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最終更新日:2026/4/17

合同会社とは?設立のメリット・デメリットや向いている人を税理士がわかりやすく解説!

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

合同会社とは?設立のメリット・デメリットや向いている人を税理士がわかりやすく解説!

合同会社は、2006年施行の会社法で新たに規定された会社形態の1つです。

「所有と経営の一致」がその大きな特徴で、出資者(オーナー)と経営者が同一であるため、株式会社より経営の自由度が高くなります。社員の責任は株式会社と同じ「有限責任」であり、万が一のときも個人の財産が守られる安全性もあります。

実は、あの「Google」や「Amazon」も合同会社を採用しています。日本でも合同会社の設立は年々増加傾向にあり、現在では設立登記の約3割が合同会社です。

起業時に合同会社が選ばれる最大の理由は、株式会社と同様の節税メリットを受けながら、設立費用や維持費を安く抑えられる点です。有名企業のグローバルビジネスのみならず、小さく産んで大きく育てるスモールビジネスでも、合同会社は有力な選択肢になります。

この記事では、3万9,000社以上の会社設立実績を誇るベンチャーサポート税理士法人が、合同会社の特徴やメリット・デメリットを理論と実務の両面から解説します。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

特に「コストパフォーマンス重視で、手元に残るキャッシュ(利益)を最大化したい」と考える個人事業主・フリーランスの方には、間違いなく役立つ内容です。ネット上の噂ではなく、実務経験に基づいた失敗しない判断軸をお持ち帰りください。

個人事業と法人の違い、会社設立の流れ、必要書類、費用など会社設立の全体像をわかりやすく解説!

【結論】合同会社はこんな人におすすめ!30秒でわかる適性診断

細かい話に入る前に、まずは現状を整理しましょう。「そもそも会社を作るべきか」「株式会社でなくてもよいか」などの方向性を、弊社オリジナルの適性診断でざっくり確認してみてください。

万が一適性診断がピンと来なかった人は、下記にあてはまるかも確認してみましょう。その次の比較表も、ぜひ参考にしてください。

合同会社に向いている人
  • 個人事業の売上がここ1〜2年で伸びており、今のうちに法人化したい
  • まずは1人か少人数で、小さくスピーディーに事業を回したい
  • 設立費用や維持費を抑えて、その分を広告や採用、設備などの「攻めの投資」に回したい
  • 取引先の多くが個人や中小企業で、社名よりサービスの内容や人柄で評価される場面が多い
  • 現状、投資会社などからの大型の出資や上場などは考えていない
合同会社の
メリット
比較対象 合同会社の
デメリット
設立にかかる費用や手続きが少ない vs
株式会社
社会的信用の低さで不都合が生じることがある
決算公告の義務がなく手間や費用を省ける 外部からの出資が見込めないため資金調達が難しい
役員の任期がないため重任登記が必要ない 株式会社に組織変更するときに手間と費用がかかる
出資割合に関係のない柔軟な利益配分が可能 全社員が平等に議決権を持つため社員間トラブルが起きやすい
利益に課される税金が法人税に変わることで節税効果が期待できる vs
個人事業主
社会保険料などの固定費の負担が大きい
無限責任から有限責任になるため負債のリスクが小さい 領収書の管理や決算・税務申告が複雑かつ厳格になる

表の詳細(所有と経営の一致とは何か、具体的にどれくらい節税できるのかなど)は、次章以降で詳しく解説します。まずは合同会社の会社形態としての特徴から見ていきましょう。

※適性診断で「個人事業主」か「株式会社」になった人もご安心ください。本文ではそれぞれと比較したメリット・デメリットや、切り替えのタイミングなども解説します。

そもそも合同会社とは?GoogleやAmazonも採用する会社形態の特徴

合同会社は、2006年の会社法の施行にともなって新設された会社(法人)形態です。アメリカのLLC(Limited Liability Company:有限責任会社)をモデルとして導入され、日本版LLCとも呼ばれています。

耳慣れない会社形態ですが、実は、あのGoogleやAmazonも合同会社です。それぞれグーグル合同会社、アマゾンジャパン合同会社といいます。合同会社だからといって決して怪しい会社というわけではありません。

