最終更新日:2026/9/4
合同会社の資本金はいくらが妥当?相場・決め方と金額設定の注意点

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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合同会社を設立するとき、「資本金はいくらあればいいのか」「10万円や50万円でも問題ないのか」と迷う方は多いでしょう。
合同会社の資本金には法律上の最低額がなく、1円などの少額から設立できます。
ただし、資本金が少なすぎると、会社を設立してすぐに運転資金が不足するといった注意点もあります。
実際に資本金を決めるときは、ほかの合同会社の資本金額を参考にしつつ、初期費用や運転資金、許認可、税金、融資などを考慮して、自社に必要な金額を算出することが大切です。
この記事では、合同会社の資本金の相場や、資本金額を決めるポイントをわかりやすく解説します。
合同会社の資本金の相場はいくら?
法務省の2025年「登記統計」によると、同年に設立された合同会社は4万5,161社でした。
そのうち、資本金100万円未満は2万1,740社で全体の48.1%を占めています。
さらに、100万円以上300万円未満の1万3,755社を合わせると、資本金300万円未満で設立された合同会社は全体の78.6%となります。
2025年新設合同会社の資本金階級別件数
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出典:「登記統計 商業・法人登記(年計表)2025年 第33表『登記の種類別・資本金階級別 会社の資本金の額の変動の件数及び金額』|法務省 をもとに当社作成
※1,000万円以上の階級は当社にて合算。
※資本金階級ごとに区分幅が異なるため、各割合は資本金額ごとの選択率を示すものではありません。
この結果から、新しく設立される合同会社は、資本金300万円未満のケースが多いことがわかります。
ただし、資本金の相場は自社の金額を決めるための目安の1つです。検討している金額帯によって、特に確認しておきたいポイントが異なります。
| 資本金額 | 注意すべきポイント |
|---|---|
| 100万円未満 | 設立費用や当面の運転資金を十分に確保できるか |
| 100万円~300万円未満 | 自社の初期費用や運転資金に見合った金額か |
| 300万円~1,000万円未満 | 店舗・設備・仕入れ、許認可などに必要な資金を確保できるか |
| 1,000万円以上 | 消費税や法人住民税の均等割、登録免許税などに影響する |
合同会社の資本金はごく少額から設立できる
合同会社の資本金には、法律上「◯万円以上必要」といった最低額は定められていません。そのため、1円などの少額からでも設立できます。
なお、出資額のすべてを資本金に計上する必要はないため、制度上は資本金を0円とすることも可能です。
一方で、合同会社を設立する社員は、設立登記をするまでに、定款で定めた金銭の全額を払い込むか、金銭以外の財産の全部を給付する必要があります。
つまり、「出資をまったくせずに合同会社を設立する」ことはできません。
会社には設立直後からさまざまな支払いが発生するため、実際に事業へ使う資金を踏まえて資本金額を決めることが重要です。
資本金額の具体的な決め方は、後述する「合同会社の資本金額を決める4つのポイント」で解説します。
合同会社の資本金を少なく・高く設定するデメリット
合同会社の資本金は少額でも設定できますが、少なければよいわけでも、多ければ安心というわけでもありません。
資本金が少なすぎると設立後の資金繰りや融資・取引に影響する一方、反対に高くしすぎると登録免許税や消費税、法人住民税などの負担に影響します。
資本金額を決める前に、少なく設定する場合と高く設定する場合のそれぞれのデメリットを確認しておきましょう。
合同会社の資本金を少なくしすぎるデメリット
合同会社は少額の資本金でも設立できますが、資本金を必要以上に少なくすると、設立直後の資金繰りや取引などで不都合が生じることがあります。
資本金を少なくしすぎる主なデメリットは、次の2つです。
その1:設立費用や運転資金が不足しやすい
資本金を少なくしすぎると、会社の設立費用や設立後の運転資金を会社自身で賄えなくなりがちです。
たとえば合同会社を設立する際には、原則として最低6万円の登録免許税がかかります。
資本金を1万円に設定した場合、資本金だけでは登録免許税を支払うこともできないため、代表社員が個人のお金で立て替える必要があります。
さらに、会社設立後には家賃や広告費、仕入代、通信費などの支払いも発生します。
会社に十分な現金がなければ、こうした費用についても代表社員が立て替えたり、会社へ資金を貸し付けたりすることになります。
代表社員が会社の費用を立て替えること自体に問題があるわけではありません。
ただし、設立直後から個人資金で不足分を補うことが分かっているのであれば、その分も含めて資本金を設定した方が資金管理はシンプルです。

