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最終更新日:2025/12/10

2025年版!女性起業家が利用できる助成金を解説します

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

2025年版!女性起業家が利用できる助成金を解説します

この記事でわかること

  • 女性起業家が利用できる助成金
  • 女性起業家向けの融資制度
  • 助成金の注意点

女性の社会進出が進むなか、自ら起業する女性も多くいます。そして、それを後押しするための助成金や補助金、融資制度が拡充されています。特にこうした制度は、起業する際の資金面の不安を軽減するために大きな力となります。

この記事では、国や地方自治体が提供する女性起業家向けの助成金制度や融資制度について、最新情報をもとに詳しく解説します。また、申請時の注意点や制度を利用するうえでのポイントについてもご紹介します。

自分に合った制度を見つけて、起業のための準備を進めましょう。

個人事業と法人の違い、会社設立の流れ、必要書類、費用など会社設立の全体像をわかりやすく解説!

女性向けの助成金について解説します!

女性の起業を後押しする制度として、国や地方自治体が提供する助成金制度が用意されています。これらの制度は、創業時の資金負担を軽減するだけでなく、事業の安定・成長にもつながる内容のものも多く魅力的です。

ここでは、女性が利用しやすい助成金制度の種類や特徴をわかりやすく解説します。

国の助成金と地方自治体の助成金がある

助成金には、厚生労働省や中小企業庁などの国が提供する制度と、都道府県や市区町村などの地方自治体が独自に実施する制度があります。

国の助成金は日本国内で広く使える一方、地方自治体の助成金は地域密着型の支援となっています。制度によって対象になる条件や申請先が異なるため、それぞれの特徴を確認しながら活用しましょう。

2025年版!女性起業家が使える助成金

実際に活用できる主要な助成金を国・地方別に紹介します。それぞれの制度の条件や、補助金、申請先などを整理して解説しています。

女性起業家向けの助成金の2025年最新版です。

国の助成金

まずは、広く利用しやすい国の助成金をご紹介します。雇用に関する助成金も多く、起業して雇用をしたいという方にとって魅力的です。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、企業が有期雇用契約をしている人を正社員にした場合や賃上げをした場合に支給される助成金です。性別は要件ではありませんが、労働者を雇用している起業家が利用しやすい制度です。

対象 非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ
対象経費 対象となる社員に対しての賞与や退職金制度の導入、新たに社会保険の被保険者となった際の手当支給や賃上げ 等
金額(上限) 有期雇用契約の社員を正社員にした場合1人あたり最大80万円(障害者の場合は120万円)
主な申請要件 非正規雇用労働者の正社員化 等
問い合わせ先 管轄の都道府県労働局もしくはハローワーク

参考:キャリアアップ助成金|厚生労働省

両立支援等助成金

両立支援等助成金は、仕事と育児を両立させるための取り組みに対して支給される助成金です。男性の育児休暇取得の促進などの目的もあり、対象には女性だけでなく男性も含まれます。子育てをしている方を雇用している場合には、積極的に利用したい制度です。

また、育児だけでなく介護による休業でも助成金が支給されます。

対象となる事業 業種に指定なし
対象になる経費 男性の育児休業取得促進・仕事と介護の両立支援・円滑な育児休業取得支援・業務代替者への手当支給等・育児期の柔軟な働き方整備・仕事と不妊治療等の両立支援・介護による休業
金額(上限) 出生時両立支援コース 【第1種】男性の育休取得(対象労働者が子の出生後、8週以内に育休開始)
1人目:20万円
2、3人目:10万円
【第2種】 男性の育休取得率の上昇等(育休取得率が30%以上の上昇&50%達成等)
60万円
介護離職防止支援コース 介護休業対象労働者が介護休業を取得&職場復帰
40万円 等
育休中等業務代替支援コース 育児休業取得者の業務代替者に手当を支給
最大140万円
柔軟な働き方選択制度等支援コース 最大25万円 等
主な申請要件 条件を満たす取り組みを行った場合
問い合わせ先 厚生労働省
電話番号:03-5253-1111(代表)

