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最終更新日:2026/7/29

口座凍結とは?死亡後に故人名義の預金を引き出す方法と解除までの流れ

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

VSG相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、立川、千葉、埼玉、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡などの全国の主要都市16拠点にオフィス展開し、年間3,500件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
YouTube:相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】

記事の要約

  • 故人名義の銀行口座は、銀行が名義人の死亡を知った時点で凍結され、預金の引き出し・預け入れができなくなる
  • 借金や相続人同士の不仲がある場合を除けば、急いで口座を凍結する必要性は薄い
  • 凍結後にお金が必要になっても、「仮払い制度」を使えば、遺産分割の前に一定額を引き出せる

口座凍結とは、持っている銀行口座の「預金の引き出し・預け入れ」といったサービスが止められた状態のことをいいます。

相続の場面で、口座が凍結されるのは、銀行が名義人の死亡を把握した、次のようなタイミングです。

凍結されるタイミング

  • 遺族から銀行に「名義人が亡くなった」と連絡した
  • 相続人が銀行に「残高証明書」の発行依頼をした

口座が凍結されると、預金を動かせなくなりますが、「仮払い制度」を活用することで、相続人が単独で一定額までの引き出しができます。

この記事では、相続の場面で起こる「口座凍結」について、わかりやすくお伝えします。

なお、私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしているので、お困りのことがあれば、お気軽にご連絡ください。

口座凍結とは?

この記事の全体像1

口座凍結とは、持っている銀行口座の「預金の引き出し・預け入れ」といったサービスが止められた状態のことを指します。

口座が凍結される理由はいくつかあり、代表的なものとしては、次の4つが挙げられます。

理由

  1. 口座の名義人が亡くなった
  2. 認知症などによる、名義人の判断能力の低下が確認された
  3. 口座が自己破産などの債務整理の対象になった
  4. 振り込め詐欺などの犯罪に、口座が利用された疑いがある

このうち本記事では、相続で問題になる「①口座の名義人が亡くなった」ケースでの凍結についてお伝えします。

口座が凍結されたとき、具体的には下記のようなサービスが停止されます。

停止するサービス

  • 預金の引き出し・預け入れ
  • 公共料金やクレジットカードなどの自動引き落とし
  • ほかの口座への振り込み
  • 通帳への記帳

上記のサービスは「銀行の窓口」はもちろん、「ATM」でも利用できなくなります。

ただし、「凍結されたら、遺産分割が終わるまで一切お金を引き出せない」というわけではありません

後ほどお伝えする「仮払い制度」という救済措置があるので、ご安心ください。

相続の場面では、具体的にいつ凍結される?

故人の口座が凍結されるタイミングは、「銀行が名義人の死亡を知ったとき」です。

ここで多くの方が誤解しがちなのが、「役所に死亡届を出すと、銀行に連絡がいき、自動的に口座が凍結される」ということです。

役所に提出した死亡届の情報が、自動で銀行に伝わる仕組みはありません。

死亡届の情報は銀行に伝わらないイメージ

実際に、銀行が名義人の死亡を知るきっかけになるのは、主に次の2つです。

きっかけ

  1. 遺族から「名義人が亡くなった」と連絡した
  2. 相続人が「残高証明書」の発行依頼をした

つまり、基本的には故人の関係者から銀行へ連絡をしない限り、口座は凍結されません

ただし、銀行の担当者がたまたま「新聞の訃報欄」などを見て、名義人の死亡を把握するケースはあります。

「遺族から連絡をしなければ、絶対に口座は凍結されない」というわけではない点はご留意ください。

口座はすぐに凍結すべき?

この記事の全体像2

「家族が亡くなったら、すぐに銀行へ連絡して、口座を凍結しなければならない」

相続について調べていると、このような話を耳にしたことがあるかもしれません。

もし、次の2つの状況に当てはまるのであれば、なるべく早めに口座を凍結してしまうことをおすすめします

反対に、この2つに当てはまらないときには、急いで口座を凍結する必要性は薄いと考えられます。

まずは、早めに口座を凍結すべき、2つのケースを見ていきましょう。

ケース1:故人に多額の借入金などがある

ケース1

故人に多額の借入金などがあるときは、その債務を相続人が引き継がないために「相続放棄」を検討することになります。

しかし、故人の預金を使ってしまうと、「亡くなった方の財産も借金も、すべて引き継ぎます」と意思表示した(単純承認)とみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります※1

