最終更新日:2026/6/23
代表取締役とは?社長や取締役との違い・権限・任期・登記について解説します

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
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- 代表取締役とはどのような役職なのか
- 代表取締役と社長、取締役、CEOの違い
- 代表取締役の権限と責任
会社の代表者を表す言葉には、代表取締役、社長、取締役、CEOなど似た名称が多くあります。実はこれらの名称は、それぞれ立場や権限、責任が異なります。
代表取締役は会社法上の役員の1つであり、大きな特徴として会社を代表する権限を持っています。
一方、社長やCEOは社内の肩書きとして使われることが多く、代表取締役とは別人であることもあり得ます。会社設立や役員変更の場面では、これらの違いを正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、代表取締役とは何か、取締役との違い、社長やCEOとの関係、選定方法や任期、複数代表制のメリット・デメリット、登記義務などについて専門家がわかりやすく解説します。


目次
代表取締役とは?
代表取締役は法律上どのような立場にあり、会社の中でどのような役割を担っているのでしょうか。
まずは代表取締役の基本を解説します。
代表取締役は会社法上の役員
代表取締役は会社法上の役員です。
代表取締役は、法律上、会社の代表者であり、会社が行うあらゆる法的な行為の決定権を持っています。
(株式会社の代表)
第三百四十九条 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
会社の代表権を持っている
代表取締役と取締役の最大の違いは「代表権の有無」です。代表取締役は代表権を持っているため、会社を代表して法的効力のある外部的な行為を行うことができます。
(株式会社の代表)
4 代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
上記のように定められており、代表権を持つ者の行為は、原則として会社の行為とみなされます。
銀行融資の契約、不動産の売買契約、雇用契約、訴訟代理など、会社が外部と行う重要な法律行為は、すべて代表取締役が最終的な権限を持っています。
社長・CEOとは意味が異なる
代表取締役は法律上の役職ですが、社長やCEOは会社法上の役員ではありません。
「社長」は各企業が独自に定めている職名(肩書き)です。近年よく使われる「CEO」も同様で、法律上の役職ではありません。
社長やCEOという肩書きだけで会社の代表権を持っているとは限らないため、注意が必要です。
代表取締役と社長の違い
代表取締役と社長は同じ意味で使われることもありますが、厳密には異なるものです。ここでは、代表取締役と社長の違いについて説明します。
社長は会社法上の役職ではない
社長は、多くの会社で最上位の役職名として使われています。ただし、会社法では「社長」という役職は規定されていません。
会社法のルールや責任という観点で見るなら、社長かどうかより、代表取締役かどうかが重要です。
代表取締役社長という表現もよくあるため、社長と代表取締役は同じだと間違えられやすいですが、厳密には代表取締役と社長は別物です。
代表権の有無
代表取締役と社長の最大の違いは、代表権の有無と会社法上の役員かどうかです。
代表取締役は会社を法的に代表できますが、社長という肩書きだけでは代表権があるとはいえません。
実務上は「代表取締役社長」というパターンが多いものの、重要なのは肩書きの前半にある「代表取締役」です。
社長でも代表権がないケースがある
代表取締役と社長に違いがあるということは、社長と呼ばれている人物に代表権がないケースもあり得ます。
たとえば、創業者が会長となり、別の人が社長に就任していても、代表権は会長側にある場合などがあります。
