最終更新日:2026/9/7
株式会社とは?株主や取締役のしくみ・他の会社との違い・メリットなどを解説

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
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- 株式会社の基本的なしくみ
- 株主・取締役・代表取締役の違い
- 株式会社と他の会社・個人事業主との違い
- 株式会社を設立するメリットとデメリット
株式会社とは、会社法上の会社形態の1つで、株式を発行できるのが特徴です。
株式会社に出資した人は「株主」となり、会社の所有者として議決権や配当を受ける権利を持っています。一方、実際の経営は、株主から委任された取締役や代表取締役が行います。
株式会社は、社会的信用が高く、融資・採用・大手企業との取引・将来的な出資の受け入れに向いている一方、設立費用や決算公告・役員変更登記などのコストが大きくなります。
この記事では、株式会社の基本的なしくみ、他の会社や個人事業主との違い、メリット・デメリット、株式会社を選ぶ人の傾向などを解説します。


目次
株式会社とは?
株式会社の出資者は、株式を取得して株主になります。株主は会社の所有者であり、株主総会を通じて会社の重要事項を決めます。基本的に、株主から選任された取締役が経営判断を行います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社の所有者 | 株主 |
| 経営を行う人 | 取締役 |
| 会社を代表する人 | 代表取締役 |
| 出資者の責任 | 原則として出資額の範囲まで |
| 資金調達 | 株式発行、融資など |
| 最低資本金 | 法律上の最低額は1円 |
| 設立できる最低人数 | 取締役会を設置しない場合:1人 取締役会を設置する場合:4人 →取締役3人、監査役1人(非公開社の場合、会計参与を置けば監査役は不要) |
株式を発行して資金を集める会社形態
株式とは、株式会社の所有権を表すものです。株式会社は株式を発行してその引受人の出資を受け、設備投資、仕入れ、人材採用、広告などの事業資金に充ててビジネスを行います。
金融機関からの融資であれば返済が必要ですが、株式による出資は原則として返済する必要がありません。出資者となる株主には、剰余金(利益)の配当を受ける権利や株主総会での議決権などが与えられます。
ただし、すべての株式会社が不特定多数の人から資金を集めるわけではありません。中小企業では、創業者が全株式を保有し、経営も自身で行うケースも多くあります。
株式会社は「所有」と「経営」が分離している
株式会社には、会社を所有する出資者(株主)と、株主から委任されて会社を経営する取締役が存在します。両者が分かれていることを、所有と経営の分離といいます。
株主は、株主総会で取締役を選任し、定款変更や組織再編などの会社の重要事項を決議します。取締役は、株主から経営を任され、事業方針や資金計画、人事などの経営判断をします。
ただし、必ず別の人が所有と経営を担うわけではありません。1人の創業者が株主、取締役、代表取締役を兼ねる一人会社(いちにんがいしゃ)は、その代表例です。
株式会社に関連する用語を解説
株式会社のしくみを理解するには、株式、株主、株主総会、取締役などの役割を区別することが大切です。ここで、株式会社に関する用語を整理しましょう。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 株式 | 株式会社に出資した人の権利を表すもの |
| 株主 | 株式を持ち、会社に出資している人または法人 |
| 株主総会 | 株主が会社の重要事項を決議する機関 |
| 議決権 | 株主総会の決議に参加する権利 |
| 資本金 | 株主などが会社に出資した財産を基礎とする金額 |
| 取締役 | 会社の経営を担う役員 |
| 代表取締役 | 会社を代表して契約などを行う権限を持つ取締役 |
株式
株式は投資の対象というイメージがあるかもしれません。
確かに公開株は投資対象として認識されていますが、株式は本来、出資者である株主の地位や権利を表すものです。株主は、保有する株式の数に応じて、議決権や配当を受ける権利などを持っています。
非上場の中小企業でも、株式会社であれば株式は存在します。非公開会社の株式は、上場会社のように市場で自由に売買できません。
株主
株主とは、会社に出資して株式を引き受けた人または法人です。株式会社の所有者であるため、株主総会で議決権を行使できます。
また、株式会社での株主の責任は、原則として出資した金額の範囲に限られます。もし、会社に多額の債務が生じても、株主が会社の債務を負担するわけではありません。
