東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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目次
交通事故被害にあってしまい怪我をおってしまった被害者の方は、事故後も心身ともに大変な思いをされていることだとお察しします。
参考:「交通事故」が原因の後遺障害 その障害の内容とは
治療をしつつ元の生活に戻る努力をしている中、加害者の任意保険会社から示談提案書が届くと、この金額で妥当なのか判断に迷ってしまいますよね。
交通事故の示談交渉は、交通事故案件の取り扱い実績が豊富な弁護士に依頼することがおすすめです。
参考:交通事故の示談交渉 弁護士特約は利用できる?
弁護士に相談すると被害者にとって、3つのメリットがありますので、この記事ではそれぞれについて具体的に解説をしていきます。
また、数ある弁護士の中からどのように選べばよいかという点も迷われるところだと思います。
この記事では、あわせて交通事故被害について相談すべき弁護士の選び方についてもご説明します。
交通事故被害は弁護士に相談すると、被害者にとって3つのメリットがあります。
弁護士に相談するのは敷居が高く思えたり、費用が気になったりするかもしれませんが、それでも検討してみる価値は十分あるのです。
弁護士は弁護士法という法律に基づき、対価をもらって他人の法律行為について代理をすることができます。
示談交渉と示談は、民法上の契約行為であり法律行為でもあります。
そのため、誰にでも依頼できるわけではなく、法律上こうした行為について代理をしてもらうことができる権限がある弁護士に依頼するべきということになります。
もちろん被害者本人は当事者ですので、自分で示談交渉をすることは可能です。
しかし、交通事故後、けがの影響で体調が思わしくない中、保険会社と丁々発止の交渉をすることは、被害者にとってはかなり負担です。
会社や家事があることもあり、なかなか十分な時間がさけないこともあるでしょう。
交通事故の態様によっては、強い恐怖を覚えたため、交通事故のことを思い出すだけでストレスになることもあります。
示談交渉では過失割合について決めるため、何度も繰り返し交通事故の状況について聞かれるため、心理的にもストレスになるでしょう。
そうした場合に第三者であり法律のプロフェッショナルである弁護士が代理人となってかわりに交渉をしてくれれば、被害者は示談交渉のストレスに煩わされることなく、日常生活を送ることができるというメリットがあります。
また、示談交渉がもしまとまらなければ、最終的には民事訴訟を提起して司法判断を受けるということになりますが、裁判時には弁護士のサポートを受けたほうがよいです。
民事訴訟は、民事訴訟法という訴訟ルールに基づいて行われるので、法律の素人である被害者自らが本人訴訟をするというのはかなり大変ですし、結果も思わしくない可能性もあります。
訴訟の可能性を考えると、早期の段階で弁護士に交渉代理から依頼してしまったほうが話がはやいこともあるでしょう。
示談交渉も民事訴訟も依頼する場合、複数案件の依頼ということで、弁護士費用も割引をしてもらえる可能性もあります。
2点目として、弁護士は一般の人よりも交渉能力が高いことがあります。
弁護士は依頼者の法律上の利益を最大限にするために、相手方や裁判所を説得することが仕事です。
そのため、理路整然と話すことや交渉心理など交渉の場数を踏むことによって身に着けられる能力にたけていることが多いです。
示談金は、民法の損害賠償金にあたります。
この損害賠償金の根拠は、民法709条にあり、故意または過失により他人の生命・身体・財産を侵害したものは、その損害を賠償する責任を負うという定めによります。
具体的な損害がいくらかということを計算する基準はいくつか存在しますが、どれを採用するか、基準を具体的な事情にどうあてはめて結論づけるかは、まずは当事者の交渉にゆだねられます。
そのため、示談交渉では交渉能力が高いことが非常に重要なのです。
一般的には、加害者の任意保険会社と被害者では、交渉能力は任意保険会社のほうが高いということが多いです。
任意保険会社はそれなりの規模を有する法人ですので、時間的にも金銭的にもヒューマンリソース的にも、被害者のそれに比べると圧倒的に有利です。
また、事業として、交通事故の示談交渉をしていると、被害者との示談交渉も日常茶飯事です。
一方、個人である被害者は、通常は一生に何回も交通事故被害にあうものではありませんので、示談交渉は完全な素人です。
そのため、加害者の任意保険会社を説得して、被害者に有利な示談金を引き出すことは、被害者本人では極めて難しいことなのです。
一方、弁護士、それも交通事故の被害者の示談交渉を数多くてがけてきた弁護士であれば、加害者の任意保険会社の交渉能力におとるということはありません。
むしろ、交通事故示談金の判例などにも詳しい法律の専門家なので、加害者の任意保険会社よりも優位に交渉を進めることができる可能性は十分にあります。
