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最終更新日:2026/6/11

会社設立で行政書士に依頼できることは?費用・メリットと他士業との違いを解説

森 健太郎
この記事の執筆者 税理士 森健太郎

ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
起業・会社設立に役立つYouTubeチャンネルを運営。

PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-mori
YouTube:会社設立サポートチャンネル【税理士 森健太郎】
書籍:プロが教える! 失敗しない起業・会社設立のすべて (COSMIC MOOK) ムック

会社設立で行政書士に依頼できることは?費用・メリットと他士業との違いを解説

「会社設立を専門家に頼みたいけれど、行政書士・司法書士・税理士のうち誰に何を依頼すればいいのかわからない」という方は少なくありません。
結論から言うと、行政書士が会社設立で力を発揮するのは、飲食店の営業許可や建設業許可など、許認可の申請が必要な場面です。

一方、登記申請は司法書士、税務届出や節税対策は税理士の領域であり、行政書士だけで設立手続きのすべてが完結するわけではありません。

この記事では、行政書士に依頼できる業務の範囲から、司法書士・税理士との役割の違い、依頼した場合の費用目安、そして「自分の事業に行政書士は必要か」を判断するための基準まで、わかりやすく整理しています。

個人事業と法人の違い、会社設立の流れ、必要書類、費用など会社設立の全体像をわかりやすく解説!

目次


行政書士への依頼が必要なケース・不要なケースとは

行政書士に依頼するべきかどうかは、自分の事業に許認可が必要か否かによって大きく変わります。
ただし、許認可が必要な業種であっても内容によっては自分で対応できるケースがあり、逆に許認可が不要でも行政書士への相談が有効な場面もあります。

ここでは、依頼を検討すべきケースと不要なケースを具体的に整理します。

行政書士への依頼を検討すべきケース

許認可が必要な業種で起業する場合、その手続きの難易度によって行政書士への依頼メリットが変わります。
とくに以下のような状況では、経験のある行政書士に依頼するほうが手続き全体がスムーズに進みます。

行政書士に依頼すべきケース

  • 建設業許可や運送業許可のように、人員・資金・設備など満たすべき要件が多い許認可が必要になる
  • 飲食店営業許可と深夜酒類提供飲食店営業の届出など、複数の許認可を並行して取得する
  • 事業開始日や取引先との契約などにより、許認可の取得期限が決まっている

また、許認可の申請と並行して補助金の活用を検討している場合は、両方の書類作成を同じ行政書士に依頼すると窓口を一本化できます。
設立直後に活用できる補助金は申請期限が限られていることも多いため、許認可の手続きと同時に準備を進められる点は実務上のメリットになります。

行政書士への依頼が不要なケース

行政書士への依頼を検討するかどうかの分岐点は、「自分の事業に、専門家の知見がなければ対応が難しい許認可があるかどうか」です。

IT、コンサルティング、Web制作、デザインなど、許認可を必要としない業種の場合、行政書士に依頼する業務は定款の作成と認証程度に限られます。
定款の作成と認証は司法書士も対応できるため、その後の登記申請まで一貫して任せられる司法書士に依頼するほうが手続きがシンプルです。

また、許認可が必要な業種であっても、古物商許可のように書類が少なく手続きが比較的簡易なものは、管轄の行政機関に確認しながら自分で進めることも可能でしょう。

【早見表】行政書士のサポートが推奨される業種・許認可一覧

ここでは、代表的な業種と、主に必要になる許認可などを一覧でまとめました。
自分の事業が該当するかどうかの確認に利用してください。

業種 主に必要な許認可 主な申請先 行政書士の必要度
古物商(中古品販売) 古物商許可 公安委員会(警察署経由) 【低】
書類が少なく、個人でも対応しやすい。
飲食店 飲食店営業許可 保健所 【低】
手続き自体はシンプル。
ただし夜間営業や酒類を提供する場合などは別途届出が必要。
ペットショップなど 第一種類動物取扱業登録 都道府県 【低】
登録制で手続きは比較的簡易。
動物取扱責任者の選任が必要。
酒類販売業 酒類販売業免許 税務署 【中】
需給調整要件や経験要件など、独自の審査基準がある。
旅行業 旅行業登録 都道府県知事または観光庁 【高】
旅行業の種別に応じた基準額の営業保証金が必要。
建設業 建設業許可 都道府県知事または国土交通大臣 【高】
要件が複雑で、書類の量も多い。
運送業(貨物) 一般貨物自動車運送事業許可 運輸局 【高】
車両・資金・人員など要件が多岐にわたる。

