親御さんが元気なうちに買っておけば、「課税対象の財産」が「非課税の財産」に変わるため、そのぶん相続税の金額が減ります。

なお、お子さんなどが「現金」として相続し、そのお金でお墓や仏壇を購入しても税負担は軽くなりません。
以上、相続税対策について、お伝えしました。
ただし、税負担を最大限に軽くする方法は、ご自身の状況によって異なります。
このため、できれば相続専門の税理士に相談しながら、対策を進めることをおすすめします。
準備7:遺言書を残すことを勧める

最後に紹介する生前の準備は、「遺言書の作成を親に勧めてみる」ことです。
遺言書があると、基本的にはその内容のとおり遺産を分けることになるため、「遺産分割協議」が不要になります。
これにより、相続手続きが格段にスムーズになることに加え、相続人同士のトラブルも起こりづらくなります。
以上のことから、相続手続きの面では、遺言書があることのメリットは非常に大きいです。
ただし、「遺言書を書くかどうか」は、あくまで親御さん本人が決めることです。
子どもの立場からは「遺言書があると手続きがスムーズになるらしいから、考えてみてくれない?」と、きっかけを作るところまでに留めましょう。
遺言書が残されていたときの相続手続きについては、下記の記事で詳しくお伝えしているので、併せてご覧ください。
親が亡くなる前の準備に関するよくある質問
Q1:事前に親の口座からお金を引き出しておくべき?
Q2:親の不動産は、生前に名義変更しておくべき?
Q3:親の認知症に備えてできることはある?
Q4:余命宣告を受けてからでも、できることはある?
まとめ|親が亡くなる前の準備は、できることから始めよう
この記事では、親が亡くなる前にしておきたいことをお伝えしました。
- 親が亡くなる前の準備は「絶対にやっておくべきこと」と「できればやっておきたいこと」の2段階に分けて考えるとよい
- 絶対にやっておくべきことは、「エンディングノートをプレゼント・葬儀会社の選定・身の回りの整理」の3つ
- 「遺言書の作成」は親の意思が前提になるため、子どもの立場としては「きっかけづくり」に留めるのがおすすめ
私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けております。
何かお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。



