東京弁護士会所属。
「専門性を持って社会で活躍したい」という学生時代の素朴な思いから弁護士を志望し、現在に至ります。
初心を忘れず、研鑽を積みながら、皆様の問題に真摯に取り組む所存です。
目次
交通事故を起こしてしまったら、まず次の6つのことをおこなってください。
交通事故にあったら、まずは自分のけがの状況を確認してください。そのうえで、負傷者の救護活動をおこないましょう。事故の相手方だけでなく、巻き込まれた歩行者なども救護の対象です。
事故の当事者は、道路交通法上、負傷者を救護する義務を負っています。怖くなって救護せずにその場から立ち去ると、ひき逃げ犯として「5年以下の懲役」または「50万円以下の罰金」を科される恐れがあります。自分がけがを負っていたとしても、心臓マッサージや止血など、できる限りの救護措置をおこないましょう。
ただし、自己判断で間違った処置をすると取り返しがつかないことになる可能性があります。特に強く頭を打っている場合には、119番通報をして救急隊員に指示を仰ぎましょう。
交通事故を起こしてしまったら、後続車に追突されないよう安全措置を取ってください。事故状況にもよりますが、たとえば次のような対応をおこないます。
とくに、夜間の場合には視認性が悪くなり二次被害が起きやすいです。後続車に異変を明確に伝えるだけでなく、自分や相手方が後続車に轢かれないように注意してください。
警察への届出も法律上の義務です。事故を起こしたら、速やかに警察に連絡してください。連絡せずに当事者だけで処理した場合、報告義務違反で「3カ月以下の懲役」または「5万円以下の罰金」が科される恐れがあります。
警察には、次に挙げる内容を正確に報告します。
警察への報告は法律上の義務です。人身事故だけでなく、軽微な物損事故でも警察への報告義務を負っています。事故につき真摯に謝罪していることを示すためにも、事故後速やかに自分から警察に通報しましょう。
より正確な事故状況を証拠として保全するためにも、警察が来るまでに事故現場や事故車両の写真・動画を撮影しておきましょう。
たとえば、横から追突されたことがわかる損壊した車両やスピード違反をしていたことを推認できるようなブレーキ痕などがあれば、有利な過失割合を主張できる可能性があるでしょう。
ドライブレコーダーが搭載されている場合には、データが消えてしまう前にしっかり保存しておいてください。事故瞬間の動画があれば、示談交渉の際に自分の主張を裏付ける有力な証拠となります。
ほかにも、商業施設の監視カメラや目撃者の証言など、事故状況を示す証拠になるものはしっかり保存しておきましょう。相手方との会話も許可を得て録音しておけば、あとあと余計なトラブルになるのを避けることができます。
事故の相手方と連絡先を交換しておくと、今後の手続きをスムーズに進められます。
任意保険に加入しているのであれば、基本的に示談交渉は保険会社がおこないます。しかし、保険会社に対応を任せっきりにしていると、加害者から謝罪がないことに不満を持った被害者との交渉が難航する恐れがあります。
あとでお見舞いや謝罪をするためにも、相手方の連絡先は確認しておきましょう。
警察が事故現場に到着したら、事故状況を正確に伝えてください。自分が不利になりたくないからといって、嘘をついたり、全て相手方に責任があることを主張しないように気をつけましょう。
不明点は「わからない」と回答してください。また、自分に事故の過失があることを無理に伝える必要もありません。警察への質問には誠実に対応すべきですが、示談交渉で不利になるような発言まで自分からする必要はありません。
事故状況を正確に反映した実況見分調書が作成されれば、過失割合で不利な立場に立たされる可能性が少なくなります。その結果、支払う必要のない多額の賠償金を支払うリスクを下げることができるでしょう。
交通事故直後にやるべきこと以外にも、次の3つのことをできるだけ速やかにおこなうように心がけてください。
任意保険に加入しているのであれば、事故後、速やかに自身の加入する保険会社に連絡しましょう。
保険会社からは、適用される保険(人身傷害保険、レッカーサービス など)や今後の手続きの流れを確認してください。弁護士費用特約が付帯している場合には、実質無料で弁護士に依頼できる可能性もあるでしょう。
また、加害者自身がけがをしている場合には、健康保険を使って治療するのがおすすめです。けがの治療費は被害者側に請求できますが、過失相殺などで十分な治療費をもらえない恐れがあります。健康保険を利用しておけば、十分な治療費を得られない場合でも出費を最小限に抑えることができます。
事故の責任が自分にある以上、真摯に反省していることを相手に伝えることは重要です。示談交渉は保険会社がおこなう場合でも、被害者自身が直接出向いて謝罪することに大きな意味があるのです。
反省していることが相手にしっかり伝われば、示談交渉の際に話が進みやすくなる可能性があります。もし謝罪もせずに「あいつにも責任がある」などと発言していると、不誠実な態度を理由に慰謝料の増額を主張される恐れがあるでしょう。