参考:両立支援等助成金|厚生労働省

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、地域の雇用や産業を下支えする企業に対して支給される助成金です。対象がとても幅広く、設備費からサイトの関連費、展示会、光熱費などさまざま経費で利用できます。

対象となる事業 地域の雇用や産業を支える小規模事業者
対象になる経費 【一般型】
機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費(災害支援の場合は、設備処分費、車両購入費)
【共同・協業型】
地域振興等機関:人件費、委員等謝金、旅費、会議費、消耗品・備品費、通信運搬費、印刷製本費、雑役務費、委託・外注費、水道光熱費
参画事業者:旅費、借料、設営・設計費、展示会等出展費、保険料、広報費
【ビジネスコミュニティ型】
専門家謝金、旅費、資料作成費、借料、雑役務費、広報費、委託費
金額 補助率 2/3(賃金引上げ特例の要件を満たす赤字事業は3/4)
補助上限 50万円
インボイス特例 インボイス発行事業者への転換など所定の要件を満たす場合には、補助上限を50万円上乗せ
賃金引上げ特例 一定の賃上げや事業場内最低賃金の引上げなど要件を満たす場合には、補助上限に150万円を上乗せ
インボイス特例と賃金引上げ特例の併用 インボイス特例と賃金引上げ特例の両方の要件を満たす場合には、補助上限に合計200万円を上乗せし、補助上限は最大で250万円
主な申請要件 商工会地域の小規模事業者 等
問い合わせ先 各都道府県の事務局

参考:小規模事業者持続化補助金|全国商工会連合会

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者が対象で、生産性の向上のための新製品・新サービスの開発、海外市場の開拓、設備投資やシステム導入など幅広い経費に活用できる補助金です。

2025年には第21次の申込みが行われています。

対象となる事業 中小企業・小規模事業者
対象になる経費 【製品・サービス高付加価値化枠】
機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
【グローバル枠】
上記に加え、(グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ)海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費
金額 【製品・サービス高付加価値化枠】補助上限額(補助下限額は100万円)
従業員数 5人以下 750万円
6~20人 1,000万円
21~50人 1,500万円
51人以上 2,500万円
【グローバル枠】上限3,000万円
主な申請要件 日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有している 等
問い合わせ先 ものづくり補助金事務局サポートセンター
受付時間:10~17時(土日祝日および12/29~1/3を除く)
電話番号:050-3821-7013

参考:公募要領|ものづくり補助金総合サイト

IT導入補助金

IT導入補助金は、PCやソフトなどの購入に対して支給される補助金です。PCやソフトの購入は事業には欠かせないものですので、対象になる支出を予定している場合は積極的に利用していきましょう。

対象となる事業 中小企業(飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育等のサービス業のほか、製造業や建設業等も対象)
対象になる経費 IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入
金額 【通常枠】
補助率:1/2
1プロセス以上:5万~150万円
4プロセス以上:150万~450万円
主な申請要件 資本金や従業員数などの上限があるため公式サイトで要確認
問い合わせ先 コールセンター:0570-666-376
IP電話等からの問い合わせ先:050-3133-3272

参考:トップページ|IT導入補助金2025

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、対象となる人を雇用した場合に支給される助成金です。

対象者は高齢者や母子家庭の方、障害を持っている方などです。自社の雇用のニーズが対象者と合致する場合には利用を検討しましょう。

対象となる事業 対象者を採用して継続雇用する事業者
対象になる経費 対象となる雇用に対して支払われる
金額 特定就職困難者コース 60歳以上の高年齢者、母子家庭の母 最大60万円
重度障害者などを除く身体・知的障害者 最大120万円
重度障害者など 最大240万円
重度障害者などを含む身体・知的障害者 最大80万円
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース 重度障害者などを含む身体・知的障害者(短時間労働者以外) 120万円
重度障害者などを含む身体・知的障害者(短時間労働者) 80万円
中高年層安定雇用支援コース 短時間労働者以外 60万円
短時間労働者 40万円
中高年層安定雇用支援コース 中小企業 60万円
大企業 50万円
主な申請要件 雇用保険適用事業所の事業主であること、支給のための審査に必要な書類を提出・整備・保管し労働局などによる実地調査を受け入れること 等
問い合わせ先 管轄の労働局、ハローワーク、支給申請窓口

