記事の要約
- 故人名義の銀行口座は、銀行が名義人の死亡を知った時点で凍結され、預金の引き出し・預け入れができなくなる
- 借金や相続人同士の不仲がある場合を除けば、急いで口座を凍結する必要性は薄い
- 凍結後にお金が必要になっても、「仮払い制度」を使えば、遺産分割の前に一定額を引き出せる
口座凍結とは、持っている銀行口座の「預金の引き出し・預け入れ」といったサービスが止められた状態のことをいいます。
相続の場面で、口座が凍結されるのは、銀行が名義人の死亡を把握した、次のようなタイミングです。
- 遺族から銀行に「名義人が亡くなった」と連絡した
- 相続人が銀行に「残高証明書」の発行依頼をした
口座が凍結されると、預金を動かせなくなりますが、「仮払い制度」を活用することで、相続人が単独で一定額までの引き出しができます。
この記事では、相続の場面で起こる「口座凍結」について、わかりやすくお伝えします。
なお、私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしているので、お困りのことがあれば、お気軽にご連絡ください。
目次
口座凍結とは?

口座凍結とは、持っている銀行口座の「預金の引き出し・預け入れ」といったサービスが止められた状態のことを指します。
口座が凍結される理由はいくつかあり、代表的なものとしては、次の4つが挙げられます。
- 口座の名義人が亡くなった
- 認知症などによる、名義人の判断能力の低下が確認された
- 口座が自己破産などの債務整理の対象になった
- 振り込め詐欺などの犯罪に、口座が利用された疑いがある
このうち本記事では、相続で問題になる「①口座の名義人が亡くなった」ケースでの凍結についてお伝えします。
口座が凍結されたとき、具体的には下記のようなサービスが停止されます。
- 預金の引き出し・預け入れ
- 公共料金やクレジットカードなどの自動引き落とし
- ほかの口座への振り込み
- 通帳への記帳
上記のサービスは「銀行の窓口」はもちろん、「ATM」でも利用できなくなります。
ただし、「凍結されたら、遺産分割が終わるまで一切お金を引き出せない」というわけではありません。
後ほどお伝えする「仮払い制度」という救済措置があるので、ご安心ください。
相続の場面では、具体的にいつ凍結される?
故人の口座が凍結されるタイミングは、「銀行が名義人の死亡を知ったとき」です。
ここで多くの方が誤解しがちなのが、「役所に死亡届を出すと、銀行に連絡がいき、自動的に口座が凍結される」ということです。
役所に提出した死亡届の情報が、自動で銀行に伝わる仕組みはありません。

実際に、銀行が名義人の死亡を知るきっかけになるのは、主に次の2つです。
- 遺族から「名義人が亡くなった」と連絡した
- 相続人が「残高証明書」の発行依頼をした
つまり、基本的には故人の関係者から銀行へ連絡をしない限り、口座は凍結されません。
ただし、銀行の担当者がたまたま「新聞の訃報欄」などを見て、名義人の死亡を把握するケースはあります。
「遺族から連絡をしなければ、絶対に口座は凍結されない」というわけではない点はご留意ください。
口座はすぐに凍結すべき?

「家族が亡くなったら、すぐに銀行へ連絡して、口座を凍結しなければならない」
相続について調べていると、このような話を耳にしたことがあるかもしれません。
もし、次の2つの状況に当てはまるのであれば、なるべく早めに口座を凍結してしまうことをおすすめします。
反対に、この2つに当てはまらないときには、急いで口座を凍結する必要性は薄いと考えられます。
まずは、早めに口座を凍結すべき、2つのケースを見ていきましょう。
ケース1:故人に多額の借入金などがある

故人に多額の借入金などがあるときは、その債務を相続人が引き継がないために「相続放棄」を検討することになります。
しかし、故人の預金を使ってしまうと、「亡くなった方の財産も借金も、すべて引き継ぎます」と意思表示した(単純承認)とみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります※1。
このことから、預金には誰も触れないように、口座を凍結してしまうことが望ましいです。
- ※1
- 引き出しの目的が「葬式費用」など社会通念上やむを得ない範囲の出費で、使途が明確に証明できる場合には、相続放棄が認められるケースもある
ケース2:仲が良くない相続人がいる

