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最終更新日:2026/7/17

エンディングノートで終活準備を!遺言書との違いや相続対策になる書き方は?

田中 千尋 (司法書士)
この記事の執筆者 司法書士 田中千尋

VSG司法書士法人 司法書士 昭和62年生まれ、香川県出身。

相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profiletakana/

記事の要約

  • エンディングノートと遺言書の違いは「法的効力」があるかないか
  • 「お金」「連絡先」「医療・介護」の情報は優先的に書いておくとよい
  • 形式は無料DLや市販のノートなど自由であり、自作でも構わない

「もしものことがあったとき、家族が困らないようにしておきたい」

そう考えて、エンディングノートに関心を持たれる方が増えています。

エンディングノートに対して、「終活」や「死」といったネガティブなイメージを抱く方も少なくありませんが、むしろこれからの人生に向けて、大切なご家族へ必要な情報や意思を伝えるための実用的なツールです。

この記事では、相続を専門とする税理士法人の立場から、エンディングノートの基礎知識や遺言書との違い、項目別の具体的な書き方、そして無料で手に入れる方法まで、わかりやすくお伝えします。

なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けておりますので、相続でご不安なことがございましたら、お気軽にご連絡ください。

目次

エンディングノートとは:相続に備えて大切な情報をまとめておくノート

エンディングノートとは、ご自身の死後や認知症の発症などに備えて、「家族や大切な人に伝えたいこと」や「残しておきたい情報」を自由に書き留めておくためのノートです

「終活ノート」や「もしもノート」といった名称で提供・販売されているものもありますが、基本的な役割は同じです。

エンディングノートには決まった形式はないため、市販の専用ノートや手帳、パソコンやスマートフォンのアプリを使用しても構いません。

気軽に始められる点が、エンディングノートの大きなメリットです。

なお、エンディングノートの作成は、身の回りの持ち物や財産を整理する「生前整理」の一環としても有用です。

ノートに財産状況や自身の希望を書き出す過程で、使っていない口座や不要なサブスクリプションサービスなど、早めに整理したほうがよいものも見えてきます。

生前整理そのものの進め方は、下記の記事でくわしくお伝えしていますので、あわせてご参照ください。

エンディングノートでできること・できないこと

エンディングノートを書いておくと、万が一のときに、ご家族が本人の意思を知るための手がかりとなります

財産の所在や医療・介護の希望、葬儀のかたちなど、ご家族が判断に迷いやすいことを、共有することができます。

一方で、エンディングノートには法的な効力はありません。

そのため、遺産の分配方法を指定したうえで確実に実行させたい場合は、エンディングノートだけでは足りず、遺言書の作成が必要です。

エンディングノートと遺言書との違いは「法的効力」の有無

エンディングノートと遺言書は、いずれも将来の備えとして機能しますが、以下のとおり性質が異なります。

エンディングノートと遺言書の違い
項目 エンディングノート 遺言書
主な目的 家族への情報伝達や希望・想いを残すこと 遺産の分け方などを法的に指定すること
記載形式 任意(自由な形式で書ける) 法律で書き方・形式が決められている
法的効力 なし あり

最も異なる点は、法的効力があるかどうかです。

遺言書が法的要件を満たして適切に書かれていれば、原則として相続人はその内容に従うことになります。

一方、エンディングノートに書いた内容には、法的な拘束力はありません。

したがって、遺産分割など法的な手続きが必要な内容は「遺言書」に、そこには書ききれない詳細な情報は「エンディングノート」にと、2つを組み合わせて活用する方法がおすすめです

相続人全員の合意があれば、遺言書と異なる遺産分割をすることも可能です。

エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートに記載する項目の一覧

まずは、エンディングノートに記載しておきたい項目を把握しておきましょう。

すべての項目を一度に書く必要はありませんので、まずは記載しやすいところから着手してみてください。

優先的に書いておきたい「3つの項目」

エンディングノートには、「お金」「連絡先」「医療」の3つを優先的に書いておくことをおすすめします

エンディングノートに記載すべき3つの項目

この3つの項目は、万が一のときにご家族が最初に直面し、最も対応に困ることが多い内容です。

銀行口座の情報や緊急時の連絡先、医療に対する意思表示があるだけでも、ご家族の負担は変わります。

エンディングノートの主な記載内容

エンディングノートに書いておきたい主な項目は、下記のとおりです。

エンディングノートに記載しておきたい情報

  • 氏名などの基本情報
  • 財産
  • デジタル資産・デジタル遺品
  • 公共料金関連
  • 医療・介護
  • 葬儀・お墓
  • 人間関係
  • ペット
  • メッセージ