2024年の法務省の統計では、合同会社の設立件数は年間4万件を超えています。合同会社の設立は株式会社(約10万件)に次いで多く、その割合は全体の約3割です。

参考:会社及び登記の種類別 会社の登記の件数|統計表・グラフ表示|政府統計の総合窓口

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

弊社の2025年の設立実績(2,871件)のうち、合同会社の設立は778件(約27%)でした。直近10年間のデータは以下のグラフのとおりで、最近は4件に1件が合同会社です。設立実務の現場ではすでに合同会社はよくある選択肢の1つとなっています。

ベンチャーサポートの設立実績における合同会社の件数とその割合

そんな合同会社の代表的な特徴は、下図のようにまとめられます。

合同会社は、構成員に利益を分配する「営利法人」であり、会社の所有者と経営者が一致している「持分会社(もちぶんがいしゃ)」です。そして持分会社の中では、すべての社員が有限責任社員であるという特徴があります。

以下では、株式会社との大きな違いである「所有と経営の一致」「“社員”の意味」、そして他の持分会社との違いである「全社員が有限責任」という3つの特徴を解説します。

所有と経営の一致:経営の自由度が高い

合同会社の大きな特徴は、出資者(オーナー)と経営者が同一であるという点です。この原則を「所有と経営の一致」といいます。

所有と経営の一致により、合同会社は株式会社に比べて圧倒的にスピーディーな意思決定が可能になります。

反面、株式会社には「所有と経営の分離」という原則があり、出資者(株主)と経営者(取締役)は法的に別の役割を持ちます。役員の入れ替えや事業の売却などの重要な経営判断の際には、原則として株主総会で承認を得ることが必要です。

合同会社には株主総会は存在せず、社員(出資者兼経営者)全員の同意さえあれば、その日のうちに重要事項を決定し、即実行することができます。

下表は、両者の意思決定プロセスの違いを整理したものです。

比較ポイント 株式会社
所有と経営の分離
合同会社
所有と経営の一致
決定権を持つ人 株主経営者(取締役)の一存では決められない重要事項が多くある 社員出資者と経営者が同一であるため、社員の意思決定がそのまま会社の決定になりやすい
必要な手続き 株主総会の開催招集通知、議決権の行使、議事録の作成・保管など、会社法上の厳格な運用が求められる 総社員の同意会議形式は法定されておらず、メールや口頭での合意でも法的には有効。実務上は、後日の紛争防止のために議事録を残す
実行までのスピード 一定の準備期間が必要手続きや調整に1週間から数週間の時間を要するケースもよくある 即断即決総社員の同意があれば、その瞬間に決定事項の効力が発生する

社員の意味と役割:出資者=経営者

所有と経営の一致により、原則として合同会社では出資者と経営者が同一であり、「出資者=経営者」にあたる者を「社員」と呼びます。ここでの「社員」は、従業員という意味ではありません。

ここでは、合同会社における社員の役割や種類を押さえておきましょう。

社員は「株主」兼「取締役」のような存在

合同会社では、株式会社における「株主」と「取締役」のような明確な役割分担がなく、社員という1つの地位の中に「株主(=出資者)」と「取締役(=経営者)」の両方の権限が含まれています。

つまり合同会社の社員は、株式会社における「株主」と「取締役」を一人二役でこなす存在だといえます(下表参照)。

役割 株式会社での呼び方 合同会社での呼び方
出資金を出す人
(出資者)
株主会社の所有者にあたる。原則として日常の業務にはタッチしない 社員合同会社の社員になるには出資が必須
業務を執行する人
(経営者)
取締役株主から経営を委任されている立場。出資していなくてもなれる 社員原則として社員(出資者)全員に経営権がある

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

合同会社の社員は、会社法上の「役員(株式会社における取締役や監査役など)」とも厳密には異なります。ただ、実際の現場では、合同会社の経営者を「役員」と呼ぶことは多いです。

「業務執行社員」と「代表社員」

出資者で経営者でもある社員ですが、経営面については適性の低い社員がいる可能性もあるため、業務の執行(取引や契約など)を特定の社員に限定することもできます。

この経営メンバーの絞り込みは、定款(ていかん:会社の組織・運営の基本ルールをまとめた書類)で規定することで可能です。

合同会社を経営する社員

  • 業務執行社員:定款の定めにより会社の業務執行を担う社員。他の社員は、通常業務や業務執行社員の監視を担う
  • 代表社員:合同会社の代表者。定款の定めにより特定の者を選定(業務執行社員を定めた場合はその中から選定)することができる