法的に会社を代表するのは代表取締役だけです。社長という肩書きだけで契約権限や対外的権限を判断しないことが大切です。
代表取締役と取締役の違い
取締役も代表取締役も会社法上の役員ですが、役割や権限は同じではありません。ここでは、両者の関係を整理して違いを解説します。
取締役は会社の経営を担う役員
取締役とは、株主から委任されて会社の経営判断をする役員です。
取締役は会社の意思決定や業務執行に関わりますが、すべての取締役が当然に対外的な代表権を持つわけではありません。
代表取締役が置かれている場合、代表権を持っているのは代表取締役のみです。
代表取締役は取締役の中から選ばれる
代表取締役は会社の代表権を持つ役員で、取締役の中から選定されます。会社法では、株式会社には必ず「取締役」を置かなければなりません。
(株主総会以外の機関の設置)
第三百二十六条 株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
代表取締役は取締役の一種で、さらに代表権を与えられた存在という位置付けです。
代表取締役とCEO・会長・執行役員の違い
会社ではさまざまな肩書きが使われますが、法律上の意味と社内での呼称は分けて理解する必要があります。ここでは、混同されがちな役職との違いをまとめます。
| 役職名 | 会社法上の役職か | 代表権の有無 | 主な意味 |
|---|---|---|---|
| 代表取締役 | 〇 | ある | 会社を法的に代表する役員 |
| 取締役 | 〇 | 代表取締役が置かれている場合はない | 経営を担う役員 |
| 社長 | × | あるとは限らない | 社内の最上位としての肩書き |
| CEO | × | あるとは限らない | 最高経営責任者を示す肩書き |
| 会長 | × | あるとは限らない | 経営上の地位や慣習上の肩書き |
| 執行役員 | × | ない | 業務執行上の社内ポスト |
CEOは会社法上の役職ではない
CEO(Chief Executive Officer)は「最高経営責任者」を意味します。国内企業でも使用されることの多い役職ですが、日本の会社法にはCEOという役職は一切規定されていません。
そのため、CEOという肩書きでも法的に会社を代表できるとは限りません。
ただし、実務では「代表取締役CEO」「代表取締役社長CEO」などと表記されることもあります。名刺などに「代表取締役」と併記されている場合は、代表権を持っていることになります。
肩書きだけで代表権を判断しない
代表取締役、会長、社長、CEO、執行役員などは、それぞれ意味合いが異なる役職です。
たとえば社長が代表取締役として代表権を持つ会社もあれば、社長と代表取締役が別というケースもあります。
また、執行役員については、「役員」とあるものの社内制度上のポストであり、会社法上の役員ではありません。
契約や重要な手続きを確認する際は、法定の役員かどうか、代表権を持つ役員かどうかがポイントになるため、登記事項や正式な役員構成を確認することが必要です。
代表取締役の権限とは?
代表取締役がどこまでの権限を持つのかは、会社運営において非常に重要です。ここでは代表取締役の責任の範囲や権限を整理します。
会社を代表して契約を締結できる
代表取締役は代表権を持っているため、会社を代表して外部との契約締結ができます。
不動産の賃貸借契約、金融機関との融資契約、雇用契約など、会社として重要な法律行為を行う権限があるということです。
これは単なる社内ルールではなく、代表取締役が法的に代表権を持っていて会社そのものを対外的に動かせる立場であることを意味します。
業務執行の最終責任者
代表取締役は会社全体の業務を統括する立場にあり、経営判断の最終的な責任を負っています。
内部統制や報告体制が不十分で、他の役員による不正や重大な過失を見逃した場合は、代表取締役が監督責任を問われる可能性もあります。
中小企業では会社の債務の連帯保証人になるケースもあり、法的責任だけでなく実務上の金銭的負担も大きくなりやすい役職といえます。
代表取締役はどうやって決まる?