ただし、上記は代表的な許認可の一例です。
同じ業種でも、事業内容や規模によって必要な許認可が異なる場合があります。

また、ここに掲載されていない業種でも許認可が必要なケースは数多くあるので、事前に行政書士や管轄の行政機関に確認することをおすすめします。

自分の事業に許認可が必要か判断がつかない場合

近年はIT✕金融、食品✕EC、介護✕教育など複数の領域をまたぐビジネスモデルも増えており、許認可が必要かどうかの判断が難しいケースもあります。
以下のような要素が事業に含まれている場合は、許認可が必要になる可能性があるサインです。

許認可が必要になるサインの一例

  • 人の身体や健康に関わるサービスを提供する
  • 他人の財産や個人情報を預かる・取り扱う
  • 中古品やリユース品を売買する
  • 公道を使って人や物を運ぶ
  • 行政から指定や認定を受けてサービスを提供する
  • 特定の資格者の配置が法律で義務づけられている
  • 他者の安全や健康、財産などに影響を及ぼしうる

これらに1つでも該当する場合は、事業内容を整理したうえで行政書士や管轄の行政機関に相談しておくことをおすすめします。
許認可が必要だと設立後に分かった場合、事業の開始が大幅に遅れるリスクがあるため、早めの段階で確認しておきましょう。

会社設立の全体像と行政書士に依頼できる業務

行政書士に依頼すべきかどうかは、許認可の有無だけでなく、会社設立全体の中でどの手続きを誰に依頼するのかによっても変わります。
行政書士への依頼が必要かどうかを判断するためにも、会社設立のどの段階で行政書士が関わるのかを把握しておきましょう。

会社設立の手続きは、大きく「事業計画」「定款の作成・認証」「登記申請」「税務届出」「経営開始」という流れで進みます。
各ステップにはそれぞれ専門の士業が関わり、すべてを1人の専門家に任せられるわけではありません。

図のとおり、行政書士が会社設立の手続きで担うのは主に「許認可申請」と「定款作成」、そして「補助金申請」の領域です。
登記申請は司法書士、設立後の届出は税理士や社労士(社会保険労務士)が担当するため、行政書士だけで会社設立の手続きをすべて代行することはできません。

ここからは、行政書士に依頼できる3つの業務について具体的に整理します。

その1:許認可の申請書類作成と手続き代行

行政書士が会社設立において特に大きな役割を持つのが、許認可に関わる場面です。

飲食店の営業許可、建設業許可、運送業の許可など、業種によっては会社を設立しただけでは事業を始められず、行政機関への許可申請や届出が必要になります。

たとえば建設業許可を取得する場合、経営業務の管理責任者や専任技術者の配置要件、財産的基礎の証明など、専門的な知識がなければ対応が難しい項目が多くあります。
これらの要件や書類の作成方法に精通しているのが、行政書士です。

こうした許認可の書類作成や申請の代行は行政書士の独占業務であり、ほかの士業が報酬を得て代行することはできません。

自分の事業に許認可が必要かどうかが、行政書士への依頼を検討するうえで最初の判断ポイントになります。

その2:定款の作成・認証サポート

行政書士は、定款の作成および公証役場での認証手続きについてもサポートが可能です。

許認可によっては、定款の事業目的に特定の文言を含めることが求められるケースがあります。
たとえば建設業許可では、定款の事業目的に「建設業」に関連する記載がなければ申請が受理されない場合があります。
こうした要件を熟知している行政書士が定款作成から関わることで、許認可申請との整合性を確保しやすくなります。