ただし、経営者個人が融資の連帯保証人になった場合や、違法行為による責任を負う場合などは別です。
株主総会
株主総会は、株主で構成される株式会社の最高意思決定機関です。取締役の選任・解任、役員報酬の決定、定款変更、合併や解散など、会社の重要事項を決議します。
もちろん、一人会社であっても株主総会の手続きは必要です。1人だけで決議する場合も、決議内容を記録した株主総会議事録を作成・保存します。
議決権
議決権とは、株主が株主総会の決議に参加する権利のことです。株主は、原則として保有する株式数が多いほど多くの議決権を持っています。出資比率がそのまま経営上の意思決定に大きく影響するということです。
中小企業においても、同じ数の議決権を持つ株主同士で意見が対立すると、大切な決議ができなくなる可能性があるため、株主構成は設立前に慎重に検討しましょう。
資本金
資本金とは、発起人が会社に出資した財産やお金のことです。発起人は、会社設立後は原則そのまま株主になります。
資本金は法律上1円から認められますが、資本金が少なすぎると、開業直後の支払いに対応できず、取引先や金融機関から事業の継続性を懸念される可能性があります。
また、資本金の額によって税務上の取り扱いや設立時の費用が変わることもあります。必要な運転資金、許認可の要件、税務への影響を確認して決めることが重要です。
取締役
取締役は、株式会社の経営を担っている会社法上の役員です。取締役は株主から委任されて会社の経営判断を行います。
また、取締役には任期があります。一般的な任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終の定時株主総会の終結時までです。
ただし、すべての株式に譲渡制限がある非公開会社であれば、定款に記載することで最長10年まで任期を延長できます。
代表取締役
代表取締役は、会社を代表する権限を持つ取締役です。取締役と代表取締役の違いは、会社の代表権の有無です。
代表取締役は会社名義で契約を締結し、金融機関や行政機関への手続きなどを行います。
また、日常的に使われる「社長」は法律上の役職名ではありませんが、社内で社長と呼ばれる人は、登記上の代表取締役であることが多いです。
株式会社のしくみをわかりやすく解説
株式会社では、株主が会社の重要事項を決め、株主から委任された取締役が実際の経営を行います。会社の規模や株式の譲渡制限の有無により、取締役会や監査役などが必要かも変わります。
株主・取締役・代表取締役の関係
株式会社の株主、取締役、代表取締役の関係は、次のように整理できます。
| 株主 | 取締役 | 代表取締役 | |
|---|---|---|---|
| 立場 | 会社の所有者 | 会社を経営する役員 | 会社を代表する取締役 |
| 役割 | 出資や重要事項の決定 | 経営方針の決定や業務執行 | 取締役としての役割に加え、会社を代表した契約や業務執行 |
| 持っている権利・権限 | 議決権や配当を受ける権利 | 経営に関する権限 | 会社を代表する権限 |
| 選ばれ方 | 出資して株式を取得する | 原則として株主総会で選任される | 取締役の中から選定される |
| 会社経営への関わり方 | 株主総会を通じて関わる | 日常的な経営判断に関わる | 経営を行い、対外的に会社を代表する |
| 同じ人が兼ねられるか | 取締役や代表取締役と兼任可能 | 株主や代表取締役と兼任可能 | 株主や取締役と兼任可能 |
株主は会社の所有者ですが、会社経営を行う取締役とは別です。取締役は株主から委任されて経営を担う立場であり、株式を持っていなければ会社の所有者ではありません。
この区別は、株式会社のしくみを理解するためにとても重要です。
1人で株主・代表取締役になることも可能
株式会社は1人でも設立できます。つまり、株主1人、取締役1人という形での運営もできます。
一人会社は俗にマイクロ法人と呼ばれることもあり、1人の株主が全株式を所有し、自分が代表取締役になるという形です。
1人での運営は可能ですが、株式会社としての手続きは省略できません。株主総会議事録の作成、決算・税務申告、社会保険の手続き、登記事項に変更が生じた際の変更登記などが必要です。
株式会社と他の会社形態との違い
設立できる会社は、株式会社だけではありません。会社設立をする際には、最初から「株式会社しかない」と決めつけずに、合同会社・合名会社・合資会社、個人事業主などの特徴を比較し、事業計画に合う形態を選ぶ必要があります。
ここでは、株式会社と他の会社の形態を比較します。
株式会社と合同会社の違い
