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最終更新日:2026/9/29

配偶者の相続はどうなる?遺産の取り分と相続税が軽くなる制度を解説

古尾谷 裕昭
この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

VSG相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、立川、千葉、埼玉、横浜、名古屋、大阪、神戸、福岡などの全国の主要都市16拠点にオフィス展開し、年間3,500件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
YouTube:相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】

記事の要約

  • 配偶者は常に相続人になり、法定相続分は「誰と一緒に相続するか」で変わる
  • 「配偶者の税額軽減」により、1億6,000万円までは配偶者に相続税がかからない
  • ただし、配偶者がすべての遺産を相続すると、二次相続で子どもの税負担が重くなることがある

「配偶者は、遺産をどれくらい相続できるのだろう?」「相続税はかかるのだろうか?」

結論からお伝えすると、故人の配偶者は常に相続人になり、法定相続分は「誰と一緒に相続するか」によって変わります。

また、配偶者は「配偶者の税額軽減」という制度を使えるため、取得した遺産のうち「1億6,000万円」までは相続税がかかりません。

ただし、相続税がかからないからといって、配偶者がすべての遺産を相続すると、次の相続(二次相続)で子どもの税負担が重くなることがあります。

この記事では、「配偶者が相続できる遺産の割合」や「相続税の仕組み」をわかりやすくお伝えします。

なお、私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしています。何かお困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。

配偶者は遺産をどれくらい相続できる?

この記事の全体像1

亡くなった方の配偶者は、常に相続人になります。

また、配偶者以外の親族は「①子ども」「②直系尊属(父母など)」「③兄弟姉妹」の順で、相続人になれる優先順位が決まっています。

相続人の順位と配偶者の位置づけ

配偶者の法定相続分は、「誰と一緒に相続人になるか」によって、次のように変わります。

配偶者の法定相続分の一覧

たとえば、遺産が1億円で、相続人が「配偶者と子ども2人」の場合、法定相続分どおりに分けると、配偶者が5,000万円、子どもが2,500万円ずつ相続します。

遺産1億円を法定相続分で分けた例

ただし、この法定相続分の割合は、あくまで「遺産の分け方の基準」です。

遺産分割協議で合意できれば、法定相続分とは違う割合にしても問題ありません。

税理士 古尾谷裕昭

税理士からひと言

相続税のご相談をいただくなかでは、「子どもがいなければ、配偶者が遺産をすべて相続できる」と誤解されている方もいらっしゃいます。

亡くなった方に子どもがいない場合、故人の父母や兄弟姉妹がいれば、その方が相続人に加わるのでご注意ください。

内縁関係の相手は相続できない

相続人になれる「配偶者」は、婚姻届を出している戸籍上の配偶者のみです。

事実婚や内縁関係の相手は、どれだけ長く一緒に暮らしていても、法律上の相続権はありません。

内縁の相手に財産を残したい場合は、「遺言」や「生前贈与」など、別の方法を考える必要があります。

離婚していたら相続できない

離婚が成立している元配偶者には、相続権はありません。

一方で、離婚の話し合いをしている途中や別居中であっても、離婚届を出す前に亡くなった場合は、戸籍上の配偶者として相続人になります。

なお、親が離婚していても、元配偶者との間に生まれた子どもは相続人です。親の離婚は、子どもの相続権には影響しません。

配偶者が相続すると相続税はかかる?

この記事の全体像2

多くのケースで、配偶者には相続税はかかりません。

これは、配偶者に「配偶者の税額軽減」という制度が用意されていることが関係しています。

この制度を適用すると、配偶者が相続した遺産のうち、次のどちらか多い金額までは相続税がかからなくなります。

金額

  • 1億6,000万円
  • 配偶者の法定相続分に相当する額

たとえば、遺産が1億円、相続人が「配偶者と子ども2人」で、法定相続分どおりに分けたケースで考えてみましょう。

遺産1億円を法定相続分で分けた例

このとき、配偶者が相続した5,000万円は「1億6,000万円」の範囲内なので、配偶者の相続税は0円になります。

配偶者に相続税がかかるのは、「法定相続分」と「1億6,000万円」の両方を超えて遺産を取得したときに限られます。

たとえば、遺産が3億円、相続人が「配偶者と子ども2人」のケースで、配偶者が2億円を取得したとしましょう。

遺産3億円で配偶者が2億円を相続した例

このケースでは、配偶者の取得額が「法定相続分(1億5,000万円)」も「1億6,000万円」も超えるため、配偶者にも相続税がかかります。

税理士 古尾谷裕昭

税理士からひと言

配偶者の税額軽減は、相続税の申告をすることで、はじめて使える制度です。

制度を適用した結果、配偶者の税額が0円になる場合でも、遺産総額が基礎控除を超えていれば申告は必要なのでご注意ください。

「配偶者の税額軽減」の詳細は、下記の記事でお伝えしているので、併せてご覧ください。

配偶者が全部相続すれば得なの?

