

東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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目次
交通事故の慰謝料を計算する際には、実はひとつの統一された基準があるわけではありません。大きく分けて「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」の3種類が存在し、どの基準を使うかによって金額に大きな差が生まれます。多くの被害者が「提示された金額が妥当なのか分からない」と悩むのは、この基準の違いが背景にあります。まずはそれぞれの特徴を理解しておきましょう。

慰謝料には3つの算定基準があり、基本的に弁護士基準が最も高額になる
自賠責基準とは、すべての自動車に加入が義務づけられている「自賠責保険」で使われる慰謝料の計算方法です。自賠責保険は「最低限の補償」を目的として設けられているため、被害者救済のための基準でありながら、金額はもっとも低く設定されています。
そのため、自賠責基準は「最低限のセーフティネット」と考えると分かりやすいでしょう。交通事故の被害者が本来の損害をしっかり補償してもらうには、自賠責基準だけでは不十分であることを理解しておく必要があります。
任意保険基準とは、加害者が加入している任意保険会社が独自に定めている慰謝料の算定方法です。自賠責基準よりは高額になりますが、弁護士基準と比べると低めに設定されているのが一般的です。
保険会社は営利企業であるため、支払いを抑える方向で基準を運用するのが一般的です。そのため、任意保険基準で算定された慰謝料は、裁判例をもとにした弁護士基準より大幅に少なくなる傾向があります。たとえば入通院が数カ月に及んでも、提示額が弁護士基準の半分程度にとどまることも珍しくありません。
このように、任意保険基準は一見自賠責より高いように見えても、実際には被害者に不利になる場合があります。提示額が適正かどうかを判断するには、必ず弁護士基準と比較することが重要です。
弁護士基準(裁判基準)は、過去の裁判例をもとに導かれた慰謝料の算定方法です。3つの基準の中で最も高額で、被害者にとって有利になりやすいのが特徴です。
同じ入通院期間でも、自賠責基準や任意保険基準と比べて2倍近い金額になることもあります。後遺障害が認定された場合には、その差はさらに大きくなります。
ただし、保険会社が自発的に弁護士基準を適用することはまずありません。弁護士が交渉に入ることで、初めて弁護士基準に近い金額を得られる可能性が高まります。
慰謝料を弁護士基準で算定してもらうには、ただ希望を伝えるだけでは不十分です。保険会社は原則として自賠責基準や任意保険基準で支払おうとするため、被害者側が正しい根拠を示し、適切に交渉を進める必要があります。
そのためには「裁判例をもとにした基準を使うこと」「証拠を揃えること」「弁護士に早めに相談すること」が重要なポイントとなります。
弁護士基準は、過去の裁判例を集積して作られた算定方法を基礎にしています。実務では、これまでの裁判例を体系的に整理した書籍である「赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)」や「青本(交通事故損害額算定基準)」が広く用いられています。
これらの書籍は、裁判でどの程度の慰謝料が認められてきたのかを一覧できる資料であり、弁護士や裁判所が慰謝料を検討する際の重要な参考資料となっています。
この算定方法を根拠にすることで、「裁判になればこれだけ支払われる可能性がある」という説得力を持った主張が可能です。実際に示談交渉で弁護士がこれを示すと、保険会社も「裁判になれば不利になる」と判断し、弁護士基準に近い金額で和解に応じるケースが多く見られます。
参照:青本・赤い本のご紹介|公益財団法人 日弁連交通事故相談センター
慰謝料を弁護士基準に近づけて主張するには、客観的な証拠を用意することが欠かせません。特に交通事故の場合、事故の状況や治療の経過を裏づける資料が揃っているかどうかで、示談交渉の評価が大きく変わります。
自分でできる証拠の収集には、次のようなものがあります。
これらは専門知識がなくても、自分で集めて整理することが可能です。証拠を揃えておくことで、提示された慰謝料が適切かどうか判断する基準になります。
