特例事業承継税制の期限が迫っているから早めに動いた方がいい、と言われたが、事業承継税制がよくわからないという方も多いと思います。
特例事業承継税制では、非上場株式に係る贈与税・相続税が猶予され、免除されると説明されることから、贈与と相続のどちらなのか、猶予と免除のどちらなのか迷われることもあるでしょう。
特例事業承継税制の適用を受けるには、令和9年12月31日までに非上場株式の贈与又は相続が完了しなくてはなりません。
相続はいつ発生するかわかりませんので、特例事業承継税制の適用を考える場合は「贈与」をスタートとして考えることになります。
今回の記事では、特例事業承継税制の流れについてご説明します。
猶予されて免除の流れ
一代目が二代目に会社の株を贈与するときに特例事業承継税制を適用すると、対象株数は発行済議決権株式総数の100%です。
贈与した株分の贈与税が100%猶予され、一代目が死亡したときに猶予されていた贈与税が100%免除されます。
贈与された株は相続税を計算するときに贈与時の価額で相続財産に含められますが、ここで贈与税の猶予・免除から相続税の猶予・免除へ切り替えることで、二代目は株の分の相続税額を100%猶予を受けることができます。
二代目が三代目に特例事業承継税制で贈与することで、二代目の猶予されていた相続税は免除されます。
事業承継税制には「特例」と「一般」があり、一般の場合、対象株数は発行済議決権株式総数の最大3分の2とされており、3分の2に対する贈与税が100%猶予され、相続税は80%猶予されます。つまり、発行済議決権株式総数の100%を贈与または相続しても、贈与の場合約66%、相続の場合約53%分しか猶予されません。特例の場合、上述のように対象株数は発行済議決権株式総数の100%が対象です。
特例承認計画を作成、確認申請する
特例事業承継税制を適用するためには、「特例承継計画」を作成し、都道府県に提出します。
これを特例承認計画の確認申請といいます。
この特例承認計画の提出期限は令和9年9月30日とされており、この期限を過ぎると特例事業承継税制の適用ができなくなることから、期限が迫っているとネットなどで話題になっているのはこちらの期限のことです。
一般は今後も適用することができます。
特例承継計画には、後継者が株を取得した後の5年間、どのように事業を継続していくかを記載し、認定経営革新等支援機関(税理士や金融機関、商工会議所など国から公に認定を受けた機関)のアドバイスを受ける必要があります。
都道府県は「形式的な要件を満たしているか」と「専門家(認定支援機関)から適切なアドバイスを受けているか」といった内容を確認します。
認定申請をする
株の贈与をしたら、贈与年の10月15日から翌年1月15日までの間に、都道府県知事に対して納税猶予を受けるための特例の認定申請をします。
このときに特例承認計画の確認書の写しを添付します。
初回贈与は先代経営者からの贈与である必要があり、この場合、「第一種特例贈与認定中小企業者に係る認定申請書」を使用します。
贈与税申告をする
贈与年の翌年3月15日までに特例事業承継税制を適用する旨を記載した贈与税の申告書を税務署に提出します。このとき、認定申請書の写しも提出します。
贈与後5年間、年次報告書と継続届出書を提出
事業承継税制は、事業継続により地域の経済・雇用を守るためにオーナー経営者に与えられた税制上の優遇措置です。
国は、企業が事業を続けて、地域の雇用と経済を守ってくれることを期待して優遇措置を設けているので、贈与申告日の翌日から5年間は事業が継続されているかをモニタリングする期間とされています。
このモニタリング期間は「経営承継期間」「事業継続期間」などといわれ、この5年間は毎年、都道府県に「年次報告書」、税務署に「継続届出書」を提出しなければなりません。
「年次報告書」は事業承継税制の適用を受けた後、5年間の経営承継期間中、「納税猶予のルールを守って会社を経営しています」を都道府県知事に報告する書類です。
取り消し事由に該当しないことが確認されると、都道府県から「確認書」が送付されます。
「継続届出書」とは、「引き続き納税猶予の要件を満たしているので、今年も納税を猶予してください」と税務署長に対してお願いする書類です。
事業承継税制において、納税を猶予しているのは税務署です。
そのため、最終的に税務署に対してこの書類を出さないと、猶予が取り消されてしまいます。
都道府県から送付された確認書の写しを添えて税務署に納税猶予の「継続届出書」を提出します。
5年経過後は3年ごとの継続届出書のみ
5年経過後は、3年ごとに税務署へ継続届出書を提出します。
一代目に相続が発生したとき
一代目に相続が発生すると、猶予されていた贈与税は免除となります。
贈与された株は相続により取得したものとみなされて、相続税の計算対象となりますが、一代目が亡くなった翌日から8か月以内に都道府県へ「切替確認」を行うと、贈与税から相続税の納税猶予に切り替えることができます。
このとき猶予された相続税は、二代目が三代目にこの事業承継税制を適用して株を贈与したとき、二代目に相続が発生したときなどに免除されます。
入口が特例事業承継税制ならそのあともずっと
令和9年12月31日までに特例事業承継税制で生前贈与を行えば、その後に何年が経過して(例えば令和10年以降や、はるか未来に)贈与者が亡くなったとしても、要件を満たしていれば100%猶予を引き続き受けることができます。
スタートは相続でも可能だが
特例事業承継税制を適用するにあたり、贈与からではなく相続から適用することも可能です。
相続からスタートする場合、特例承継計画の確認申請と経営承継円滑化法に基づく都道府県知事の認定申請を同時に行うことができます。
とはいうものの、特例事業承継税制でスタートが相続だと、令和9年12月31日までに相続が開始しないと適用ができません。
特例事業承継税制を使いたいのであれば、相続が開始したのではない限り贈与からスタートするのが確実です。
VSG相続税理士法人は認定経営革新等支援機関です。
特例事業承継税制を適用するにあたり最初のステップである特例承認計画の作成のサポートから株価評価シミュレーション、贈与の実行・申告、相続への切替までしっかりサポートいたします。
特例事業承継税制に興味はあるけれど、制度がよくわからない方や適用できるか不安という方はぜひ当社へご相談ください。

