東京弁護士会所属。
「専門性を持って社会で活躍したい」という学生時代の素朴な思いから弁護士を志望し、現在に至ります。
初心を忘れず、研鑽を積みながら、皆様の問題に真摯に取り組む所存です。
高速道路で事故の当事者になったら、まずは落ち着いて冷静に対応してください。行動1つで生死を分ける可能性があります。
また、高速道路内をむやみに歩き回る行為も避けてください。一般道と違い、車は高速で走行しています。こちらが意図してなくても、他の運転者の視界に入ると焦ってハンドル操作を誤ってしまうこともあるからです。
相手方と話し合うために、路上で話し合うのも避けてください。もし後続車が事故に気づくのが遅れた場合、大事故に繋がる恐れがあります。
高速道路上での事故の場合、自分の身の安全と後発の事故を防ぐことが重要です。車を動かせるようであれば、路肩や路側帯などに事故車両を移動させてください。
路肩まで移動させる際は、ハザードランプを点灯させながらゆっくり走行してください。急ブレーキや高速での運転はくれぐれもしないよう注意しましょう。
トンネルや橋の上など、十分な幅の路肩がない場合には、安全な場所まで車を移動させることも重要です。
二次被害を防ぐためにも、後続車に事故を知らせる合図を送りましょう。主な安全措置は、以下のとおりです。
発煙筒や停止表示器材については、車の後方に無理のない範囲で設置します。設置する際は、後続車に十分注意することを忘れないでください。
負傷者がいる場合には、その場でできる限りの救護活動をおこないます。頭を打っている場合もあるため、まずは、呼びかけたり体を揺するなどして意識があるかどうかを確認しましょう。そのうえで、止血や心臓マッサージなど、可能な範囲で必要な処置を施します。
適切な対処法がわからなければ、無理な救護活動はせずに救急隊員の指示を仰ぎましょう。
なお、負傷者の救護義務は、道路交通法上の義務です。事故に巻き込まれた側であっても、救護義務を怠れば刑事罰を課せられる恐れもあるため注意が必要です。
高速道路では、自分の身を守ることを最優先に考えなくてはいけません。後続車に追突されないように、車の側から離れて安全な場所に避難しましょう。ガードレールやガードパイプがある場合は、その外側に移動するのがベストです。
自分や同乗者、相手方の安全が確保できたら、警察や道路管制センターに連絡します。警察には110番通報、道路管制センターには、高速道路上に設置されている非常電話で連絡しましょう。道路緊急ダイヤル(#9910)での通報も可能です。もし連絡先がわからなくなってしまったら、まず警察に電話して指示を仰いでください。
事故状況や負傷者の状況などを正確に伝え、警察が来るまで待機します。後続車に追突された際に巻き添えにならないよう、車の後方付近で待機するのがよいでしょう。
安全な場所に避難したら、警察が到着するまでに相手方の情報を確認しておきましょう。後日受け取る「交通事故証明書」にも必要事項は記載されていますが、この段階で確認しておけば話がスムーズに進みます。
確認しておきたい情報は、以下のとおりです。
可能であれば、運転免許証や保険証券を見せてもらいましょう。忘れないように、携帯電話等で写真を取っておくのがベストです。
事故現場や事故車両を撮影しておけば、示談交渉の際に有利な証拠として提出できる場合があります。さまざまな角度・視点から事故を記録しておくことで、過失割合で揉める可能性を低くできるでしょう。
事故車両の損傷の程度・場所、ブレーキ痕のある道路など、できるだけわかりやすいように撮影しておきましょう。
また、ドライブレコーダーの映像は事故状況を客観的に証明する有力な証拠となります。記録が上書きされてしまう可能性があるので、事故後すぐに映像を保存するのを忘れないでください。
そのほか、防犯カメラの映像や目撃者など、示談交渉で有利になりそうな証拠は確保しておくことを心がけましょう。
交通事故に巻き込まれたら、なるべく早めに「自分が加入している保険会社」と「加害者が加入している保険会社」に連絡しましょう。
