

東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
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目次

人身傷害保険は、自動車保険の特約の一つで、交通事故によるけがや死亡などの損害を補償する保険です。まずは人身傷害保険の概要や補償内容、搭乗者傷害保険との違いについて確認していきましょう。

人身傷害保険とは、交通事故によって契約者本人や同乗者がけがをしたり、後遺障害が残ったり、死亡したりした場合に、その損害を補償する保険です。
自分にも過失がある事故や単独事故(自損事故)でも補償を受けられる点が大きな特徴です。また、契約内容によっては、歩行中や自転車に乗っているときの自動車事故も補償対象となります。
人身傷害保険では、治療費や休業損害、慰謝料、逸失利益など、実際に生じた損害額を基準として保険金が支払われます。そのため、被害者自身や家族の生活を支えるための重要な補償の一つといえるでしょう。
人身傷害保険では、交通事故によって生じた実際の損害に対して保険金が支払われます。主な補償内容は次のとおりです。
人身傷害保険の補償額には契約ごとに上限(保険金額)が設けられています。一般的には3,000万円、5,000万円、1億円、無制限などのプランが用意されています。
必要となる補償額は、被保険者の年齢や収入、家族構成などによって異なります。交通事故の損害額の目安は以下のとおりです。
| 世帯主の年齢 (有職者) | 扶養家族 | 損害額の目安 | |
|---|---|---|---|
| 死亡された場合 | 重度後遺障害の場合 | ||
| 25歳 | あり | 1億円 | 1億9,000万円 |
| なし | 8,000万円 | 1億9,000万円 | |
| 35歳 | あり | 9,000万円 | 1億7,000万円 |
| なし | 7,000万円 | 1億7,000万円 | |
| 45歳 | あり | 9,000万円 | 1億6,000万円 |
| なし | 7,000万円 | 1億6,000万円 | |
| 55歳 | あり | 7,000万円 | 1億3,000万円 |
| なし | 5,000万円 | 1億3,000万円 | |
| 65歳 | あり | 5,000万円 | 9,000万円 |
| なし | 4,000万円 | 9,000万円 | |
| 75歳 | あり | 3,000万円 | 5,000万円 |
| なし | 3,000万円 | 5,000万円 | |
表のとおり、働き盛りの世代では損害額が1億円を超えるケースもあります。そのため、人身傷害保険に加入する際には保険料だけでなく、万が一の事故が発生した場合に十分な補償を受けられる保険金額となっているかを確認することが大切です。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険は、どちらも交通事故によるけがなどを補償する保険ですが、補償の仕組みや保険金の支払方法が異なります。
| 項目 | 人身傷害保険 | 搭乗者傷害保険 |
|---|---|---|
| 補償の範囲 | 契約車両に搭乗中の事故のほか、歩行中や自転車乗車中の自動車事故も補償対象となる場合がある | 契約車両に搭乗中の事故 |
| 保険金の内容 | 治療費・休業損害・慰謝料・逸失利益など実際の損害を補償 | けがの部位や症状などに応じて定額の保険金を支払う |
| 保険金の支払基準 | 実際の損害額 | あらかじめ定められた金額 |
人身傷害保険と搭乗者傷害保険の最も大きな違いは、「実際の損害を補償する保険」か「定額の保険金を支払う保険」かという点です。
治療費や休業損害、慰謝料など実際に発生した損害額を基準として保険金が支払われます。また、過失割合にかかわらず補償を受けられ、示談成立を待たずに保険金が支払われる点も特徴です。
けがの部位や症状などに応じてあらかじめ定められた保険金が支払われます。そのため、実際の損害額にかかわらず一定額を受け取ることができます。
このように、両者は補償の目的や仕組みが異なります。交通事故による損害を幅広く補償したい場合は人身傷害保険が中心となり、搭乗者傷害保険はそれを補完する役割を果たす保険といえるでしょう。
人身傷害保険は過失割合にかかわらず補償を受けられるほか、自損事故や相手方が無保険の場合にも利用できるため、一概に不要とはいえません。特に、家族を扶養している方や車を利用する機会が多い方にとっては、万が一の事故による経済的負担を軽減する重要な備えとなります。
