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倒産と再起の流れVOL21 倒産するときに銀行への返済を優先してはいけない理由

弁護士 川﨑公司

この記事の執筆者 弁護士 川﨑公司

東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/kawasaki/
書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!

倒産と再起の流れVOL21 倒産するときに銀行への返済を優先してはいけない理由

資金繰りが苦しくなったときに多くの会社が優先してしまいがちなものが「銀行への返済」になります。

「銀行に返済しないと怖い」「すぐ取立にやってくる」「追加の借入ができない」という意識があるからです。

しかし、優先すべきは本当に銀行への返済でしょうか。

実は、資金繰りが苦しいときに優先すべきは銀行への支払いではありません。

ほかに優先度の高い支払いがあるのです。

なぜ銀行への支払いを優先してはいけないのか、理由を解説します。

倒産するときに銀行の返済を優先すべきではない4つの理由

倒産が目前に迫っている資金繰りの苦しい状況では、「何はなくとも銀行への返済をしなければいけない」と焦ってしまう経営者が少なくありません。

銀行への返済をしようと焦るばかりに、ほかの支払いを後回しにしたり、より金利の高いところからお金を借りてしまったりすることもあります。

その結果、返済苦や支払いを後回しにしたところからのクレームに追われ、突然爆発するようなかたちで倒産してしまうことがあるのです。

唐突な倒産は、取引先や社員にとっても大きな影響をもたらします。

特に取引先との取引状況によっては、連鎖倒産の引き金になってしまうこともあるのです。

資金繰りに苦しんでいるときは、返済に優先順位をつけて処理することが重要になります。

銀行への返済は、多くの経営者が急ぐ反面、優先すべきではない返済なのです。

なぜ資金繰りが苦しいときに銀行の返済を優先すべきではないのかは、4つの理由で説明できます。

  • ①銀行は中小企業が倒産することを知って利息をとっている
  • ②銀行の融資は保証協会の保証がついているケースが少なくない
  • ③銀行はあくまでビジネスで融資や対応をしている
  • ④資金繰りが苦しいと追加融資は難しい

銀行は中小企業が倒産することを知って利息をとっている

銀行は、融資した中小企業の全てが成功するとは思っていません。

お金を貸したうちの何社かは返済に行き詰まったり、倒産したりする可能性があると理解して融資しているのです。

そのうえで、融資した会社が倒産や返済の行き詰まりに直面したときの回収リスク対策として、融資には利息を付しています。

銀行への返済には、利息を付しているはずです。

銀行側は元金を回収できなくても利息である程度のプラスが出るように計算して融資しているため、「元金を全て返済しなくては」と、資金繰りの苦しい状況で自分を追い詰める必要はありません。

もちろん、返済するに越したことはありませんが、利息によりリスクヘッジができる銀行より、もっと優先度の高い支払いに回した方がいいのではないでしょうか。

銀行の融資は保証協会の保証がついているケースが少なくない

銀行が融資するときは、冷静に会社の状況を見ます。

個人が「もしものとき」のために保険をかけるように、銀行も「もしものとき」のため、融資に保証をつけていることが少なくないのです。

連帯保証人や保証人といった人的保障の場合は、返済しなければ保証人・連帯保証人に大きな影響を与えることでしょう。

しかし、近年は融資に対して保証協会が保証をすることが多くなっています。

保証協会とは、保証をおこなう機関のことです。

返済については、銀行側も「もしものとき」を考えて、保険のような存在を準備していることは知っておく必要があります。

銀行はあくまでビジネスで融資や対応をしている

銀行は情でお金を貸しません。

銀行の担当は人として応対してくれることでしょうが、それはあくまでビジネスの関係です。

「担当さんに良くしてもらったから」「お世話になったから、優先的に返済しなければならない」と、自分を追い詰める必要はありません。

担当が良い人でも、融資は担当の一存ではできません。

もっと上の判断が関係しているのです。

担当より上の判断が「否」であれば、担当はそのとおりにしか動けません。

あくまで銀行業務というビジネスの範囲内の関係です。

こちらがビジネス的に難しい場合は、しっかりと伝えて、交渉することも重要になります。

それもビジネスだからです。

情だけで融資してもらった関係ではないからこそ、必要以上に融資を重く見る必要はありません。

資金繰りが苦しいと追加融資は難しい

銀行に返済が苦しいと相談したり、返済を滞納したりすると、追加で借入できないと不安がる経営者がいます。

だからこそ銀行の返済を優先すべきだと言うのです。

資金繰りが苦しい状況では、銀行の返済を優先しても、銀行からの新しい借入は望めません。

銀行側も資金繰りをチェックしたうえで判断するからです。

そのため、資金繰りが苦しい状況で融資目当てに銀行を優先することは、あまり意味をなさないと考えられます。

倒産するときに銀行の返済以外で優先すべき3つの支払い

銀行の融資は確かに返済すべきものですが、利息や保証などの点である程度のリスクヘッジができる存在です。

資金繰りが苦しい場合は、ほかに優先すべき支払いがあります。

銀行融資より優先を検討したい支払いは、次の3つの支払いです。

  • ①社員や会社維持のための支払い
  • ②取引先への支払い
  • ③公的な支払い

社員や会社維持のための支払い

社員や会社の維持に必要な支払いは、優先されるべき支払いの1つです。

社員の支払いとは、社員の給与などのこと。

給与の支払いは、社員に相談しても「待てません」と言われる最たるものです。

社員にも生活があるからです。

社員の給与が払えなければ、社員はほかの会社に流れてしまいます。

会社は社員の働きによって利益を生み出しているため、社員がいなければ利益を生み出すこともできず、会社そのものも機能しません。

会社を維持するための支払いとは、電気料や水道料など、会社を動かすために必要な支払いになります。

公共料金は数日~1、2カ月支払いが遅れても何とかなる可能性もありますが、甘く見ていると水道や電気などの必要最低限会社を動かすためのエネルギーが止められ、仕事自体ができなくなってしまいます。

社員や会社の維持のための支払いは、優先を検討すべき支払いなのです。

取引先への支払い

取引先への資材や納品物の支払いは、優先した方が良い支払いの1つです。

仕入れをしなければ、会社は回りません。

取引先への支払いを渋ってしまうと、支払額によっては取引先の方が先に倒産してしまう可能性すらあります。

会社は会社の建物だけあっても、動きません。

納品物や資材のための支払いは、利益を生み出し、会社を維持するための大切な支払いなのです。

支払いが苦しい場合は、事情を話して少しだけ支払いを待ってもらったり、何割かの支払いだけ先におこない後から残りの支払わせてもらったりするなど、交渉してみてはいかがでしょう。

手形の支払いについても、不渡りはリスクが高いため、優先順位の高い支払いになります。

公的な支払い

公的な支払いとは、税金や社会保険料のことです。

税金などの公的な支払いは、滞納すると強制執行のリスクが高い支払いになります。

支払いが苦しい場合は、税金の種類によって分割払いなどにも応じてくれるため、滞納状態を放置したり、無視したりすることがないよう注意したいもの。

公的な支払いは、人情でどうにかなるものではありません。

厳正に対処される支払いだからこそ、優先的な支払いが重要なのです。

税金などについては、税理士や自治体の窓口に相談することをおすすめします。

まとめ

資金繰りが苦しく倒産目前というとき、銀行への返済を優先しがちです。

支払いにはほかもあるため、「どのような支払いが必要か」をリストアップし、優先順位をつけていきましょう。

銀行に対しても、交渉や相談が可能になります。

税理士や弁護士などに優先順位をチェックしてもらい、交渉することも1つの方法です。

状況にあわせて、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

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