まずは「財産に関する情報」の整理から始め、少しずつその他の項目へ広げていく方法が効率的です。

【項目別】エンディングノートの具体的な記入内容

実際にどのように書けばよいのか、項目別の記入内容とともに紹介します。

財産・お金の記入内容

財産情報は、相続手続きにおいて最も重要な項目です。

万一のときにご家族が迷わないよう、以下の情報を正確に整理しておきましょう。

財産の種類 書いておくこと
預貯金 金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、名義人
生命保険等 保険会社名、保険の種類、証券番号、受取人指定
公的年金 年金の種類、基礎年金番号
有価証券 証券会社名、口座番号、保有銘柄・数量
不動産 所在地(地番・家屋番号)、物件種別、所有名義人
負債・ローン 借入先金融機関、借入残高、返済スケジュール

財産については、預貯金などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンや借入金などの「マイナスの財産(債務)」も必ず記載しましょう

債務の有無は相続放棄の検討などにも大きく関わるため、正確な情報を残す必要があります。

なお、暗証番号やパスワードは、ノートに直接書くのは避け、別途メモにまとめて厳重に保管しましょう。

デジタル遺産・デジタル遺品の記入内容

近年の相続においてトラブルが増加しているのが「デジタル遺産やデジタル遺品」の扱いについてです。

店舗を持たないインターネット銀行やインターネット証券の口座のほか、定額制サブスクリプションサービス、SNSアカウント情報などは、書面での通知が届かないことが多く、本人しか存在を知らないことがほとんどです。

エンディングノートにデジタル遺産・遺品に関する記載がない場合、誰にも相続されないまま財産が放置されたり、契約を解約できずに月額料金が発生し続けたりすることがあります。

分類 記載すべき要素
ネット銀行・証券 金融機関名、登録メールアドレス、口座情報
サブスクリプション サービス名、契約プラン、解約手続きの窓口URL等
SNS・アカウント 利用サービス名、アカウント名(ID)
端末機器 スマートフォンやPCのロック解除方法

利用しているサービスの一覧があるだけでも、ご家族の負担は大きく減ります。

医療・介護の希望の記入内容

自身の意識が明瞭でなくなった場合や緊急時に備え、医療や介護に関する意思を書いておくと、ご家族が判断に迷わずに済みます。

記入内容

  • 病名・余命の告知:自身の状態について、正確な告知を希望するかどうか
  • 延命治療:回復の見込みがないとき、延命治療を希望するかどうか
  • 介護の要望:自宅介護を望むか、あるいは特定の施設への入所を希望するか
  • 臓器提供等:臓器提供や献体に関する意思表示の有無

葬儀・お墓の希望の記入内容

葬儀やお墓の希望も、ご家族が判断に迷いやすい項目のひとつです。

記入内容

  • 葬儀の形式:家族葬、一般葬、直葬など、希望する規模や形態
  • 参列者:訃報を伝えてほしい人や、遠縁の親戚など参列を遠慮いただきたい範囲について
  • 費用・準備:準備している葬儀費用や、互助会等への加入状況
  • 埋葬方法:先祖代々のお墓へ入るか、または樹木葬や散骨を希望するか

家族・友人へのメッセージ

日常では伝える機会の少ない感謝の言葉や、共有した思い出、将来への願いなどの言葉は、遺族にとって心理的な支えとなるケースが多いです。

そのため、エンディングノートには、家族や親しい人に対するメッセージを記載することをおすすめします。

エンディングノートが「相続の備え」になる理由

エンディングノートは、残された家族の「相続手続きの負担を減らすツール」としても有用です。

エンディングノートが相続手続きに与える効果

財産情報を残しておくことで、相続の手続きがスムーズになる

相続が発生すると、遺族は「故人にどのような財産があったのか」を調べることになります。

通帳やキャッシュカード、保険証券、不動産の書類などを探し出す作業は、多くの時間と労力を要します。

エンディングノートに財産の一覧が書かれていれば、調べる負担を大幅に軽くすることができ、その後の遺産分割協議や各種財産の名義変更手続きにも進みやすくなります。

また、預貯金や有価証券などの財産だけでなく、電気・ガス・水道といった公共料金の契約情報も記録しておくことで、ご家族の負担はさらに軽減されます。

相続税申告での「探す手間」の軽減と「申告漏れ」の防止

相続税の課税対象となる場合、すべての財産の正確な把握がさらに大切になってきます。

もし、相続税の申告後に財産が見つかると、修正申告の対象になったり、状況によっては過少申告加算税や延滞税といった税制上のペナルティが課されたりするおそれもあります。