定款に上記の定めがない場合、原則に従い、社員が業務執行と会社の代表を務めます。たとえば、社員が1名の一人会社では、その唯一の社員が業務執行社員であり代表社員です。

有限責任:社員が債務を負うリスクが限定的

合同会社の社員は「有限責任社員」にあたります。 有限責任とは、会社が負債を抱えて倒産した場合でも、社員はその責任を「自分が出資した金額の範囲内」でしか負わないというルールです。

会社がどれだけ巨額の借金を抱えたとしても、その弁済のために社員が出資額を超えて責任を負うことは原則としてありません(※後述の個人保証を除く)。

会社法 第五百八十条 第2項

2 有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。

引用元 e-Gov 法令検索

たとえば、300万円を出資して1人で合同会社を立ち上げた場合を考えてみましょう。事業拡大のために銀行から融資を受けたり良質な機材を導入したりしたものの、経営が悪化して1,000万円の負債(借入金や未払金)を抱えて会社が倒産したとします。

この場合、会社と社員個人の負担状況は下表のとおりです。

比較ポイント 負担額 解説
会社の負債 1,000万円 融資の残債や仕入先への未払金などの総額
社員の実質負担 300万円 出資金300万円は戻らないが、それを超える弁済は不要

※差額の700万円は債権者(銀行や取引先)の損失になる

このように、最悪のケースでも「最初に出資したお金がゼロになる」だけで済み、それ以上の負債(個人の借金)は背負わなくて済むのが有限責任です。これは株式会社の株主も同様になります。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

例外として、金融機関から融資を受ける際の「個人保証」には注意が必要です。個人保証では、代表社員が会社の連帯保証人となります。原則こそ有限責任でも、保証契約によって会社の借金返済義務を社員が負うケースもある点は覚えておきましょう。

合同会社のメリット|安く作れて手取りも増える?

合同会社を選ぶ最大のメリットは、株式会社と同程度の「法人としての節税効果」や「有限責任という安全性」を享受しながら、設立費用やランニングコスト(維持費)を安く抑えられる点です。

つまり「株式会社と個人事業主の良いとこ取り」ができる事業形態だといえます。ここで詳しく解説する合同会社のメリットは、次の4点です。

合同会社のメリット

  • 圧倒的な低コスト:株式会社より設立費用が安く、事務手続きや維持費も少ない
  • 利益配分の柔軟性:出資割合でなく貢献度で利益を配当できる
  • 手取りの最大化:売上次第で個人事業主より税金が安くなる
  • 負債リスクの限定:万が一のときも個人の財産は守られる

以下では、これらのメリットを「株式会社と比べた場合」と「個人事業主と比べた場合」に分類・整理して、具体的な数字も使いながら詳しく解説します。

株式会社と比べた合同会社のメリット

株式会社と合同会社の間で、法人としてできる活動(口座開設や契約締結など)に違いはありません。

しかし、経営者の視点で見ると、「設立・運営のトータルコスト」と「利益配分の柔軟性」という2点において、合同会社には決定的なメリットがあります。

設立・運営のトータルコスト

結論、株式会社でなく合同会社を選ぶと、設立手続きにかかる初期費用を約13万円、さらに毎年発生するランニングコストを7万円以上カットできます。

「株式会社」というブランドにこだわりがない場合、金銭面のメリットは圧倒的です。以下の比較表で、具体的な金額差を確認してください。

比較ポイント コストの差 株式会社のコスト 合同会社のコスト
設立時の法定費用 約13万2,000円
合同会社では定款認証という手続きが不要で、その手間と手数料を削減できる
約19万2,000円〜
(登録免許税+定款認証手数料等※1)
約6万円~
(登録免許税のみ)
毎年の決算公告費用 約7万4,000円
株式会社に義務づけられている決算公告(業績の開示)が合同会社では不要
約7万4,000円
(官報公告掲載料金の目安)
0円
(公告義務なし)
役員の重任登記費用 約3万~4万円(原則2年ごと※2)
任期満了にともなう重任登記の手間と費用が合同会社では不要
約3万~4万円
(登録免許税+司法書士の報酬)
約6万円~
(手続き不要)

※1.資本金100万円以上300万円未満の場合
※2.会社の設計(公開/非公開)や定款の規定によって異なる

設立費用の差「約13万円」はよく注目されますが、実はランニングコストの差も見逃せません。

株式会社の場合、決算公告(官報公告)の費用として毎年約7万円がかかります。さらに、役員の任期満了のたびに、重任登記の費用として1回あたり約3万〜4万円が発生します。

