東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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目次
物損事故から人身に変更された場合、以下のようなデメリットがあります。
物損事故であれば、事故直後の警察の対応以外で呼び出されることは基本的にありません。警察による聞き取り調査後は、当事者同士で車の修理代や保険の適用などについて話し合うことになります。
一方、物損事故から人身に変更された場合、警察による実況見分や事情聴取などがおこなわれます。
実況見分とは、事故現場で証拠を確保したり、当事者から話しを聞いたりして事故状況や被害を確認する手続きです。出張中や旅行中に事故を起こしていた場合には、遠方であっても事故現場に赴いて実況見分に立ち会うことになります。
なお、実況見分の立ち会いを拒否することもできますが、相手方の言い分のみで実況見分調書が作成され過失割合などで不利になる恐れがあります。被害者と日程を調整して必ず立ち会うようにしましょう。
信号無視や飲酒運転で家の壁を壊した場合などは別にして、車同士の事故であれば基本的に違反点数が加算されることはありません。行政分上、物損事故は事故扱いされないためです。
一方、人身事故の場合には、違反の程度に応じて違反点数が加算されます。たとえば、わき見運転などで過失のない相手方と衝突し全治1週間の軽傷を負わせた場合には、5点加算される可能性が高いです。
参照:点数制度|警視庁
事故状況次第で加算される点数は変わりますが、違反点数が一定の基準を超えると、免許停止や免許取消処分になる恐れがあります。車を運転できなくなることで、日常生活や仕事に大きな影響が出てしまうでしょう。
故意にガードレールや家の壁を破損させた場合は別にして、物損事故では基本的に刑事罰を科されることはありません。
一方で、人身事故に変更されると、けがの程度や事故の悪質性によっては刑事処分を受ける可能性があります。有罪判決となった場合、犯した罪によって懲役・禁錮・罰金などの刑罰が科される可能性があるでしょう。
交通事故で成立する可能性のある主な犯罪や刑罰は、以下のとおりです。
成立する犯罪 | 刑罰 |
---|---|
危険運転致死罪 | 1年以上20年以下の懲役 |
準危険運転致死罪 | 15年以下の懲役 |
過失運転致死アルコール等影響発覚免脱罪 | 12年以下の懲役 |
過失運転致死罪 | 7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金 |
無免許加重 | 成立する犯罪の刑が重くなる |
道路交通法違反 | 該当する項目によって異なる |
物損事故では、車の修理費や修理中の代車使用料などについて賠償する責任を負います。金額もそこまで大きくないケースが多いので、相手方との話し合い次第では、保険を使わずに賠償するケースもあるでしょう。
一方、人身事故の場合には、それに加えてけがの治療費や慰謝料などを支払う義務を負います。後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などを請求される可能性もあるでしょう。
対人・対物無制限の任意保険に加入していれば、保険会社からの保険金で高額な賠償金をまかなうことができます。しかし、もし無保険だった場合には、自賠責保険の補償上限を超える部分については、加害者本人が賠償することになります。
示談交渉も精神的負担がかかるうえ、支払いできないと裁判を起こされて財産を強制的に差し押さえられる恐れがあります。最悪の場合、自己破産など取り返しがつかないことになる可能性もあるでしょう。
物損事故では賠償金が低額なケースも多いため、保険を使わずに当事者同士の話し合いで車の修理費などを支払うケースが多いです。
一方、人身事故に変更された場合、治療費や慰謝料などの賠償金が高額になるケースが多いです。保険会社に賠償金を支払ってもらうケースが多いですが、事故で保険を使った場合には、等級が下がり翌年の保険料が変わります。
何等級下がるかは事故状況によって異なります。下がった等級がすぐに復活することはなく、同じ等級でも「事故あり」だった場合は、保険料が「無事故」だった場合よりも高くなります。
物損事故から人身事故に変更されたあとの流れは、次にとおりです。
事故から数日後に痛みなどの症状が出てきた場合、病院で診断書を作成してもらったあと、警察に人身事故への切り替えを申請することになります。
切り替え申請が認められる場合、警察から加害者に対して連絡があります。警察とは実況見分や取り調べなどの日程調整をおこないます。
