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最終更新日:2026/10/27

遺留分とは?自分にあるのか、いくらになるのかを早見表と計算例で解説

田中 千尋 (司法書士)
この記事の執筆者 司法書士 田中千尋

VSG司法書士法人 司法書士 昭和62年生まれ、香川県出身。

相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profiletakana/

記事の要約

  • 遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に保障された「最低限の遺産の取り分」のこと
  • 遺留分の割合は、原則として「法定相続分の半分」だが、相続人の組み合わせによって異なる
  • 遺留分が侵害されたら、遺産を多く取得した人に、知ってから1年以内に不足分を請求できる

「遺言書を開いたら、自分の取り分がほとんどなかった」
「ほかの相続人から、遺留分を払ってほしいと言われた」

相続でこのような場面に直面した方の多くが、「自分に遺留分はあるのか?」「いくらになるのか?」と悩まれます。

結論からいうと、遺留分があるのは「兄弟姉妹以外の相続人」で、割合は原則として「法定相続分の半分」です。

たとえば、相続人が配偶者と子ども2人なら、配偶者は遺産全体の1/4、子どもは1/8ずつが遺留分になります。

遺留分は、残された家族の生活を守るための制度です。

このため、遺言で取り分を減らされた相続人は、遺産を多く受け取った人に、不足分を金銭で請求できます。

ただし、請求できるのは「遺留分が侵害されたことを知ってから1年以内」です。

期限を過ぎると請求できなくなるため、遺言の内容に納得できないときは、早めに動くことが大切です。

この記事では、「遺留分がある人・ない人と割合」「具体的な金額の計算方法」「侵害する遺言書が出てきたときの動き方」を順番にお伝えします。

なお、私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしています。

何かお困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。

遺留分とは?

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に保障された「遺産の最低限の取り分」のことです。

故人は、遺言や生前贈与によって、財産を誰にどれだけ渡すかを自由に決められます。

しかし、「全財産を長男に相続させる」といった遺言があると、ほかの家族の生活が成り立たなくなるおそれがあります。

全財産を長男に相続させる遺言の例

そこで、法律によって相続人のうち「配偶者・子ども・父母」などには、遺言でも奪えない最低限の取り分が保障されています。

もし遺留分を侵害された場合には、遺産を多く受け取った人に対して、不足分を金銭で支払うよう請求できます。

遺留分侵害額請求のイメージ

この請求を「遺留分侵害額請求」といいます。

法定相続分との違いは?

遺留分とよく混同されるのが「法定相続分」です。

「法定相続分」は、遺産分割協議で分け方を話し合うときの目安になる割合です。

相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合で遺産を分けてもかまいません。

一方で「遺留分」は、遺言や生前贈与で取り分が減らされたときに取り戻せる、最低限のラインです。

割合は、原則として「法定相続分の半分」になります。

遺留分がある人・ない人と割合は?

遺留分を請求できる権利があるのは、「兄弟姉妹」以外の「法定相続人」です。

具体的に、遺留分を持つ可能性がある親族は、下記のとおりです。

遺留分がある人・ない人

遺留分を持つ可能性がある人 遺留分を持つ可能性がない人
■ 配偶者
■ 子ども
■ 代襲相続人の孫やひ孫
■ 父母・祖父母
■ 兄弟姉妹
■ 代襲相続人のおい・めい
■ 相続放棄をした人
■ 相続欠格・相続廃除で相続権を失った人
■ 生前に遺留分放棄した人

なお、遺留分があるのは、その相続で法定相続人になっている人のみです。

たとえば、故人に子どもがいる場合、父母は相続人にならないため、遺留分もありません。

法定相続人の決まり方は、下記の記事をご参照ください。

遺留分の割合の早見表

相続人の組み合わせ別に「各人の遺留分の割合」をまとめると、次のとおりです。

遺留分の割合の早見表

全体の遺留分は原則として遺産の1/2で、父母や祖父母だけが相続人の場合は1/3になります。

これを法定相続分で分けたのが、上の表の割合です。

遺留分の計算方法は?