人身傷害保険や車両保険が使えるかどうかの確認をします。事故状況によっては示談代行サービスを利用できる場合もあり、今後の流れについて説明を受けられる可能性があります。もし保険に弁護士費用特約がついているのであれば、特約を使うことを伝えて交通事故に強い弁護士に依頼しましょう。
事故にあったことやけがの治療をする旨を伝えましょう。通院先を伝えれば、保険会社が治療費をあらかじめ病院に支払っておいてくれるケースが多いです(任意一括対応)。こうすることで、被害者は窓口負担なくけがの治療ができるようになります。
高速道路で交通事故にあったら、とくに次の3つの点に注意してください。
高速道路で交通事故に巻き込まれたら、必ず病院で検査を受けてください。事故の規模が大きくなりやすい高速道路での事故の場合、たとえ外傷がなくても身体がダメージを負っているケースが多いです。
事故直後に受診しておかないと、あとから痛みがでてきて通院しても、その分の治療費の支払いを拒否される恐れがあります。慰謝料の減額や後遺障害認定にも悪影響を及ぼすことがあるので、大きなけがないからといって病院に行かないのはやめましょう。
なお、自己判断で整骨院や接骨院に通院するのはやめましょう。「交通事故のけがに対応できます」などと謳っている施術院も多いですが、けがの治療には不要だと判断されて治療費や慰謝料を減額される恐れがあります。どうしても最寄りの施術院に通いたい場合には、医師に許可を取っておくのが無難です。
あおり運転が原因の事故であれば、警察に必ずその旨を伝えてください。危険な運転行為をした加害者に対しては、運転状況によって刑事罰が課される場合があります。
また、あおり運転をされた場合には、示談交渉の際に必ず主張してください。あおり運転は、道路交通法上禁止されている危険な運転行為です。過失割合は、不要な急ブレーキ等がない限り「被害者:加害者=0:10」になるのが原則です。悪質なあおり運転であれば、精神的苦痛が増大したとして慰謝料増額の事情として使える可能性があるでしょう。
料金所やETCレーン付近で事故にあった場合、示談交渉の際に過失割合で揉める場合があります。
過失割合は「被追突車:追突車=0:100」になるのが原則です。ただし、追突された側が進路に迷っていて不規則な運転をしていた場合には、追突された側にも一定の過失がつく場合があります。
追突された側がETCカードを入れ忘れていて停車したなどの事情があれば、追突された側にも一定の過失がつくでしょう。
当事者双方に過失があるとして、事故状況に応じてお互いの過失を認定します。
過失割合で妥協すると、数百万円単位で損をすることにもなりかねません。高速道路の事故に関する裁判例や関係資料も少ないので、対応が難しければ弁護士に1度相談してみましょう。
事故車両が撤去されてしまった場合には、自動車保険のレンタカーサービスを利用したり、家族・知り合い・タクシーを呼ぶなどして自分で移動手段を確保する必要があります。
レッカー車やパトカーに同乗することは基本的にできませんが、深夜で移動手段が確保できない場合や、大雨や大雪などの悪天候で高速道路上での待機が難しい場合であれば、同乗させてくれる場合もあります。
高速道路上での事故で公共物を破損させた場合、基本的に事故の原因を作った加害者が修理費用を支払う必要があります(原因者負担金制度)。
ただし、被害者側にも一定の過失がある場合には、示談交渉の際に請求された工事費用の一部を請求される場合があります。
高速道路で事故にあった場合、適切な対応を取らないと大規模な二次被害に繋がってしまう恐れがあります。まずは、身の安全と後続車の追突事故を防ぎましょう。
そのうえで、加害者の情報や過失割合で有利になるような証拠を集めてください。また、たとえ外傷がなくても病院で適切な検査を受けておくことも重要です。
進路変更の際の事故など、過失割合で揉めるケースも少なくありません。もし保険会社から低額な示談金を提示されたら、なるべく早めに弁護士に相談することをおすすめします。