参考:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)|厚生労働省

地方自治体の助成金

ここまでは国からの助成金を紹介してきましたが、地方自治体が独自に行っている助成金があります。女性や若手に特化した助成金としては、東京都の助成金があげられます。

東京都:若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

東京都の若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、39歳以下の若手、もしくは女性が新規事業を都内でスタートする場合に利用できる助成金です。

上限額が大きく、設備費なども対象になっています。

対象となる事業 リーダーとなり得る女性及び若手男性による都内商店街での新規開業
対象になる経費 工事費、設備・備品導入費、店舗賃借料等に要する経費の一部
金額 助成限度額 最大844万円
助成率 事業所整備費・店舗賃借料 3/4以内
実務研修受講費 2/3以内
主な申請要件 女性、もしくは「年度末時点で39歳以下の男性」
都内商店街で開業予定の個人(創業予定者もしくは個人事業主)
独創的な事業プランを考え、主体的に商店街活性化に取り組む意欲のある方
申請者は店舗の事業に専ら従事できること
問い合わせ先 (公財)東京都中小企業振興公社 助成課 商店街助成事業担当
電話番号:03-3251-7894・7895

参考:若手・女性リーダー応援プログラム助成事業|東京都創業NET

融資制度

起業するときには助成金や補助金だけでなく融資制度を利用して資金を調達できます。女性起業家向けの融資制度についても紹介します。

日本政策金融公庫:新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、女性もしくは35歳未満または55歳以上の人が新規事業をスタートする場合に利用できる融資制度です。

女性であれば、年齢は関係なく利用できます。

対象 女性または35歳未満か55歳以上の方の創業
融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
利率 1.40%〜※日本政策金融公庫の基準利率又は特別利率Aなどを適用。最新情報は公庫のサイトで確認してください
主な申請要件 女性もしくは対象年齢の創業
問い合わせ先 日本政策金融公庫

参考:日本政策金融公庫:新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)|日本政策金融公庫

税理士 森健太郎
税理士 森健太郎からひと言
日本公庫などの融資を利用する場合、わざわざ自分でどの制度を利用するのかを決めなくても、公庫に相談すれば最も適した制度を提案してもらえます。また、女性のための融資制度はありますが、女性だから審査が楽なわけではありません。まずは相談することが大切です。

東京都:女性・若者・シニア創業サポート2.0

女性・若者・シニア創業サポート2.0は、女性や若者、シニアの起業をサポートする東京都の取り組みです。申込みは面談などのステップを踏んだうえで行います。融資だけでなく、セミナーも実施されています。

対象 女性、若者(39歳以下)、シニア(55歳以上)で、都内で創業予定もしくは創業後5年未満(女性は7年未満)の事業者
金額 1,500万円以内(女性は2,000万円以内)
利率 固定金利1%以内
主な申請要件 地域の需要や雇用を支える事業
問い合わせ先 創業サポート2.0事務
電話番号:03-6910-8220

参考:女性・若者・シニア創業サポート2.0|東京都創業サポート2.0

福岡県:女性創業者向け融資制度

福岡県が女性起業家を支える取り組みとして行っている融資制度です。低金利で融資を受けられるだけでなく、相談窓口や勉強会も行われています。

サポートを受けながら起業したい女性にとっては嬉しい制度です。

対象 女性または代表者が女性の法人
金額 1,000万円
利率 一般の創業融資より低い利率になるが、具体的な利率は時期や金融機関で変化。
主な申請要件 女性の新規創業
問い合わせ先 福岡県庁
電話番号:092-651-1111

