東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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道路上では、通行車両や歩行者の動きが不規則で予想できないことと不適切な判断が相まって、当事者同士が接触しない事故が起こってしまうことがあります。
この記事では、非接触事故について概要の説明と加害者が立ち去ってしまったときの対処法、事故現場でとるべき行動、慰謝料を請求するためにとるべき行動を併せて説明します。
目次
交通事故には、当事者がお互いに接触してはいないけれども当事者の一方による危険な行為によって誘発されてしまった「誘因事故」とも呼ばれる非接触事故があります。
非接触事故であっても道路交通法が適用されるので、被害者が身体に被害を負ってしまったときには人身事故となり、その加害者が事故に気付かずに現場を立ち去ってしまうとひき逃げ事故として扱われる恐れもあります。
典型的な非接触事故は、次のようなケースが挙げられます。
このように色々なパターンが考えられる非接触事故ですが、過失割合などはどうなるのでしょうか。
非接触事故では、被害者側の過失割合が接触事故と比べると10%から20%ほど高くなるケースが多いといわれています。
また、過失割合を定めるにあたっては、接触事故と比べて過去の裁判例などが少なく、個別の事案に当てはまるケースがないことも多いので、当事者の交渉がまとまらない可能性も高くなります。
しかし、接触でも非接触でも交通事故であることには変わりがないため、次の3つの要素を重視して過失割合が定められることになります。
これらの要素から、加害者の行動の不適切性が高いために、被害者に危険な回避行動をさせてしまったと判断できれば加害者の過失割合が高くなります。
非接触事故では、相手方が事故に気付かずに立ち去ってしまうことが多く、事故現場でとるべき初期行動が重要になってきます。
事故時の衝撃や違和感などがないので相手方が事故に気付きにくいため、現場を立ち去ってしまわないように対処する必要があります。
加害者が立ち去るようであれば大声を出して呼び止めましょう。
また、相手方が立ち去ってしまいそうなときには、相手方の特徴やナンバープレートなどの情報を記録することも大切になってきます。
非接触事故では、証拠の確保が困難なことも多く、被害者の車両や後続車両のドライブレコーダーや事故現場の周辺施設の監視カメラ・防犯カメラの記録映像があれば大変に重要な証拠となります。
ただし、第3者が管理・保管する記録映像は、個人情報の保護の観点から当然に提供をしてもらえないことが多くあります。
その場合は警察を介して協力を依頼するか、最終的に裁判所の手続きを経て提供を依頼することしかできないので注意してください。
また、非接触事故では、加害者が「相手方が一方的に転倒をしてケガをしたのだから、自分には責任がない」と主張して、自分の行為と相手方の転倒に因果関係がないと争いになることも多いです。
この因果関係の証明には、事故状況を詳細に調査して明らかにしていかなければならないため、1人でも多くの目撃者を確保することが望ましいといえます。
たとえ立ち去りの被害にあったとしても、一つでも多くの証拠を確保していれば加害者の特定やその後の示談交渉において被害者の有利に事が進められる可能性が高くなります。
道路交通法では、事故の当事者には警察への届出義務があるため、被害者であっても必ず警察へ届け出ましょう。
警察へ届け出ていないと、後になって保険金等の請求手続きに必要な交通事故証明書の発行が受けられないので注意してください。
非接触事故であっても被害者の身体に損傷を負うこともあるので、転倒したり躓いたりしたのであれば、痛みなどの自覚症状がなくても、事故直後に必ず病院へ行って診察をしてもらいましょう。
事故発生日から時間が経って病院を受診してしまうと、交通事故とケガの因果関係が否定されることとなるので注意してください。
被害者が任意保険に加入している場合は、保険会社へ連絡して、自動車保険であれば傷害特約、医療保険であれば傷病特約などが利用できるか確認しましょう。
非接触事故でも人身事故として扱ってもらえれば、慰謝料の請求が可能になるので、次の点に注意して行動してください。
事故直後に病院へ行って診察をしてもらい、必要な検査をしてもらったうえで診断書を書いてもらいましょう。
むち打ち症の疑いがあるからといって病院へ行かずに整骨院へ行ってしまうと、必要な診断書を発行してもらえないので注意してください。
事故直後に物損事故として処理してもらっていても、後になってから診断書を提出して人身事故に切り替えることが可能なので、事故発生日から早いうちに警察へ人身事故として処理してもらうよう手続きをしてください。
人身事故へ切り替えていないと加害者に対して慰謝料を請求することができないので、注意しましょう。
人身事故として診断書がもらえたとしても、適切な期間をとおして通院治療を継続しなければなりません。
これを怠ると、加害者や加害者側の任意保険会社から治療費や慰謝料などの支払いを拒否されることがあります。
交通事故で人身に傷害を負った場合、治療をしている医師から「これ以上、治療を続けても症状が改善せず、悪くもならない」として症状固定の診断がなされます。
この症状固定の診断がなされたときに被害者に後遺症が残っているのであれば、後遺障害等級の認定を受けることができます。
この認定がなされると加害者に対し、治療費と通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できます。
非接触事故に多い転倒などによる比較的軽微なケガであっても、むち打ち症や捻挫などでは後遺障害等級の認定がなされる可能性もあるため、一度主治医に相談してみるといいでしょう。
非接触事故では、ここまで説明してきたとおり、ケガと事故との因果関係や過失割合の立証が大変に困難になることが多いので、交通事故の問題解決に実績のある弁護士へ依頼することをおすすめします。
また、弁護士が介入するとなれば、慰謝料については、自賠責保険法で定められた自賠責基準とよばれる最低限度の金額ではなく、過去の裁判例をもとにした裁判所基準(弁護士基準)による最高限度の金額を請求することが一般的です。
被害者が少しでも高い慰謝料を受け取りたいのであれば積極的に弁護士を活用をおすすめします。
非接触事故で立ち去りにあってしまった場合は、事故現場でどのような行動をとるかが非常に重要になります。
もし加害者が現場から立ち去りそうなときは大声で呼び止めて逃げられないようにしましょう。
またドライブレコーダーや目撃者の証言などの証拠をできるだけ集めておくことも大切です。
証拠が多くあれば、その後の示談交渉で有利に進められる可能性が高くなるでしょう。
ただし、非接触事故は因果関係の証明が難しく、加害者から「勝手に転んでケガをしたのだから」と治療費等の支払いを受けられずに泣き寝入りする方も少なくありません。
非接触事故の対応で困ったときは、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。