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最終更新日:2026/9/4

合同会社から株式会社に変更する方法|費用・メリット・手続きを解説

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
【公式】ベンチャーサポートグループチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:【公式】ベンチャーサポートグループチャンネル
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

合同会社から株式会社に変更する方法|費用・メリット・手続きを解説

会社を設立する際に、形態として合同会社を選択したとしても、あとから株式会社に変更することは可能です。

合同会社から株式会社へ会社形態を変更する手続きは、会社法上「組織変更」と呼ばれます。
新しく別の株式会社を設立して合同会社を廃業するわけではなく、法人としての同一性を維持したまま会社形態を変更します。

株式会社へ変更すると、株式を利用した資金調達ができるようになる一方、役員の任期や決算公告など、合同会社にはなかったルールも加わります。
そのため、「事業が成長したから株式会社に変更した方がよい」と一律に判断するのではなく、今後の資金調達や採用、事業計画などを踏まえて検討することが大切です。

この記事では、合同会社から株式会社へ変更するメリットやタイミング、デメリット、注意点、具体的な手続きや費用について解説します。
すでに合同会社を経営している人や、会社設立でどの形態の会社を選ぶべきか迷っている人はぜひ参考にしてください。

合同会社と株式会社の違い

合同会社と株式会社では、出資者の位置づけや会社の意思決定方法、役員の任期、決算公告などに違いがあります。

合同会社では、出資者を「社員」と呼び、原則として社員が会社の経営にも関わります。
定款で一部の社員だけを業務執行社員とすることも可能です。

株式会社では、出資者は「株主」となり、会社の業務は取締役が執行します。
出資者は経営に携わらないことも多く、所有と経営は分離されています。
もっとも、中小企業では同じ人が株主と取締役を兼ねることも多いため、必ず所有者と経営者が別人になるわけではありません。

主な違いを整理すると、以下のとおりです。

項目 合同会社 株式会社
出資者 社員 株主
出資者の権利 持分 株式
業務執行 原則として社員 取締役
代表者 代表社員 代表取締役など
役員等の任期 社員に法定の任期はない 取締役は原則2年。一定の非公開会社では定款により最長10年まで伸長可能
株式の発行 できない できる
決算公告 原則不要 原則必要
設立時の定款認証 不要 必要

株式会社と合同会社には、このほかにも会社運営や利益配分などに違いがあります。
それぞれの特徴について詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

合同会社から株式会社に変更するメリットとタイミング

合同会社から株式会社への変更を検討する主なタイミングとしては、株式を利用した資金調達や、取引・採用などで株式会社という会社形態を選ぶ必要性が高まったときが挙げられます。

株式会社へ変更することで何を実現したいのかを明確にしたうえで、組織変更を検討しましょう。

株式による外部からの資金調達を受けたいとき

株式を利用した外部からの資金調達を検討しているのであれば、合同会社から株式会社への変更が必要になります。

株式会社は、新たに株式を発行して投資家から出資を受けることができます。
ベンチャーキャピタルなどから出資を受けたり、将来的に株式上場を目指したりする場合にも、株式会社という会社形態が前提となります。

合同会社でも、新たな社員を加入させて出資を受けること自体は可能です。
しかし、合同会社には株式会社のように株式を発行するしくみがなく、株式会社と比較すると資金調達の幅が狭いという特徴があります。

大規模なプロジェクトを行いたい場合や、事業を拡大させていくときには、株式会社へ組織変更するメリットはとても大きいでしょう。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

なお、「銀行から融資を受けたいので、株式会社に変更しておく」という方もいますが、現在は融資審査で合同会社であることが不利になるケースはほぼありません。

融資審査では会社形態にかかわらず、経営者の経歴や会社の業績、事業計画、キャッシュフローなどが重要になります。

知名度を上げたい・採用を強化したいとき

取引や採用の場面で会社形態を意識する機会が増えた場合も、株式会社への変更を検討するタイミングです。

合同会社は広く利用されている会社形態ですが、株式会社と比べると、一般の消費者や求職者には馴染みが薄い傾向があります。
取引先から株式会社であることを求められる場合や、採用活動の中で会社形態について説明する機会が多い場合には、株式会社へ変更することで事業を進めやすくなる可能性があります。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