ただし、定款の作成・認証は司法書士も対応できる業務です。
許認可が不要な業種であれば、登記申請まで一貫して対応できる司法書士に定款作成から依頼するほうが効率的な場合もあります。

その3:補助金の申請書類作成

行政書士には、会社設立時に活用できる補助金の申請書類の作成も依頼できます。

補助金の申請書類は、官公署(経済産業省や自治体など)に提出する書類に該当するため、報酬を得てこれを業として作成することは行政書士の独占業務にあたります。
この点は2025年6月に改正された行政書士法により、条文上で明確化されました。

参考:行政書士制度|総務省

会社設立時には、小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金など、活用できる制度が複数存在する場合があります。
許認可の申請とあわせて補助金の申請も検討している場合は、両方の書類作成を一括で依頼できる行政書士に相談すると、手続きを効率的に進められます。

【比較表あり】行政書士・司法書士・税理士の役割の違い

先述のとおり、会社設立では行政書士のほかに司法書士や税理士が関わる場面があります。
「誰にどの業務を依頼できるのか」を把握しておくと、依頼先の選定がスムーズになります。

以下の表に、会社設立に関わる主な業務と各士業の対応範囲をまとめました。

手続き内容 行政書士 司法書士 税理士
定款の作成
定款の認証手続き(株式会社)
許認可申請
補助金に関する書類作成
登記申請の代理
税務署への届出
青色申告の承認申請
会計顧問・税務顧問

表のとおり、各士業には法律で定められた独占業務があり、対応できる範囲が明確に分かれています。
具体的な各士業の役割について解説します。

司法書士:定款作成と認証・登記申請代行

司法書士は、定款の作成から公証役場での認証手続き、法務局での登記申請までを一貫して対応できます。
このうち登記申請の代理は司法書士の独占業務であり、行政書士や税理士が代行することはできません。

許認可の有無にかかわらず、会社設立をする以上は登記申請が必要になります。
そのため、司法書士は会社設立において多くの起業家が関わることになる士業といえます。

税理士:税務署などへの税務書類作成や提出代行・節税対策など

会社を設立した後には、税務署・都道府県税事務所・市区町村役場への届出が必要になります。
こうした税務関連の届出書類の作成や提出を代行するのが税理士の役割です。

また、税理士は設立時の届出だけでなく、設立時点での税務を踏まえた機関設計や、設立後の継続的な税務顧問としての役割も担います。
会社の決算・申告業務、節税対策、資金繰りの相談など、事業を続けていくうえで長期的に関わることになるため、設立時点から関係を築いておくと、会社の状況を理解したうえでの的確なアドバイスを受けやすくなります。

なお、税理士事務所の中には、顧問契約を前提として会社設立の手続き費用を割引したり、無料で対応したりするところもあります。
設立後に税理士との顧問契約を検討している場合は、設立前の段階から相談しておくと、トータルの費用を抑えられる可能性があります。

この点については、後述の「費用を抑える方法:士業グループ法人や0円設立の活用」で詳しく解説します。

行政書士に会社設立を依頼するメリット・デメリット

行政書士への依頼には、許認可の手続きを専門家に任せられるという明確な利点がある一方で、業務範囲の制約や費用面での注意点もあります。
依頼してから「思っていたのと違った」とならないよう、メリットとデメリットの両面を確認しておきましょう。

行政書士に依頼するメリット

行政書士に会社設立を依頼するメリットは、許認可や補助金といった行政手続きの負担を専門家に任せられる点です。
とくに許認可が必要な業種で起業する場合、そのメリットは大きくなります。

許認可の取得がスムーズになる

許認可の申請は、要件の確認から必要書類の収集・作成、行政機関への提出・対応まで、多くの工程があります。
とくに建設業許可や運送業許可のように要件が複雑な許認可では、書類の不備や要件の見落としがあると申請が通らず、事業の開始が遅れるリスクがあります。