一方で、保険料とのバランスや他の保険の加入状況によっては、補償内容を見直した方がよいケースもあります。そのため、人身傷害保険が必要かどうかは、自身のライフスタイルや補償ニーズに応じて判断することが大切です。
人身傷害保険には、相手方との示談交渉の状況や過失割合に左右されずに補償を受けられるなど、多くのメリットがあります。交通事故による経済的な負担を軽減できるだけでなく、事故後の生活を支える重要な役割も果たします。
人身傷害保険の大きなメリットは、事故の過失割合にかかわらず補償を受けられることです。
通常、事故の相手方に損害賠償を請求する場合、自分にも過失があるとその割合に応じて賠償額が減額されます(過失相殺)。たとえば、損害額が1,000万円で自分の過失割合が30%の場合、相手方から受け取れる賠償金は単純計算で700万円となります。
一方、人身傷害保険では過失割合にかかわらず、契約した保険金額の範囲内で実際の損害額が補償されます。そのため、自分に過失がある事故でも十分な補償を受けることが可能です。
また、相手方が無保険であったり、十分な賠償能力を有していなかったりする場合でも、自分の保険会社から保険金を受け取れるため、事故後の経済的負担を軽減できます。
人身傷害保険では、相手方との示談が成立する前でも保険金の支払いを受けられます。
交通事故では、治療の長期化や過失割合を巡る争いなどによって示談交渉が長引くことも少なくありません。その場合、相手方からの賠償金を受け取るまでに数カ月から1年以上かかるケースもあります。
しかし、人身傷害保険を利用すれば、自分の保険会社に請求することで、示談の成立を待たずに保険金を受け取ることができます。そのため、治療費や生活費の負担を早期に軽減できる点は大きなメリットといえるでしょう。
特に、休業によって収入が減少している場合や、高額な治療費が発生している場合には、人身傷害保険が経済的な支えとなります。
人身傷害保険は、交通事故によって生じたさまざまな損害を幅広く補償してくれる点もメリットです。
補償の対象となるのは治療費や入院費だけではありません。休業による収入の減少を補う休業損害や精神的苦痛に対する慰謝料、後遺障害が残った場合の逸失利益、重度の後遺障害によって介護が必要になった場合の将来介護費なども補償対象となります。
そのため、事故による経済的な損失を総合的にカバーできる点が人身傷害保険の特徴です。特に、死亡事故や重度の後遺障害が残る事故では損害額が高額になることも多く、人身傷害保険が家計を支える重要な備えとなります。
人身傷害保険は、自動車に乗っているときの事故だけでなく、契約内容によっては歩行中や自転車に乗っているときの自動車事故も補償対象となります。
たとえば、歩行中に車にはねられた場合や、自転車で走行中に自動車と接触した場合でも、人身傷害保険から保険金を受け取れることがあります。また、契約内容によっては記名被保険者本人だけでなく、その家族も補償対象となるケースがあります。
このように、自動車に乗っていない場面の事故にも備えられるため、日常生活全体における交通事故リスクをカバーできる点は人身傷害保険の大きなメリットといえるでしょう。
| 発生した事故 | 契約車に乗車中の事故 | 契約車以外の車に乗車中の事故 | ・車以外の乗用具に搭乗中の事故 ・歩行中や自転車運転中の乗用具との接触等による事故 |
|---|---|---|---|
| けが・死亡された方 | 契約車に乗車中の方 | 記名被保険者およびその家族 | |
| 人身傷害保険 | ◯ | ✖️ | ✖️ |
| 人身傷害保険+人身傷害乗用具事故補償特約 | ◯ | ◯ | ◯ |
人身傷害保険を利用して保険金を受け取った場合でも、原則として自動車保険の等級は下がりません。
自動車保険には「ノーカウント事故」「1等級ダウン事故」「3等級ダウン事故」などの区分があります。人身傷害保険のみを利用した場合は一般的にノーカウント事故として扱われるため、翌年の等級や保険料に影響しないケースがほとんどです。
もっとも、車両保険など他の保険を同時に利用した場合には等級が下がることもあります。実際の取扱いは保険会社や事故の内容によって異なるため、保険金を請求する際には事前に確認しておくとよいでしょう。
人身傷害保険には多くのメリットがありますが、加入前に知っておきたいデメリットもあります。
人身傷害保険を付帯すると、その分だけ自動車保険の保険料が高くなります。