合同会社は「安く設立できる」というのが大きなメリットの1つであり、会社を設立した経験のある人にとっては共通認識にもなっています。

それだけに、同じ起業家の集まりに参加して、合同会社を経営していると話すのが何となく気後れする...といった理由から、株式会社に変更する方もいます。

将来的にIPO(株式上場)を目指すとき

将来的にIPO(株式上場)や外部投資家からの出資を検討している場合も、合同会社から株式会社への変更を検討するタイミングです。

IPOとは、自社の株式を証券取引所に上場し、一般の投資家が売買できるようにすることです。
合同会社には株式を発行するしくみがないため、上場することはできません。

上場にあたっては、業績だけでなく、コーポレート・ガバナンスや内部管理体制、情報開示の体制なども審査されます。
IPOを具体的に検討している場合は、組織変更だけでなく、その後の資本政策や管理体制の整備も含めて準備を進めましょう。

合同会社から株式会社に変更するデメリット

合同会社から株式会社へ変更すると、株式を活用した資金調達などが可能になる一方で、株式会社として新たに対応しなければならない手続きも生じます。
また、組織変更そのものにも、登記や官報公告などの費用と一定の期間が必要です。

株式会社への変更を判断するためにも、変更によって得られるメリットだけでなく、発生する負担も確認しておきましょう。

組織変更には費用と時間がかかる

合同会社から株式会社への組織変更には、登記の登録免許税や官報公告の費用などがかかります。
司法書士などの専門家へ手続きを依頼する場合は、別途報酬も必要です。

また、組織変更では債権者保護手続きを行う必要があります。
官報への公告や、原則として把握している債権者への個別催告を行い、債権者が異議を申し出られる期間を1カ月以上設けなければなりません。

組織変更計画の作成や登記申請まで含めると一定の期間が必要になるため、大きな取引や資金調達などに合わせて株式会社へ変更したい場合は、余裕を持って準備を始めることが大切です。

定期的な役員変更登記が必要になる

合同会社の社員には、会社法上の任期はありません。

一方、株式会社は取締役などの「役員」に通常2年の任期があります。

任期が満了した役員は退任、あるいはその後も同じ人が取締役を続ける「重任」をすることになりますが、その際には法務局で役員変更登記を行わなくてはいけません。

役員変更登記には、株主総会での決議や議事録の作成などが必要です。
また、登録免許税として1万円(資本金が1億円を超える場合は3万円)を納付しなければいけません。

すべての株式に譲渡制限がある非公開会社であれば、役員の任期を10年まで伸ばすこともできます。
しかしいずれにせよ、定期的な役員変更登記は必須です。

参考:会社法 第三百三十二条|e-Gov 法令検索

決算公告の義務が生じる

株式会社になると、原則として毎事業年度の決算後に「決算公告」を行う必要があります。

決算公告とは、貸借対照表などの決算情報を公告し、株主や債権者などが会社の財務状況を確認できるようにする制度です。
合同会社には原則として決算公告の義務がないため、株式会社へ変更することで新たに発生する負担の1つとなります。

参考:会社法 第四百四十条|e-Gov 法令検索

決算公告は官報や日刊新聞、あるいは自社のWebサイトに掲載することもできますが、いずれも一定のコストがかかります。
決算公告を怠ると、会社法によって100万円以下の過料が課される可能性があるので、注意しましょう。

参考:会社法 第九百七十六条|e-Gov 法令検索

合同会社から株式会社に変更するときの注意点

合同会社から株式会社への組織変更では、登記上は合同会社の解散登記と株式会社の設立登記を行います。
しかし、会社そのものが消滅して新しい法人になるわけではありません。そのため、税務上の事業年度や法人番号など、組織変更の前後でそのまま引き継がれるものがあります。

一方、商号が「◯◯合同会社」から「◯◯株式会社」に変わるため、銀行や取引先などに対しては変更手続きが必要になる場合があり、税務署に対しても異動届出書を提出します。