遺留分の金額は、次の3ステップで計算します。

それぞれのステップを詳しく見ていきましょう。

ステップ1:遺留分の基礎となる財産を計算する

ステップ1

遺留分は、「亡くなった日に残っていた財産」だけをもとに計算するわけではありません。

一定の「生前贈与された価額」を足し、借入金などの「債務」を引いた金額が、計算のもとになります。

計算式

基礎となる財産 = 相続開始時のプラスの財産 + 一定の生前贈与 – 債務

ここで加算しなければならない生前贈与の範囲は、次のように「贈与の相手」によって異なります。

贈与の相手 遺留分の計算に含める贈与
相続人以外 ■ 相続開始前1年以内の贈与
相続人 ■ 相続開始前10年以内※1の贈与のうち、結婚・養子縁組のため、または「生計の資本」として受けたもの(特別受益にあたる贈与)
誰でも ■ 贈与した側と受けた側の両方が、遺留分を侵害すると知って行った贈与
■ 期間の制限はなし
※1
10年の期間制限は、2019年7月1日以降に開始した相続に適用される。それより前に開始した相続では、期間の制限なく計算に含める

表中にある「生計の資本」は、住宅の購入資金や開業資金、まとまった生活費の援助などが当てはまります。

また、大学の学費などは、親の資産や生活水準からみて通常の扶養の範囲内なら、計算に含めないのが一般的です。

ただし、学費がほかの兄弟姉妹と比べて特別に多い場合は、「生計の資本」として計算に含まれることがあります。

ステップ2:全体の遺留分を計算する

ステップ2

「遺留分の基礎となる財産」が確定したら、そのうちのどれほどの割合が、対象者全員に「遺留分」として確保されるのかを計算します。

この「全体の遺留分」の割合は、原則として「1/2」ですが、相続人が父母や祖父母のみの場合には「1/3」に減ります。

計算式

全体の遺留分 = 基礎となる財産 × 1/2(父母などの直系尊属のみの場合は1/3)

ステップ3:相続人ごとの遺留分を計算する

ステップ3

最後に、ステップ2で算出された「全体の遺留分」を、遺留分がある人で分け合います。

このときは、法定相続分の割合で分配されます。

計算式

各人の遺留分 = 全体の遺留分 × その人の法定相続分

これで、各相続人に保障される遺留分の金額がわかります。

ただし、ここで計算した金額を、そのまま請求できるわけではありません。

実際に請求できるのは、遺留分の額から「自分がすでに受け取った財産」を差し引いた不足分です。これを「遺留分侵害額」といいます。

計算式

遺留分侵害額 = 遺留分の額 – 遺言・生前贈与・相続で受け取った財産 + 自分が引き継ぐ債務

たとえば、遺留分が1,500万円で、遺言で500万円を受け取っていれば、請求できるのは差額の1,000万円です。

計算方法の詳細は、下記の記事でお伝えしているので併せてご覧ください。

【ケース別】遺留分の計算例

ここからは、「遺留分の基礎となる財産が1億2,000万円」のケースで、相続人の組み合わせ別に遺留分を計算します。

ケース1:配偶者と子ども2人

ケース1

このケースでは、全体の遺留分が「遺産の1/2」のため、総額は「1億2,000万円 × 1/2 = 6,000万円」です。

その6,000万円を、配偶者と子ども2人が法定相続分で分け合うため、各人の遺留分の金額は、以下のとおりになります。

対象者 計算式
配偶者 1億2,000万円 × 1/2 × 1/2 = 3,000万円
長男 1億2,000万円 × 1/2 × 1/4 = 1,500万円
長女 1億2,000万円 × 1/2 × 1/4 = 1,500万円

ケース2:配偶者と父母

ケース2

このケースでは、全体の遺留分は「遺産の1/2」で、総額は「1億2,000万円 × 1/2 = 6,000万円」です。

その6,000万円を、配偶者・父親・母親が法定相続分で分け合うことになり、各人の遺留分の金額は、以下のようになります。

対象者 計算式
配偶者 1億2,000万円 × 1/2 × 2/3 = 4,000万円
父親 1億2,000万円 × 1/2 × 1/6 = 1,000万円
母親 1億2,000万円 × 1/2 × 1/6 = 1,000万円

