東京弁護士会所属。
「専門性を持って社会で活躍したい」という学生時代の素朴な思いから弁護士を志望し、現在に至ります。
初心を忘れず、研鑽を積みながら、皆様の問題に真摯に取り組む所存です。
目次
交通事故に遭ったら、事故の規模にかかわらず警察への報告が義務付けられています(道路交通法72条)。
この報告義務は、運転者や同乗者にけがあった場合に限られません。つまり、軽い接触事故であっても、事故である以上はその旨を警察に報告しなければなりません。
警察への届出を怠ると、「3年以下の懲役」または「5万円以下の罰金」という刑事罰を受ける恐れがあります。加害者側からその場で示談にしてほしいと頼まれても、警察には必ず報告するようにしましょう。
交通事故は、大きく「人身事故」と「物損事故」に分けることができます。
物損事故は、人が死傷しない事故のことをいいます。たとえば、けがはないもののガードレールや家の塀を事故により破損させた場合には、物損事故として処理することになります。
「警察の実況見分に時間を取られたくない」
「たいした被害もないので、話し合いで解決したい」
警察に報告せずにその場で示談した場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
事故の際に警察への報告を怠ると、交通事故証明書を作成してもらえません。
交通事故証明書とは、事故の事実を証明する公的な書面です。車両保険や労災などさまざまな場面で必要になるので、交通事故証明書が作成されないと適切な補償を受けられない恐れがあります。
警察が介入しない以上、実況見分調書も作成されません。
実況見分調書は、事故の状況などを証明する公的な書面です。実況見分調書には、事故当時の状況や目撃者の証言などが記録されます。
過失割合など、事故を巡ってトラブルになった際に、実況見分調書がないと慰謝料などの賠償金を減額される恐れがあるでしょう。
交通事故で警察への報告義務を怠ると、加害者側の保険会社から賠償金を受け取れなくなる恐れがあります。交通事故証明書がない限り、保険会社は事故があったことを認めてくれない可能性が高いからです。
また、治療費や休業損害、慰謝料の一部を示談前に請求するには、自賠責保険会社に交通事故証明書を提出する必要があります(被害者請求)。つまり、警察に報告しないと、事故のあと速やかに金銭的補償を受けられない恐れがあるのです。
なお、その場で示談した場合には、それ以降に発生する損害については賠償請求できなくなる恐れがあります。あとから身体に痛みが出てきたとしても、1度示談している以上、賠償請求が認められないリスクも頭に入れておきましょう。
警察に連絡しないでいると、加害者だけでなく被害側も刑事処罰を課される恐れがあります。
警察への報告義務は、事故車両の双方の運転者に課されるのが原則です。けがでやむを得ない場合を除き、たとえ被害者であっても警察に報告しなければなりません。悪質なら懲役刑もあり得るので、たとえ小規模な事故でも必ず警察に報告してください。
なお、接触事故などで警察への報告を怠り、後日警察に事故のことが知られた場合、「当て逃げ」として扱われるケースもあります。一発で免許停止になるリスクもあるので、くれぐれも注意してください。
軽い接触事故が起こったら、まずお互いの損傷の程度を確認してください。もしけが人がいたら、必ず救護活動をおこないましょう。
けが人の救護活動が済んだら、速やかに警察に連絡してください。警察から聞かれたことに答えていけばよいですが、基本的には以下のような内容を報告します。
警察が来るまでに、事故現場や車両の損傷状況の写真や動画を撮影しておきましょう。また、相手方の連絡先や氏名、加入している保険会社および担当者などを確認しておくと、その後の手続きがスムーズに進みます。
なお、少しでも身体に違和感がある場合には、物損事故ではなく人身事故として処理してもらいましょう。あとから痛みが出てきた場合、人身事故で処理しておかないと慰謝料を減額される恐れがあるからです。
軽い接触事故でも、弁護士に相談するのがおすすめです。無料相談を活用すれば、弁護士に依頼すべきケースかどうかにつき、専門家のアドバイスを受けられます。
また、事故から数日経ってから痛みが出てきた場合でも、弁護士なら適切に対応できます。車をぶつけられた際の損害額を事故状況に応じて適切に算定できるのも、交通事故に精通している弁護士の強みです。
相手が「お前がぶつかってきたんだから、慰謝料を支払え」などと主張してきても、法的な観点から冷静に支払いを拒否できます。交通事故に遭ったら、とりあえず1度弁護士にアドバイスをもらってみるとよいでしょう。
加害者がその場で示談したがる主な理由は、以下のとおりです。
示談は口約束でも成立します。相手の勢いに負けてその場で示談すると、適切な補償を受けられない恐れがあります。たとえ小規模の事故でも、必ず警察に報告するようにしてください。
後日、警察に報告することで交通事故証明書を受け取ることも可能です。事故時に報告し忘れていた場合には、なるべく速やかに警察に報告しましょう。時間が経過すると、事故があったことを証明できないとして事故証明書を発行してもらえない場合があります。
なお、交通事故証明書は、警察に報告したあとに自動車安全運転センターなどで取得できます。保険会社を通して取得することも可能です。
事故直後であれば、110番通報で警察に事故の発生を報告します。後日連絡の場合は、事故現場の最寄りの警察署や交番に届出してください。
もし事故現場が遠方だった場合には、自宅や職場から最寄りの警察署に行き、どこに報告すればよいのかについて指示を仰いでください。
軽い接触事故でも、警察への届出は運転者の義務です。被害者であっても、必ず事故直後に報告するようにしてください。
報告せずにその場で示談してしまうと、あとでトラブルになった場合に適切な補償を受けられない恐れがあります。また、被害者であるにもかかわらず、報告義務違反として刑事罰を受ける恐れもあります。
警察に報告しないことによるメリットはありません。事故の被害者として適切な補償を受けるためにも、事故後には必ず警察への報告を忘れないようにしましょう。
もし困ったことがあれば、交通事故に強い”ベンチャーサポート法律事務所”にぜひお気軽にご相談ください。