東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。
目次
車やバイクの破損で物損事故となった場合、修理費は加害者側の保険会社が負担するため、被害者が自己負担する必要はありません。
自賠責保険は人身事故だけしか補償されないので、修理費は加害者が加入している任意保険の引受会社に請求することになります。
ただし、物損事故の被害者であっても過失割合が0:10でなかったときは、加害者の修理費を負担しなければなりません。
自動車保険の契約内容も修理費負担に影響するので、以下のポイントに注意しておきましょう。
交通事故の過失が被害者にも認められる場合、過失割合に応じた修理費を加害者に支払わなければなりません。
加害者:被害者の過失割合が8:2であり、加害者の車の修理費が10万円だったときは、2万円を被害者が負担することになります。
被害者側にも過失があり、対物賠償責任保険も未加入だった場合は、保険会社に修理費を請求できません。
このケースでは加害者側の修理費は被害者が自己負担することになります。
実態としては対物賠償責任保険に加入している方が多いので、被害者が加害者側の修理費を負担するケースはごくわずかでしょう。
ただし、対物賠償責任保険は上限額があるケースがほとんどなので、上限を超えた部分は自己負担しなければなりません。
上記の画像は、物損事故で発生する費用の全体像です。
物損事故の被害者となった場合、車両の破損以外にも損害が発生するため、いくつかの費用や損害分を加害者に請求できます。
保険会社が積極的に支払うことはないので、該当するものは必ず請求するようにしましょう。
車の修理費は、基本的に修理工場の見積もりが基準です。
また、所有物も損害賠償の対象となるため、着用していた衣類が破れる、あるいは腕時計が壊れた場合、事故発生時の時価を限度として損害賠償を請求できます。
ただし、「もともと壊れていたのではないか?」と疑われるケースもあります。
手元にスマホやデジカメがあれば必ず写真を撮っておきましょう。
仕事やプライベートを問わず、車を日常的に使っている場合は、破損した車の修理が完了するまでの代車費用を請求できます。
代車費用は同クラスのレンタカー料金が目安となるため、破損した車が軽自動車であれば、代車も同クラスの軽自動車となります。
なお、代車を長期間使用すると、代車費用が打ち切られる可能性が高いです。
上位クラスの代車を手配した場合は差額が自己負担となるので注意してください。
車の修理費ではなく、買換費用を請求できるのは以下のケースです。
物理的全損 | 車が修理不可能な状態 |
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経済的全損 | 修理可能だが修理費用が車の時価を上回る |
いずれも車の時価(中古車市場の価格)を限度として請求できますが、以下の費用等も請求可能になっています。
自動車税や自賠責保険料は請求できないので注意してください。
事故によって破損した車は価値が下がるため、以下の評価損に相当する金額も加害者へ請求できます。
取引上の評価損 | 事故歴や修理歴を理由とする市場価値の低下 |
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技術面の評価損 | 走行性能や外観などの欠陥を理由とする市場価値の低下 |
一般的には修理費の10~30%程度になりますが、以下の要素が考慮されるため、支払いに応じてもらえない場合もあります。
車のグレード | 高級車は認められやすい |
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年式 | 新しい年式は認められやすい |
走行距離 | 少ないほど認められやすい |
損傷個所と損傷レベル | 車体のフレーム(骨格部分)は認められやすい |
修理内容と修理レベル | 大規模かつ難易度が高いほど認められやすい |
物損事故では建物や構築物(塀や看板など)に車が衝突するケースもあります。
このようなケースでは、破損の修理費を加害者に請求できます。
かなり高額な修理費になることがほとんどなので、自分が加害者になることを想定して対物賠償責任保険には加入しておくべきでしょう。
運送会社やバス会社、タクシー会社などの車が交通事故に遭遇した場合、被害車両を使った営業はできなくなるため、営業損害を加害者へ請求できます。
営業損害は被害車両の平均売上額、または予定売上額から諸経費(ガソリン代など)の平均額を差し引いて計算します。
ただし、余剰な車両(遊休車)で被害車両の売上げをカバーできており、実質的な損害が発生していない場合は請求できません。
運送会社のトラックが物損事故に遭い、積荷が被害を受けた場合も加害者に損害賠償を請求できます。
なお、損害賠償は加害者の予見性がポイントになるため、過去の判例を参考とした個別対応になるケースも少なくありません。
予見することができない高額な荷物が積載されていた場合、裁判に発展する可能性もあるでしょう。
このようなケースでは弁護士に相談しておくことをおすすめします。
物損事故の被害者となった場合、基本的には加害者側の保険会社が修理費を負担します。
ただし、以下のようなケースでは修理費をもらえないため、全額を自己負担しなければなりません。
