記事の要約
- 相続順位とは、民法で定められた相続人になる順番のこと。配偶者は常に相続人で、血族は第1順位(子ども)・第2順位(父母など)・第3順位(兄弟姉妹)の順に決まります
- 相続割合(法定相続分)は、相続人の組み合わせで変わります。早見表と家族構成別の例で、ご自身のケースを確認できます
- 相続順位が動くケース(代襲相続、相続放棄)や、判定に迷う人(前妻・前夫との子ども、内縁、養子など)、順位が相続税に与える影響まで整理します
「父が亡くなったけれど、結局だれが相続人になるのだろう」「亡くなった人の兄弟姉妹や前妻・前夫との子どもにも相続権があるの?」――相続が始まったとき、最初につまずきやすいのが「相続順位」の判断です。
相続人を1人でも見落としたまま手続きを進めると、後から遺産分割協議をやり直したり、相続税申告の修正が必要になったりする可能性があります。
この記事では、法定相続人の順位と割合を家族構成別に整理し、代襲相続や相続放棄、前妻・前夫との子ども、養子・連れ子がいる場合の考え方まで図と表でわかりやすくお伝えします。法定相続人の数と相続税の関係も紹介するため、まずは30秒の判定チャートで、ご自身のケースを確認してみましょう。
目次
相続順位を30秒で確認|あなたのケース判定チャート
まずは、ご自身の家族構成で「だれが法定相続人になるか」を確認してみましょう。
相続人は、最初に法律上の配偶者の有無を確認し、その後、子、父母・祖父母、兄弟姉妹の順に血族相続人を確認します。

STEP1 法律上の配偶者はいますか?
- いる場合:配偶者は、血族の相続順位とは別に常に相続人になります。そのうえで、STEP2以降で一緒に相続する血族を確認します。
- いない場合:STEP2以降で、最も順位の高い血族だけを確認します。
STEP2 子ども、または代襲相続する孫・ひ孫はいますか?
- いる場合:第1順位
- 配偶者がいる:配偶者と子ども・代襲相続人
- 配偶者がいない:子ども・代襲相続人のみ
- いない場合:STEP3へ
- ※
- 孫・ひ孫は、子どもが亡くなった人より先に亡くなっている場合などに、その子どもに代わって相続人になります。子どもが存命であれば、その子どもの子どもである孫は原則として相続人になりません。
STEP3 父母、または祖父母などの直系尊属はいますか?
- いる場合:第2順位
- 配偶者がいる:配偶者と直系尊属
- 配偶者がいない:直系尊属のみ
- いない場合:STEP4へ
- ※
- 父母と祖父母がともに存命の場合は、亡くなった人に近い世代である父母が優先されます。
STEP4 兄弟姉妹、または代襲相続する甥・姪はいますか?
- いる場合:第3順位
- 配偶者がいる:配偶者と兄弟姉妹・代襲相続人
- 配偶者がいない:兄弟姉妹・代襲相続人のみ
- いない場合
- 配偶者がいる:配偶者のみ
- 配偶者もいない:該当者なし
先順位の血族相続人が1人でもいれば、後順位の人は原則として相続人になりません。
次から、各順位に含まれる人の範囲と法定相続分を詳しく見ていきましょう。
【一覧】法定相続人の順位と相続割合
相続人になれる人の範囲と順位は、民法887条、889条、890条で定められています。
亡くなった人の親族であれば、だれでも遺産を相続できるわけではありません。相続人には、法律上の配偶者と血族の相続人がいます。配偶者は血族の順位に関係なく常に相続人になり、血族は子ども、父母・祖父母(直系尊属)、兄弟姉妹の順に優先されます。

たとえば、亡くなった人に子どもがいれば、父母や兄弟姉妹は相続人になりません。子どもがいなくても父母が存命であれば、兄弟姉妹は相続人になりません。
また、相続人の組み合わせによって、民法で定められた遺産取得割合である「法定相続分」も変わります。
法定相続分どおりに遺産を分ける義務はなく、相続人全員が合意すれば、異なる割合で分けることも可能です。遺言書がある場合は、原則として遺言内容に従って遺産を分けます。
ただし、兄弟姉妹とその代襲相続人を除く法定相続人には遺留分が認められているため、遺言書で特定の人に財産を集中させる場合は注意が必要です。
配偶者は常に相続人
亡くなった人の配偶者は、他の相続人がだれであっても、常に相続人になります(民法890条)。
ここでいう配偶者は、婚姻届を提出している法律上の夫または妻に限られます。 内縁関係や事実婚のパートナー、すでに離婚した元配偶者は法定相続人になりません。
内縁のパートナーへ財産を残したい場合は、遺言書で遺贈先を指定する、生命保険金の受取人に指定するといった生前対策が必要です。
第1順位は子と代襲相続する孫・ひ孫