たとえば株式会社を10年間運営したとすると、上記の維持費の累積は約80万~100万円です。合同会社ならこのコストを0円にできるため、その分を広告費や設備投資などの「攻めの資金」に回すことができます。

利益配分の柔軟性

続いての合同会社のメリットは、利益配分の柔軟性です。株式会社では「出資割合に応じて利益の配当を決める」のが鉄則ですが、合同会社では定款で定めることにより、出資割合に関係なく利益配分を決めることができます。

たとえば、Aさんが300万円を出資し、Bさん(事業の根幹をなす高度なプログラミング技術を持つ)が100万円を出資して共同創業するとします。

株式会社のルールではAさんがBさんの3倍の配当を受け取りますが、これではBさんが不満を抱くかもしれません。合同会社であれば「出資額が多いのはAさんだが、貢献度も加味して利益配分は50%ずつにする」といった柔軟な設計が可能です。

物的資本(お金や商品など)よりも人的資本(スキルや経験など)に重きをおく業種は、合同会社に向いているといえます。クリエイターチームや専門家集団のような様相を帯びる下記の業種が、その代表例です。

合同会社に向いている業種
  • ITシステム・アプリ開発
  • Web制作・デザイン
  • 動画編集・メディア運営
  • マーケティングコンサルなど

個人事業主と比べた合同会社のメリット

個人事業主から合同会社へと法人化する最大のメリットは「手取りの最大化」と「負債リスクの限定」の2点に尽きます。

手取りの最大化

「いくら稼げるようになったら法人化すべきか?」という疑問は定番ですが、税理士としての経験則では「事業所得が500万円を超えてくると、法人化で節税できることが多い」です。

その理由は、大きく下表の2つのポイントに分けられます。

比較ポイント 個人事業主 合同会社(法人)
税金のしくみ 所得税の税率
→5〜45%稼げば稼ぐほど最大45%まで税率が上がる累進課税制度
法人税の税率
→15~23.2%年800万円以下の利益部分には15%、800万円を超える部分には23.2%の税率が適用される※
自身への給料 経費にならない総収入から必要経費を引いた事業所得が、生活費に使ったかどうかに関わらず課税対象になる 全額経費になる自身への給料を「役員報酬」として会社の利益を圧縮できる。個人でも「給与所得控除」を受けられる

※資本金1億円以下の法人の場合

法人税の税率は利益が「年800万円」を超えると上がりますが、実際に節税メリットが出始めるのは経験上「500万円」からです。その最大の理由は「役員報酬の活用」にあります。

会社で上げた利益を「役員報酬(自身への給料)」として支払うと、会社の利益を減らして法人税を抑えることが可能です。そして報酬を受け取る個人の側でも「給与所得控除」を受けることができます。

「法人税の税率の低さ」と「役員報酬の活用」の合わせ技によって、所得が500万円を超えたあたりから、個人事業主のままより法人化したほうが手取り額を増やせる傾向にあるわけです。

なお、法人化による具体的な手取り額のシミュレーションや税金の計算方法などは、以下の記事で詳しく解説しています。

負債リスクの限定

合同会社の社員は、個人事業主よりも負債のリスクが限定的です。個人事業主は「無限責任」であり、ビジネスで生じた借金や未払金については、原則として事業用であろうと自分の全財産をなげうってでも返済する必要があります。

一方、合同会社の社員は「有限責任」です。

金融機関からの借入れに「個人保証(連帯保証)」を付ければ別ですが、少なくとも「事業に失敗して、自宅や老後の資金まで根こそぎ差し押さえられる」という最悪のパターンは回避できます。

事業が軌道に乗ると、仕入れや設備投資、従業員の雇用などで、動かす金額も大きくなっていきます。そのような局面で「どこまでが会社の責任で、どこからが個人の責任か」が明確だと、経営者にとって安心です。

合同会社のデメリット|失敗事例に学ぶ、後悔しないためのポイント

設立費用の安さや節税になり得る点は合同会社のメリットですが、低コストという一点だけで事業形態を選ぶのは危険です。長期的な視点で事業を運営するには、合同会社のデメリットもよく理解しておく必要があります。

