東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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むちうち症は軽い追突事故や接触事故でも起こることがあり、多種多様な症状を示す可能性があります。
事故の大きさと関係なく起こる症状なので、嘘の症状を訴えていると思われたり、不信感を持たれたりしてしまうこともあります。
その理由としては、主に次の4つが挙げられます。
追突事故によるむちうち症は、後から痛みが起こり始めるケースが多いです。
そのため軽い衝突事故などの直後に多少の痛みがあっても、日常生活の中で痛みを我慢し、病院に行かない人もよくいます。
ところが、痛みが増してきて耐え難くなってから初めて病院を受診し通院を始めると、すでに事故から相当な日数が経過していることがあります。
しかし、むちうち症による痛みや痺れは事故直後から6時間以内に自覚する割合が65%、24時間以内が27%という研究報告もあり、合わせると90%を超える人が翌日には症状を自覚すると言うことができます。
そのため事故と初受診の日が離れていると、保険会社に事故と症状との因果関係を疑われてしまいます。
むちうち症では、レントゲンやMRIの画像を撮影しても特段の異常が見つからず、症状を客観的に証明できる資料がないことが多くあります。
そうすると、本人が「耳鳴りがする」「痺れる」「めまいがする」「だるい」「頭が痛い」「吐き気がする」といった自覚症状を主張するだけ、ということになります。
そこで、保険会社はその訴えを認めないことがあるのです。
人によっては、時間の経過とともにむちうちによる症状が変わることがあります。
ある時は右半身が痺れたが、ある時は左腕が酷く痛むという具合です。
さらには、事故による損傷箇所とあまり関連のない場所の症状を訴える人もいます。
前述のとおり、例えば頸部の損傷だったからといっても、むちうちの種類によっては体のあらゆる部分に症状が出る可能性も十分にあります。
しかし一般的な観点からは、その人の申告する症状には一貫性がなく、事故との関係にまで疑問が生じる可能性があり、保険会社はその人の申告は信用できないと考えざるを得ないのです。
保険会社としては、被害者の通院治療が長引けば長引くほど、多くの治療費や慰謝料を支払わなければならなくなります。
反対に通院治療が早く終われば、その分支払う金額を低く抑えることが可能です。
そのため、「症状がもう安定したのではありませんか」「事故と関係なくわざと通院期間を延ばしていませんか」などと持ちかけ、医療費と慰謝料の支払いを早期に打ち切ろうと提案してくることがあります。
ここで、保険会社の言葉を鵜呑みにしてはいけません。
それ以降は怪我の治療をきちんと受けられなくなってしまうどころか、後遺障害が残った場合、等級認定(後遺障害に対する慰謝料の等級の認定)を受けられなくなることもあるのです。
このような状況になったら、交通事故案件を取り扱う弁護士に相談することも検討しましょう。
では、むちうち症の申告が嘘だと相手から訴えられた場合、被害者にとってどのような不都合が生じるのでしょうか。
傷害事故によってむちうち症になったという大前提が崩れた場合、保険会社としては、被害者が足しげく整形外科等に通っているのは、被害者本人が何か別の要因による症状で自主的に通っているものと考えます。
事故とは関係がない通院だと考えるため、「積極損害」の治療費部分も通院に対する「慰謝料」も支払われません。
さらに、後遺障害が残ったとしてもそれは事故と関係がないため、「後遺障害」に対する「慰謝料」も保険会社から支払われません。
もし嘘の症状を訴えて整形外科や接骨院等に通い続け、しかも医師や治療者も巻き込んで虚偽の申告をしていたことがバレてしまった場合、保険金詐欺とみなされます。
立件されるかは別として、詐欺罪はたいへん重い犯罪のひとつです。
軽い追突事故や衝突事故などを原因としたむちうち症による損害をきちんと認めてもらうためには、どのように対処したらよいのでしょうか。
事故後すぐに病院を受診し、通院を開始しなければなりません。
軽い追突事故や衝突事故などで、自分ではなんともないと感じていたとしても必ず受診しましょう。
その際は整骨院や接骨院ではなく、必ず病院の整形外科を受診してください。
整骨院等では診断書を作成することはできず、後々役立つ画像診断を行えるのも医師だけだからです。
また、初診後も痛みを感じるなどの自覚症状があったら、すぐに通院しましょう。
このように迅速に対応することで、受傷した傷害事故の被害者の通院治療の実績や記録が残っていきますので、保険会社側から無用な疑念を抱かれることを防止できます。
適切な検査を受けることも必要です。
むちうち症には様々な種類があるため、レントゲンやMRIといった画像診断を受けることはもちろん、具体的には神経学的検査を行う必要があるでしょう。
これにより、例えば交通事故の衝撃で神経部分が圧迫されていることが判明するかもしれません。
頭を後ろに傾けて左右に動かし、痛みが出るかどうかを調べるテストや、握力テスト、筋電図テストや腱反射テスト、異常反射テストなどによって症状が分かることもあります。
いずれにせよ、その後どう現れるかわからない症状に備えて多様な検査を行っておくべきです。
むちうち症では第三者からも認識できる他覚症状が現れないので、被害者本人による説明が非常に重要視されます。
この説明に明確な一貫性があれば、保険会社から余計な疑念を持たれることはないと言えるでしょう。
合理的で一貫した主張をする姿勢を意識することが必要です。
例えば、事故の直後でまだどこにも痛みを感じていない段階でも、無理に不調の部位を探して申告するのではなく、不調なところが明らかになってから落ち着いて症状を伝えるようにしましょう。
通院の頻度が過剰になってはいけませんが、通院治療の間はきちんと定期的に病院へ通い、その時の状態を毎回医師に報告しなければなりません。
同時に、通院の状況を保険会社にも連絡しておくのがベストです。
治療には積極的に取り組み、医師とも毎回どのような話をしているのかを保険会社とも共有しておくことによって、誠実に治療に向き合っていることを示せるでしょう。
適切な検査を受け、一貫した主張をしても相手方の保険会社からむちうちを疑われる場合は、弁護士にも相談してみましょう。
交通事故問題に詳しい弁護士であれば、追加検査の必要性や診断書の記載内容を医師に助言してくれるので、適正な後遺障害等級に認定されやすくなります。
むちうちの症状が軽い場合、弁護士費用が慰謝料を上回る可能性もありますが、自動車保険に弁護士特約を付帯していれば、保険会社が弁護士費用を負担してくれます。
弁護士への相談料は10万円まで、報酬金などの弁護士費用は300万円まで保険会社が負担するので、獲得した慰謝料はそのまま手元に残せます。
弁護士に相談するときは、加入している自動車保険などに弁護士特約が付帯されているかどうか、契約内容を調べておくとよいでしょう。
残念なことですが、軽い追突事故や衝突事故などによってむちうち症を受傷した被害者が、相手方の保険会社から嘘を訴えているとみなされる場合があります。
しかしながら、むちうち症は治療を長期化させようと思えばできてしまうという特性もあるため、そのような疑念を晴らすことは難しい場合もあります。
むちうち症に苦しんでいる被害者の方は、今後保険会社から疑いの目を向けられる可能性もありますが、ある程度ポイントを押さえれば、あらぬ疑いをかけられる可能性はグッと低くなります。
この記事の内容をぜひ参考にしていただき、回復に向けて頑張っていきましょう。