代表税理士
森 健太郎
こうした社員(社長など)が会社の費用を立て替えたり、会社へ資金を貸し付けたりした金額は、役員借入金などとして処理されます。
役員借入金があること自体が悪いわけではありませんが、これらを含む負債が増え、会社の負債総額が資産総額を上回ると債務超過となり、資金調達や取引上の信用に大きく影響するため注意が必要です。
その2:融資や取引の際に資本金額を確認されることがある
資本金額は、金融機関や取引先が会社について確認する情報の1つです。
合同会社の資本金額は登記事項であるため、登記事項証明書を取得すれば第三者も確認できます。
事業規模に比べて資本金が極端に少ない場合には、会社がどのように事業資金を確保しているのかが不透明のため、信用を得にくくなるリスクがあります。

代表税理士
森 健太郎
ただし、融資の現場では多くの場合、資本金だけでなくその会社全体のキャッシュフローや、創業融資であれば創業者の貯蓄額(自己資産)もチェックします。
そのため、資本金が少ないというだけで融資を受けられなくなるわけではありません。
合同会社の資本金を高くしすぎるデメリット
資本金が少ないと資金繰りに余裕がなくなりやすい一方で、必要以上に資本金を高く設定すればよいわけでもありません。
資本金や出資額が一定額を超えると、設立時の登録免許税や設立後の税負担に影響する場合があります。
主に注意したいのは、次の3点です。
その1:資本金額によって設立時の登録免許税が高くなる
合同会社の設立登記にかかる登録免許税は、原則として資本金の0.7%ですが、計算した金額が6万円未満の場合は一律で6万円になります。
計算上、資本金額が858万6,000円以上であれば、設立登記の登録免許税が最低額の6万円を上回ります(100円未満の端数切捨て)。
会社設立時の登録免許税の全体像などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
その2:資本金・出資額が1,000万円以上になると消費税の扱いが変わる
新しく設立した法人は、一定の要件を満たせば消費税の納税義務が免除されます。
しかし、基準期間がない事業年度の開始日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上の場合は、原則として免税の対象になりません。
合同会社では出資額の一部を資本金に計上しないこともできますが、消費税では「資本金」だけでなく「出資の金額」も判定基準になるため注意が必要です。
なお、設立1期目の途中で増資し、資本金または出資の金額が1,000万円以上になった場合は、原則として設立2期目から課税事業者になります。
また、資本金・出資額が1,000万円未満でも、インボイス発行事業者として登録している場合や、特定期間の課税売上高等が1,000万円を超える場合などは、消費税が免除されないことがあります。
参考:No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例|国税庁
参考:No.6501 納税義務の免除|国税庁
資本金1,000万円の場合の税金やメリット・デメリットは、以下の記事で詳しく解説しています。
その3:資本金等の額によって法人住民税の負担が変わる
法人住民税の均等割は、資本金等の額や従業者数などによって税額区分が変わります。
たとえば東京都23区内にのみ事務所があり従業者50人以下の法人では、資本金等の額が1,000万円以下の場合と1,000万円を超える場合で均等割額が異なります。
なお、法人住民税の判定に使われる「資本金等の額」は、登記上の資本金だけを指すものではありません。
出資額を資本剰余金へ振り分けても、その分が資本金等の額に含まれる場合があるため、資本金だけを少なくすれば均等割額を抑えられるとは限らない点にご注意ください。
合同会社の資本金額を決める4つのポイント

資本金額を決めるときは、主に次の4つのポイントを確認しましょう。
初期費用と運転資金から資本金額を計算する
まずは、会社を設立して事業を始めるために、全部でいくら必要なのかを計算しましょう。
事業に必要な資金は、大きく「設備資金」と「運転資金」に分けられます。
- 設備資金:店舗取得費、内装費、パソコン、機械、車両、備品など
- 運転資金:家賃、人件費、仕入代、広告費、通信費など
たとえば、開業時の設備や備品に60万円、毎月の支出に25万円かかる会社が、6カ月分の運転資金を準備するとします。
この場合、事業開始時に必要な資金の目安は60万円+25万円×6カ月=210万円となります。
許認可に必要な資本金・財産要件を確認する
許認可が必要な事業を始める場合は、資本金を決める前に、その許認可の要件を確認しましょう。
許認可の中には、事業を安定して継続できるだけの財産があることを要件としているものがあります。
確認される内容は制度によって異なり、資本金額のほか、純資産や現金・預金などが基準になるケースもあります。