仮に合同会社を設立したとして、具体的にどのような壁にぶつかる可能性があるのか。ここでは、以下の4つの観点から合同会社のデメリットを解説します。

合同会社のデメリット

  • 社会的信用:大企業との取引や人材採用の面でハードルが高くなることがある
  • 資金調達と組織変更:資金調達の手段が限定的で、株式会社に変更したい場合に高額のコストがかかる
  • 社員間トラブル:経営陣の意見が割れると、会社の意思決定が停滞するリスクがある
  • 隠れた事務コスト:社会保険料の負担感や複雑な会計業務が重くのしかかる

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

弊社でも「初期費用を抑えるために合同会社にしたが、いざ運営してみると…」という文脈で、さまざまな失敗談や後悔話をよく聞きます。以下では、よくある失敗事例も参照しつつ合同会社のデメリットを見ていきましょう。

社会的信用におけるハンデ

ビジネスにおける社会的信用でいうと、基本「個人事業主 < 合同会社 < 株式会社」という序列になるのが現実です。特に新規取引や採用の場面ではこの傾向が強くなります。融資については、合同会社か株式会社かという点だけで信用面に大きな差はありません。

合同会社は当然「正式な会社」として扱われ、個人事業主よりは信用されます。ただ「会社=株式会社」という常識が根強い日本では、合同会社ということで会社としてネガティブな印象を持たれるリスクは否定できないのが実情です。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

合同会社の社長がよく気にされるのが、代表者の肩書きです。合同会社の代表社員は代表取締役を名乗れないため、名刺交換のたびに「合同会社って何ですか?」や「従業員の方ですか?」などと尋ねられることも多いと聞きます。

下表は、社会的信用の影響を事業形態別にまとめたものです。ビジネスにおいて特に重要な「新規取引」「融資・賃貸の審査」「人材採用」について、その困難度を整理しました。

社会的信用が影響する場面 個人事業主 合同会社 株式会社
新規取引(BtoB) 厳しい:法人としか契約しない会社もあるため、門前払いとなるケースが多い 普通:法人として契約可能だが、歴史ある大企業などでは説明を求められたり、まれに断られたりする 有利:最も一般的な形態である安心感もあり、口座開設や契約締結がスムーズに進みやすい
融資・賃貸の審査 厳しい:個人の信用情報(カードの延滞歴など)が徹底的に洗われ、創業融資やオフィス契約の難易度は高くなる 普通:法人として決算書に基づいた審査も受けられ、個人よりも信用力が上がる 普通:合同会社と同様。基本的に、株式会社という形態だけで有利になることはない
人材採用(求人) 難しい:福利厚生への不安を抱かせてしまうため、特に家族を養う働き盛りの人材は採用が極めて困難 普通:求職者の親や配偶者が「聞いたことがない会社形態だ」と反対して敬遠・内定辞退されるリスクがある 有利:求人媒体での露出も多く、求職者やその家族に無条件の安心感を与える

特に建設業界や大手企業では「株式会社」が事実上のスタンダードという認識が強いです。このような企業との取引が必要なら、設立時の差額を惜しまず最初から株式会社を選択することが、将来の機会損失を防ぐための最良の投資となります。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

反対に、店舗名や事務所名などの「屋号」でビジネスをする場合(飲食店や小売店、美容室など)、顧客が会社形態を気にすることはないので合同会社に適しているケースが多いです。

会社の本拠地としてバーチャルオフィスを使う場合は、口座開設で事業実態の説明を求められやすくなります。事業の説明資料に加え、契約書や請求書などの証明書類を準備して審査に臨むのが安全です。

創業融資では、会社形態よりも創業計画書・自己資金・資金使途の妥当性が重視されます。「合同会社だからNG」ではなく、実態の説明資料がそろっているかが通過率を左右するポイントです。

資金調達の制約と組織変更の実態

合同会社の設立時、多くの人が「お金を借りにくくなるのでは」と不安を抱きます。結論、銀行融資については株式会社と大きな差はありません。

しかし、将来的に社員以外から出資を受けて事業を拡大させたい場合には、合同会社のしくみが足かせとなり得ます。

会社のメジャーな資金調達手段は、大きく分けると「銀行融資(返済義務あり)」と「外部出資(返済義務なし)」の2種類です。下表で、合同会社における両者の法的な制約と経営への影響をまとめました。