被害者の過失割合が高い物損事故の場合、修理費の一部しか支払ってもらえない可能性があります。
仮に修理費が20万円だと、被害者:加害者の過失割合が4:6であれば、加害者に対して8万円の損害賠償を支払わなければなりません。
被害者であっても過失分を差し引いた損害賠償請求しかできないため、修理費全額の補償は受けられません。
過失割合が1割でもある場合、1割分は加害者ということになります。
車の物理的な全損は修理が不可能であり、経済的全損の場合は修理費が車の価値(時価)を上回るため、いずれも修理費は請求できません。
全損となった車は継続的な使用ができないので、買換費用の請求に切り替えてください。
物損事故は自賠責保険で補償できません。
加害者が任意保険に加入していなかった場合、自費で修理費を支払うように請求することになります。
また、加害者に資力がなければ修理費を支払ってもらえない可能性が高いです。
その場合は、被害者が加入している保険で修理費を賄わなければならない可能性もあります。
被害者にまったく過失がない物損事故であっても、加害者が修理費の支払いに応じてくれないケースは少なくありません。
加害者の経済的理由などが考えられますが、意図的なケースもあるため、以下のように対処してください。
修理費の請求は3年で時効となります。
加害者が任意保険に加入しておらず、自費で修理費を支払う資力もない場合、示談交渉では妥協案も提示してみましょう。
支払期間を猶予する、または分割払いを認めれば、示談交渉がまとまる可能性は高くなります。
ただし、加害者が時効成立まで逃げ切る可能性もあるので、連帯保証人の設定も検討しておいた方がよいでしょう。
加害者によっては、修理費を支払いたくないために示談交渉を拒否したり、連絡に応じたりしない可能性もあります。
妥協案にすら応じないようであれば、訴訟を起こして強制執行に踏み切ることも検討しましょう。
強制執行では加害者の給与や動産、不動産などを差し押さえられますが、業務中の事故だったときは、加害者の雇用主に使用責任を追及できます。
車が全損した場合は買換えとなりますが、加害者が対物超過補償特約に加入している場合、経済的全損でも一定額の修理費を請求できます。
車の時価よりも修理費が高い場合、対物超過補償特約によって差額の8割程度(限度額は50万円程度)を補填できます。
したがって、経済的全損であっても支払請求は可能です。
修理して乗り続けたい車であれば、加害者が対物超過補償特約に加入しているかどうか確認してみましょう。
物損事故の被害者になると、修理費に関する様々な疑問も生じます。
以下はよくある質問と回答なので、車の修理費を請求する際の参考にしてください。
修理費の支払いは早くても事故発生から1~2ヶ月後になるでしょう。
支払い完了までには以下のステップがあるため、スムーズな示談交渉がポイントになります。
示談交渉が難航した場合、3~4ヶ月後の支払いとなる可能性もあります。
損傷を負った車は不具合が出やすいため、軽微な損傷であっても修理に出しておくべきです。
修理しないまま運転すると、自分が交通事故の加害者になることや、事故の被害が大きくなることが考えられます。
実際に修理しなくても修理費は請求できますが、そのまま乗り続けることは避けた方がよいでしょう。
車の破損個所を修理できる場合、修理費は基本的に全額賠償されます。
ただし、事故当時の時価よりも修理代が高くなるときは、修理代ではなく買替費用が賠償額になります。
仮に事故当時の車の時価相当額が50万円、修理代の見積もりが60万円であれば、賠償額は50万円です。
また、修理可能な車を売却するときは、「修理代相当額」または「事故前の車の時価相当額-売却価格」のどちらか低い方で賠償されます。
請求はできますが、一般的には車の時価、または修理費のどちらか低い金額が支払われます。
車の年式が極端に古い場合、修理費・買換費用ともに支払ってもらえない可能性もあるでしょう。
ただし、ある程度の価値が認められると、時価で買換費用を支払ってもらえるケースがあります。
修理費の支払いを確実にしたいときは、以下のように対処してください。
事故車の修理に慣れている工場は正確な見積りを出してくれるので、適正な修理費の請求が可能になります。
示談交渉では相場より低い修理費を提示される可能性があるため、金額に納得できないときは弁護士に代理人を依頼してみましょう。
弁護士に依頼すると交渉がスムーズになり、納得できる修理費を獲得できます。
物損事故で車が破損した場合、加害者側の保険で修理可能という認識が一般的でしょう。
しかし、加害者の保険加入状況や車の状態によっては、修理費が自己負担になるケースもあるので注意が必要です。
修理費を請求できる場合でも、車の評価損などは請求から漏れやすいので気を付けなければなりません。
なお、保険会社が提示する損害賠償は基本的に低く見積もられています。
加害者側の過失割合が100%であると明らかな場合でも、被害者にも過失があることを主張するケースが一般的です。
安易に承諾すると十分な補償が受けられなくなるので、不利な示談交渉になった場合は弁護士に相談してみましょう。
ベンチャーサポート法律事務所では無料相談も受け付けています。
交通事故の損害賠償請求や示談交渉でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。