仲が良くない相続人がいる場合には、預金の引き出しがきっかけで疑心暗鬼となり、深刻な相続トラブルに発展するケースも考えられます。
これは、ほかの相続人に無断で預金を引き出すと、「遺産分割前に使い込んだのではないか?」「財産を自分のために隠したのではないか?」と疑われかねないからです。
このような無用なトラブルを防ぐためにも、早めに口座を凍結してしまうことをおすすめします。
【ポイント】あえて、すぐには口座凍結しないのも一手
以上、早めに口座凍結すべき2つのケースを紹介しましたが、反対にいえば、これらに該当しないときには、急いで口座凍結をする必要性は薄くなります。
口座が凍結されると、「葬式費用」や「当面の生活費」などのお金が急に必要になっても、簡単には引き出せません。
「仮払い制度」という救済措置はあるものの、手続きには手間と時間がかかり、不便を感じてしまうかと思います。
このことを踏まえると、故人の口座から預金を引き出す可能性があるうちは、あえて口座を凍結させないでおくのも一手です。
ただし、後々のトラブルを避けるために、預金を引き出す際には、必ず下記の事項を守りましょう。
- 引き出したお金は、「葬式費用」や「当面の生活費」など、用途を明確にする
- 引き出した「金額」や「使い道」がわかるよう、領収書を保管しておく
- 引き出す前に、ほかの相続人にも一言伝えておく
なお、「自分のケースでは、口座をどうしておくのがベストか判断できない……」というときは、私たちVSG相続税理士法人までお気軽にご相談ください。
あなたの状況をお伺いして、最適な対応をアドバイスいたします。
口座が凍結されて解除されるまでの流れ

ここからは、故人の口座が凍結されてから、預金を引き出せるようになるまでの流れを、次の4ステップでお伝えします。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
ステップ1:銀行が口座を凍結する

銀行に名義人が亡くなったことを伝えたり、相続手続きのために「残高証明書」を請求したりすると、口座は凍結されます。
口座が凍結されると、正式な相続手続きが完了するまで、基本的には預金を動かせなくなります。
ステップ2:仮払い制度で必要なお金を引き出す

口座が凍結された後、生活費や葬儀費用ですぐにお金が必要になったときは、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度(通称:仮払い制度)」の活用を検討しましょう。
仮払い制度を利用すれば、遺産分割が終わる前でも相続人が単独で、下記の2つのうち、いずれか低いほうの金額までの預金を引き出せます。
- 相続開始時の預金残高 × 1/3 × その相続人の法定相続分
- 150万円
具体的に、次のケースで考えてみましょう。

- 亡くなった人:夫
- 相続人:配偶者・長男・長女
- 預金残高:1,200万円
- 手続きをする人:長女
このケースで、長女が仮払い制度で引き出せる上限額は、次のように計算します。
計算式
→ 計算結果が150万円を下回っているため、引き出せるのは100万円まで
なお、この上限額は「1つの金融機関ごと」に適用されます。
故人が複数の銀行に口座を持っていた場合は、銀行ごとに上限額を計算し、その金額まで引き出すことが可能です。

実際に銀行で手続きをする際は、下記の書類が必要になることが多いです。
ただし、必要な書類は金融機関によって異なる場合があるので、事前に電話などで確認しておくのがおすすめです。
ステップ3:遺産の分け方を決める

正式に口座を解約して預金を引き継ぐためには、まず「誰がどの財産を相続するのか」を決める必要があります。
遺言書がない場合は、相続人全員で「遺産分割協議」を行い、財産の分け方を決めます。
話し合いがまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」にまとめ、全員が署名・押印しましょう。

遺産分割協議の進め方については、下記の記事で詳しくお伝えしています。
一方、故人が「遺言書」を残していた場合は、原則としてその内容どおりに財産を分けるため、遺産分割協議は必要ありません。
ステップ4:口座の解約・払い戻しの手続きをする

遺産の分け方が決まったら、銀行で「口座の解約・払い戻し」の手続きをします。
手続きをする際は、一般的に下記のような書類の提出が求められます。
ただし、必要書類は銀行によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
提出した書類に不備がなければ、通常は「2週間〜1カ月」程度で手続きは完了し、故人の口座の預金が、指定した相続人の口座に振り込まれます。
ポイント
ただし、金利の高い定期預金などは「解約」ではなく「名義変更」という形で手続きをすることもあります。
口座凍結に関するよくある質問
Q1:故人の口座が凍結されているか、確認する方法は?
Q2:口座が凍結されたまま放置すると、どうなる?
Q3:公共料金やクレジットカードの引き落としはどうなる?
Q4:故人が借りていた「貸金庫」も凍結される?
Q5:証券口座やネットバンクも凍結される?
まとめ|故人の口座は、銀行が死亡を把握した時点で凍結される
今回は、故人の口座が凍結される仕組みや、解除までの流れをお伝えしました。
- 故人名義の銀行口座は、銀行が名義人の死亡を知った時点で凍結され、預金の引き出し・預け入れができなくなる
- 借金や相続人同士の不仲がある場合を除けば、急いで口座を凍結する必要性は薄い
- 凍結後にお金が必要になっても、「仮払い制度」を使えば、遺産分割の前に一定額を引き出せる
私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けております。
何かお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。

