東京弁護士会所属。新潟県出身。
破産してしまうかもしれないという不安から、心身の健康を損ねてしまう場合があります。
破産は一般的にネガティブなイメージですが、次のステップへのスタート準備とも言えます。
そのためには、法律上の知識や、過去の法人破産がどのように解決されてきたかという知識が必要です。
法人破産分野を取り扱ってきた弁護士は、こういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって納得のいく措置をとることができます。
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書籍:この1冊でわかる もめない遺産分割の進め方: 相続に精通した弁護士が徹底解説!
銀行から融資を断られて「もう事業は無理なのではないか」「再起は難しいのではないか」と諦めてしまう経営者がいます。
つき合いのある銀行借入を断られたら、その時点で諦めなければならないのでしょうか。
本当に手はないのでしょうか。
そのようなことはありません。
ほかにも選択すべき手段が残っています。
尽くすべき交渉術もあるのです。
会社が苦しいときに銀行借入で再起をはかりたい経営者のための「ためになる交渉術」を解説します。
Contents
経営の再起をはかるために銀行借入を申し込んでも、銀行側から借入を断られてしまうことは少なくありません。
銀行借入を断られてしまうと、再起のために奮起した心が萎んでしまいます。
「再起は無理ではないか」と、暗い想像もしてしまうことでしょう。
銀行が借入を断る。
これには、銀行なりの理由があります。
再起をはかりたい経営者や、諦めたくない経営者が交渉術に活かすためにも、まずは銀行側の「借入を断る理由」を把握しておきましょう。
銀行などの金融機関が借入を断る理由は3つに集約できます。
銀行などの金融機関は、金利や為替相場などの、いろいろな金融情勢に合わせて運営されています。
金融情勢の影響で借入の申し込みに対して、否と判断することがあるのです。
日本国内の要因として代表的なものの1つに「マイナス金利」があります。
マイナス金利によって銀行をはじめとした金融機関は「貸す方向」に舵を切ったと言われますが、だからといって、どんな会社や経営者でも貸してくれるわけではありません。
金融情勢を見すえて金融機関側も融資の方針を見直すことがあり、方針次第では「借入を断られる」という結果になることがあります。
銀行などに借入を申し込んでも、金融機関側の理由で断られることがあります。
よくあるパターンとしては、金融機関側の担当変更や、融資を統括する部署の役職変更などです。
銀行などの金融機関側の理由と言われるとどうして金融機関の事情で割を食わなければならないのかと思うかもしれません。
実際は、銀行だけではなく、会社側にも関係している可能性が高いのです。
たとえば、このようなケースを想像してみてください。
今までずっとつき合いのあった金融機関の支店で、同じ担当が対応してくれていました。
この担当が別支店に移動になったとします。
担当が変わった途端に借入の理由を問わず、断られるようになりました。
このようなケースの場合、今までの担当が不備や説明不足の点を上手くフォローしてくれていた可能性があります。
担当がフォローしてくれていたからこそ、借入が可能だった。
しかし、担当が変わったため、不備や説明不足を上手く補ってもらえなくなった。
これは、会社側の借入のさいの不備や説明不足であると考えることもできるのです。
融資を管轄する部署の役職変更に伴い借入が難しくなるケースも、同じような原因が考えられます。
理由2で紹介した理由と重なる部分があります。
借入の申し込みに不備があったという基本的な理由から、説明が足りなかったなどの理由までさまざまです。
数字に説得力がなかった場合や具体性がない場合、「再起したい」という強い感情が先走っている場合も、この理由にあたります。
借入のときは「担当者がもっとフォローすべき」と思うかもしれません。
しかし、フォローや上役の説得は、準備が整っているからこそできること。
会社や経営者が「借入を判断する人が納得できる材料を準備していない」場合は、担当もフォローのしようがありません。