生前に財産を棚おろししてエンディングノートに書いておくことで、こうした「うっかり生じる申告漏れ」を防げる可能性があります。

エンディングノートの入手方法:無料テンプレート・市販・デジタルまで

エンディングノートにはさまざまな種類があります。

自身に合ったものを選んでいきましょう。

(1)無料で入手する

費用をかけずにエンディングノートを用意したい場合は、以下の方法があります。

  • 市役所などの自治体で配布されているものを受け取る
  • 企業や団体が提供する無料テンプレートをダウンロードして印刷する

検索エンジンで「[自治体名] エンディングノート 配布」と検索することで、お住まいの地域の配布状況を確認できます

また、デジタルデータを印刷する場合は、必要なページだけを選別してカスタマイズすることもできます。

(2)市販の専用ノートを買う

書店・文房具店などでは、終活専用のノートが販売されています。
100円ショップの「もしもノート」シリーズのように、手軽に始められるものも人気です。

種類が多くて迷うときは、次の視点で選ぶとよいでしょう。

  • 書きたい項目がそろっているか
  • 記入しやすいレイアウト、デザインか

市販のエンディングノートは、必要な項目があらかじめ整理されているため、「何を書けばいいか」で迷いにくい点がメリットです。

(3)アプリ・デジタルデータで管理する

最近は、スマートフォンやパソコンで管理できるデジタル版のエンディングノートも増えています。

デジタル形式のエンディングノートは、写真や動画を残せたり、いつでも手軽に更新できたりする点が優れています

ただし、本人が亡くなったあと、家族がログイン方法を知らないと開くことができません

デジタルで管理する場合は、アプリの存在とアクセス方法を、事前に家族と共有しておくようにしましょう。

エンディングノートの書き方・進め方

ここからは、エンディングノートをスムーズに書くポイントを紹介します。

エンディングノートの書き方4ステップ

エンディングノートを書く前に準備するもの

エンディングノートを書くときは、通帳・保険証券・年金手帳などの資料を手元にそろえておくと、記載がスムーズです。

一度にすべて書こうとせず、たとえば「1日◯分だけ」と時間を決めて、少しずつ進めていきましょう。

書きやすい項目から着手する

最初からすべての空欄を埋めようとすると、かえって手が止まってしまうこともあるでしょう。

名前や連絡先など、書きやすいところから、単語でもかまわないので思いついたことを書き留めてみてください。

書いた内容は定期的に見直す

財産や人間関係、健康状態は、時間の経過とともに変化します。

保有資産の変動や健康状態、人間関係の変化に応じて、記載内容を見返し、最新の情報にしておきましょう。

年代・ライフステージ別の記載ポイント

エンディングノートは、書いている人の年代や状況によって、記載しておきたい項目が少し変わります。

60代以降
本格的な終活・相続対策として、財産情報や医療の意思、葬儀の希望まで幅広く整理していきたい時期です。
40代・50代
現役世代における早めの備えとして、デジタル資産整理や、保有資産の棚卸しを中心に進めておくとよいでしょう。
単身の方
頼れる家族が近くにいない場合は特に、連絡先や死後事務に関する希望を具体的に残しておくと安心です。

エンディングノートの保管場所と家族への伝え方

エンディングノートは、いざというときにその存在に気づいてもらえなければ意味がありません。

保管の仕方も、あわせて考えておきましょう。

(1)家族が見つけやすく、他人には見られにくい場所に保管する

エンディングノートの保管場所としてよく選ばれるのは、ご自身の机や書棚、仏壇の引き出し、金庫の中などです。

「家族が見つけやすいこと」と「第三者の目に触れにくいこと」の両方を意識して、置き場所を選びましょう

(2)パスワードや暗証番号はノートに直接書かない

紛失や盗難があったときのリスクに備え、銀行口座の暗証番号や各種アカウントのパスワードを、そのままノートに書きこむことは避けましょう。

重要なパスワード類は別途メモに記載して金庫等に保管し、エンディングノートには「パスワードの保管場所」のみを書いておくといった方法が安全です

(3)「ノートの存在」自体は生前に共有しておく

具体的な記載内容をすべて見せる必要はありませんが、「万が一の時のためにエンディングノートを作成し、〇〇に保管してある」という事実は、事前に伝えておきましょう

エンディングノートに関するよくある質問

まとめ:エンディングノートで相続対策を進めよう

この記事では、エンディングノートの基礎知識と記載項目、そして相続手続きにおいて果たす役割をお伝えしました。

この記事のポイント

  • エンディングノートと遺言書の違い、および相続対策としての有効性
  • 相続の専門家が推奨する、項目別の具体的な記載方法
  • 無料テンプレートや市販ノートなど、状況に応じた入手手段

エンディングノートを書くことで、これまでの人生を振り返り、これからどう生きたいかを考えるきっかけにもなります。

また、記録をしておくことで、残されたご家族の負担をやわらげる相続の備えにもなります。

まずは思いついた言葉をメモするところから、気軽に始めてみましょう。

VSG相続税理士法人では、グループ内の司法書士や行政書士等と連携し、エンディングノートの作成アドバイスから遺言書の作成、逝去後の複雑な相続手続きの代行まで、窓口を一本化したワンストップの相談体制を整えております。

相続に関するお手続きや生前対策で、何かお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

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