| 業種 | 主な財産要件 |
|---|---|
| 有料職業紹介事業 | 基準資産額500万円×事業所数、現預金150万円+一定額 |
| 労働者派遣事業 | 基準資産額2,000万円×事業所数、現預金1,500万円×事業所数など |
| 一般建設業 | 自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力など |
| 特定建設業 | 資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上など |
| 旅行業 | 種別により基準資産額100万~3,000万円 |
そのため、許認可が必要な業種では、資本金額を先に決めるのではなく、必要な財産要件を確認してから資金計画に反映することが大切です。
建設業や人材関連事業などを予定している場合は、会社設立前に管轄行政庁などで要件を確認しましょう。
許認可が必要な業種や会社設立時の注意点については、以下の記事でも詳しく解説しています。
資本金額による税制上の影響を確認する
資本金額を決めるときは、登録免許税や消費税、法人住民税などへの影響も確認しましょう。
「合同会社の資本金を高くしすぎるデメリット」で解説したとおり、資本金や出資額は、設立時の登録免許税や設立後の消費税、法人住民税などに影響する場合があります。
融資や取引先からの見え方を確認する
「合同会社の資本金を少なくしすぎるデメリット」で解説したとおり、資本金額は、金融機関や取引先が会社の規模や資金力を確認する際の情報の1つです。
合同会社の資本金額は登記事項のため、第三者も確認できます。
事業規模に対して資本金が極端に少ない場合は、どのように事業資金を確保しているのかを確認されることがあります。
資本金を少なく設定する場合は、自己資金や借入金を含め、事業を継続できる資金計画を準備しておきましょう。

代表税理士
森 健太郎
資本金には「この金額なら必ず正解」という基準はありません。
弊社が会社設立を支援する際も、事業内容や設立後に必要な資金などを確認したうえで、資本金30万円や10万円で設立するケースは少なくありません。
「自分の場合はいくらにすればよいかわからない」という場合は、会社設立前にぜひ弊社ことベンチャーサポート税理士法人にご相談ください。
合同会社の出資金を払い込む方法
合同会社を設立する社員は、定款を作成したあと、設立登記を行うまでに出資を履行します。
社員が現金を出資する場合は、設立前にはまだ合同会社名義の銀行口座が存在しないため、代表社員になる人などが管理する口座へ、定款で定めた出資金を払い込みます。
その後、登記申請では払込みがあったことを証明する書類を準備します。
法務省では、預金通帳の写しや取引明細などを用いた方法を案内しています。
出資金の払込みに使える口座や、払込みを証明する書類については、以下の記事で詳しく解説しています。
また、合同会社では現金だけでなく、自動車、パソコン、機械などの財産を現物出資することも可能です。
ただし現物出資をする場合は、その財産の価額を適切に評価し、必要な書類を準備しなければなりません。
現金のみを出資する場合より手続きが複雑になりやすいため、現物出資を予定している場合は事前に司法書士や税理士へ確認すると安心です。
現物出資のメリットやデメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
合同会社の資本金と出資金の違い
合同会社の資本金について理解するうえで、まず「出資金」「資本金」「資本剰余金」の違いを整理しておきましょう。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 出資金 | 社員が合同会社へ出す金銭や財産 |
| 資本金 | 出資された財産のうち、会社が資本金として計上する金額 |
| 資本剰余金 | 出資された財産のうち、資本金として計上しなかった部分など |
「出資金」は社員から会社へ渡す財産、「資本金」と「資本剰余金」は、その出資された財産を会社の会計上どのように区分するかを表すものです。
この3つの関係を踏まえて、合同会社では出資された財産をどのように資本金へ計上するのかを見ていきましょう。
出資額の全額を資本金にする必要はない
合同会社では、社員が出資した金額のすべてを資本金にする必要はありません。
出資額の一部だけを資本金とし、残りを「資本剰余金」とすることができます。
たとえば、社員が100万円を出資した場合、100万円すべてを資本金にするのではなく「資本金30万円・資本剰余金70万円」と振り分けることも可能です。

資本剰余金とは、簡単にいうと、社員から出資された財産のうち、資本金として計上しなかった部分です。
会社計算規則では、合同会社などの持分会社は、出資された財産の範囲内で資本金額を柔軟に設定でき、制度上は資本金を0円とすることもできます。