配偶者以外でもっとも優先されるのは、亡くなった人の子どもです(民法887条)。子どもが複数いる場合は、全員が相続人となります。
子どもが亡くなった人より先に亡くなっている場合は、その子どもの子どもである孫が代わりに相続人となります。これを「代襲相続」といいます。孫も先に亡くなっている場合は、ひ孫というように、下の世代へ代襲相続が続きます。
子どもであれば、実子と養子で相続順位に違いはありません。また、婚姻関係にない父母の間に生まれ、父から認知された子どもも、ほかの子どもと同じ順位・法定相続分を持ちます。
第2順位は父母・祖父母などの直系尊属
第1順位の子どもや孫、ひ孫などがいない場合は、亡くなった人の父母などの直系尊属が相続人となります(民法889条)。
直系尊属とは、父母、祖父母、曾祖父母など、自分より前の世代に直線的につながる親族です。父母と祖父母がともに存命の場合は、亡くなった人に近い世代である父母が優先されます。父母がともに亡くなっており、祖父母が存命であれば、祖父母が相続人になります。
なお、配偶者の父母(義父母)は、亡くなった人の直系尊属ではありません。義父母と養子縁組をしているなどの場合を除き、義父母が第2順位の相続人になることはありません。
第3順位は兄弟姉妹と代襲相続する甥・姪
第1順位も第2順位もいない場合は、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となります(民法889条)。
兄弟姉妹が亡くなった人より先に亡くなっている場合は、その兄弟姉妹の子どもである甥・姪が代わりに相続人となります。ただし、兄弟姉妹の代襲は甥・姪までで、甥・姪の子どもには引き継がれません。この点は、下の世代までずっと続く子どもの代襲相続とは異なります。
相続順位ごとの法定相続分
相続人の組み合わせによって、民法で定められた法定相続分は次のように変わります。

同じ順位の相続人が複数いる場合は、その順位に割り当てられた相続分を、人数で均等に分けます。
たとえば、配偶者と子ども2人が相続人の場合、配偶者の法定相続分は2分の1です。子どもは残りの2分の1を2人で分けるため、それぞれ4分の1となります。
なお、父母の一方だけを同じくする兄弟姉妹の法定相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1です。
家族構成ごとの詳しい相続割合や具体的な計算例は、次の関連記事をご参照ください。
代襲相続や相続放棄がある場合の相続順位
本来相続人になるはずだった人が先に亡くなっている場合や、相続放棄をした場合は、相続人になる人が変わります。
特に注意したいのは、先に亡くなっている場合は代襲相続が起こることがある一方、相続放棄では代襲相続が起こらない点です。まずは全体像を表で確認しましょう。
| ケース | 代襲相続 | 相続権の移り方 |
|---|---|---|
| 子どもが先に死亡 | 孫・ひ孫が代襲する | その孫などが相続人になる |
| 子どもが相続放棄 | 孫は代襲しない | 全員放棄で第2順位へ移る |
| 兄弟姉妹が先に死亡 | 甥・姪が代襲する(一代限り) | その甥・姪が相続人になる |
| 兄弟姉妹が相続放棄 | 甥・姪は代襲しない | 同順位の間で調整される |
子や兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は代襲相続が起こる
本来の相続人が、亡くなった人よりも先に亡くなっている場合、その人の子どもが代わりに相続人になるのが代襲相続です。
- 第1順位の子どもが先に亡くなっている場合:孫が代襲相続する
- 孫も先に亡くなっている場合:ひ孫へと代襲相続が続く
- 第3順位の兄弟姉妹が先に亡くなっている場合:甥・姪が代襲相続する(甥・姪の子どもには引き継がれない)
なお、先に亡くなっている場合だけでなく、相続欠格や相続人廃除によって相続権を失った場合も、その人の子どもが代襲相続します。
先順位の相続人全員が放棄すると次の順位へ移る
相続人は、財産や借金を引き継がないために相続放棄を選ぶことができます。相続放棄をした人は、その相続について初めから相続人ではなかったものとして扱われます(民法939条)。
そのため、同じ順位の相続人のうち一部だけが放棄した場合は、残った相続人が相続します。
たとえば、子どもが3人いるうち1人だけが相続放棄した場合は、残りの子ども2人が第1順位の相続人です。放棄した人の子どもである孫が、代わりに相続人になることはありません。
第1順位の相続人全員が相続放棄すると、第2順位の父母・祖父母などの直系尊属が相続人になります。第2順位の相続人全員も相続放棄すると、第3順位の兄弟姉妹へ相続権が移ります。