会社や経営者に因る理由の主な原因は不備、足りない、感情論である、説得力がない、裏付けがない、などが根底にあることが多いのです。
銀行などの金融機関などに借入を申し込んだときに諦めないための「ためになる交渉術」は4つあります。
金融機関側の借入を断る理由を念頭に、交渉術について具体的に見ていきましょう。
銀行などの金融機関から借入するときは、「借入」という字面で捉えがちです。
金融機関は返済できない可能性が高い会社に対しては、冷静に銀行借入を断ります。
よって、純粋に資金調達やお金を借りることを意識するより、「会社と経営者に投資させる」「返済できるという裏付けを見せて、信頼を得る」「会社と経営者の将来性を買ってもらう」という意識を持つことが重要です。
顧客に商品を買ってもらうときは、「商品」を買ってもらうためのセールストークが重要になります。
銀行借入のときは「会社や事業の将来」を買ってもらうために交渉しているのだと捉えてみてはいかがでしょう。
基本中の基本です。
再起のための借入や条件変更の申し入れでは、基本的なミスを無くすことが重要です。
いかに借入や条件変更の必要性を説いたとしても、根本的な部分でミスや抜けがあると、交渉における説得力が弱くなってしまうからです。
説得力を削がないことも、交渉術の1つになります。
たとえば、銀行と長い付き合いがあって、「なあなあ」で借入ができていました。
これは、基本的なミスや抜けがあっても、長い付き合いのある銀行の担当側がフォローしてくれていたと考えることもできます。
再起のための借入や条件変更では、銀行側も厳しい目で見ることが予想されるため、フォローを当てにせず、会社や経営者が入念にミスや抜けを無くすことが必要です。
銀行は一行ではありません。
一行で断られたからといって、すべての銀行に断られるというわけではないのです。
銀行には都市銀行や地方銀行、インターネット上の銀行など、いろいろなタイプがあります。
地方銀行ひとつとっても、各地方に何行かあるはずです。
また、借入の申し込みができる金融機関は銀行だけでなく、信用金庫などもあります。
使える金融機関をリストアップし「断られたら別の金融機関もある」と考えることは重要です。
一行に断られても、まだチャンスはあります。
断られた金融機関はリストにチェックし、「なぜ断られたのか」「ミスはなかったか」と戦術や戦略を練り直すことにより、次の交渉の良い材料になるのです。
借入に関する交渉のときは、資料だけで金融機関が事情や状況を察してくれると思うかもしれません。
現実にそのような甘さはないと考えた方が賢明です。
金融機関のことや融資の仕組み、公的な制度などをなるべく理解し、金融機関に対して言葉や説明を尽くすことが重要になります。
もちろん、資料をしっかりと準備することも重要です。
金融機関の担当は、借入や条件変更にあたり、上司や上層部に対して説明や説得をおこなうことになります。
会社や経営者の言葉・説明・資料が足りないと、担当が説得や説明をするときの材料が足りなくなってしまうのです。
上司を説得できたとします。
しかし、説明や説得のための材料が足りないと、さらに上を納得させることができないのです。
結果的に上司や上層部から「不可」という答えが返ってきてしまいます。
借入や条件変更は、下から上へ、上からさらに上へというかたちで、金融機関内でも説得や説明がおこなわれるのが通例です。
言葉足らずや説明足らず、資料足らずは「資金足らず」に繋がってしまいます。
金融機関を納得させられる資料の準備や説明をおこない、金融機関側の手続き的な流れに中に使える「説得材料を渡す」「納得できる裏付けを与える」という意識が重要です。
再起のために借入や条件変更をするときは、交渉についても見直すことが重要です。
金融機関内の事情や手続きを知り、ミスや抜けのない「納得」や「説得」「説明」に繋がるような裏付けのある資料を準備し、借入や条件変更を通すというより、「納得してもらう」「将来を買ってもらう」という意識で挑むことがポイントになります。
金融機関は1つではありませんので、断られたときの金融機関の言葉や態度も交渉術に役立ててしまいましょう。
また、再起のための交渉では、金融機関などの借入について知識を持つ専門家に協力を求めることも重要になります。
専門家も「金融機関の説得や納得に繋げるための資料である」と考えて、積極的に活用することをおすすめします。