参考:起業する女性をサポート!「Bloom福岡」はじまります! ~起業で、咲き誇る女性の未来をつくる~|福岡県庁ホームページ

茨城県:女性・若者・障害者創業支援融資

茨城県が、女性や35歳以下の若者、障害者の起業を支援する融資制度です。県内に居住していることが条件で低金利で運転資金や設備資金の融資を受けることができます。

対象 茨城県に居住している新たに事業を開始する女性、若者(35歳以下)、障害者
金額 設備資金 3,500万円
運転資金
設備・運転併用
利率 年1.3%~1.6%
原則、年0.9%(経営者保証不要の場合は1.1%)
主な申請要件 従来の融資対象者の要件・スタートアップ創出促進保証制度の要件
問い合わせ先 商工会議所
商工会
中小企業団体中央会

参考:女性・若者・障害者創業支援融資|茨城県

助成金を申請するときの注意点

助成金の申請をするときにはいくつかの注意点があります。申請時に慌てないようにするためにも先にチェックしておきましょう。

書類の不備がないように

助成金の申請は、申請要件の確認だけでなく提出書類にも注意が必要です。

書類に記載ミスや添付漏れがあると審査が通らない可能性があります。書類の種類や記入方法は提出先によって異なるため、事前に詳細を確認し、提出前に再度チェックしましょう。
また法人の場合は定款の確認も忘れないようにしてください。

助成金のタイミングに注意

助成金の多くは後払い方式です。つまり使った後に戻ってくる方式なので、資金調達の手段として助成金を柱にすることはあまり適切ではありません.。

また、交付決定前に契約や購入をしていた場合は対象外とされるケースもあるため、支出のタイミングにも注意が必要です。

申請のタイミングを間違えると、補助対象外になるおそれがあります。まずはスケジュールをしっかり確認し、余裕を持って申請手続きを進めることが大切です。

自己資金は必要

助成金は、あくまで経費の一部を支援するための制度です。

つまり事業資金の調達ではなく補完と考えた方がいいでしょう。また、多くの場合、全額を補助してもらえるわけではありません。事前に自己資金を用意したうえで資金計画を立てておきましょう。

株式会社であれば代表者住所の非表示制度が利用できる

事業を始める際に気になるのが、代表者の個人情報がどこまで公開されるかという点です。特に女性起業家の場合、自宅の住所が登記簿に記載されることに不安を感じる人も少なくありません。

株式会社では、代表者の住所を登記上非表示にできる制度が用意されていて、ひとつの大きな安心材料となります。

合同会社にはない制度

株式会社の場合は代表者住所を登記上非表示にできますが、合同会社ではこの非表示制度が利用できません。

登記簿への住所の記載に抵抗がある場合は単に「設立時の費用が安いから」という理由だけで法人形態を選ばないように慎重に検討しましょう。地方自治体によっては、登録免許税の半額程度を補助する制度もあるため、利用を検討しても良さそうです。

助成金でわからないことがある場合

助成金制度は種類が多く、それぞれ異なる要件や申請手続きとなっています。この複雑さは初めての人にとっては混乱の原因となるケースもあります。助成金の申請などで不安がある場合は一人で抱え込まず、専門家の力を借りることもできます。

専門家に相談する

助成金の申請を自分ではできそうにないという場合は専門家に依頼することもできます。

助成金に関する相談は、ベンチャーサポート税理士法人でもお受けしています。自分での申請が難しい場合には、お気軽にご相談ください。

女性起業家が利用しやすい補助金は種類が多い!融資制度も充実!

女性起業家を支援する助成金や融資制度は、数多く用意されています。助成金の利用は、資金面での不安を軽減し、安心して事業を始めるための大きな後押しとなります。

ただし、制度の内容や申請条件がそれぞれ異なるため、十分に確認して活用することが重要です。また、申請のタイミングや書類の不備にも注意し、必要に応じて専門家に相談しましょう。

これからのビジネスで助成金の活用を考えている人は、しっかりとした計画を立てて申請の準備をしましょう。自分ではできそうにないという場合は、専門家に相談することをおすすめします。

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