資金調達手段 法的な制約 経営への影響
銀行融資(借入れ) 法律上の制限なし 融資審査では、会社形態ではなく事業計画の妥当性や決算書の内容が焦点になるため、株式会社と同等の扱いで融資を受けられる
外部出資・上場 株式を発行できない VC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達は、一般的に極めて困難。上場は現行の法制度では対応できず、株式会社への組織変更が必要になる

合同会社では、経営に関与しない投資家から広く資金を集めることができません。将来的に数千万円規模の外部出資を見込んでいるなら、最初から株式会社を選択すべきです。

なお、合同会社の設立後に株式会社に変更すること(組織変更)はできます。

ただ、組織変更は時間と労力のかかる大変な手続きです。目安としては、期間にして約2~3カ月、費用にして20万〜30万円程度はかかります。さらに、法人口座や契約書の名義変更といった膨大な事務作業も降りかかる点には覚悟が必要です。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

資金調達の必要性や事業内容の変化などで合同会社から株式会社に変えるケースは弊社でも見られ、その数は年間10~20件ほどです。設立が年間600~700件である点も踏まえると、将来的な組織変更について現段階で過度に心配する必要はないでしょう。

社員間トラブルのリスク

合同会社の「出資者=経営者」という性質上、人間関係の摩擦は会社の経営判断に直結します。株式会社では出資者と経営者の役割が分かれていますが、合同会社では両者は基本的に同一です。

下表に、よくある社員間トラブルをまとめました。複数人で合同会社を設立する予定の人は、将来のリスクに備えて入念に確認しておきましょう。

トラブルの類型 具体例 リスク・実害
貢献度と報酬の不一致 利益配分のルール作りを怠ったことで、貢献度の高い社員が「報酬が同じなのは不公平だ」と不満を訴えるようになった 現場の士気が低下し、業務執行社員の解任騒動や事業の分裂に発展する
経営方針のズレ 社員4名の会社で「融資を受けて2店舗目を出したい派」と「借金をしたくない現状維持派」が対立した 意思決定が停滞し、最悪の場合、年単位で事業の成長スピードが鈍化する
退社時の持分払戻し 社員が、会社を辞める際に「今すぐ出資金を全額返してほしい」と要求してきた 会社から多額の現金が流出し、資金繰りが急激に悪化する

利益配分の柔軟性が高い合同会社ですが、少数精鋭になることも多い都合上、個々の社員の利害が一致しなくなると想定外のトラブルに見舞われます。現段階で関係が良好な相手でも、その関係性の良さや付き合いの長さだけで共同経営を始めるのはリスキーです。

税理士 森健太郎

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事例として、奥様を役員登記し、のちに離婚して調停や辞任の手続きが大変だったという話もあります。共同経営者を選ぶ際は、業績の見通しや相手の働き方などから慎重に判断することが必要です。

また、下記のとおり、合同会社の社員は、退社する際に持分(出資金)の払戻しを受けることができます。「役員が辞任するときに持分の買取りが必要になるとは思わなかった」と社長が後悔するケースも多いです。

(退社に伴う持分の払戻し)

第六百十一条 退社した社員は、その出資の種類を問わず、その持分の払戻しを受けることができる。ただし、第六百八条第一項及び第二項の規定により当該社員の一般承継人が社員となった場合は、この限りでない。

引用元 会社法 第六百十一条|e-Gov 法令検索

もちろん、定款でのルール作りや社員間の認識のすり合わせを事前に徹底しておけば、ここで解説したリスクは最小限にできます。

事務コストという隠れたデメリット

個人事業主からの法人化では節税メリットが大きな魅力ですが、会社運営にともなう事務コストの増加は無視できません。個人では「何となく」で済んでいた事務が、法人では厳格な法律上の義務に変わります。

下表は、個人事業主から合同会社へ移行した際に増える代表的な事務コストです。

事務コストの種類 具体的なコスト 経営への影響
固定でかかる税金 法人住民税の均等割として、赤字でも毎年最低7万円の納税義務が生じる(正確な金額は会社規模や自治体によって異なる) 利益が出ていない時期でも税金を支払う必要があり、資金繰りを圧迫する恐れがある
社会保険料(健康保険・厚生年金保険料) 一般に、社員の給与(役員報酬)の約15%の社会保険料を会社側が負担する 個人事業主にはない「会社負担分」の支出が増え、たとえば一人社長の場合、折半の実態がなく、保険料が倍になる負担感に悩みがち
専門家への報酬 複雑な決算・税務申告を税理士に依頼する場合、目安として年間30万~40万円の顧問料が発生する 正確な税の申告にはプロの力が不可欠。売上が小さい段階では、固定費の割合が重くなる
事務作業の時間 領収書管理や仕訳、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応が必要になる 経営者が事務に忙殺され、営業活動に割くべき貴重な時間が奪われる