ただし、資本金を少なくして資本剰余金を多くすれば、必ず税負担を抑えられるわけではありません。
たとえば、設立時に1,000万円を出資し、「資本金100万円・資本剰余金900万円」とした場合でも、新設法人の消費税の判定では「資本金の額」だけでなく「出資の金額」も確認されます。
そのため、出資の金額が1,000万円以上であれば、原則として設立1期目から消費税の免税を受けられません。
参考:No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例|国税庁
資本金と資本剰余金の振り分けを決めるときは、登記上の資本金額だけでなく、税金への影響も確認しておきましょう。
株式会社の資本金との違い
株式会社も、出資された金額のすべてを資本金にしなければならないわけではありません。
ただし株式会社は、株主が払い込んだ金額のうち資本金に計上しないことができるのは2分の1までです。
資本金にしなかった部分は、原則として「資本準備金」に計上します。
一方、合同会社では会社計算規則により、出資財産の価額などの範囲内で資本金額を柔軟に定めることができます。
合同会社設立後に資本金を増やす方法
合同会社の資本金は、設立時に決めた金額から変更できないわけではありません。会社を設立したあとに増資することも可能です。
ただし増資の際には、資本金額の変更登記が必要になります。
会社の登記事項に変更が生じた場合、原則として変更が生じた日から本店所在地で2週間以内に登記する必要があります。
また、資本金の増加登記には登録免許税がかかります。
原則として増加した資本金額の0.7%で、計算した金額が3万円未満の場合は一律で3万円を納めます。
増資によって資本金や出資額が1,000万円以上になる場合などは税務上の扱いにも影響する可能性があるため、増資の金額とタイミングは事前に確認しましょう。
資本金の増資を行う際の手続きや登録免許税については、以下の記事で詳しく解説しています。
合同会社の増資には3つの方法がある
合同会社が資本金を増やす方法としては、主に次の3つが考えられます。
既存の社員が追加で出資する
現在の社員が追加で資金を出す場合は、社員を増やさずに会社の資本金を増やせます。
たとえば、社員1人で設立した合同会社が事業拡大のために資金を増やしたい場合、現在の社員が追加で100万円を出資し、その全部または一部を資本金に計上する方法があります。
ただし、合同会社の定款には各社員の「出資の目的」と「その価額または評価の標準」を記載する必要があります。
そのため、既存社員の出資額を増やす場合は定款の変更も必要です。
定款に別の定めがなければ、定款変更には原則として総社員の同意が必要になります。
既存社員による追加出資は、現在の社員構成を変えずに会社へ資金を追加したい場合に利用しやすい方法です。
新しい社員が加入して出資する
新しい出資者を社員として迎え、その社員からの出資によって資本金を増やす方法もあります。
合同会社で新しい社員を加入させる場合は、その社員の氏名・住所や出資額などを定款に追加します。
新しく社員になる人は、定められた出資の払込みや財産の給付を完了することで合同会社の社員になります。
新しい社員を加入させる場合に注意したいのは、会社にお金が増えるだけでなく、会社の経営メンバーも増えることです。
合同会社では、定款で業務執行社員を限定していなければ、原則として社員が会社の業務を執行します。
そのため、資金を出してもらうことだけを目的に新しい社員を加入させると、会社の意思決定や経営体制にも影響する可能性があります。
新しい社員から資金を受け入れる場合は、出資額だけでなく、その社員にどのような権限を持たせるのか、利益をどのように分配するのかなども事前に決めておくことが大切です。
資本剰余金を資本金へ振り替える
合同会社では、すでに計上されている資本剰余金の全部または一部を資本金へ振り替えて、資本金額を増やすこともできます。
たとえば、社員から100万円の出資を受けた際に、50万円を資本金、残りの50万円を資本剰余金として計上していたとします。
その後、資本剰余金50万円を資本金へ振り替えれば、資本金を100万円に増やすことが可能です。
この方法では、社員から新たな出資を受けるわけではないため、会社に入ってくる現金や財産そのものは増えません。
しかしそれでも資本金額は増加するため、振り替えた後は資本金額の変更登記が必要になります。
合同会社の資本金に関するよくある質問
ここでは、合同会社の資本金について、会社設立後のお金の扱いや複数人で出資する場合のルールなど、よくある疑問に回答します。
合同会社の資本金は10万円や50万円でも大丈夫?
合同会社は10万円や50万円の資本金でも設立できます。
ただし、その金額が適切かどうかは、設立後に必要な運転資金や許認可、融資の予定などによって異なります。
資本金だけで当面の支払いを賄えない場合は、設立直後から代表社員による立替や借入れが必要になる可能性があります。
合同会社の資本金は設立後も口座に残しておく必要がある?