ケース3:配偶者と兄弟姉妹

ケース3

このケースでは、全体の遺留分が「遺産の1/2」で、総額は「1億2,000万円 × 1/2 = 6,000万円」です。

配偶者の法定相続分は3/4ですが、兄弟姉妹には遺留分がないため、この6,000万円はすべて配偶者の遺留分となります。

対象者 計算式
配偶者 1億2,000万円 × 1/2 = 6,000万円
弟 遺留分なし

ケース4:配偶者のみ

ケース4

このケースでは、全体の遺留分が「遺産の1/2」で、総額は「1億2,000万円 × 1/2 = 6,000万円」です。

この6,000万円が、そのまま配偶者の遺留分になります。

対象者 計算式
配偶者 1億2,000万円 × 1/2 × 1/1 = 6,000万円

ケース5:子ども2人のみ

ケース5

このケースでは、全体の遺留分が「遺産の1/2」で、総額は「1億2,000万円 × 1/2 = 6,000万円」です。

その6,000万円を子ども2人で等分するため、それぞれの遺留分の金額は3,000万円ずつとなります。

対象者 計算式
長男 1億2,000万円 × 1/2 × 1/2 = 3,000万円
長女 1億2,000万円 × 1/2 × 1/2 = 3,000万円

ケース6:父母のみ

ケース6

このケースは、相続人が父母のみのため、例外的に全体の遺留分が「遺産の1/3」となります。

「1億2,000万円 × 1/3 = 4,000万円」を父親・母親で等分することになり、それぞれの遺留分は2,000万円です。

対象者 計算式
父親 1億2,000万円 × 1/3 × 1/2 = 2,000万円
母親 1億2,000万円 × 1/3 × 1/2 = 2,000万円

ケース7:兄弟姉妹のみ

ケース7

故人の兄弟姉妹には遺留分がありません。

このため、兄弟姉妹のみが相続人のときは、誰も遺留分を持たないことになります。

対象者 計算式
弟 遺留分なし

遺留分を侵害する遺言書が出てきたら?

遺留分を侵害する遺言書が見つかっても、遺言書そのものは有効です。何もしなければ、遺言のとおりに遺産が分けられます。

遺留分を取り戻したい場合は、遺産を多く受け取った人に「遺留分侵害額請求」をします。

ただし、請求の期限は「遺留分が侵害されたことを知ってから1年以内」なのでご注意ください。

遺留分侵害額請求の手続きの流れは、次のとおりです。

手順 内容
① 話し合う ■ 遺産を多く受け取った人に「遺留分を侵害されている分を支払ってほしい」と伝える
② 内容証明郵便を送る ■ 話し合いがまとまらないときは、侵害額を請求する意思を内容証明郵便で伝え、期限を守った証拠を残す
③ 家庭裁判所に調停を申し立てる ■ どうしても話がまとまらなければ、家庭裁判所の調停で話し合う
■ 調停でも合意できないときは、訴訟で決着をつける

遺留分侵害額請求の詳細は、下記の記事でお伝えしています。

税理士 古尾谷裕昭

税理士からひと言

実際のご相談では、「遺留分の話し合いがまとまらないうちに、相続税の申告期限が来てしまう」というご相談をいただくことがあります。

「遺留分の請求」と「相続税の申告」は別の手続きで、遺留分が決まっていなくても、申告期限は延びません。

この場合は、いったん遺言どおりの内容で相続税を申告・納税し、遺留分の金額が決まった後に、受け取った側と支払った側がそれぞれ申告をやり直します。

遺留分に関するよくある質問

まとめ|遺留分は「法定相続分の半分」が原則

今回は、遺留分の「ある人・ない人」や「具体的な金額の計算方法」などをお伝えしました。

まとめ

  • 遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に保障された「最低限の遺産の取り分」のこと
  • 遺留分の割合は、原則として「法定相続分の半分」だが、相続人の組み合わせによって異なる
  • 遺留分が侵害されたら、遺産を多く取得した人に、知ってから1年以内に不足分を請求できる

遺留分の金額は、「生前贈与の扱い」や「不動産の評価」によって変動します。

このため、請求する側・された側ともに、早めに専門家へ相談しておくと安心です。

私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けております。

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