その分野の経験がある行政書士に依頼すれば、要件の充足確認から書類作成、行政機関とのやり取りまでを一括で任せられるため、手戻りなく手続きを進めやすくなります。

定款の事業目的と許認可の整合性を確保できる

前章でも触れたとおり、許認可によっては定款の事業目的に特定の文言を含めることが求められます。
許認可に精通した行政書士が定款作成の段階から関わることで、あとから事業目的の変更登記が必要になるといった手戻りを防ぐことができます。

補助金の申請も一括で依頼できる

許認可の申請と並行して補助金の申請を検討している場合、同じ行政書士にまとめて依頼できます。
窓口が1つになるため、スケジュールの調整や書類の受け渡しに手間がかかりません。

また、許認可と補助金の両方の要件を把握している行政書士であれば、定款の事業目的や事業計画書の内容に矛盾が生じていないかを横断的に確認できるため、手続き全体の整合性を保ちやすくなります。

事業の準備に集中できる

会社設立の時期は、事業計画の策定、取引先との交渉、オフィスの準備など、やるべきことが集中します。
許認可や補助金の申請手続きを行政書士に任せることで、自分は事業そのものの準備に時間を使えるようになります。

行政書士に依頼するデメリット・注意点

行政書士には対応できない業務領域があり、依頼すればすべてが解決するわけではありません。
この点を事前に把握しておかないと、想定外の手間や費用が発生する原因になります。

登記申請は代行してもらえない

行政書士は法務局への登記申請を代行できません。
登記申請の代理は司法書士の独占業務であるため、行政書士に定款作成や許認可申請を依頼した場合でも、登記申請については司法書士に別途依頼するか、自分で法務局に申請する必要があります。

行政書士に依頼する際は、提携先の司法書士がいるかどうかを事前に確認しておくと、登記申請の手配がスムーズに進みます。

税務に関するアドバイスは受けられない

資本金額の設定、役員報酬の決め方、決算期の選定といった税務上の判断は税理士の専門領域です。
そのため、行政書士にこれらの相談をしても、具体的な助言を受けることはできません。

設立後の節税対策や資金繰りも含めて相談したい場合は、税理士への依頼をあわせて検討する必要があります。

許認可が不要な業種では依頼メリットが限られる

IT、コンサルティング、Web制作など、許認可を必要としない業種で会社を設立する場合、行政書士に依頼する業務は定款作成程度に限られます。

定款作成は司法書士も対応できるため、登記申請まで一貫して任せられる司法書士に依頼するほうが、窓口が1つで済み効率的です。

行政書士ごとに専門分野が異なる

行政書士が扱う許認可の種類は非常に幅広く、すべての許認可に精通している行政書士は多くありません。

建設業許可に強い事務所もあれば、飲食業や運送業を得意とする事務所もあります。
自分が取得したい許認可の実績がない行政書士に依頼すると、要件の確認や書類作成に時間がかかったり、申請のポイントを見落としたりするリスクがあります。

依頼先を選ぶ際には、自分の業種に関する実績があるかどうかを確認しましょう。

行政書士に会社設立を依頼したときの費用

会社設立にかかる費用は、「会社設立の法定費用」「行政書士への報酬」「許認可自体の法定費用」に加え、登記申請を司法書士に依頼する場合はその報酬も発生します。

行政書士の報酬だけを見て判断するのではなく、トータルでいくらかかるのかを把握しておくことが大切です。

費用の全体像:法定費用+各士業への報酬

会社設立で発生する費用の構成要素と、それぞれの目安を以下の表にまとめました。

費用項目 株式会社の目安 合同会社の目安
会社設立の法定費用 約20万円 約7万円
許認可の法定費用 許認可の種類による 許認可の種類による
行政書士報酬 3万〜40万円(許認可の種類による) 3万〜40万円(許認可の種類による)
司法書士報酬(登記申請を依頼する場合) 約11万円 約11万円

なお、定款を電子ではなく紙で作成する場合、収入印紙代として4万円が加算されます。
そのほかにも、条件によって金額は左右されるので、あくまで1つの目安としてご活用ください。