組織変更後の実務に支障が出ないよう、あらかじめ変更が必要なものを整理しておきましょう。

事業年度や消費税の課税期間は原則として引き継がれる

合同会社から株式会社へ組織変更しても、事業年度は原則として変更されません。

たとえば、3月決算の合同会社が7月1日付で株式会社へ組織変更したとしても、組織変更日で事業年度をいったん区切って決算するのではなく、従来どおり3月末まで事業年度が続きます。

消費税の課税期間についても同様で、組織変更によって途中で区切られることはありません。

免税期間がリセットされることはないので、注意しましょう。

法人番号・インボイス登録番号は原則として変わらない

合同会社から株式会社への組織変更では法人としての同一性が維持されるため、法人番号は原則としてそのまま引き継がれます。

適格請求書発行事業者の登録を受けている法人のインボイス登録番号は、「T+法人番号」で構成されています。
そのため、法人番号が変わらなければ、インボイス登録番号も変わりません。

ただし法人の区分が変わるため、税務上の異動手続きは必要です。

適格請求書発行事業者の名称などに変更があった場合には登録事項の変更手続きが必要ですが、法人が法人の区分などについて「異動届出書」を税務署に提出し、同届出書の「消費税」の欄にレ印を付して提出した場合は、「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」を別途提出する必要はありません。

法人印や銀行口座などの変更手続きを確認する

株式会社への組織変更に伴って、法人印や銀行口座、法人名義で契約しているサービスなどについて変更手続きが必要になる場合があります。

たとえば、現在使用している代表者印に「合同会社」や「代表社員」などの文字が入っている場合には、株式会社への変更に合わせて新しい印鑑を作成する必要があります。
法務局に届け出ている代表者印は、印鑑の変更にともなって「改印届書」を法務局へ提出しなければいけません。

銀行口座についても、商号や代表者の肩書などが変わるため、それに伴う手続きが必要になります。
必要な書類などは金融機関によって異なるため、利用している銀行に組織変更を行う旨を伝え、口座名義や届出印などの変更方法を確認しておきましょう。

このほか、法人名義のクレジットカードや各種契約、許認可などについても、会社形態や商号の変更に伴う手続きが必要か確認しておくと安心です。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

代表者印は通常、印面に役職名を彫るので、組織変更時は合同会社の「代表社員之印」などから株式会社の「代表取締役印」に変更しなければいけません。

銀行印や角印は役職名がないので、印面の変更は基本的に合同会社から株式会社への修正だけで大丈夫です。

組織変更の際は定款認証は不要

通常、新しく株式会社を設立するときは、公証人による定款認証が必須です。
しかし、組織変更では新しい法人を設立するわけではないため、組織変更後の株式会社の定款について認証を受ける必要はありません。

ただし、認証が不要だからといって、既存の合同会社の定款を「合同会社」から「株式会社」へ書き換えるだけでは不十分です。

商号(法人区分)、目的、発行可能株式総数、株式の譲渡制限、機関設計など多くの条項が変わるため、作成時には認証が不要とはいえ軽視しないようにしましょう。
将来の増資や機関変更にも対応できる設計となっているかの確認も重要です。

合同会社から株式会社へ変更する際の流れ

合同会社から株式会社への組織変更では、組織変更計画の作成債権者保護手続き登記申請の順に手続きを進めます。

特に債権者保護手続きでは、債権者が異議を申し出られる期間を1カ月以上設けなければなりません。
そのため、準備から登記まで含めると、一般的には1.5~2カ月程度の期間を見込んでおく必要があります。

株式会社へ変更したい時期が決まっている場合は、余裕を持って準備を始めましょう。

Step1:組織変更計画を作成し総社員の同意を得る

合同会社から株式会社へ変更するときは、まず「組織変更計画」を作成します。

組織変更計画とは、株式会社への変更後に会社をどのような形にするのかを定めるものです。

組織変更計画で定める主な内容

  • 組織変更後の株式会社の目的・商号・本店所在地
  • 発行可能株式総数
  • 株式会社の定款で定める事項
  • 取締役の氏名
  • 監査役などを置く場合はその氏名
  • 合同会社の社員に交付する株式数またはその算定方法
  • 社員に対する株式の割当てに関する事項
  • 組織変更の効力発生日