慰謝料を弁護士基準で認めてもらうためには、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが重要です。事故直後から準備を始めることで、証拠の収集や保険会社への対応を有利に進めやすくなります。
事故の対応は初期の判断が結果を大きく左右します。たとえば、診断書の内容や通院の仕方によって、のちの慰謝料額や後遺障害の等級認定に差が出ることがあります。
早めに弁護士へ相談しておけば、どのように記録を残すべきか、保険会社からの連絡にどう対応するかといった具体的な助言を受けられるため、あとになって不利になるリスクを減らせます。
保険会社との交渉で、被害者が「弁護士基準で支払ってほしい」と主張すること自体は可能です。しかし、実際に認められることはほとんどありません。
その理由は大きく3つあります。
任意保険会社は独自の基準を持ち、その枠内で支払額を決めるのが通常です。被害者の一方的な主張に応じて基準を崩すことは基本的にありません。
弁護士基準は過去の裁判例を整理したもので、裁判になった場合に想定される金額です。示談交渉の段階では、保険会社があえてその水準まで引き上げる理由がないと考えます。
法律知識や交渉の経験がなければ、証拠の提示や裁判例との比較が十分にできません。そのため、保険会社は「任意保険基準のままでも提示額を受け入れるだろう」と考えやすくなります。
とはいえ、自分で算定表を調べて提示額と比較することは無駄ではありません。提示された金額が相場と比べて低すぎないかを判断できるからです。もし相場と比べて大きな差があると感じた場合には、次の対応を考えることになります。
保険会社との示談交渉を弁護士に依頼することで、金額面だけでなく、精神的な負担や将来のリスクの軽減といった多くのメリットが得られます。
以下では、弁護士に依頼することで得られる主なメリットを順番に解説します。
弁護士に依頼すると、裁判例をもとにした「弁護士基準」で慰謝料を算出し、その金額を根拠に保険会社へ交渉できます。弁護士基準は3つの算定基準の中で最も高く、任意保険基準や自賠責基準に比べて2倍以上の金額になることもあります。
被害者が自分で弁護士基準を主張しても応じてもらえないことが多いのに対し、弁護士が法律や判例をもとに示せば、保険会社も無視できません。結果として、提示額が弁護士基準に近づき、慰謝料を大きく増額できる可能性が高まります。
交通事故後は、保険会社とのやり取りが長期間にわたり続きます。慰謝料の金額、治療費の支払い、過失割合など、専門的な知識が必要な話題が多く、被害者が一人で対応すると大きな負担になりがちです。
弁護士に依頼すれば、これらの交渉をすべて任せることができます。被害者は精神的なストレスから解放され、治療や生活の立て直しに集中できます。
また、法律の専門知識を踏まえた交渉により、保険会社から不利な条件を押しつけられるリスクも減らせます。
慰謝料や損害賠償の金額は、事故の過失割合によって大きく変わります。たとえば被害者にも過失が2割あると、認められる賠償金も2割減額される仕組みです。そのため、過失割合は被害者にとって非常に重要なポイントになります。
しかし、保険会社は自社の支払額を抑えるために、被害者側の過失を大きめに見積もることがあります。被害者が知識のないまま受け入れてしまうと、本来より大幅に低い金額で示談がまとまってしまう可能性があります。
弁護士に依頼すれば、過去の裁判例や事故状況を根拠に「妥当な過失割合」を主張できます。これにより、不当に不利な割合を押し付けられるリスクを減らし、適正な金額で示談を進めやすくなります。
交通事故で後遺症が残った場合、後遺障害等級が認定されるかどうかで慰謝料や賠償額は大きく変わります。適切な等級が認められれば数百万円から数千万円単位で慰謝料額が増えることも珍しくありません。
しかし、等級認定を受けるには、症状を裏付ける診断書や検査記録、通院履歴などを正しく揃える必要があります。書類の内容や提出の仕方によっては、本来認められるはずの等級が低く評価される、あるいは認定されないこともあります。
弁護士に依頼すれば、必要な医証の準備や申請手続きの流れを的確にサポートしてもらえます。適切な証拠を整えて申請することで、正しい等級を得られる可能性が高まり、結果として慰謝料を弁護士基準に近づけることにつながります。