被害者側が加害者とは会いたくない場合もあるので、必ずしも全てのケースでお見舞いが推奨されるわけではありません。状況を見ながら、数日から1週間以内にお見舞いに行き謝罪をするのがよいでしょう。
無保険で事故を起こした場合には、自分自身で示談交渉をおこなう必要があります。
示談交渉の際は、相手の要求に真摯に対応することを心がけます。ただし、過度に高額な慰謝料を支払う必要はありません。被害者が高額な慰謝料を請求してきたら、裁判例に照らして適切な慰謝料額を主張してみましょう。
ただし、慰謝料を含む賠償金の算定方法は複雑です。類似の裁判例や事故状況、過失割合や認定された後遺障害等級まで考慮して適切な金額を算出するのは、困難を伴う場合が多いでしょう。
もし自分だけで対応ができないと感じたら、交通事故に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。
交通事故の加害者は、以下5つの行動はしないよう気をつけましょう。
負傷者を救護せずに立ち去った場合、ひき逃げ犯として刑事罰を受ける恐れがあります。
また、救護義務を怠ったことが被害者や遺族の精神的苦痛を増大させたとして、慰謝料の増額請求を受ける恐れもあるでしょう。
たとえ逃げても、ドライブレコーダーの映像や防犯カメラの映像、目撃者の証言などからすぐに捕まる可能性が極めて高いです。
逃げることでさらに自分の立場を悪くするので、事故直後には必ず負傷者の救護活動をおこなってください。
事故現場で示談するのは避けた方が無難です。
法律上、示談は口頭でも成立します。示談が成立すると、その後に発生した損害については賠償請求できなくなる恐れがあります。たとえば、事故後に身体に痛みが出てきた場合でも、その治療費を相手方に請求できなくなってしまいます。
また、相手方にどれくらいの過失があるかわかっていない状況では、適切な賠償金額を算定できない可能性が高いです。実は被害者がスマホを見ながら運転していた場合や飲酒運転をしていた場合でも、全容が判明しないうちに示談すると過度に高額な賠償金を支払うことにもなりかねません。
被害者に謝罪せず、警察にも協力しない態度を見せるのはNGです。
示談交渉を保険会社に任せっきりにして謝罪しないでいると、「不誠実な態度を取られたので許せない」として示談交渉が難航する可能性があります。交渉が難航すると、いつまで経っても問題が解決せずに精神的に大きな負担がかかるでしょう。
また、警察に協力的な姿勢を見せていると、正確な実況見分調書が作成されません。実況見分調書は示談交渉や裁判でも使える有力な証拠なので、作成されないと過失割合で不利な立場に立たされる恐れがあります。
示談交渉は保険会社に任せるべきですが、それでも被害者へのお見舞いや謝罪など、誠意ある対応をすべきだといえます。
被害者側の感情を逆撫でしないよう、真摯に反省している旨を伝えましょう。そうすることで、示談交渉をスムーズに進めることができるようになります。
また、人身事故で刑事事件になった場合には、保険会社は対応してくれません。起訴され有罪判決を受けると、前科がつき日常生活に大きな影響を及ぼします。
飲酒運転や過度なスピード違反などのケースでは実刑の可能性も高いですが、少しでも不起訴・減刑の可能性を高めるためにも、交通事故では弁護士に依頼することをおすすめします。
自分の責任を免れるために、相手方を脅して無理な供述を得ようとする行為は絶対にやめてください。
「お前に事故の責任があるんだから、慰謝料は1円も払わない」
「この場で示談しなければどうなるかわかってるな」
「こんな軽い事故で賠償金するなら、恐喝で訴えてやるぞ」
などと強い口調で相手をまくし立てる行為は、刑法上の脅迫罪に該当し処罰される恐れがあります。また、脅迫行為が精神的苦痛を増大させたとして、慰謝料の増額を主張される恐れもあるでしょう。
交通事故を起こしてしまったら、その後の人生はどうなってしまうのでしょうか。
事故状況や示談の進行具合にも異なりますが、具体例として次のようなことが挙げられます。
人によっても異なりますが、死亡事故や重い後遺障害が残るような事故を起こしてしまった場合には、被害者だけでなく加害者の人生も大きく変わってしまうでしょう。
もちろん、事故を起こしたことは真摯に受け止め反省すべきですが、必要以上の責任を負う必要はありません。なかには弁護士が入ることで大幅に過失割合を修正できるケースもあります。
できるだけ今後の人生に悪影響を及ぼさないためにも、交通事故の当事者になったらなるべく早めに弁護士に相談してみることをおすすめします。
交通事故の加害者になってしまったら、示談交渉で不利にならないためにも適切な対応を取ることを心がけてください。
「事故直後にやるべきこと」と「事故後にやるべきこと」に分けて考えると、やらなくてはいけないことを整理しやすいです。
1番の注意点は、被害者に対して心から反省しているところを示すことにあります。くれぐれも強い言葉で被害者を脅して賠償金を減額しようなどとは思わないでください。
ただし、事故の加害者だからといって過度に高額な賠償金を払う必要はありません。過失割合によっては相手の請求額から大幅に減額できる場合もあるので、1人での対応が難しければ弁護士に相談してみることをおすすめします