このことから、預金には誰も触れないように、口座を凍結してしまうことが望ましいです。

※1
引き出しの目的が「葬式費用」など社会通念上やむを得ない範囲の出費で、使途が明確に証明できる場合には、相続放棄が認められるケースもある

ケース2:仲が良くない相続人がいる

ケース2

仲が良くない相続人がいる場合には、預金の引き出しがきっかけで疑心暗鬼となり、深刻な相続トラブルに発展するケースも考えられます。

これは、ほかの相続人に無断で預金を引き出すと、「遺産分割前に使い込んだのではないか?」「財産を自分のために隠したのではないか?」と疑われかねないからです。

このような無用なトラブルを防ぐためにも、早めに口座を凍結してしまうことをおすすめします

【ポイント】あえて、すぐには口座凍結しないのも一手

以上、早めに口座凍結すべき2つのケースを紹介しましたが、反対にいえば、これらに該当しないときには、急いで口座凍結をする必要性は薄くなります

口座が凍結されると、「葬式費用」や「当面の生活費」などのお金が急に必要になっても、簡単には引き出せません。

仮払い制度」という救済措置はあるものの、手続きには手間と時間がかかり、不便を感じてしまうかと思います。

このことを踏まえると、故人の口座から預金を引き出す可能性があるうちは、あえて口座を凍結させないでおくのも一手です。

ただし、後々のトラブルを避けるために、預金を引き出す際には、必ず下記の事項を守りましょう。

注意事項

  • 引き出したお金は、「葬式費用」や「当面の生活費」など、用途を明確にする
  • 引き出した「金額」や「使い道」がわかるよう、領収書を保管しておく
  • 引き出す前に、ほかの相続人にも一言伝えておく

なお、「自分のケースでは、口座をどうしておくのがベストか判断できない……」というときは、私たちVSG相続税理士法人までお気軽にご相談ください。

あなたの状況をお伺いして、最適な対応をアドバイスいたします。

口座が凍結されて解除されるまでの流れ

この記事の全体像3

ここからは、故人の口座が凍結されてから、預金を引き出せるようになるまでの流れを、次の4ステップでお伝えします。

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

ステップ1:銀行が口座を凍結する

ステップ1

銀行に名義人が亡くなったことを伝えたり、相続手続きのために「残高証明書」を請求したりすると、口座は凍結されます。

口座が凍結されると、正式な相続手続きが完了するまで、基本的には預金を動かせなくなります。

ステップ2:仮払い制度で必要なお金を引き出す

ステップ2

口座が凍結された後、生活費や葬儀費用ですぐにお金が必要になったときは、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度(通称:仮払い制度)」の活用を検討しましょう。

仮払い制度を利用すれば、遺産分割が終わる前でも相続人が単独で、下記の2つのうち、いずれか低いほうの金額までの預金を引き出せます。

引き出せる金額の上限

  • 相続開始時の預金残高 × 1/3 × その相続人の法定相続分
  • 150万円

具体的に、次のケースで考えてみましょう。

事例の家族構成

ケース

  • 亡くなった人:
  • 相続人:配偶者・長男・長女
  • 預金残高:1,200万円
  • 手続きをする人:長女

このケースで、長女が仮払い制度で引き出せる上限額は、次のように計算します。

計算式

1,200万円 × 1/3 × 1/4 = 100万円

→ 計算結果が150万円を下回っているため、引き出せるのは100万円まで

なお、この上限額は「1つの金融機関ごと」に適用されます。

故人が複数の銀行に口座を持っていた場合は、銀行ごとに上限額を計算し、その金額まで引き出すことが可能です。

複数の銀行から引き出すイメージ

実際に銀行で手続きをする際は、下記の書類が必要になることが多いです。

必要書類

  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 手続きをする相続人の印鑑証明書

ただし、必要な書類は金融機関によって異なる場合があるので、事前に電話などで確認しておくのがおすすめです。

ステップ3:遺産の分け方を決める

ステップ3

正式に口座を解約して預金を引き継ぐためには、まず「誰がどの財産を相続するのか」を決める必要があります。

遺言書がない場合は、相続人全員で「遺産分割協議」を行い、財産の分け方を決めます。

話し合いがまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」にまとめ、全員が署名・押印しましょう。

遺産分割協議書のイメージ

遺産分割協議の進め方については、下記の記事で詳しくお伝えしています。

一方、故人が「遺言書」を残していた場合は、原則としてその内容どおりに財産を分けるため、遺産分割協議は必要ありません。

ステップ4:口座の解約・払い戻しの手続きをする

ステップ4

遺産の分け方が決まったら、銀行で「口座の解約・払い戻し」の手続きをします

手続きをする際は、一般的に下記のような書類の提出が求められます。

必要書類

ただし、必要書類は銀行によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

提出した書類に不備がなければ、通常は「2週間〜1カ月」程度で手続きは完了し、故人の口座の預金が、指定した相続人の口座に振り込まれます。

ポイント

実務では、ここで紹介したように、故人の口座は解約し、預金は相続人の口座に払い戻すことが多いです。

ただし、金利の高い定期預金などは「解約」ではなく「名義変更」という形で手続きをすることもあります。

口座凍結に関するよくある質問

まとめ|故人の口座は、銀行が死亡を把握した時点で凍結される

今回は、故人の口座が凍結される仕組みや、解除までの流れをお伝えしました。

まとめ

  • 故人名義の銀行口座は、銀行が名義人の死亡を知った時点で凍結され、預金の引き出し・預け入れができなくなる
  • 借金や相続人同士の不仲がある場合を除けば、急いで口座を凍結する必要性は薄い
  • 凍結後にお金が必要になっても、「仮払い制度」を使えば、遺産分割の前に一定額を引き出せる

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