合同会社では、定款に別段の定めがある場合を除き、効力発生日の前日までに組織変更計画について総社員の同意を得る必要があります。
効力発生日になると、合同会社の社員は、組織変更計画で定めた内容に従って株式会社の株主になります。

社員が複数いる合同会社では、株式の割当てや役員構成などについて事前に話し合っておきましょう。

Step2:官報公告・個別催告による債権者保護手続きを行う

合同会社から株式会社への変更は、会社の債権者の利害にも影響を及ぼします。
そのため、組織変更計画を作成したあとには、事前に官報公告および個別に債権者に対して催告する「債権者保護手続き」を行わなければいけません。

債権者保護手続きとは、金融機関や取引先などの債権者に対して株式会社へ組織変更することを知らせ、異議を申し出る機会を設ける手続きです。
合同会社から株式会社への組織変更では、原則として以下の2つを行います。

合同会社から株式会社への組織変更で必要な債権者保護手続き

  • 官報で組織変更する旨などを公告する
  • 把握している債権者へ個別に催告する

個別催告では、債権者が異議を申し出られる期間は1カ月以上設けなければなりません。
期間内に債権者から異議がなければ、その債権者は組織変更を承認したものとみなされます。

異議を申し出た債権者がいる場合には、組織変更によってその債権者を害するおそれがないケースを除き、弁済や担保の提供などの対応が必要です。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

会社への貸付金が代表社員本人からのものしかないなど、外部債権者がいない場合であっても、官報公告+1カ月以上の異議申述期間は必須です。

省略することはできないので、注意してください。

合同会社の定款で公告方法を日刊新聞紙または電子公告としている場合、官報公告に加えて定款で定めた方法でも公告することで、債権者への個別催告を省略できます。
この方法は「ダブル公告」と呼ばれます。

税理士 森健太郎

代表税理士
森 健太郎

ダブル公告を行う場合でも、債権者が異議を申し出られる期間は1カ月以上必要です。
日刊新聞紙による公告では、新聞紙面に組織変更の内容と異議申述期間を掲載します。
一方、電子公告を利用する場合は、原則として異議申述期間が終了するまでWeb上で公告を継続し、さらに法務大臣の登録を受けた電子公告調査機関へ調査を依頼する必要があります。

Step3:合同会社の解散登記と株式会社の設立登記を申請する

債権者保護手続きが完了し、組織変更計画で定めた効力発生日を迎えると、合同会社は株式会社になります。
その後、効力発生日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局で、組織変更前の合同会社の解散登記と、組織変更後の株式会社の設立登記を同時に申請します。

合同会社の組織変更による株式会社の設立登記申請書および解散登記申請書は、法務局のサイトで雛形が公開されています。

参考:持分会社(株式会社への組織変更)|法務局(PDF)

※法務局の記載例は合名会社を例に作成されていますが、合同会社についてもおおむね同様の方法で申請が可能です。

ただし、「解散登記」「設立登記」という名称ではありますが、これは合同会社を清算して別法人を新設するわけではありません。
組織変更の前後で法人としての同一性は維持され、会社そのものは継続します。

合同会社から株式会社への変更に必要な書類

株式会社への組織変更で必要となる主な書類は、以下のとおりです。

書類 必要となるケース
株式会社の定款 原則必要
組織変更計画書 原則必要
組織変更計画に関する総社員の同意書 原則必要
代表取締役の選定に関する書面 選定方法に応じて必要
取締役・代表取締役等の就任承諾書 設置する役員に応じて必要
本人確認証明書 対象となる役員について必要
公告・催告をしたことを証する書面 原則必要
登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書 原則必要
会計参与・会計監査人関係書類 設置する場合
異議を述べた債権者への弁済等を証する書面 異議を述べた債権者がいる場合
株主名簿管理人関係書類 株主名簿管理人を置く場合
委任状 代理人へ登記申請を委任する場合

「登録免許税法施行規則第12条第4項の規定に関する証明書」とは、以下の2つが確認できるものを指します。

  • 組織変更をする会社の当該組織変更の直前における資産の額および負債の額
  • 組織変更後の株式会社または合同会社が当該組織変更に際して当該組織変更の直前の会社の株主または社員に対して交付する財産(当該組織変更後の株式会社の株式および合同会社の持分を除く)の価額

