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【弁護士監修】交通事故で亡くなると死亡保険金(生命保険金)と示談金は両方受け取れる?

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

【弁護士監修】交通事故で亡くなると死亡保険金(生命保険金)と示談金は両方受け取れる? (1)

この記事でわかること

  • 死亡保険金と示談金を両方受け取れる理由
  • 損益相殺の対象になるケース

交通事故で亡くなってしまった被害者の遺族は、死亡保険金と示談金をどちらも受け取ることができるのでしょうか?

死亡事故の場合、加害者側から示談金(損害賠償金)が支払われます。

また、被害者が生命保険に加入していれば、生命保険から保険金(死亡保険金)を受け取ることができます

示談金は金額が大きいものの、相手方が任意保険に加入しているかどうかでも受け取れる金額が異なります。

示談金を裁判で争うと解決までに何年もかかるため、すぐにもらえて金額がはっきりしている死亡保険金は、交通事故被害者の家族の生活を支える貴重なお金となってくれます。

この記事では、死亡保険金と示談金の関係を解説していきます。

慰謝料と示談金の違いについては、以下の記事をご覧ください。

死亡保険金(生命保険金)と示談金の両方受け取れる

交通事故被害で死亡した方が生命保険に加入していた場合、死亡保険金と示談金は両方受け取ることができます。

生命保険とは、被保険者である被害者が生命保険会社に対し、万一に備えて保険料を支払い積み立てていたお金です。

一方、示談金とは加害者が被害者に対して、民法上の不法行為により死亡させてしまったことへの損害賠償金であり、自賠責保険や加害者の任意保険会社から支払われるものです。

死亡保険金と示談金の両方受け取れる仕組み

損害賠償金が控除されるものとして、「損益相殺」というものがあります。

損益相殺とは、交通事故の被害者が、加害者(もしくは加害者加入の保険会社)から示談金等の賠償を受ける際に、別の所からその交通事故による利益を受けた場合、元々の損害の金額から、別のところから受けた利益分を差し引かれることです。

この損益相殺は、公平の見地から行われるものです。

損益相殺によって差し引かれる利益は、損害賠償義務が発生する原因となった不法行為と相当因果関係があると認められるものになります。

交通事故によって死亡した被害者の遺族は、損害賠償請求権を取得します。

そして、この死亡した被害者が生命保険に加入していた場合、被害者遺族は同時に死亡保険金を受け取ることができます。

この場合に、前述の損益相殺は行われません。

最高裁で生命保険の損益相殺について否定された判例

最高裁の判例では、
「生命保険契約に基づいて給付される保険金は、すでに払い込んだ保険料の対価の性質を有し、もともと不法行為の原因と関係なく支払わるべきものであるから、たまたま本件事故のように不法行為により被保険者が死亡したためにその相続人たる被上告人両名に保険金の給付がされたとしても、これを不法行為による損害賠償額から控除すべきいわれはないと解するのが相当である」としている。

(最判昭和39年9月25日民集18巻7号1528頁)。

このように、生命保険の損益相殺については明確に否定しており、死亡保険金が損害賠償金から控除されることはないのです。

また、学説でも、多くの見解では上記の判例と同じように、死亡保険金の損益相殺を否定しています。

これには、死亡保険金が、事故が原因で発生する利益ではなく、以下のような性質であるという理由があります。

  • 生命保険は、死亡保険金の支払期限が不確定なだけで、事故が発生する前から既に保険加入者(被保険者)の債権が発生している
  • 生命保険会社と被保険者の間の保険契約によって発生したものである
  • 死亡保険金は、被保険者による保険料の対価である
  • 生命保険の本来の目的は、損害賠償金のように、事故によって被った損害の回復ではない
  • 生命保険は、被害者が、事故加害者の損害賠償金負担を減らすために契約している保険ではなく、またそれによって死亡保険金が得られるわけではない

このように、死亡保険金と示談金は、目的も支払い元の保険会社も全く違うものですので、相互に影響せず、被害者の遺族としてはどちらも満額請求することができます。

死亡保険金を受け取ったからといって、示談金から減額や控除されるわけではありませんので、安心してください。

損益相殺の対象になるケース

損益相殺の対象となるのは、例えば、交通事故によって仕事を休むことになり、その代わりに保険会社から受け取った所得補償給付が当たります。

通常は、交通事故によって仕事を休むと、損害賠償請求の項目の一つにある「休業損害」を、加害者もしくは加害者加入保険会社へ請求することになります。

しかし、損害保険の中には、事故によって仕事を休んだ場合の所得を補うタイプの保険があるのです。

このようなタイプの保険の場合には、休業損害として既に保険が補償されているため、さらに休業損害分の損害賠償金を受け取ろうとすると、利益の二重取りとなります。

そこで、損益相殺となり控除されてしまいます。

まとめ

死亡事故による保険金の提供は、被害者遺族の経済面や精神面を補うためのものであるといえます。

その際、示談金と死亡保険金の両方を受け取りたいと考えた場合、どちらかが控除されるのではないかという心配があるかもしれません。

交通事故で死亡した場合には、死亡保険金と示談金が両方支払われることをご理解いただければ幸いです。

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保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。 保険会社とのやり取りを私たちが代行し、最後まで妥協することなく示談交渉していきます。事故直後にできる対策もありますのでお早めにお電話ください。

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