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最終更新日:2026/10/13

飲食料品の消費税率1%引下げでどう変わる? 売上5,000万円以下の飲食店が知っておくべき「課税方式の選択」と注意点

高山弥生(税理士)
この記事の執筆者税理士 高山弥生

VSG相続税理士法人 税理士。

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書籍:税理士事務所スタッフは見た!ある資産家の相続
Twitter:@takayama1976

令和9年(2027年)4月1日より2年間の臨時的措置として、飲食料品(酒類・外食を除く)の消費税率が現行の8%から1%へ引き下げられる基本方針が決定されました。

一見すると「減税されるから事業者にとっても有利になるのでは?」と思われがちですが、年間の課税売上高が5,000万円以下で簡易課税制度を選択できる(または選択している)飲食店にとっては手続きのタイミングを逃すと税負担が増加するリスクが潜んでいます。

本コラムでは、売上5,000万円以下の飲食店が注意すべきポイントと課税方式の選択について分かりやすく解説します。

シミュレーションから見る「納税額」の決定的な違い

年間の課税売上高3,000万円(税抜き)規模の飲食店をモデルとしたシミュレーション結果を比較してみましょう。

大綱では、1%の特例税率が適用される飲食料品の譲渡(テイクアウト・店頭販売など)について、簡易課税では売上税額と同額を控除できる特例措置が設けられています。

店内飲食+テイクアウト・店頭販売

前提条件(税抜き)

  • 売上:30,000,000円
  • アルコール売上:上記のうち20%
  • テイクアウト売上:上記のうち10%
  • 軽減税率分仕入(原価率35%):8,610,000円
  • アルコール仕入(原価率25%):1,350,000円
  • 販管費など10%課税仕入:9,000,000円
納税額
現行 121万円
1%移行後、本則 160万円
1%移行後、簡易 108万円

テイクアウトは店内飲食のオペレーションの妨げにならない10%程度としてシミュレーションしています。

現行では納税額は121万円です。

飲食料品の税率が1%となったあと、売上税額は10%のまま変わらない一方、食材仕入の税率が1%に下がるため、本則課税では160万円となり税負担が約39万円急増します。

一方で簡易課税(みなし仕入率60%)を選択していれば、108万円となり以前と変わらない税負担水準を維持できます。

店内飲食のみ

前提条件(税抜き)

  • 店内飲食売上:30,000,000円
  • アルコール売上:上記のうち20%
  • 軽減税率分仕入(原価率35%):8,400,000円
  • アルコール仕入(原価率25%):1,500,000円
  • 販管費など10%課税仕入:9,000,000円
納税額
現行 127万円
1%移行後、本則 186万円
1%移行後、簡易 120万円

この場合も店内飲食+テイクアウト・店頭販売のパターンと同様、簡易課税を選択する方が有利となります。

現行では127万円の納税となりますが、1%で本則課税の場合186万円に納税額は跳ね上がります。

簡易課税を選択すると、食料品仕入れの1%が反映されず、一律でみなし仕入れ率が適用されますから、120万円となります。

テイクアウト専門・デリバリーのみ(店内飲食なし)

前提条件(税抜き)

  • 売上:30,000,000円
  • 軽減税率分仕入(原価率35%):8,400,000円
  • 販管費など10%課税仕入:9,000,000円
納税額
現行 66万円
1%移行後、本則 △70万円
1%移行後、簡易 0円

現行では66万円の納税ですが、売上のすべてが1%となることから、本則課税を選択すると仕入で支払った消費税(経費の10%分)の方が大きくなり、70万円の「消費税還付」を受けることができます。

簡易課税では納税額ゼロとなるため、本則課税への移行が圧倒的に有利です。

売上5,000万円以下の飲食店が注意すべき3つの要点

本則課税の場合「売上税額」から「仕入税額」を差し引いて計算

本則課税の場合、「売上税額」から「仕入税額」を差し引いて計算します。飲食店の主な原価である「食材」の税率が8%から1%に下がるということは、「仕入時に支払う消費税(=控除できる金額)」が激減することを意味します。

売上の大半が店内飲食(10%)である店舗が本則課税のままだと、売上税額は変わらないのに控除額だけが減り、納税額が増加します。

ただし、設備投資や大規模修繕などで経費が増える場合はこの限りではありません。

「簡易課税の特例」と「不適用届出」のルール

飲食料品の譲渡を行う事業者が令和9年4月1日の属する課税期間について簡易課税制度の適用をやめようとする場合において、その課税期間の末日までに簡易課税選択不適用届出書を提出したときは、当該課税期間の初日の前日までに提出したものとみなされます。また、簡易課税制度を選択した場合の2年間の継続適用要件も適用されません。

店内飲食に加えてテイクアウトを行っている飲食店やテイクアウトのみの場合はこの特例措置の対象となるため、簡易課税を選択することで当初税負担を抑えることを予定していたものの、期中の投資などにより本則課税の方が有利になった場合、課税期間の末日までに不適用届出を提出するという方法が考えられます。

店内飲食のみの飲食店(テイクアウトなし)は、「飲食料品の譲渡を行う事業者(軽減税率対象品目を販売する事業者)」に該当しないため、課税期間の末日までに「簡易課税選択不適用届出書」を出して取りやめることはできないと考えられます。

店内飲食のみの店舗が簡易課税の適用を取りやめたい場合は、従来のルール通り課税期間開始の日の前日までに届出を行う必要があるため、事前のシミュレーションや投資計画が不可欠です。

おわりに 今すぐ自店舗の消費税試算を

テイクアウト比率が高い・専門の店舗は、本則課税へ移行して「還付」を受けるのが有利になる可能性が高く、イートイン中心の店舗は本則課税のままだと仕入控除が減って増税になるため、「簡易課税」を選択・維持する方が有利になりやすい傾向があります。

課税期間の末日までであれば簡易課税を取りやめることが可能ですので、簡易課税を選択しておくことをおすすめします。

イートイン専門店の場合、簡易課税の特例が適用できず、簡易課税制度を選択していてあとから本則課税に戻したくても戻すことができません。課税期間の開始前にどちらを選択するかを決める必要があります。

2027年4月からの適用に向けて、まずは自店舗の直近の売上・仕入データを整理し、事前にシミュレーションを行った上で、適切な届出手続きをスケジュールに組み込んでおきましょう。

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