合同会社は、出資者となる社員が原則として経営も行うという会社形態です。株式会社のように所有と経営が分離されていません。
株式会社と合同会社の違いをまとめると、下表のようになります。
| 株式会社 | 合同会社 | |
|---|---|---|
| 所有と経営 | 原則として分離 | 原則として一致 |
| 出資者 | 株主 | 社員 |
| 定款認証 | 必要 | 不要 |
| 登録免許税の最低額 | 15万円 | 6万円 |
| 役員の任期 | あり | 原則としてなし |
| 決算公告 | 必要 | 原則として不要 |
| 株式発行 | できる | できない |
| 上場 | 可能 | できない |
合同会社は、株式会社より設立費用を抑えやすく、利益配分や経営方法を柔軟に定められます。一人会社や家族経営、外部出資や上場を予定していない事業に向いています。
株式会社と個人事業主の違い
株式会社は法人格を持っているため、会社と経営者個人が法律上別の存在として扱われます。個人事業主は、個人がそのまま事業主体となります。
株式会社と個人事業主の大きな違いは以下のとおりです。
| 株式会社 | 個人事業主 | |
|---|---|---|
| 法人格 | あり | なし |
| 開業費用 | 設立費用が必要 | 開業手続きは原則無料 |
| 責任 | 株主は原則として有限責任(出資した株式の範囲内) | 事業上の債務を個人が負う |
| 税金 | 法人税など | 所得税など |
| 社会保険 | 法人事業所は原則加入 | 業種や従業員数などで異なる |
| 会計・申告 | 法人決算・法人税申告 | 所得税の確定申告 |
| 事業承継 | 株式の承継などが可能 | 資産や契約を個別に承継することがある |
個人事業主は、費用と手続きを抑えて事業を始めたい人に向いています。株式会社とは法人格の有無や申告の方法などが異なります。
株式会社と合名会社・合資会社との違い
合名会社と合資会社は、合同会社と同じ持分会社に分類されます。株式会社と両者との違いは、基本的に株式会社と合同会社との違いと同様です(所有と経営の分離/一致など)。
さらに細かく見ると、出資者・社員が負う責任の範囲が、以下のように異なります。
- 合名会社:すべての社員が無限責任
- 合資会社:無限責任社員と有限責任社員で構成
- 株式会社・合同会社:すべての社員が有限責任(責任の範囲は出資額まで)
合名会社や合資会社は新しく設立される数が極端に少なく、以前に設立された会社をそのまま維持しているケースが多くなっています。
参考:会社及び登記の種類別 会社の登記の件数|政府統計の総合窓口
株式会社と有限会社の違い
有限会社は、新しく設立できません。2006年の新会社法施行により有限会社は廃止されました。ただし、以前から存在していた有限会社は「特例有限会社」として存続しています。
特例有限会社は、商号に「有限会社」を使うことができます。そして、役員の任期がないこと、決算公告義務がないことなど、通常の株式会社とは異なる特例があります。
株式会社のメリットとデメリット
株式会社には、信用力や資金調達の面でメリットがあります。一方で、法人設立後には事務負担や維持費も発生します。
メリットだけで判断せず、事業規模や将来計画と照らして検討しましょう。
株式会社のメリット
株式会社の主なメリットは、次のとおりです。
- 社会的信用を得やすい
- 株式による資金調達ができる
また、株式会社に限らず会社設立をするメリットとしては次のようなものがあります。
- 出資者が有限責任となる
- 法人名義で契約や資産管理ができる
- 採用や事業承継を進めやすい
まず、株式会社は広く知られている会社形態ですので、社会的な信用が高いという側面があります。また、株式を発行して出資を受けられる点も大きな特徴です。
ただし、外部出資を受け入れる場合は、経営への影響や持株比率を事前に検討する必要があります。
株式会社のデメリット
株式会社の主なデメリットは、次のとおりです。
- 合同会社より設立費用がかかる
- 決算公告が義務になる
- 役員の任期ごとに変更登記が必要になる
そして、会社設立自体のデメリットとしては次のようなものがあります。
- 赤字でも法人住民税の均等割が発生する
- 法人税申告や会計処理が複雑になる
- 原則として社会保険料の負担が発生する
- 会社のお金を個人が自由に使えない
株式会社の設立時は、定款認証手数料、登録免許税、会社の印鑑の作成費用などが必要です。株式会社は定款認証が必要なので、合同会社より設立費用が高くなります。
そして、設立後は法人を維持するための費用や事務手続き、納税義務が発生します。
相談実績からみる株式会社を選ぶ人の傾向とは?