ここまで記事をご覧いただき、「配偶者の税額軽減があるなら、配偶者が遺産をすべて相続するのが一番得なのでは?」と感じたかもしれません。

確かに、遺産総額が1億6,000万円以下のときは、配偶者がすべての遺産を相続すれば、今回の相続(一次相続)の相続税は0円になります。

しかし、その配偶者が亡くなったときの相続(二次相続)では、子どもの税負担が重くなり、2回の相続を合計すると損になることがあります。

二次相続で税負担が重くなる主な理由は、次の3つです。

理由

  1. 相続人が1人減って基礎控除が少なくなる
  2. 配偶者の税額軽減が使えない
  3. 一人あたりの取得額が増えて、高い税率が適用される

実際に、遺産が1億円、相続人が「配偶者と子ども2人」のケースで、一次相続の分け方によって2回分の相続税の合計がどう変わるかを見てみましょう。

一次相続で配偶者がすべて相続した場合の税額

一次相続で法定相続分どおり分けた場合の税額

このケースでは、一次相続で「配偶者がすべて相続」した場合、「法定相続分どおり分割」したときと比べて、税額が2倍近くになってしまいました。

以上を踏まえると、一次相続の時点で二次相続の税負担まで考慮して、分割方法を考えることが大切だといえます。

税理士 古尾谷裕昭

税理士からひと言

私たちにご相談いただいた際には、「一次相続と二次相続を通した合計の税額」がもっとも安くなる分け方をシミュレーションしてご提案しています。

さらに、二次相続に向けて「生前贈与」や「保険の活用」など、税負担を軽くするための対策もサポートいたします。

弊社のサービスにご興味のある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

配偶者が相続するときに知っておきたい2つの制度

この記事の全体像3

ここでは、配偶者が相続人になるときに知っておきたい、次の2つの制度を紹介します。

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

制度1:小規模宅地等の特例

制度1

故人が住んでいた自宅の土地は、「小規模宅地等の特例」を使うと、330㎡までの部分について評価額を80%減額できます。

たとえば、「評価額 5,000万円」の土地であれば、特例を適用することで「1,000万円」として相続税を計算できるため、税負担が大きく軽減されます。

故人の子どもが相続した土地に、この特例を適用する場合は「故人と同居していた」「申告期限まで住み続けて、その間に売らない」などの要件を満たしていなければなりません。

一方で、配偶者が自宅の土地を相続する場合は、取得者ごとのこうした要件はなく、取得するだけで特例を使えます。

このように、自宅の土地は配偶者が相続すれば、同居や住み続けることを気にせず評価額を下げられます。

そこで、遺産に自宅が含まれているときは、「配偶者が相続すれば、小規模宅地等の特例を確実に使える」という点も踏まえて、分け方を考えてみてください。

なお、小規模宅地等の特例については、下記の記事で詳しくお伝えしています。

制度2:配偶者居住権

制度2

「配偶者居住権」は、自宅を「住む権利」と「所有する権利」に分けて相続できる制度です。

配偶者居住権と所有権の分け方

このうち、配偶者は「住む権利(配偶者居住権)」だけを相続して、「所有権」は子どもなどが相続します。

権利を2つに分けることで、配偶者の取得額が減るぶん、預貯金などを多く相続できて、「住む場所」と「生活資金」の両方を確保しやすくなるのがメリットです。

また、配偶者が亡くなると配偶者居住権は消滅し、二次相続の課税対象にならないことから、税負担の軽減にもつながります。

配偶者居住権の詳細は、下記の記事でお伝えしているので、ご興味のある方は併せてご覧ください。

配偶者の相続に関するよくある質問

まとめ|配偶者の相続は「二次相続」まで見据えて考えよう

今回は、配偶者の相続についてお伝えしました。

まとめ

  • 配偶者は常に相続人になり、法定相続分は「誰と一緒に相続するか」で変わる
  • 「配偶者の税額軽減」により、1億6,000万円までは配偶者に相続税がかからない
  • ただし、配偶者がすべての遺産を相続すると、二次相続で子どもの税負担が重くなることがある

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