ただし、配偶者は血族相続人とは別枠です。子ども全員が相続放棄しても、配偶者が放棄していなければ、配偶者は引き続き相続人となり、第2順位の父母などと一緒に相続します。
相続放棄は、原則として、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。
遺産分割協議で「財産を受け取らない」と決めることと、家庭裁判所で相続放棄をすることは異なります。遺産を受け取らない合意をしただけでは、法律上の相続人であることに変わりはなく、亡くなった人の借金を引き継ぐ可能性があります。
この人は相続人になる?○×早見表
実際の相続では、「この人も相続人に入るのだろうか」と判断に迷うことがあります。
相続人になるかどうかは、一緒に暮らしていたか、名字が同じかではなく、亡くなった人との法律上の婚姻関係や親子関係をもとに判断します。代表的なケースを見てみましょう。

前婚の子・認知した子
親が離婚や再婚をしても、子どもと親の関係は原則として変わりません。そのため、前の結婚でもうけた子どもも、第1順位の相続人になります。
また、結婚していない相手との間に生まれた子どもも、認知されていれば実子と同じ扱いです。相続順位も相続割合も、他の子どもと変わりません。
相続開始後の戸籍調査で、家族が把握していなかった認知された子どもの存在が判明することもあるため、相続人の確認は慎重に行う必要があります。
内縁の配偶者・連れ子・養子
内縁・事実婚のパートナーは、どれだけ長く連れ添っていても相続人にはなりません。財産を残すには、遺言書での遺贈や、生命保険金の受取人に指定するといった生前の対策が必要です。
再婚相手の連れ子も、そのままでは相続人になりません。相続人にするには、養子縁組をする必要があります。
養子は、養子縁組をしていれば実子と同じ第1順位です。普通養子は実の親と養親の両方の相続人になりますが、特別養子は実親との関係が終了するため、養親のみの相続人になります。
甥・姪・いとこ・胎児
甥・姪は、第3順位の兄弟姉妹が先に亡くなっている場合に、代襲相続人として相続人になります。一方で、いとこは法定相続人の範囲に含まれないため、相続人にはなりません。
おなかの中の胎児は、すでに生まれたものとして扱われ、生きて生まれれば第1順位の相続人になります。ただし、死産だった場合は、はじめから相続人でなかったものとされます。
そのため、妊娠中に夫が亡くなった場合などは、胎児も相続人として考慮する必要がありますが、生まれるまで胎児の相続権は確定しないため、遺産分割協議は出生後に行います。
相続順位と相続税の関係
だれが相続人になるかは、相続税の計算にも影響します。
特に注意したいのが、民法上の相続人と、相続税の計算で用いる「法定相続人の数」が一致しない場合があることです。相続放棄をした人や養子がいる場合は、実際に財産を相続する人だけを見て相続税の基礎控除額を計算すると、誤る可能性があります。
相続税の基礎控除額は、次の式で計算します。
相続税の基礎控除額
正味の遺産額(課税価額)が基礎控除額以下であれば、相続税の申告・納税は必要ありません。
相続放棄があっても基礎控除は放棄前の人数で計算する
相続放棄をした人は、民法上、その相続について初めから相続人ではなかったものとして扱われます。
一方、相続税の基礎控除額を計算するときは、相続放棄がなかったものとして法定相続人の数を数えます。
たとえば、亡くなった人に配偶者と子ども3人がおり、子ども3人全員が相続放棄したとします。亡くなった人の父母が存命であれば、民法上の相続人は配偶者と父母です。
しかし、相続税の計算で用いる法定相続人は、配偶者と、相続放棄をした子ども3人の合計4人になります。
したがって、基礎控除額は次のとおりです。
相続税の基礎控除額
民法上の相続人である配偶者・父・母の3人で計算し、4,800万円とするわけではありません。「実際にだれが財産を取得するか」と「相続税の計算で何人と数えるか」は、分けて確認する必要があります。
養子がいる場合は法定相続人数の算入制限に注意する
養子も第1順位の相続人ですが、相続税の基礎控除額などを計算する際に、法定相続人の数へ含められる養子の人数には、次の制限があります。
- 実子がいる場合:養子は1人まで
- 実子がいない場合:養子は2人まで
たとえば、亡くなった人に実子1人と普通養子2人がいる場合、民法上は3人全員が第1順位の相続人です。
しかし、相続税の基礎控除額を計算する際に人数へ含められる養子は、原則として1人までです。そのため、法定相続人の数は、実子1人と養子1人の合計2人として計算します。