代表取締役は自動的に決まるわけではなく、取締役の中から選ばれます。ここでは、代表取締役がどのように選ばれるのかを解説します。
取締役会設置会社での選定方法
取締役会を設置している会社の場合、取締役会の決議で代表取締役が選定されます。
ただし、定款で規定すれば、株主総会で代表取締役を選定する運用も可能です。
取締役会を設置しない会社での選定方法
取締役会を設置しない会社の場合は、定款に基づく取締役の互選や株主総会の決議、または定款への直接記載のいずれかの方法で代表取締役を選定します。
取締役が1人だけの場合、その取締役が会社を代表します。
代表取締役は複数人にできる!共同代表のメリット・注意点
会社法では代表取締役の人数に上限が設定されていないため、複数の代表取締役を置いても問題はありません。
このように、代表取締役を複数にする「共同代表」も認められています。ただし、権限が分散するため注意点もあります。
共同代表のメリット
共同代表を置くことで、それぞれの得意分野を活かしたビジネスの展開ができるというメリットがあります。
事業部ごとに責任者を分けたい場合や、共同創業者とのバランスを取りたい場合に採用されることがあります。営業面と管理面で強みが異なる共同創業者がいる場合には、共同代表のほうがよいこともあります。
共同代表のデメリット
共同代表では、同じ権限の人が複数存在することになるため、意見の不一致が生じることも珍しくありません。
共同代表にした結果、指揮系統が不明確になったり、一方の署名が欠けただけで契約が無効になったりするリスクがあります。
代表取締役の任期
代表取締役の任期は、取締役の規定に従うのが原則です。
会社法に「代表取締役だけの任期」という概念はなく、取締役としての任期が満了すれば、同時に代表取締役としての地位も失います。ここでは、任期について解説します。
非公開会社では最長10年まで延長できる
代表取締役の任期は、会社法で原則2年と定められています。これは取締役と同様です。
ただし、非公開会社の場合は定款で定めることで最長で10年まで任期を延長できます。
家族経営やオーナー企業など、経営体制の安定を重視する会社では、あらかじめ任期を長めに設定して再任登記の手間を省くケースも多くなっています。
任期満了後は重任手続きが必要
任期が満了したあとも引き続き同じ人が代表取締役を務める場合は、重任という手続きが必要です。この点についても取締役と同様です。
同じ人が代表取締役を続ける場合でも、重任や再任の場合は手続きが必要です。
代表取締役と登記
代表取締役は会社法上の役員であるため、重任や再任があれば登記が必要です。会社設立時だけでなく、運営開始後も継続的に注意しなければならないポイントです。
就任・退任・重任・住所変更で変更登記が必要
代表取締役が就任したときはもちろん、退任、重任、氏名や住所の変更などがあった場合には、変更登記を行います。登記簿には常に正しい情報が記載されていなければなりません。
代表取締役は登記される役員であるため、変更から2週間以内に登記が必要です。
登記を怠った場合のリスク
代表取締役に関する変更登記は、変更から2週間以内に申請しなければなりません。これを怠ると、登記懈怠(けたい)という状態になり100万円以下の過料の対象になる可能性があります。
手続きの遅れは単なる事務のミスでは済まないこともあるため、役員の任期や変更日は入念に管理しておきましょう。
ケース別!代表取締役のルールや手続き
代表取締役に関するルールや手続きについて、会社をこれから設立するケースと、現在の代表取締役を変更したいケースに分けて解説します。
これから会社を設立する場合
これから会社を設立する場合は、手続きの流れ、機関設計などを全体的に把握しておく必要があります。
代表取締役を誰にするのかや登記スケジュールは早い段階で決めておくといいでしょう。
会社設立前には、主に次の点を確認しておくと安心です。
- 代表取締役を誰にするか
- 取締役会を設置するか
- 定款の内容
- 取締役・代表取締役の任期
- 設立登記までのスケジュールをどう組むか
これらを事前に決めておくことで、設立手続きをスムーズに進めやすくなります。
代表取締役を変更する場合
代表取締役を変更する際は、必要な決議を行い、必要書類を整えたうえで変更登記を申請します。会社の代表者変更であるため、登記まで考慮したスケジュールを作りましょう。
変更時には、次のような点を順番に確認するとわかりやすいです。
- 必要な決議
- 必要書類の準備
- 変更登記申請
- 銀行口座や契約先の名義変更の確認・実施
- 取引先や関係先への通知
決議だけ終われば完了というわけではないため、登記や社外への通知など対外的な対応も考慮して手続きを進める必要があります。
【FAQ】代表取締役についてよくある質問
代表取締役は会社の代表権を持っている代表者
代表取締役は、会社を対外的に代表する重要な役職です。社長やCEOとは異なり、会社法上の役員であり、かつ会社の代表権を持っています。
取締役との違い、選定方法、共同代表の考え方、任期、登記について理解しておくことで、設立時や役員変更時のミスを防ぎやすくなります。
特に会社設立時は、定款、機関設計、役員構成、任期設定、登記スケジュールなどはすべて連動しています。代表取締役の決め方を誤ると、あとで修正の手間が増えることもあります。
スムーズに会社設立の手続きをしたいなら、司法書士や税理士などの専門家に相談しながら進めると安心です。
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