許認可の種類ごとの行政書士報酬と法定費用の目安

行政書士への報酬は、依頼する許認可の種類によって大きく異なります。

日本行政書士会連合会が公表している「令和7年度報酬額統計調査の結果」をもとに、会社設立時に必要となることが多い許認可の報酬目安と、許認可自体にかかる法定費用をまとめました。

許認可の種類 行政書士報酬の目安 許認可の法定費用
古物商許可 約5万5,000円 1万9,000円
飲食店営業許可 約5万5,000円 約1万6,000~2万円
※2
第一種動物取扱業登録 約12万5,000円
※1
約1万5,000円~
※1
旅行業登録 約22万円※1 登録免許税3万〜9万円
※3
酒類販売業免許 約15万円 登録免許税3万円
宅地建物取引業免許(新規・知事) 約12万~16万5,000円 知事免許:約3万3,000円(各都道府県条例により異なる)
大臣免許:9万円
建設業許可(法人・新規・知事) 約15万~16万5,000円 都知事許可:9万円
大臣許可:15万円
一般貨物自動車運送事業許可 約40万円 登録免許税12万円

※1 第一種動物取扱業登録や旅行業登録は、令和7年度報酬額統計調査の回答者数が少ないため、実際の見積額は事業内容や申請内容によって変動する可能性があります。
※2 手数料は自治体によって異なります。
※3 旅行業登録は、登録免許税(国税)や登録手数料(自治体)などが発生します。金額は登録区分・申請先(観光庁・都道府県)で異なるため、管轄窓口の案内で確認してください。このほか営業保証金または弁済業務保証金分担金が別途必要です。

参考:令和7年度報酬額統計調査の結果|日本行政書士会連合会(PDF)

このように、古物商許可や飲食店営業許可であれば数万円が目安ですが、運送業許可のように要件が複雑な許認可では数十万円規模になることもあります。
自分の業種に必要な許認可が何かによって費用感はまったく異なるので、見積もりの段階で具体的な金額を確認しておくことが大切です。

費用を抑える方法:0円設立や士業グループ法人の活用

会社設立では行政書士・司法書士・税理士と複数の士業に依頼することになるため、それぞれに個別で依頼するとトータルの費用が膨らみやすくなります。
費用を抑えるための選択肢として、以下の2つの方法があります。

士業グループ法人への一括依頼

行政書士・司法書士・税理士が同じグループに所属している法人であれば、複数の士業への依頼を1つの窓口でまとめられます。

士業間で情報が共有されるため手続きの効率がよく、パッケージ料金が設定されている場合は個別に依頼するよりもトータルの費用を抑えられる可能性があります。

税理士事務所の「0円設立」の活用

税理士事務所の中には、設立後の税務顧問契約を前提として、会社設立の手続き報酬を無料で対応しているところがあります。
設立費用を大幅に抑えられるため、設立後に税理士との顧問契約を予定している場合は有力な選択肢です。

ただし、「0円設立」は顧問契約が前提であるため、利用する際には顧問料の月額、契約の最低継続期間、解約条件などを必ず確認してください。
設立時の費用が無料でも、顧問料の総額が割高であれば結果的に負担が大きくなるケースもあります。

行政書士の選び方のポイント

行政書士であれば誰に依頼しても同じ結果になるとは限りません。
特に許認可の申請は業種ごとに専門性が異なるため、自分の事業に合った行政書士を選ぶことが重要です。

ここでは、依頼先を選ぶ際にチェックしておきたい4つのポイントを紹介します。

その1:自分が依頼する業務の経験があるか

行政書士が扱う許認可の種類は非常に幅広く、建設業許可に強い事務所もあれば、飲食業や運送業を専門にしている事務所もあります。
許認可ごとに必要な要件や書類、行政機関とのやり取りの進め方が異なるため、自分が取得したい許認可の実績がある行政書士を選ぶことが最も重要なポイントです。

