記事の要約
- 相続人調査は、相続人を漏れなく確定させる作業で、相続手続きの出発点
- 調査の流れは「相続人の決まり方を把握 → 親族関係を書き出す → 戸籍で確定」が基本
- 調査でミスがあると、「遺産分割協議」や「相続税の計算」がやり直しになる
「相続手続きを進めるには、相続人調査というものが必要らしい。でも、何を・どうやって調べればいいの?」
このような疑問をお持ちの方に向けて、本記事では「相続人調査の進め方」をわかりやすくお伝えします。
なお、VSG相続税理士法人では、相続に関するお悩みに無料でお答えしています。何かお困りのことがあれば、下記からお気軽にご連絡ください。
目次
相続人調査の進め方

相続人調査は、「相続人を漏れなく確定させ、戸籍で証明する」作業です。
具体的には、次の5ステップで進めます。
以下では、下記のような「父親が亡くなり、相続人に母親・長男・長女がいるケース」を例に、調査の進め方を見ていきます。

ステップ1:相続人の決まり方を把握する

まずは、相続人の決まり方のルールを押さえておきましょう。
「誰が相続人になるのか」は、法律で下記のように定められています。
- 配偶者は、常に相続人となる
- 配偶者以外の人は、「子ども → 直系尊属(父母など)→ 兄弟姉妹」の順に相続人となる
- 相続人になるはずだった「子ども」や「兄弟姉妹」がすでに亡くなっているときは、その子ども(孫やおい・めい)が代襲相続する

この相続人が決まるルールについては、下記の記事で詳しくお伝えしているので、ぜひ併せてご覧ください。
ステップ2:親族関係を書き出す

相続人が決まるルールを把握できたら、ご自身が把握している範囲で、故人の親族関係を書き出してみましょう。
手書きでも構わないので、次の手順を参考にしながら、「家系図」を書いてみてください。
- 紙の中央に故人の名前を書く
- 故人の横に「配偶者」の名前を書き、二重線で結ぶ
- 故人と配偶者の下に「子ども」の名前を書き、線で結ぶ
- 故人の上に「父母」の名前を書く
- 故人の横に「兄弟姉妹」の名前を書く
- すでに亡くなっている親族の名前に「亡」などの印を付ける
家系図が書けたら、ステップ1でお伝えした「相続人が決まるルール」に当てはめて、「相続人になりそうな人」に〇などの印を付けましょう。
今回のケースでは、故人の配偶者である「花子さん」と、子どもの「一郎さん」「優子さん」に印が付きます。

ただし、ここで印を付けた方は、あくまで「今わかっている情報」をもとにした「相続人の候補」にすぎません。
もしかしたら、「家族の誰も知らなかった、前妻との子どもがいた」などの可能性もあります。
そこで、次に「戸籍謄本」を確認して、ここで印を付けた方が相続人であることを確定させます。
ステップ3:戸籍謄本を取得する

ここでは、相続人を確定させるために戸籍謄本を取得します。
具体的に集める戸籍謄本は、次の2種類です。
| 戸籍 | 取得する理由 |
|---|---|
| 故人の「出生から死亡まで」の戸籍 | 相続人を漏れなく確認するため |
| 相続人全員の「現在」の戸籍 | 相続人が健在で、故人とどのような関係かを証明するため |
故人の戸籍謄本を「出生から死亡まで」すべて集めるのは、最新の戸籍だけでは、相続人を把握しきれないことがあるからです。
たとえば、「過去に認知した婚外子」や「前の結婚での子ども」がいる場合、その情報は最新の戸籍には記載されていないことがあります。
そこで、故人が生まれたときからの戸籍をたどることで、こうした「見落としやすい相続人」も漏れなく確認できます。
今回のケースで取得すべき戸籍を整理すると、次のとおりです。
| 対象者 | 必要な戸籍 |
|---|---|
| 父親(亡くなった方) | 出生から死亡までの戸籍 |
| 母親 | 不要(父親の戸籍に含まれるため) |
| 長男 | 現在の戸籍 |
| 長女 | 現在の戸籍 |
なお、戸籍謄本は「広域交付制度」を活用することで、本籍地以外の役場の窓口でもまとめて取得できます※1。
戸籍謄本の効率的な集め方は、下記の記事でお伝えしているので、併せてご覧ください。
- ※1
- ただし、広域交付制度で請求できるのは「本人・配偶者・直系の親族」の戸籍に限られる
ステップ4:戸籍謄本で相続人を確定させる