また、「痛みが出てきたので病院に行く。だから、人身事故に切り替えたいと思っている」と被害者から直接加害者に連絡がくるケースもあります。被害者が本当にけがをしているのであれば真摯に対応すべきですが、治療費や慰謝料を請求するために嘘をついて痛みを訴えている可能性もゼロではありません。
被害者からの要望には慎重に対応するようにしてください。
警察と日程調整をおこなったら、決められた日時に指定場所で実況見分や事情聴取に応じましょう。
事故当時の状況について話す際は、自分の記憶に基づいて正確かつ具体的に警察官に伝えることを心がけてください。あいまいな回答をすると、示談交渉の際に不利な事情として考慮されてしまう恐れがあります。
ドライブレコーダーや周辺の防犯カメラ、目撃者の証言などがあれば、自分に過失がないことを証明できる可能性があるでしょう。
人身事故への切り替えが完了したら、基本的に被害者の治療が終わったあとに示談交渉をおこなうことになります。治療しても身体に痛みが残ってしまった場合には、後遺障害等級認定の申請をおこなったあとに交渉が開始されるケースが多いです。
示談交渉は保険会社がおこないますが、無保険だった場合には自分でおこなうことになるでしょう。事故から時間が経っての切り替えであれば、過失割合などで有利な主張ができるケースもあります。必要であれば、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
事故から数日後に突然痛みが出てきたと言われても、その痛みが事故で負ったけがであるかどうかは証明できません。加害者としては、切り替えに納得できないケースもあるでしょう。
もし警察から実況見分の日程調整などで連絡があった場合には、連絡を無視することにメリットはありません。診断書が提出されて警察として切り替えを認めている以上、それを一方的に拒否することはできないからです。
実況見分への呼び出し当日に出頭しなかったとしても、人身事故への切り替えが認められてしまうでしょう。
一方で、被害者から「人身事故に切り替えてほしい」と頼まれた場合、安易に応じない方がいいケースもあります。治療費や慰謝料を多くとるために、痛みがないにもかかわらず症状を訴えるケースもゼロではないからです。
とはいえ、人身事故への切り替えを認めるかどうかは、警察が決定します。被害者の主張に怪しいところがあれば、弁護士に対処法を相談してみましょう。
警察が人身への切り替えを認めている以上、切り替えを拒否することは基本的にできません。ただし、実況見分の際に、被害者の主張の怪しい点を指摘することは可能です。
ただし、被害者が加害者に対して厳罰を訴えた場合、示談交渉がスムーズに進まなくなったり、刑事手続きで不利になったりする可能性もあります。むやみに相手の意見に対して反論するのではなく、事故状況や相手の主張を聞きながら慎重に判断する必要があるでしょう。
けがをさせてしまったことや手間を取らせていることにお詫びをして、不審な点があれば対応を弁護士に相談するのがおすすめです。
物損事故から人身事故への切り替え期限は、とくに設けられていません。
ただし、事故から時間が経つと事故当時の証拠が失われたり、当事者の記憶があいまいになったりします。事故が原因のけがでなければ警察が切り替えを認めてくれない可能性も高いです。
事故から数カ月後に突然切り替えを要求される可能性もありますが、診断書が取れない、もしくは警察が認めてくれない場合には、物損事故のままで対応することになるでしょう。
軽い事故なのに人身にされてしまったら、少しでも賠償金を減らすために弁護士に相談してみましょう。
保険会社に対応を任せるのもよいですが、どうしても刑事処分を受けたくない場合には、早い段階から弁護士に対応してもらうメリットは大きいです。
あとから痛みが出ているとの主張に怪しいところがあっても、医師の診断書があり警察が人身事故として処理することを認めているのであれば、切り替えを拒否することはできません。
むちうちなどの外傷がなく、検査結果からも症状が判断しづらい事故の場合、本当に痛みやしびれがあるのか疑わしいケースもあるでしょう。その場合、示談交渉の中で賠償金の減額を主張していくことになります。
物損事故から人身事故に変更された場合、免許点数の加算で免停になったり、罰金などの刑事罰を科されたりする恐れがあります。また、保険を使うことになり翌年の保険料が上がってしまう可能性もあるでしょう。
事故から時間が経っての切り替え申請だった場合、本当に症状が出ているのか疑わしいケースもあるでしょう。ただし、医師の診断書があり警察が認めている以上、切り替えを拒否することはできません。
もし物損事故から人身に変更されてしまった場合には、保険会社に今後の対応方法を相談してみましょう。また、どうしても刑事処罰を受けたくない場合には、弁護士に相談して早めに弁護活動をしてもらいましょう。
相談先に迷ったら、”ベンチャーサポート法律事務所”までぜひお気軽にご相談ください。