東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
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交通事故で被害者が亡くなってしまった場合、被害者が加入していた保険会社から死亡保険金が支給されます。
この保険金は、被害者や遺族の損害を保障する目的を有し、遺族が今後生活していくためにも重要なお金になりますが、所得税や相続税などの税金はかかるのでしょうか。
この記事では、被害者が加入している保険会社から支給される生命保険(死亡保険)について、税金がかかるか、かかるとしたらどのようなケースでかかるのかについて、わかりやすく解説していきます。
目次
被害者が加入していた保険会社から支払われる生命保険金(死亡保険金)のうち加害者が本来負担すべき金額については、原則として課税の対象とはなりません。所得税はもちろん、相続税や贈与税、その他の税金は一切かかりません。
交通事故で支払われる慰謝料などの賠償金には、基本的に税金がかかりません。事故の損害を補てんする意味で支払われる賠償金に税金が課されてしまうと、適切な損害の補償ができなくなってしまうからです。
保険金についても同様で、本来であれば加害者が賠償すべき範囲の保険金については、損害賠償金としての性格を有しているため、基本的に税金はかからないことになります。
なお、原則、非課税になる保険には、次のようなものがあります。
ただし、生命保険(死亡保険)の中でも損害賠償金としての性格を有していない部分の保険金については、所得税や相続税、贈与税などの課税対象となる場合があります。
生命保険(死亡保険)に税金がかかる主なケースは次の2つです。
以下、それぞれについてわかりやすく解説していきます。
被害者が加入している人身傷害保険から支給される死亡保険につき、被害者の過失割合に相当する部分については、基本的に課税対象となります。
交通事故では、信号待ちで停車している際にうしろから追突されたケースなど、あきらかに加害者にのみ事故の責任が認められるケースを除き、被害者にも一定の過失が認められるケースが多いです。
たとえば、被害者にも事故の責任が2割認められる場合、過失割合は「被害者:加害者=2:8」などと表されることになりますが、この場合、損害額全体から被害者の過失分を差し引いた賠償金を、加害者に請求できることになります。
同様のケースで損害額が1,000万円であれば、被害者の過失2割分を減額した800万円が、加害者から賠償金として支払われることになります。
被害者の過失分として差し引かれた200万円については、被害者自身が加入する人身傷害保険に補てんしてもらうことができますが、この200万円は、本来であれば加害者が負担すべき金額とはいえません。したがって、損害賠償としての性質を持っているとはいえず、課税対象となるのです。
なお、この場合、所得税・相続税・贈与税の課税対象となりますが、具体的にどの課税対象となるかは、被保険者、保険料の負担者および保険金受取人が誰であるかにより変わります(くわしくは後述)。
被害者が加入している保険会社から受け取れる保険金のうち、損害賠償金としての性格を有しない部分については、所得税・相続税・贈与税などが課税されます。
具体的にどの税金が課されるかは、被保険者、保険料の負担者、保険金受取人の関係により異なります。
被保険者 | 保険料の負担者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
A | B | B | 所得税 |
A | A | B | 相続税 |
A | B | C | 贈与税 |
少しわかりづらいので、それぞれのケースについてわかりやすく解説していきます。
所得税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金受取人が同一人の場合です。
たとえば、被保険者である妻が交通事故で死亡したケースで、保険金を受け取ったのが、保険料を支払っていた夫だったパターンが挙げられるでしょう。
死亡保険金を一時金で受領した場合には「一時所得」、年金で受領した場合には「雑所得」として所得税が課税されます。
なお、課税価格の具体的な計算方法は、国税庁のページをご参照ください。
相続税が課税されるのは、被保険者と保険料の負担者が同一人の場合です。
たとえば、被保険者・保険料負担者である父が交通事故で亡くなったケースで、その子どもが保険金を受け取るパターンが挙げられるでしょう。
この場合、保険金受取人が相続人である場合には「相続」で、相続人以外の者である場合には「遺贈」により保険金を取得したとみなされるため、相続税が課税されます。
なお、死亡保険金を年金で受け取る場合には、別途所得税が課税されるため注意が必要です。
また、死亡保険金にかかる相続税については、法定相続人1人につき500万円の非課税枠があるため、500万円を超えない限り、相続税が課税されることはありません。
贈与税が課税されるのは、被保険者と保険料の負担者および保険金の受取人がすべて異なる場合です。
たとえば、被保険者である友人の車に同乗中に事故に遭い、被害者が死亡してしまった場合に、保険料負担者が友人の父親で、保険金受取人が被害者の遺族だったパターンが挙げられます。
この場合、保険料を負担しているのが受取人から見て第三者に当たるため、遺族が受け取った死亡保険金は贈与税の課税対象となります。
なお、死亡保険金を年金で受け取る場合には、別途所得税が課税される場合があります。
また、贈与税には年間110万円の基礎控除額が定められているため、この金額を超える部分のみ課税対象となります。
交通事故で加害者や加害者が加入する保険会社から支払われる賠償金は、原則として非課税です。この賠償金
には、慰謝料・治療費・車の修理代・逸失利益・休業損害など、保険会社から支払われる賠償金のほぼ全てが含まれます。
ただし、次に該当するケースでは、例外的に課税対象となってしまう可能性があります。
これらのケースでは、税法上、非課税とされている損害賠償としての性質を失っているといえるため、状況に応じて所得税・相続税・贈与税の課税対象となる可能性があるのです。
なお、交通事故の慰謝料を含む賠償金と税金の関係については、こちらの記事をご覧ください。
→交通事故の慰謝料に税金はかかる?いくらまで非課税?ケースごとに解説
保険会社から支払われる生命保険金(死亡保険金)のうち、損害賠償としての性質を有する部分については非課税となります。
ただし、人身傷害保険から支給される死亡保険のうち、被害者の過失割合に相当する部分や、そもそも損害賠償としての性質を有しない死亡保険については、課税対象となるため注意が必要です。
また、加害者(もしくは加害者の加入する保険会社)から支払われる賠償金には税金がかかりませんが、こちらも例外的に課税対象となるケースがあります。
もし、受け取った保険金や賠償金が課税対象になる場合、確定申告をして納税する必要があるので、くれぐれも対応を無視しないようにしてください。
不安であれば、交通事故の対応から全て専門家である弁護士に任せてしまうことをおすすめします。