登記の内容や役員構成によって必要書類は異なるため、自社に必要な書類を法務局の記載例などで確認しておきましょう。

合同会社から株式会社に変更する費用

合同会社から株式会社への組織変更では、主に以下の費用がかかります。

費用 金額の目安
合同会社の解散登記の登録免許税 3万円
株式会社の設立登記の登録免許税 最低3万円~
官報公告の掲載料 約4万円
司法書士などへの報酬 10万~20万円程度

これら以外にも、登記事項証明書や印鑑証明の取得などで数千円ほどの費用がかかります。
それぞれの費用を詳しく確認しましょう。

登録免許税

合同会社から株式会社へ組織変更する際には、合同会社の解散登記と株式会社の設立登記の2件を申請し、それぞれ登録免許税を納付します。

合同会社の解散登記にかかる登録免許税は、一律で3万円です。

一方、組織変更による株式会社の設立登記の登録免許税は、通常と計算方法が異なります。

組織変更にともない、合同会社の時点から資本金が増額していない場合は、その資本金額の0.15%が登録免許税です。
しかし資本金が増額している場合は、合同会社時点の資本金額の0.15%に、増額した額の0.7%を加算した額が登録免許税になります。
この合計額が3万円に満たない場合は、一律で3万円を登録免許税として納付します。

参考:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁

そのため、資本金が大きくない会社で組織変更にあわせて増資もしない場合は、合同会社の解散登記3万円+株式会社の設立登記3万円=合計6万円となるケースが多いでしょう。

官報公告の掲載料

官報公告の掲載料は、掲載する内容の行数によって異なります。

2026年9月時点で、会社が行う各種公告の掲載料は1行22文字で3,947円(税込)です。

合同会社から株式会社への一般的な組織変更公告は9~10行程度となるケースが多く、掲載料は3万5,531円~3万9,479円程度が目安です。

組織変更公告の行数は、会社の商号や本店所在地、掲載内容によって変わるため、実際の掲載料は公告原稿を作成したうえで確認しましょう。

参考:官報公告掲載料金|全国官報販売協同組合

専門家に依頼した場合の報酬

合同会社から株式会社への組織変更を司法書士に依頼する場合、司法書士報酬は10万~20万円程度が1つの目安です。

ただし、司法書士の報酬には統一された基準がなく、各司法書士事務所が自由に設定しています。
そのため、依頼先や手続きの内容によって実際の金額は異なります。

また、組織変更計画や定款の作成、官報公告の手配、債権者への個別催告など、どこまでの手続きを依頼するかによっても報酬は変わります。

合同会社から株式会社に変更するときによくある質問

合同会社から株式会社への組織変更では、税金や決算、株式の割当てなどについて疑問を持つ方も多いでしょう。

ここでは、株式会社への変更に関するよくある質問を解説します。

合同会社から株式会社への変更は自分でできる?

合同会社から株式会社への組織変更は、自分で手続きすることも可能です。
自分で手続きをすれば、専門家に依頼した場合にかかる10万~20万円程度の報酬を抑えられます。

しかし、自分で行う場合は、前述したように株式会社の定款や組織変更計画の作成、官報公告の手配、登記書類の作成など、さまざまな手続きを行わなければいけません。
こうした作業を専門知識のない個人が行う場合は、それなりの時間と労力が必要になります。

社員が1人で、株式の割当てや役員構成もシンプルであり、書類作成や法務局とのやり取りに時間をかけられる場合は、自分で手続きを進めることもできます。

しかし社員が複数いる場合や、出資割合と異なる株式の割当てを行う場合、債権者が多い場合、組織変更と同時に資本金や役員構成なども変更する場合は、確認する内容が増えるため、司法書士や税理士など専門家への相談を強くおすすめします。

合同会社から株式会社への変更で税金はかかる?