3点目としては、交通事故の被害者の示談交渉を多く取り扱っている弁護士であれば、交通事故被害についての知識が豊富です。
交通事故は千差万別ですので、被害者と加害者の属性や、事故当時の状況などの要素で一つとして同じ事故はありません。
とはいえ、いくつかの類型にわけて事故を分析することは可能です。
弁護士はこの類型に照らして、過去他人の交通事故案件では示談金はいくらだったのか、それと比較して今回の事故の示談金はいくらだと判断するべきなのかを判断することができます。
自分自身で担当した過去の事件もあるでしょうし、事務所が同じ同僚弁護士のノウハウが共有されることもあるでしょう。
また、職業柄、最近交通事故について出された判例などについても詳しいです。
そのため、どのくらいの示談金ならば妥当なのか、これ以上交渉するべきなのか、妥協してもよいラインなのかを踏まえてアドバイスと交渉の代行をしてくれます。
交通事故の慰謝料を算定するには、大きく分けて3つの基準が存在します。
自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つです。
自賠責基準は、自賠責法というすべての運転者に強制保険に加入を義務付け、交通事故被害者に最低限の保障を与えようとする法律です。
最低限の保障であることもあり、補償内容は浅く広くなってしまうので、慰謝料の金額としては3つの基準の中で最も低くなります。
自賠責保険については「自賠責保険とは?自賠責保険と自動車保険の違いについて」こちらも参照ください。
任意保険基準は、加害者が自賠責に上乗せして保険に任意で加入している場合に、それぞれの任意保険会社が自社の基準として定めている基準となります。
任意保険会社は、この基準に基づいて慰謝料を計算し、自賠責保険でカバーしきれなかった部分を支払います。
任意保険基準は会社によって基準がまちまちですが、自賠責基準よりは少し高いものの、次に述べる弁護士基準よりは低い基準となることがほとんどです。
任意保険会社は営利企業ですので、やはり示談金は低くおさえるのに越したことはないからです。
3つの基準の中でもっとも高い基準が、3つ目の弁護士基準となります。
弁護士基準は別名裁判基準ともよばれ、裁判で慰謝料の金額が争われた場合に過去裁判所が判決として下してきた内容を基準としてまとめたものです。
具体的には、東京地裁の交通部がまとめた通称赤本とよばれる書籍にまとまっています。
また、類似の書籍として、名古屋地裁や大阪地裁がまとめた通称緑本や青本もあります。
裁判官は基本的にはこの基準にあてはめて判断をしますので、弁護士もこの基準を使って示談交渉や訴訟での主張をするということになります。
したがって、任意保険会社から被害者に提示される示談書の金額は2つ目の任意保険基準で計算されている可能性が高く、被害者としてはもっと高い基準である弁護士基準で計算してくれと交渉しうる余地があるのです。
このように記載すると、基準が公になっているのであれば、被害者自身が弁護士基準を採用するように主張すればよいと思われるかもしれません。
不可能ではないですが、これは非常にハードルが高いといえます。
弁護士基準は複雑な内容になっており、あてはめによって全く異なる結論がでることもあるので、法律の専門家ではない被害者が正しくあてはめをして、任意保険会社を説得することは極めて困難です。
深く基準の内容を理解していないと、たちまち任意保険会社に論破されてしまう可能性もあります。
要は使いこなすのが難しいということになります。
そこで、弁護士基準を使った交渉を弁護士に依頼するということが最も得策ということになります。
示談交渉は合意してしまうと、そのあとで覆すことは基本的にはできません。
任意保険会社から示談書の提示があった場合は、その金額の妥当性や内訳を、合意前に弁護士にみてもらうことをお勧めします。
弁護士基準が適用されると、慰謝料が高くなります。
ただし示談交渉中に弁護士基準を適用するためには、弁護士に依頼しなければいけません。
弁護士基準を適応させるためには、日弁連交通事故センター東京支部が出版している「民事交通事故訴訟 損害賠償額査定基準」の内容をすべて把握する必要があるから。
「民事交通事故訴訟 損害賠償額査定基準」はカバーが赤いことから「赤い本」を呼ばれており、弁護士基準で慰謝料を請求する場合の根拠になります。
専門的に勉強をしている弁護士なら赤い本の内容を把握していますが、知識のない一般人が赤い本の内容を完全に把握するのは難しいでしょう。
示談交渉は相手の保険会社とのやり取りになりますが、弁護士を雇わないと、弁護士基準の適用はできません。
特に弁護士に依頼したほうが良い場合とは、過失割合が被害者が0で、先方にすべての過失がある場合です。
過失割合については「どうやって決まる?交通事故での過失割合」こちらを参照ください。
たとえば、被害者が停車中の車両に、加害者の車が衝突してきたような場合は、加害者の過失割合が100になります。