特に注意すべきは、社会保険への加入義務です。個人事業主は従業員5人未満であれば加入は任意ですが、会社はたとえ社長1人でも強制加入となります。

また、会社を設立したら、個人事業主よりも厳格で複雑な帳簿管理が必要です。法人化すると「どんぶり勘定」は通用しません。プライベートの口座と事業用の口座の徹底的な分別管理が求められる点は覚悟しましょう。

税理士 森健太郎

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森 健太郎

合同会社の場合、他の社員との利害関係や役員報酬の縛りにより、必要なときに必要な分だけ生活費を引き出すのが難しくなることもあります。なかには「役員報酬を低く設定してしまい、個人で使えるお金の自由度が下がった」と後悔する方もいました。

事務コストを最小限に抑えるコツは、設立直後から会計ソフトなどを利用してお金の管理を自動化することです。会計ソフトに限らず、自分ですべてを抱え込まず、複雑な作業は専門家に任せるというのも、結果としてコスパの良い経営につながります。

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最後に、これまでに解説した合同会社のデメリットを踏まえ、弊社税理士が注意喚起しておきたいポイントを3点まとめました。

合同会社を選ぶときの注意点
  • 業種まで考慮した事業形態の選択を!
    「合同会社」の看板でビジネスが成り立つか要チェック
  • 設立時のコストだけで合同会社にしない!
    大きな資金が必要になるなら最初から株式会社でもいい
  • 今の関係だけで共同経営者を選ばない!
    定款のルール作りを徹底して社員間の共通認識を深めることが大切

合同会社の設立手続きは?6ステップで全体像を把握

合同会社の設立を決意したら、あとは具体的な手続きに進むだけです。ここでは、設立登記が完了するまでの流れを6ステップに分けて、その全体像を概観します。

細かいポイント(書類の綴じ順やよくあるミスなど)は別の記事で詳しく紹介するため、まずは設立手順の大まかな流れを把握してください。

合同会社設立の6ステップ

  1. 会社の基本事項の決定
    商号(会社名)や本店所在地(会社の住所)、事業目的、資本金、社員構成など、会社の骨組みとなる重要事項を固める
  2. 法人実印の作成
    会社の実印(会社代表者印)などの印鑑を作成する。会社名が確定した段階で、印鑑の専門業者に発注するのが一般的
  3. 定款の作成
    会社の組織・運営の基本ルールをまとめた「定款」を作成する。株式会社の場合と異なり、公証役場で認証を受ける手続きは不要
  4. 資本金の払込み
    1で決めた資本金を、代表社員個人の銀行口座に振り込む。通帳などに残る入金の記録は、登記申請書類の添付資料として活用する
  5. 登記書類の作成・製本
    法務局に会社情報を登録する「登記」に向けた最終準備の段階。さまざまな必要書類を作成し、綴じ方にも注意して製本する
  6. 設立登記申請
    本店所在地を管轄する法務局に登記書類を提出する。申請から登記完了までは1週間~10日ほどで、申請が通れば申請日が会社設立日になる

登記が無事完了した後には、各自治体や税務署への届出、年金事務所での社会保険の加入手続きなどが待っています。これらは会社ができてから行うものですが、届出には期限もあるため注意が必要です。

登記後の届出の一例

  • 5日以内に年金事務所へ届出(社会保険関係)
  • 1~3カ月以内に税務署へ届出(法人設立届出書や青色申告の申請書など)
  • 従業員を雇う場合、雇用日の翌日から10日以内に労働基準監督署とハローワークへ届出(労働保険関係)