保険料の増加額は、補償額や契約条件、保険会社などによって異なりますが、一般的には補償額を高く設定するほど保険料も高くなる傾向があります。
人身傷害保険は、自分や家族のけがに備えるための重要な保険ですが、事故が発生しなければ保険金を受け取る機会はありません。そのため、人によっては「保険料がもったいない」と感じることもあるでしょう。
もっとも、死亡事故や重度の後遺障害が残る事故では損害額が数千万円から1億円を超えることもあります。保険料だけで判断するのではなく、万が一の事故による経済的リスクと比較しながら加入を検討することが大切です。
人身傷害保険の補償内容は、どの保険会社でも全く同じというわけではありません。
たとえば、歩行中や自転車事故が補償対象となる範囲や、家族が補償を受けられる条件、保険金の算定方法などは保険会社や契約内容によって異なります。また、特約を付帯しなければ補償対象とならない事故もあります。
そのため、「人身傷害保険に加入しているから大丈夫」と考えるのではなく、どのような事故が補償対象となるのか、補償対象者の範囲はどこまでかを事前に確認しておくことが重要です。
特に、家族全員の補償を想定している場合や、歩行中・自転車事故への備えを重視する場合には、契約内容をよく比較した上で加入するようにしましょう。
人身傷害保険では実際の損害額に基づいて保険金が支払われますが、損害額の算定を巡って保険会社と見解が分かることがあります。
たとえば、休業損害の金額や後遺障害による逸失利益の算定方法、将来介護費の必要性などについて、被保険者と保険会社の評価が一致しないケースもあります。
また、人身傷害保険の保険金は保険約款に基づいて算定されるため、必ずしも弁護士基準(裁判所基準)と同じ金額になるとは限りません。その結果、「思っていたより保険金が少ない」と感じることもあります。
保険会社の提示額に疑問がある場合や、後遺障害が残った事故で十分な補償を受けられるか不安な場合には、交通事故に詳しい弁護士へ相談することも検討するとよいでしょう。
人身傷害保険は便利な補償ですが、加入状況によっては他の保険や特約と補償内容が重複することがあります。
搭乗者傷害保険や傷害保険、生命保険の災害保障などに加入している場合、事故によるけがや死亡に対する補償が重複するケースがあります。また、複数の自動車を所有している場合には、家族全体で補償内容が重なっていることもあります。
もちろん、人身傷害保険と他の保険では補償の目的や支払条件が異なるため、一概に不要とはいえません。しかし、必要以上に手厚い補償を付けている場合には、その分だけ保険料負担が大きくなります。
そのため、人身傷害保険への加入を検討する際は、現在加入している保険の補償内容も確認し、本当に必要な補償かどうかを見直すことが大切です。
人身傷害保険に加入している場合、「自分の保険会社から保険金を受け取ったうえで、相手方からも示談金を受け取れるのではないか」と考える方もいるかもしれません。
しかし、同じ損害について人身傷害保険の保険金と相手方からの損害賠償金を二重に受け取ることはできません。人身傷害保険は実際に生じた損害を補償する保険であるため、損害額を超えて保険金や賠償金を受け取ることは認められていないためです。
もっとも、人身傷害保険から保険金を受け取ったからといって、相手方への損害賠償請求ができなくなるわけではありません。保険会社が被保険者に代わって相手方へ求償を行うこともあります。
人身傷害保険と損害賠償請求の関係は複雑であり、事故の内容や保険契約によっても取扱いが異なります。そのため、保険会社から提示された説明に疑問がある場合や、適正な賠償を受けられるか不安な場合には、弁護士へ相談することをおすすめします。
人身傷害保険に加入していれば、交通事故による損害について一定の補償を受けることができます。しかし、人身傷害保険から保険金を受け取れるからといって、必ずしも十分な補償を受けられるとは限りません。
交通事故でけがをした場合には、適正な補償を受けるためにも早めに弁護士に相談することをおすすめします。ここでは、人身事故にあったときに弁護士へ相談する主なメリットを紹介します。
人身傷害保険に加入していれば、交通事故による損害について一定の補償を受けることができます。しかし、人身傷害保険で受け取れる保険金には契約上の上限があり、保険会社の基準に基づいて算定されるため、必ずしも十分な補償を受けられるとは限りません。
