東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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目次
交通事故の見舞金には、以下の2種類があります。
この見舞金は、いったいどのようなものなのでしょうか?
見舞金をもらっても、示談交渉などで被害者に不利になることはないのでしょうか?
それぞれの見舞金について順番に見ていきましょう。
交通事故が発生してから数日後、加害者から「被害者に対する謝罪と誠意を表すため」として、見舞金を申し出てくることがあります。
このような謝罪の行為は当たり前のようにも思われますが、本来加害者が見舞金を支払う義務はありませんし、被害者から見舞金を請求する権利もありません。
「見舞金」は、あくまでも加害者の任意により行われるものである、という点を理解しておきましょう。
被害者の方が、「搭乗者傷害保険」に加入していれば定額の保険金がもらえることがあり、いわゆる「見舞金」といわれるものです。
搭乗者傷害保険とは、被保険者が交通事故などをはじめとする事故により傷害を負った場合に支払われる保険(死亡・後遺障害・医療保険金)のことをいいます。
この保険を使っても翌年の等級には何ら影響はありません。
治療などのための一時金のような意味合いがあり、入通院が5日以上経過した時点で定額の損害額が支払われます。
また、部位や症状によりあらかじめ金額も定められています。
「加害者からの見舞金」「保険会社からの見舞金(保険金)」をもらった場合、示談金や慰謝料が減額される要因となるのでしょうか?
結論からいえば、減額はされません。
加害者からの見舞金や保険会社からの見舞金(保険金)は、賠償金や慰謝料とは全くの別物だからです。
加害者からの見舞金はあくまでも任意であり、保険会社からの見舞金(保険金)は被害者自身が加入している保険からの支払いです。
示談金や慰謝料は、被害者が加害者に対して請求することのできる正当な権利(以下2点)であるため、全く別のものなのです。
精神的損害 | 財産的損害 | |
---|---|---|
| 積極損害(金銭面での損害) | 消極損害 |
|
|
※積極損害とは、実際に支出した、または必要があり支出した費用のこと
※消極損害とは、交通事故に遭わなければ支出せずに済んだ費用のこと
勘違いされやすい用語をまとめましたので、ご参考になさってください。
示談金 |
|
---|---|
慰謝料 |
|
加害者が見舞金について「損害賠償金や示談金の一部」ではなく、「全部」であると主張してくるタチの悪いケースも少なからずあります。
双方の主張が食い違えば、示談交渉は長引くリスクがあり、解決までに多大な時間を要することは心身ともに大変辛いものです。
以上のことを踏まえた上で、見舞金の受け取りをするか否かを慎重に検討する必要があります。
たとえば、加害者が直接被害者のもとを見舞金持参で訪れたとします。
事故から間もない場合や、事故の被害が大きく重傷の怪我だった場合はどのような気持ちになるでしょうか?
など様々な複雑な感情が湧き上がり、平常心ではいられないのではないでしょうか。
場合によっては、怒りが抑えきれずに加害者に殴りかかったり暴言を吐きたくなることも想定されます。
そのような場合は、かえって示談交渉の妨げになることも考えられますので、見舞金の受け取りは断った方がよいでしょう。
あとの示談交渉時に困ることのないように、加害者が見舞金を提示してきたときにとるべき対処法や、見舞金を受け取るリスクなどについても確認していきましょう。
「被害者は純粋な見舞金として(謝意や誠意の表れと思い)受け取ったつもりだったが、加害者は損害賠償金や示談金の一部のつもりだった」
このようなケースでは、後に行われる示談交渉のときに、損害賠償額の合計金額から見舞金を差し引かれた額で算出されることがあります。
本来の示談金の満額を受け取ることができず、被害者の方にとっては不利益が生じてしまいます。
見舞金を受け取る際には、相手の意思をきちんと確認しておきましょう。
前述のように、相手方と主張が異なれば示談交渉が長引いてしまう可能性があるからです。
見舞金を受け取ると、加害者が「減刑」される可能性があります。
交通死亡事故が発生すると以下の手続きが進められます。
交通死亡事故の手続き
事故態様や怪我の程度、死亡事故か否か、加害者の悪質な運転や事故後の対応の悪さなどの事情がある場合、被害者感情としては「厳罰」を望まれるのではないでしょうか。
もし「厳罰」を望む場合は見舞金の受け取りを控える必要があります。
なぜなら、刑事裁判において、「情状酌量」の対象となる可能性があるからです。
情状酌量とは、加害者である被告人に関して様々な事情を考慮して減刑することで、謝意や誠意の表れとして、裁判官の心証に少なからず影響を及ぼすことが考えられます。
被害者へのお見舞いは、先にも見てきたとおり「謝罪の意思と誠意の表れ」で、加害者であれば当然に社会的道義として行うべきです。
しかし、お見舞いにすら来ない場合や謝罪の言葉もない場合、ときには被害者相手に暴言を吐いたりする加害者もまれにいます。
このような不誠実な加害者のことを許せるわけもありませんし、「厳罰」を望まれるのが通常の感情でしょう。
そのような場合は、被害者はいったいどのように対応をしていけばよいのでしょうか?