各ステップの具体的な書類作成や、失敗を防ぐためのチェックリストは、以下の記事で完全網羅しています。

なお、個人事業の廃業手続きや会社設立後の届出については以下の記事で深掘りしています。あわせてご参照ください。

【FAQ】合同会社についてよくある質問

最後に、合同会社の設立を検討する起業家から頻繁に寄せられる質問をまとめます。厳選した下記5点について、細かい疑問をここで解消しておきましょう。

A.法人税の税率に、株式会社と合同会社で違いはありません。

どちらの会社形態も税法上の「普通法人」として扱われるため、適用される税率や、どこまで経費にできるかといったルールはまったく同じです。

節税メリットは「合同会社かどうか」よりも、会社の利益水準や役員報酬をいくらに設定するかによって大きく変わります。

A.合同会社の社長は「代表取締役」と名乗ることができません。会社法上、合同会社に「代表取締役」や「取締役」という機関が存在しないためです。

合同会社の社長の正式名称は「代表社員」となります。

もちろん、必ず「代表社員」と名乗らなければならないわけではありません。ホームページや名刺などで、対外的な肩書きとして「社長」「代表」「CEO」などを使用することはビジネスの現場でも広く受け入れられています。

A.合同会社は、1人でも問題なく設立できます(株式会社についても同様です)。

いわゆる「一人合同会社」の場合、その唯一の社員が出資、業務執行、代表を担うことになります。

フリーランスや個人事業主からの法人化でも、まずは一人合同会社からスモールスタートするケースが多いです。

A.合同会社か株式会社かを問わず、会社は資本金1円から設立可能です。

とはいえ、口座開設の審査や取引先からの信用を考慮すると、極端に少ない資本金で設立することはおすすめできません。実務上は数十万〜100万円程度を目安に設定するケースが大半です。

会社設立の初期費用はもちろん、事業が軌道に乗るまでの運転資金も視野に入れて、無理のない範囲で用意することをおすすめします。

A.「〇〇, LLC」のような英語表記だけで合同会社の登記をすることはできません。日本の法律上、会社名には必ず漢字で「合同会社」と入れる必要があります。

ただし、定款で「英文では〇〇, LLCと表示する」と規定することは可能です。

Webサイトや名刺のデザインとして「〇〇, LLC」や「〇〇 G.K.」を使用するのも自由で、ブランディングの一環としてよく行われています。

合同会社の利点を活かしてスマートな起業を

ここまで、起業の選択肢としての合同会社について、その特徴やコスト、リスクなどの観点から深掘りしてきました。

合同会社は決して怪しい会社ではなく、株式会社の廉価版でもありません。経営のスピードと自由度を最大化できる、スマートな会社形態の新定番です。

この記事のポイントを整理すると、以下の3点にまとめられます。

合同会社の重要ポイント

  • 立ち位置:個人事業主より信用力が高く、株式会社より迅速で柔軟な意思決定ができる「中間的な選択肢」である
  • メリット:設立費用が安いだけでなく、節税対策で個人の手取りを最大化できる可能性がある
  • 注意点:資金調達手段に制約があるため、事業規模や業種を踏まえた逆算思考が必要

これらを踏まえ、自身の状況に合わせて「次の一歩」を踏み出してみましょう。

▼会社設立での損益分岐を詳しく知りたい!
年収別の損益分岐や、個人事業主と法人でどれくらい手取りが変わるかを具体的に知りたい人は、以下の記事でシミュレーションを確認してみてください。
会社設立のメリットは?デメリットや損益分岐を税理士が徹底解説
▼株式会社と合同会社をもう少し入念に比較したい!
株式会社と合同会社の違いを、設立費用や運営コスト、信用力などの観点からもう一度整理したい人は、以下の記事をご参照ください。
株式会社と合同会社の違いを比較!メリットもわかりやすく解説
▼合同会社を設立しようと決めた!
合同会社への理解を深めて設立の意思が固まった人は、以下の設立手続きの詳細記事を見ながら具体的な準備を進めましょう。
合同会社の設立完全ガイド|費用6万円!最短2週間!書類の綴じ順・オンライン申請まで
▼個人事業主の法人化の全体像を知りたい!
廃業届や青色申告、インボイスの扱いなど、法人化にあたり個人事業主が知っておくべきポイントは以下の記事でまとめています。
法人成りとは?個人事業主が法人化するメリットやタイミングを解説

また、自分の売上・利益水準や今後の事業計画を前提として「本当に合同会社がベストなのか」を確認したい人もいるかと思います。そのような場合は、会社設立の専門家に相談するのが一番です。

ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立に関する無料相談を実施しています。税理士だけでなく行政書士や司法書士、社労士も在籍しているためワンストップで相談が可能です。レスポンスの速さにも定評があるため、初めての方もお気軽にご相談ください。

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