確認方法としては、事務所のホームページで取扱業務や実績を確認するのが手軽です。
特定の許認可について詳しい解説記事を掲載していたり、申請件数の実績を公開していたりする事務所であれば、その分野の経験が豊富であると判断しやすいでしょう。

初回相談の際に「この許認可の申請はこれまで何回くらい対応していますか」と直接聞いてみるのも有効です。

その2:レスポンスが早いか・コミュニケーションがとりやすいか

会社設立の手続きは、許認可の申請も含めると複数のやり取りが並行して進むことになります。
書類の確認や追加資料の依頼など、行政書士との連絡が頻繁に発生するため、レスポンスの早さやコミュニケーションのとりやすさは実務上とても重要です。

初回の問い合わせに対する返信のスピードは、1つの判断材料になります。
メールや電話での問い合わせに対して翌営業日以内に返答があるかどうか、質問に対して的確で分かりやすい回答が返ってくるかどうかを見ておくとよいでしょう。

また、連絡手段の柔軟さも確認しておきたい点です。
メールだけでなく、チャットツールやオンライン面談に対応している事務所であれば、忙しい設立準備の時期でもスムーズにやり取りを進めやすくなります。

その3:司法書士や税理士などの他士業と連携しているか

これまで解説してきたとおり、会社設立を士業に依頼する際には、行政書士だけでなく司法書士(登記申請)や税理士(税務届出)への依頼も必要になります。
これらの士業と連携している行政書士を選ぶと、手続き全体の効率が大きく変わります。

士業間の連携がない場合、自分で司法書士や税理士を別途探し、それぞれに個別で依頼することになります。
各士業との窓口が増える分、スケジュールの調整や情報共有の手間がかかり、手続き全体が煩雑になりがちです。

一方、同じグループ法人に所属している、あるいは日常的に他士業と連携している行政書士であれば、必要な情報が士業間でスムーズに共有されるため、手続きの漏れや遅延が起きにくくなります。
依頼者としても窓口を一本化できるので、やり取りの負担が軽減されます。

その4:料金形態が明確か

行政書士の報酬には法律上の統一基準がなく、事務所ごとに自由に設定されています。
そのため、料金形態が明確かどうかは必ず確認しておきたいポイントです。

具体的には、ホームページや見積書で報酬額が明示されているか、どこまでの業務が含まれているかを確認しましょう。
「会社設立サポート一式◯万円」とだけ記載されている場合、許認可申請の報酬が含まれているのか、書類の修正対応は追加費用が発生するのかなど、あとから想定外の費用が出てくる可能性があるため注意してください。

「行政書士に会社設立を依頼したときの費用」を参考に、見積もりの段階で、業務の範囲と報酬の内訳を書面で提示してもらうことをおすすめします。
また、複数の事務所から見積もりを取って比較すれば、相場感をつかむこともできます。
ただし、単純に安いところを選ぶのではなく、業務の経験や対応の質も含めた総合的な判断が大切です。

この記事のまとめ:行政書士に会社設立を依頼するときは士業グループ法人も検討しよう

行政書士が会社設立で担うのは、主に許認可の申請に関わる書類作成と手続き代行です。
登記申請は司法書士、税務届出は税理士の業務であり、会社設立では複数の士業への依頼が必要になります。

行政書士への報酬は許認可の種類によって大きく異なり、比較的簡易な古物商許可や飲食店営業許可で数万円前後、建設業許可や宅建業免許などでは十数万円が相場です。
これに加えて会社設立の法定費用や司法書士・税理士への報酬もかかるため、全体の予算を把握したうえで計画を立てることが大切です。

行政書士・司法書士・税理士が同じグループに所属している法人であれば、窓口を一本化でき、士業間の連携もスムーズです。
「許認可が必要だが、誰にどこまで頼めばいいのかわからない」という段階であれば、まずは士業グループ法人に相談してみるのも1つの方法です。

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特に起業初期の不安定な時期において、法務、税務、許認可のすべてを横断的に相談できるパートナーを持つことは、不測の事態を回避し、最短ルートで事業を軌道に乗せるための大きなアドバンテージとなります。

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