合同会社の設立後、資本金と同額のお金を銀行口座に残しておく必要はありません。
たとえば資本金100万円で合同会社を設立した場合でも、100万円をそのまま預金として維持する必要はなく、会社設立後は家賃や仕入代、広告費、備品代などの事業に必要な支払いに使えます。
資本金は「銀行口座に残しておかなければならない金額」ではなく、会社に出資された財産のうち資本金として計上した金額です。
そのため、事業活動によって会社の預金が減っても、登記されている資本金額が自動的に減るわけではありません。
たとえ資本金が1億円の企業であっても、実際に保有している資金は数万円程度の可能性もあれば、数十億円以上の可能性もあるということです。
なお、出資されたお金は設立後には会社の財産になります。
代表社員が生活費など個人的な目的で自由に使えるお金ではないため、会社と個人のお金は明確に分けて管理しましょう。
合同会社の資本金は設立後に減らすこともできる?
合同会社は、設立後に資本金を減らすこともできます。
合同会社では、損失の穴埋めに資本金を充てる場合や、社員へ出資を払い戻す場合などに資本金を減少させることがあります。
ただし、資本金を減らす際には、債権者を保護するための手続きが必要です。
合同会社は資本金を減少する内容を官報に公告し、原則として把握している債権者にも個別に知らせ、債権者が異議を申し出るための期間を1カ月以上設けなければいけません。
資本金額を変更した後は、変更登記も行います。
また、資本金を減らしたからといって、減らした金額をそのまま社員が受け取れるわけではありません。
資本金の減少と、会社から社員への出資の払戻しは区別して考える必要があります。
減資には増資よりも時間や手続きがかかるため、「最初は多めの資本金にして、不要なら後から減らせばよい」とは考えず、設立時に必要な金額を検討しておきましょう。
出資額が多い社員ほど経営上の権限も大きくなる?
合同会社では、出資額が多い社員ほど自動的に経営上の権限が大きくなるわけではありません。
合同会社では、定款で別のルールを定めていない場合、各社員が会社の業務を執行します。社員が2人以上いる場合の業務に関する意思決定も、原則として出資額の割合ではなく社員の過半数で行います。
合同会社の意思決定において、出資額は議決権に直接影響を与えません。
たとえば、Aさんが90万円、Bさんが10万円を出資して合同会社を設立した場合も、業務に関する意思決定が出資割合の9対1で決まるわけではありません。
定款に別の定めがなければ、原則として社員の過半数で決定することになります。
もっとも合同会社では、定款によって業務を執行する社員を限定するなど、経営体制を設計することもできます。
複数人で会社を設立する場合は、「誰がいくら出資するか」と「誰がどのように経営へ関わるか」を分けて決めることが重要です。
合同会社の利益は出資額に応じて分配する必要がある?
合同会社では、定款に別の定めがなければ、各社員の出資額に応じて損益を分配します。
たとえば、Aさんが80万円、Bさんが20万円を出資し、定款で損益分配について特別なルールを定めていない場合は、出資額に応じた割合が損益分配の基準になります。
一方、合同会社は定款で出資割合とは異なる損益分配割合を定めることができます。
たとえば出資額はAさん80万円、Bさん20万円でも、事業への貢献度や役割などを踏まえて、定款で損益分配割合を50%ずつと定めるといった設計が可能です。
この点は、出資額と経営への関与を柔軟に設計できる合同会社の特徴の一つです。複数人で合同会社を設立する場合は、出資額だけを決めるのではなく、利益や損失をどのような割合で分けるのかについても設立時に話し合い、必要な内容を定款に定めておきましょう。
この記事のまとめ:合同会社の資本金は資金計画とセットで考えよう
合同会社の資本金には法律上の最低額がなく、少額の資本金でも会社を設立できます。
一方、資本金を決める目的は、できるだけ少ない金額で会社を作ることではありません。
会社が事業を始め、売上が安定するまでに必要な資金を確保することが重要です。
合同会社の資本金を決めるときは、次の順番で考えるとよいでしょう。
資本金を決めるときの検討順序
- STEP1設備資金と運転資金を計算する
- STEP2許認可に財産要件がないか確認する
- STEP3資本金・出資額による税制上の影響を確認する
- STEP4融資や取引先からの見え方を確認する
- STEP5必要な資金を踏まえて資本金額を決定する
2025年の登記統計では、資本金100万円未満で設立される合同会社が約半数を占めていますが、ほかの会社の相場が自社にとっての適正額とは限りません。
会社設立後の資金繰りや税負担まで踏まえて資本金を決めたい場合は、会社を設立する前に税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。
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