会社設立の相談では、株式会社と合同会社のどちらを選ぶべきか、資本金をいくらにするか、設立後にどのような税金や社会保険料が発生するかといった質問が多く寄せられます。
ここでは、会社設立で株式会社を選択する人の傾向を解説します。
株式会社を選ぶ人に多い相談内容
株式会社を選ぶ人からは、主に次のような相談が寄せられます。
- 株式会社と合同会社のどちらが適しているか
- 資本金はいくらにすればいいか
- 役員報酬はいくらに設定すればいいか
- 創業融資や助成金は受けられるか
- 設立後の税金はどうなるのか
- 社会保険へ加入する必要はあるのか
特に多いのは、株式会社と合同会社のどちらを選ぶべきかという質問や、資本金・役員報酬に関する相談です。
ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立時の法人形態、資本金、融資、助成金、税金、社会保険などについて相談できます。
サポート実績
税理士を選ぶ際に大切なのがサポート実績です。会社設立の支援実績が多い税理士は多くのケースを見ているため、アドバイスが具体的です。
ベンチャーサポート税理士法人では、これまでに3万9,000社以上の会社設立をサポートしています。
また、税理士だけでなく、司法書士や行政書士、社会保険労務士などが連携しているため、会社設立登記から税務、会計、創業融資、許認可、助成金、社会保険まで幅広く対応できます。
税理士から見た株式会社設立の注意点
株式会社は社会的信用や資金調達の面でメリットがある一方、法人化には税負担や事務負担も伴います。
そのため、売上や利益だけでなく、役員報酬、社会保険料、消費税、将来の事業計画などを踏まえて判断する必要があります。設立後に想定外の負担が発生して後悔しないよう、事前に収支やどのような手間がかかるのかをシミュレーションしておくことが大切です。
税負担や社会保険料に注意
株式会社を設立すると、法人税や法人住民税などがかかります。赤字の場合でも、法人住民税の均等割は原則として支払わなければなりません。
また、一人会社でも、原則として健康保険と厚生年金保険への加入が必要です。設立前に税金や社会保険料を試算し、継続して支払えるか確認しましょう。
【FAQ】株式会社についてよくある質問
株式会社は所有と経営が分離された会社形態!社会的な認知度が高い
株式会社とは、株主が出資し、取締役や代表取締役が経営を担う会社形態です。株式を発行でき、株主と経営者を分けられるのが特徴です。ただし、自分で株式を持ち、自分で代表取締役を務めるという形での運営も可能です。
株式会社は、社会的な認知度や信用度が高く、融資、採用、取引先の拡大などに有利な点がメリットです。一方、設立費用や税金、社会保険料などの負担が発生します。
株式会社を設立する場合は、合同会社や個人事業主との違いを比較し、事業規模や将来の計画に適しているか判断することが大切です。会社形態で迷った場合は、税理士や司法書士などの専門家へ相談しましょう。
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