なお、特別養子縁組による養子や、配偶者の実子を養子にした場合など、相続税法上も実子として扱われ、この人数制限を受けない養子もいます。詳しくは、次の関連記事をご参照ください。
兄弟姉妹・甥姪などが相続すると相続税が2割加算になる
相続や遺贈で財産を受け取った人が、亡くなった人の配偶者・子ども・父母(一親等の血族)以外である場合、その人の相続税額は2割加算されます。
2割加算の対象になる人・ならない人は、次のようになります。

- 兄弟姉妹(第3順位)、甥・姪
- 遺言で財産を受け取った孫(代襲でない)
- 孫を養子にした「孫養子」(代襲でない)
- 配偶者
- 子ども(第1順位)
- 父母(第2順位)
- 代襲相続人になった孫
たとえば、子どもや父母がおらず兄弟姉妹が相続人になるケースでは、 その兄弟姉妹の相続税は2割加算されます。また、亡くなった人の孫を養子にした「孫養子」も2割加算の対象です。一方で、亡くなった子どもに代わって相続する代襲相続人の孫は、2割加算の対象にはなりません。
このように、だれが相続人になるかで税負担が重くなることがあります。反対に、負担が大きく軽くなる制度もあります。その代表が「配偶者の税額軽減」です。配偶者が受け取る遺産のうち1億6,000万円、または法定相続分相当額のいずれか多い金額までは、相続税がかかりません。ただし、この軽減は配偶者だけの制度で、兄弟姉妹などには適用されません。
順位によって相続税の負担が変わるため、兄弟姉妹相続など税額が気になるケースでは、早めに専門家へ相談すると安心です。
順位を把握したら戸籍で相続人を確定する
相続順位のルールがわかったら、次は「実際にだれが法定相続人か」を戸籍で確認します。ここが相続手続きの出発点です。
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を確認する
法定相続人を確定するには、亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍を集めます。結婚や転籍、戸籍の改製によって複数の戸籍に分かれていることがあるため、出生から死亡までの身分関係が途切れずにつながるように取得します。
戸籍を集めることで、家族が把握していなかった認知した子どもや養子縁組が見つかることもあります。相続人を1人でも見落とすと、遺産分割協議や相続税申告をやり直すことになりかねないため、正確な確認が欠かせません。
なお、集める戸籍の範囲は相続順位によって変わります。特に第3順位の兄弟姉妹が相続人になるケースでは、亡くなった人に子どもや父母がいないことを戸籍でさかのぼって確認する必要があり、収集範囲が広くなります。相続人の人数も増えやすいため、早めに調査を始めると安心です。
法定相続情報一覧図を作ると手続きを進めやすい
集めた戸籍をもとに、相続人の関係を1枚にまとめた「法定相続情報一覧図」を作っておくと、その後の手続きがスムーズになります。
法務局で認証を受けた一覧図は、銀行や法務局での相続手続きで戸籍の束の代わりに使えるため、何度も戸籍一式を提出する手間を減らせます。
なお、確定した相続人で不動産の名義を変える相続登記は、2024年4月から義務化されました。正当な理由なく放置すると過料の対象になることもあるため、注意が必要です。くわしくは相続登記の記事をご確認ください。
まとめ|相続順位に迷ったら家族関係と戸籍を確認しよう
今回は、相続順位の基本ルールと家族構成別の相続割合、判定に迷うケースや相続税との関係、そして戸籍で相続人を確定する流れまでをお伝えしました。
相続順位は、配偶者と第1順位~第3順位の血族相続人によって決まります。代襲相続や相続放棄、前婚の子ども、養子などが関係すると判断が複雑になるため、最終的には戸籍で確認することが重要です。
- 配偶者は血族の順位に関係なく、常に相続人になる
- 血族相続人は、第1順位の子ども、第2順位の父母、第3順位の兄弟姉妹の順に決まる
- 正式な法定相続人は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を確認して確定する
特に、次のようなケースは相続関係が複雑になりやすいため、早めに専門家へ相談すると安心です。
- 前妻・前夫との子ども、認知された子ども、養子がいる
- 兄弟姉妹や甥・姪まで相続人になる
- 相続人に行方不明の人や、連絡が取れない人がいる
- 遺産額が相続税の基礎控除額を超える可能性がある
VSG相続税理士法人では、相続人の確認から相続税申告まで、相続に関するご相談を無料で受け付けています。相続順位や手続きに迷った場合は、お気軽にご相談ください。
このようなお悩みがある方は、まずはお気軽にご相談ください。