上記について、一つずつ確認していきましょう。
裁判所の許可を受けることで、交通事故の被害者は刑事裁判へ参加することが認められます。
裁判では、事故状況や加害者の反省度合いの他に、被害者の感情も重要視されます。
したがって、裁判所で意見陳述を行うことで加害者に対する刑事処分が重くなる可能性が高まります。
裁判では、示談(和解契約)が締結されているか、賠償金の支払いが完了しているかという点も考慮される要素となります。
したがって、示談(和解契約)が締結されていなければ、加害者に対する刑事処分が重くなる可能性があります。
お見舞い金ではなく、「お見舞い品」を贈ってくる場合や持参することも多いかと思います。
たとえば、代表的なものとしてフルーツや花などが挙げられますが、これらは受け取っても差し支えないと考えられています。
もちろん、必ず受け取らなくてはならないわけではなく、怒りの感情が抑えきれないときは受け取りを拒否しても構いません。
これといった明確な基準が存在するわけではありませんが、やはり気になるのが相場です。
いったいどのくらいが妥当な金額なのでしょうか?
一つの目安として考えられるのが、任意保険の「対人臨時費用」という項目です。
対人臨時費用とは、交通事故が原因となり死亡・傷害を負った被害者に対する費用のことで、いわゆる見舞金や香典のために支払われます。
あくまでも、任意保険の運用なので一概にはいえませんが2〜20万円(被害者1名につき)がおよその相場といえるでしょう。
示談交渉は、通常「完治または症状固定」となってからスタートします。
入院・通院にかかる治療費なども含むため、「損害賠償の総額が確定する前」の事故発生から間もない時期に示談するべきではありません。
レアケースですが、お見舞いの場で示談を提示されることがありますので、くれぐれもご注意ください。
一度、示談に合意してしまうとやり直しが効きません。
次に、保険会社から見舞金(保険金)をもらった場合についてみていきましょう。
保険会社により様々な種類の保険があるため、万全を期するためにも「見舞金(保険金)をもらっても示談交渉に影響しないかどうか」を確認されることをおすすめします。
基本的には、加害者の賠償責任とは関係なく、示談金や慰謝料額には何ら影響を及ぼさず、減額されることもありません。
では、もらい事故(追突事故など)のケースなど、被害者自身に過失がない場合はどうしたらよいのでしょうか?
このような場合でも、見舞金(保険金)をもらうためには、被害者の方はご自身の加入している任意保険会社に連絡をして事故の報告をする必要があります。
交通事故に遭うと、肉体的・精神的なダメージだけではなく経済的なダメージ抱えながらの生活となります。
交通事故による怪我のせいで仕事を休まなければならないと収入が減少してしまいます。
重症の怪我であれば尚更のことで、とても辛い時間を過ごすことになるでしょう。
経済的な不安が少しでも解消されれば、その分本来受けるべき治療を受けることもできます。
では、経済的に困窮した場合はどのような解決策があるのでしょうか?
見舞金を増額してもらうことは、これまでみてきたことから後に不利益となる可能性がありますので、以下の2点の方法で解決策を考えてみましょう。
内払金制度とは、相手方の任意保険会社に対して「損害賠償金の一部」を支払ってもらう手続きのことです。
明文の規定があるわけではありませんが(任意保険会社による独自の制度)、請求する時点ですでに10万円以上の損害額となっていれば、傷害による損害の保険金額(120万円)に達するまで支払われます。
また、2回目以降の請求の際も、損害額が10万円以上あることが必要となります。
最終的には、損害賠償総額からすでに支払われた内払金が控除された金額が支払われます。
ただし、この制度は前述のとおり任意保険会社が独自で行なっているため、請求に応じてもらえないケースもあります。
自賠責保険には、被害者救済策として「仮渡金制度」と呼ばれるものがあります。
つまり「先渡し」のようなものです。
この仮渡金制度を利用すると、事故後から保険金支払いに至るまでの当面の間の治療費や生活費などにかかる経済的な心配をせずに済みます。
請求してから、不備がなければおよそ1週間で支払われます。
ただし、請求回数は1回のみとなりますので、タイミングをみて請求することがポイントです。
仮渡金制度
これらはあくまでも仮払金なので、最終的な損害賠償総額が確定した部分の一部であるという点を抑えておく必要があります。
したがって、最終的に「確定した損害賠償総額」よりも仮渡金が超過しているケースでは、「返金」しなくてはなりません。
見舞金は、あくまでも任意で行われるものだということがご理解いただけたのではないでしょうか。
加害者や保険会社からの見舞金をもらうことで、賠償金や慰謝料が減額されることはありませんが、後に加害者が「見舞金は損害賠償金や示談金の一部」と主張してくるケースもあるため、見舞金をもらう際は念のため確認しておく必要があります。
お互いの主張が異なる場合、示談交渉が長引き解決までに多大な時間を要するリスクがありますので、見舞金を受け取る際は、受け取るかどうかを慎重に判断しましょう。
交通事故の解決は「金銭による賠償」が基本となります。
賠償金の交渉は、弁護士に依頼すればスムーズかつ確実に行うことができ、慰謝料や損害賠償を増額できることもあります。
専門的な知識はもちろんのこと、肉体的・精神的・経済的なご不安に寄り添い、的確なアドバイスや解決策を提示してくれます。
敷居が高いと思われがちな弁護士ですが、そんなことはありません。
上記に当てはまるような弁護士であれば安心してお任せできますので、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。