被害者が全く悪くないケースのほうが弁護士に依頼したほうが良いと書くと、不思議に思われるかもしれませんが、こうした被害者の過失がない場合は、被害者の任意保険会社が示談交渉を被害者に代わって行うことができないのです。
被害者が過失割合0の場合、被害者の保険会社から加害者に示談金が支払われることはありません。
したがって、被害者の示談交渉は、被害者の任意保険会社には関係がないこととなります。
上述のように、他人の法律行為を事業として代理をすることができるのは、弁護士法上弁護士に限られています。
任意保険会社は弁護士ではないので、利害関係を有さない他人の示談交渉に関与することはできないのです。
任意保険会社が被害者を代行してくれるのであれば、交渉ストレスの問題や、企業と個人の交渉力の格差はさほど気にしなくてもよいのですが、このように被害者任意保険会社が関与してくれないケースでは弁護士への依頼が望ましいでしょう。
弁護士に依頼するとして、どの弁護士を選んでよいかという点も判断に迷うところでしょう。
選び方 | メリット | デメリット |
---|---|---|
自分・知人の知り合い | ・探す手間が省ける ・事前に弁護士の人柄が分かる | ・交通事故への実績や専門的な知識がない場合も ・事故を起こしたことを知人に知られる ・紹介なので、弁護士を途中で変更しづらい |
役所が開いている市民相談会 | ・公的機関が開催しているので安心できる ・無料で相談できる場合が多い ・近所の役所で開催されていることが多く、アクセスしやす | ・交通事故への実績や専門的な知識がない場合も ・相談可能な日時/1回あたりの相談時間が限定されている ・対応してくれる弁護士を選べない |
弁護士会が開催している相談会 | ・弁護士会が実施しているので安心感がある | ・相談できる日時・相談料が地域によって異なる ・対応してくれる弁護士を選べない |
法テラス | ・国が実施しているので安心感がある ・弁護士費用の立替を受けられる場合がある(要返還) | ・紹介される弁護士の詳細が分からない |
自分で探す | ・「相談したい」と思った弁護士を選べる ・無料で相談できる法律事務所が多い ・インターネットで事務所や弁護士の詳細をチェックできる | ・探すのに手間がかかる |
知人に弁護士がいれば、その方にお願いするのも安心かもしれませんが、たまたま交通事故案件に詳しい知人がいるとは限りません。
特につてがない場合は、インターネットなどで交通事故案件の取り扱い実績を標榜している弁護士事務所を検討してみましょう。
無料相談を実施している事務所もありますので、何人かの弁護士と会ってみて、ご自身が信頼できると感じられる弁護士を選ぶとよいでしょう。
慰謝料請求は病院の診断書などかなり個人的な情報をシェアして行いますので、信頼関係を構築できるかという問題や相性も重要です。
特に軽症の事故の場合は、初回無料相談をしている事務所を選んで、弁護士に依頼した場合に費用倒れになってしまわないか事前に相談してみることがおすすめです。
軽症の事故の場合は、慰謝料そのものが低額ですので、場合によっては弁護士の介入による増額分よりも弁護士費用のほうが高かったということもありえます。
こうした軽症の場合でも安心して弁護士相談できるシステムが、弁護士特約という被害者が加入する任意保険の特約があります。
弁護士特約に加入している場合は、保険契約者と配偶者、一定の範囲にある子供などの弁護士費用について300万円まで保険からカバーされることになります。
そのため、弁護士費用がつけられている場合は、上述のような費用倒れを心配することなく、小さな慰謝料でも取りこぼしなく交渉してもらうことができます。
知らない間に弁護士保険がついていたというケースもありますので、不明な場合は保険証券を確認し、保険会社に問い合わせをして確認してみましょう。
ひとくちに弁護士と言っても、得意分野が異なります。
離婚問題を扱っている弁護士もいれば、交通事故を専門としている弁護士もいます。
交通事故で弁護士を探しているなら、交通事故の案件が得意な弁護士を選びましょう。
交通事故は全国各地で訴訟が行われているため、裁判所の下す判例も多くなります。
常に最新の判例を追いかけておかなければ、交通事故に関する法的な判断もできません。
相手の保険会社との示談交渉も、ベースは裁判所の判例となるため、判例への知識は必須です。
せっかく弁護士に依頼したのに失敗しないように、事故の専門家に頼みましょう。
いかがでしたでしょうか。
これまでの人生で弁護士に相談するようなトラブルがなかった人は、弁護士に依頼と聞くと、高額そうだったり敷居が高そうだったりと感じたりするかもしれません。
しかし、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準で算出された金額の違いなどを正しく認識すると、結局は弁護士に依頼をしたほうが、金銭的には得であるケースがほとんどであることをご理解いただけると思います。
示談交渉のストレスから解放されるためにも、ぜひ一度検討してみましょう。