また、自分で示談交渉を行う場合、相手方の保険会社からは任意保険基準による賠償額が提示されることが一般的です。そのため、本来受け取れるはずの賠償金よりも低い金額で示談してしまうケースも少なくありません。
一方、弁護士に依頼した場合は、最も高額な算定基準である弁護士基準(裁判基準)によって損害賠償を請求できます。特に、後遺障害が残った事故や入通院期間が長い事故では、慰謝料や逸失利益が大幅に増額されることもあります。
そのため、人身傷害保険から保険金を受け取れる場合であっても、弁護士を通じて相手方へ適正な損害賠償を請求することで、最終的に受け取れる金額が大きく増える可能性があります。

交通事故の被害に遭うと、治療を続けながら保険会社との連絡や示談交渉を進めなければなりません。
保険会社とのやり取りでは、事故状況の説明や必要書類の提出、治療状況の報告などが求められます。また、示談交渉が始まると、提示された賠償額が適正か判断しなければならず、大きな負担を感じる方も少なくありません。
弁護士に依頼すれば、こうした保険会社とのやり取りや示談交渉を任せることができます。被害者本人が直接交渉する必要がなくなるため、治療や日常生活に専念しやすくなるでしょう。
特に、けがの症状が重い場合や後遺障害が残る可能性がある場合には、精神的・時間的な負担を軽減できることは大きなメリットといえます。
交通事故の示談交渉では、過失割合や治療期間、後遺障害の有無などを巡って意見が対立し、解決までに長い時間がかかることがあります。
特に、被害者自身で交渉を行う場合は、保険会社とのやり取りに慣れていないため、必要な主張や資料提出が十分にできず、交渉が長引くことも少なくありません。
弁護士に依頼すれば、事故状況や証拠を踏まえて適切に主張・立証を行いながら交渉を進めることができます。また、保険会社との交渉経験も豊富であるため、不要なやり取りを減らしながらスムーズな解決を目指すことが可能です。
示談が早期に成立すれば、賠償金の受け取りも早くなります。事故後の生活再建を円滑に進めるためにも、弁護士への相談を検討するとよいでしょう。
なお、自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合は、相談料や弁護士費用を保険会社が負担してくれることがあります。自己負担なく弁護士へ依頼できるケースもあるため、示談金額や後遺障害認定に不安がある場合は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
人身傷害保険の使い方は、以下のとおりです。
保険会社への連絡は事故当日〜できるだけ早く行うことが望ましいです。
保険会社によっては、治療費を病院へ直接支払う対応を行っている場合があります。その場合、被害者が治療費を立て替える必要はありません。
もっとも、事故の状況や保険会社の対応によっては、一時的に治療費を自己負担し、後から保険会社に請求するケースもあります。
治療費の支払い方法は保険会社によって異なるため、事故後は早めに保険会社へ連絡し、病院への直接払いが可能か確認しておくとよいでしょう。
はい。人身傷害保険は、自損事故でも利用できます。たとえば、ガードレールへの衝突や電柱への接触など、相手方のいない事故でけがをした場合でも、契約内容に従って保険金を受け取ることが可能です。
自損事故では相手方へ損害賠償請求ができないため、人身傷害保険のメリットが特に大きい場面といえるでしょう。
はい。事故の内容によっては保険金が支払われないことがあります。たとえば、故意に事故を起こした場合や無免許運転、飲酒運転などによる事故などは補償対象外となることが一般的です。また、契約内容によっては歩行中や自転車事故が補償対象外となるケースもあります。
人身傷害保険は、交通事故による治療費や休業損害、慰謝料などを補償してくれる保険です。過失割合にかかわらず補償を受けられるほか、自損事故や契約内容によっては歩行中・自転車事故にも対応できるため、万が一の事故に備える上で重要な役割を果たします。
もっとも、人身傷害保険から保険金を受け取れる場合でも、必ずしも十分な補償を受けられるとは限りません。特に、後遺障害が残ったケースや重傷事故では、弁護士基準による損害賠償請求によって受け取れる金額が大きく変わることがあります。
交通事故の補償内容や示談金額に不安がある場合は、弁護士へ相談し、適正な賠償を受けられるか確認することをおすすめします。
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