交通事故の賠償請求は、治療費や慰謝料だけにとどまりません。後遺症が残った場合には、将来にわたる収入の減少や介護費用など、長期的な損害も考慮する必要があります。これを「逸失利益(いっしつりえき)」といい、後遺障害の程度や労働能力の喪失率をもとに計算されます。
被害者が自分で将来の損害を正しく見積もるのは容易ではありません。就労状況や年齢、事故後の生活への影響など、さまざまな要素を踏まえて計算する必要があるからです。
弁護士に依頼すれば、過去の裁判例や専門的な算定方法を用いて、将来の損害も含めた適正な請求が可能になります。これにより、短期的な補償だけでなく、長期的に安心できる解決につながります。
示談交渉で合意に至らない場合、最終的には裁判で解決を図ることになります。裁判になると、証拠の提出や法的な主張、相手方とのやり取りなど、専門的で複雑な手続きが必要です。被害者が一人で対応するのは大きな負担となり、適切に進められないリスクもあります。
弁護士に依頼していれば、裁判に移行した際も一貫して対応を任せることができます。これまでの交渉経過や証拠資料を踏まえた上で、裁判基準に基づいた適正な金額を主張できるため、安心して任せられます。
裁判は時間も労力もかかる手続きですが、弁護士が間に入ることで、被害者自身の負担を大幅に減らしながら解決を目指すことができます。
弁護士に依頼したいと思っても、「費用が高いのでは?」と心配する方は少なくありません。そんなときに確認したいのが、自動車保険に付帯されている 弁護士費用特約 です。
弁護士費用特約とは、交通事故に関する弁護士費用を保険会社が負担してくれる制度のことです。多くの保険では上限300万円程度(法律相談料は10万円程度)までカバーされるため、通常の示談交渉や裁判でかかる費用なら十分にまかなえます。利用しても翌年の保険料が上がることはなく、自己負担ゼロで弁護士に依頼できるのが大きなメリットです。
「自分の保険に弁護士費用特約がついているか分からない」という場合は、契約している自動車保険の内容を確認してみましょう。もし付帯されていれば、費用の心配をせずに弁護士へ相談できるため、弁護士基準での慰謝料を目指す大きな後押しになります。
保険会社が自ら弁護士基準で支払うことは基本的にありません。なぜなら、弁護士基準は裁判での判断を基準にしており、示談交渉の段階では保険会社にとって支払額が大幅に増えるからです。
そのため、保険会社から「認められない」と言われても不思議ではありません。大切なのは、提示額が本当に妥当なのかを判断し、必要に応じて弁護士に相談することです。弁護士を通じた交渉では裁判例を根拠に主張できるため、弁護士基準に近い金額が認められる可能性があります。
慰謝料だけでなく、休業損害や逸失利益を始めとするその他の損害項目も、弁護士基準に基づいて算定できます。特に後遺障害が残った場合には、将来の収入減や介護費用など長期的な損害が大きくなるため、弁護士基準を使うことで本来の補償額に近づけやすくなります。
弁護士基準を主張したからといって、自動的に裁判になるわけではありません。多くの場合、弁護士が過去の裁判例を根拠に示談交渉を行うため、保険会社も裁判で不利になることを避け、交渉の段階で弁護士基準に近い金額を提示してくることがあります。
もちろん、交渉がまとまらなければ裁判に進む可能性はありますが、その場合でも弁護士が代理人として対応してくれるので安心です。むしろ、弁護士基準を主張することは「裁判で認められる水準を基準に話し合う」という意味があり、不利になるどころか適正な補償を受けるための重要な一歩といえるでしょう。
慰謝料を弁護士基準で受け取るには、裁判例に基づく算定表や証拠の準備が必要ですが、被害者が自分で交渉して認められることはほとんどありません。
弁護士に依頼すれば、弁護士基準を根拠に保険会社と交渉でき、増額が期待できます。さらに、過失割合や後遺障害認定など複雑な問題にも対応してもらえるため安心です。
適正な慰謝料を受け取りたいなら、できるだけ早めに弁護士へ相談しましょう。相談先に迷ったら、交通事故で豊富な実績を持つ「VSG弁護士法人」までぜひお気軽にご相談ください。

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