合同会社から株式会社への組織変更は、別法人を新設する手続きではないため、組織変更したことだけを理由として法人税や消費税が新たに課されることはありません。

ただし、登記申請時には登録免許税がかかります。
また、組織変更に伴って社員に株式以外の金銭や資産を交付する場合には、その金額の一部が「みなし配当」として課税されることがあります。

個人の社員と法人の社員では税務上の取扱いが異なるため、金銭等の交付を伴う場合は事前に税理士へ確認しましょう。

なお、株式の配当金や出資分配金は消費税の課税対象にはなりませんが、所得税・法人税上の課税関係は別途生じる場合があります。

株式会社に変更したら合同会社のころの決算はどうなる?

合同会社から株式会社へ組織変更したことだけを理由に、効力発生日の前日でいったん決算を行う必要はありません。
組織変更では事業年度が区切られず、従来の事業年度がそのまま継続します。

たとえば、3月決算の合同会社が10月1日に株式会社へ変更した場合でも、9月30日で一度決算するのではなく、翌年3月31日までを1つの事業年度として決算・申告を行います。

組織変更とあわせて事業年度自体を変更する場合は取扱いが異なるため、別途手続きが必要です。

合同会社の欠損金は引き継げる?

合同会社から株式会社へ組織変更しても、原則として繰越欠損金はそのまま引き継がれます。
組織変更によって新しい法人になるわけではなく、同一の法人が会社形態を変更するためです。

そのため、青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金について繰越控除の要件を満たしている場合、組織変更前から残っている繰越期間も引き継がれます。

合同会社の持分は株式会社の株式にどう変わる?

合同会社の社員に何株ずつ割り当てるかは、組織変更計画で決めます。

会社法では、合同会社の出資比率と同じ割合で株式を割り当てなければならないとは定められていません。
そのため、総社員の同意を得たうえで、組織変更後の株式数と各社員への割当てを決めることができます。

もっとも、出資割合や持分の価値から大きく外れた株式の割当てを行うと、社員間で経済的な利益の移転が生じ、税務上の問題につながる可能性があります。

複数の社員がいる合同会社で出資割合と異なる株式の割当てを検討する場合は、登記だけでなく税務上の影響も確認して決定しましょう。

最初から株式会社を設立する場合と組織変更ではどちらが安い?

単純な費用だけを見ると、最初から株式会社を設立するよりも、まずは合同会社を設立してから株式会社に組織変更したほうが、わずかに安く株式会社を設立できます。

株式会社を設立する際にかかる費用は約24万円ですが、合同会社の設立費用は約11万円です。
合同会社から株式会社に変更する際にかかる費用は、登録免許税が合計6万円、官報公告が約4万円です。
これらを合わせると、合同会社の設立から株式会社への変更にかかる総額は約21万円となり、最初から株式会社を設立する場合と比較して、約3万円ほど安く設立できることになります。

もっとも、これは組織変更の手続きを自分で行った場合の値段です。
司法書士などに依頼する場合は、報酬額が発生するため、最初から株式会社を設立したほうがずっと安いです。

また、組織変更に必要な書類の作成や提出、債権者保護手続きにかかる時間を考慮すれば、コスト面のためにわざわざ一度合同会社を作り、株式会社へ組織変更する必要性は薄いと言えます。

この記事のまとめ:合同会社から株式会社への変更は専門家に相談しよう

合同会社から株式会社への変更は、会社法上の「組織変更」という手続きを行うことで可能です。
株式会社へ変更すると、株式を活用した資金調達やIPOを目指せるようになる一方、役員の任期や決算公告など、合同会社にはなかったルールも加わります。
また、組織変更には、組織変更計画の作成、総社員の同意、官報公告や債権者への個別催告、登記申請など複数の手続きが必要です。

合同会社から株式会社への変更を検討している場合は、登記は司法書士、税務上の取扱いは税理士など、必要に応じて専門家へ相談しながら進めると安心です。
より確実な組織変更を行いたい場合は、複数の士業が集まった「士業グループ」への相談をおすすめします。

ベンチャーサポート税理士法人では、会社設立や会社運営に関する無料相談を実施しています。
税理士だけでなく司法書士や行政書士、弁護士なども在籍しているため、さまざまなケースにワンストップで対応が可能です。

レスポンスの速さにも定評があるため、組織変更を考えている方や、会社設立にあたって株式会社と合同会社のどちらにするかお悩みの方も、お気軽にご相談ください。

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