戸籍が集まったら、ステップ2で書き出した「家系図」と突き合わせて、相続人に漏れがないかを確認しましょう。
なお、次のようなケースでは、確認が必要な戸籍の範囲がさらに広がります。
| ケース | 確認事項 |
|---|---|
| 代襲相続が発生している | 「本来の相続人の出生から死亡までの戸籍」を見て、代わりに相続する子ども(孫など)を確定させる |
| 故人の兄弟姉妹が相続人になる | 「故人の父母の出生から死亡までの戸籍」を見て、兄弟姉妹が何人いるかを確定させる |
ここで、想定していなかった相続人がいたことが発覚した場合には、その方の戸籍謄本も追加で取得し、故人との関係を確認します。
ステップ5:法定相続情報一覧図を作成する

相続人を確定できたら、「法定相続情報一覧図」に情報をまとめておくと、その後の手続きがスムーズになります。
法定相続情報一覧図とは、下記のような「故人と相続人の関係をまとめた図」です。

法定相続情報一覧図は、各種の相続手続きで「戸籍謄本の束」の代わりに使えます。
また、必要な枚数を無料で発行してもらえることから、複数の手続きを同時に進めたいときにも便利です。
法定相続情報一覧図について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
相続人調査でミスがあったときに起こる問題

相続人調査でミスがあると、下記のような問題が起こるおそれがあります。
以下では、それぞれについて詳しく見ていきます。
問題1:遺産分割協議がやり直しになる

誰が・どの財産を引き継ぐかを話し合う「遺産分割協議」は、相続人全員が参加していなければ無効です。
そのため、相続人を1人でも見落としていると、遺産分割協議を最初からやり直すことになります。
以上のことから、相続人調査を正しく行い、「誰が相続人になるのか」を確定させてから、遺産分割協議をするようにしましょう。
問題2:相続手続きが進められない

「不動産の名義変更(相続登記)」や「銀行口座の解約・払い戻し」などの手続きでは、相続人を証明するために「戸籍一式」の提出を求められます。
そのため、調査の過程で「取り忘れていた戸籍謄本」があると、これらの手続きを進められません。
相続人調査では「相続人を確定させること」はもちろん、「手続きに必要な戸籍謄本を漏れなく集める」ことも重要です。
問題3:相続税の計算がズレる

この基礎控除の金額は、下記の式のように「相続人の数」によって変動します。
計算式
もし相続人に見落としがあると、この基礎控除額が変わり、相続税の計算もやり直しになってしまいます。
このように、相続人調査のミスは、相続税の申告にも影響します。
相続人調査は自分でできる?専門家に頼むべき?

相続人調査は、特別な資格がなくても、ご自身で行うことが可能です。
ただし、下記のような要因から、実際にやってみると思った以上に手間と時間がかかります。
- 平日の日中に、役場へ行く必要がある
- 集めるべき戸籍謄本の通数が意外と多い
- 古い戸籍は手書きのことがあり、読み解きにくい
そこで、「自分で進めるのは大変そうだ」と感じたら、専門家を頼るのもひとつの方法です。
特に「相続税の申告」や「不動産の名義変更(相続登記)」など、ほかにも専門家に頼む手続きがある場合は、相続人調査もまとめて任せてしまうと、全体の手続きがスムーズに進みます。
私たちVSG相続税理士法人では、「相続人調査・相続税の申告・相続登記」をワンストップで任せていただくことも可能です。
当事務所のサービスにご興味のある方は、下記からお気軽にご連絡ください。
相続人調査に関するよくある質問
Q1:相続人調査は、いつまでに終わらせるべき?
Q2:相続人調査の費用はどれくらいかかる?
Q3:相続放棄した人も、相続人調査の対象になる?
まとめ|相続人調査は早めに終わらせましょう
この記事では、相続人調査の進め方をお伝えしました。
- 相続人調査は、相続人を漏れなく確定させる作業で、相続手続きの出発点
- 調査の流れは「相続人の決まり方を把握 → 親族関係を書き出す → 戸籍で確定」が基本
- 調査でミスがあると、「遺産分割協議」や「相続税の計算」がやり直しになる
相続人調査は、相続関連の手続きの出発点です。
この調査が完了しないと、ほかの手続きのスケジュールが後ろにずれ込んでしまいます。
特に「相続税の申告」が必要な場合は、相続人調査に手間取っていると、期限に間に合わなくなるおそれがあります。
そこで、「自分で進めるのは大変そう」と感じられた方は、相続専門の税理士に相談してみましょう。
私たちVSG相続税理士法人では、相続に関するご相談を無料で受け付けております。
「相続人調査」から「相続税の申告」まで、あなたの状況に合わせて丁寧にサポートいたしますので、ぜひお気軽にご連絡ください。


