東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。
目次
物損事故から人身事故への切り替え期限については、厳密に規定されていません。そのため、警察が認めてくれさえすれば、いつでも人身事故に切り替えることができます。
一方で、人身事故は交通事故でけが人が出た場合の手続きです。警察に「症状は事故以外に原因があるのではないか」と疑われると、切り替えを拒否される可能性があります。
事故から時間が経つと当事者の記憶は曖昧になり、事故当時の状況を示す証拠も失われていきます。事故当時の状況を把握できない場合には、警察に切り替えを断られる可能性が高まります。
症状がいつ出てくるかにもよりますが、できれば事故発生から1週間〜10日以内には病院で診察を受けるのが望ましいでしょう。
なお、警察から「人身事故に切り替えるなら◯日以内に連絡してください」と言われるケースもあります。申請期限を過ぎそうであれば、申請に遅れる理由を警察に伝えておくことが重要です。
人身事故に切り替えた方がいい主なケースは、以下の4つです。
事故後は痛みがなかったことから物損事故で処理したものの、あとから痛みなどの症状が出てきたケースです。事故が原因のけがであれば、治療費や慰謝料を請求するためにも人身事故に切り替えるべきです。
物損事故はモノにのみ損害が生じた場合の事故のことです。けが人のいない事故である以上、治療費は請求できないのが原則です。また、慰謝料は事故で負ったけがによる精神的苦痛を和らげる目的で支払われるため、けが人のいない物損事故では請求できないのが原則です。
人身事故なら、治療費や慰謝料の他にもさまざまな賠償金を請求できます。被害者として適切な補償を受けるためにも、あとから痛みが出てきた場合には人身事故への切り替えを検討しましょう。
事故直後に軽傷だった場合、面倒な手続きを避けるために物損事故で処理してしまうケースもあるでしょう。もし事故後にけがの症状が悪化した場合には、人身事故への切り替えを検討しましょう。
交通事故で多いむちうちなどの場合、事故から数日後に痛みやしびれなどの症状が出始めるケースも多いです。事故直後はアドレナリンの影響で痛みを感じづらくなっているので、精神的に落ち着いたタイミングで症状が悪化する場合もあるでしょう。
軽傷でも事故で衝撃を受けていた場合には、事故直後に病院で診察を受けておくのが望ましいでしょう。事故直後に医師に症状を伝えていれば、あとから症状が悪化した際に事故が原因の痛みであることを証明しやすくなります。
「免許の違反点数を加算されたくない」「刑事処分を受けたくない」「人身事故を起こしたことが会社にバレるとまずい」など、さまざまな理由で加害者に物損で処理してほしいと頼まれる場合があります。
けがをしているにもかかわらず物損事故で処理してしまった場合には、速やかに人身事故への切り替えをおこないましょう。
物損事故のままにしておくと、治療費や慰謝料を請求できず適切な補償が受けられません。事故状況の詳細が記載された実況見分調書も作成されないため、過失割合などで不利な立場に立たされる恐れがあります。
何らかの手違いで物損事故として処理されていた場合、症状が出ているのであれば人身事故への切り替えを検討しましょう。
警察側の処理の不手際で、負傷しているにもかかわず物損事故として処理されてしまう可能性もゼロではありません。また、警察にけがをしていることがうまく伝わらずに、物損事故で処理されてしまう場合もあるでしょう。
事故直後でバタバタしていると、深く考えることなく警察に手続きを任せてしまう場合もあります。けがをしているのに人身事故に切り替えないメリットはありません。症状を自覚したら速やかに病院で診断書を作成してもらい、警察で切り替え手続きをおこないましょう。
けがをしているなら人身事故への切り替えを検討すべきですが、申請しても切り替えが認められないケースもあります。
たとえば、事故から時間が経ち過ぎている場合、事故と症状の因果関係を証明できずに切り替えをしぶられる可能性があります。
警察に人身事故への切り替えを拒否された場合には、「人身事故証明書入手不能理由書」を保険会社に提出しておきましょう。
人身事故として届出ができなかったことに正当な理由があれば、この書面を提出することで物損事故のままで治療費や慰謝料を請求できるようになります。
保険会社によって書式が異なるため、保険会社に連絡して郵送してもらうか、ホームページからダウンロードしておきましょう。
参照:人身事故証明書入手不能理由書の書き方|ソニー損保
なお、人身事故証明書入手不能理由書を提出しても、人身事故としては処理してくれないケースもあることに注意が必要です。
事故後に痛みが出た場合、まずは病院で診断書を作成してもらいます。病院によっても異なりますが、診断書の作成には1週間程度の時間がかかる場合があります。
その後は警察で切り替えを申請し、実況見分を経て実況見分調書を作成してもらいます。
スムーズにいけば、病院で受診してから数週間程度で人身事故への切り替えが完了することになります。
切り替え手続きに期限はありません。そのため、医師が診断書を作成してくれるのであれば、事故から半年から1年経過していても切り替えが認められる可能性はゼロではありません。
ただし、実際には事故から半年もしくは1年経過している状況で切り替えが認められるケースはほぼないでしょう。そのタイミングで症状が出たとしても、もはや事故が原因による症状であることを証明できないからです。
あとから痛みが出て人身事故に切り替えたあとは、以下の対応をおこないましょう。
けがの治療は、完治もしくは、もうこれ以上治療しても症状が良くならない状態だと医師が判断するまで継続しましょう。保険会社が治療費の打ち切りを打診してくるケースもありますが、治療を中断すると最終的にもらえる賠償金が減ってしまう恐れがあります。
また、むちうちなどの後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害等級の認定申請をおこないましょう。1級〜14級のいずれかに認定されれば、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できるようになります。
出費した金額を賠償請求するためにも、立て替えた治療費や交通費の領収書などは大切に保管しておきましょう。
物損事故から人身事故への切り替え期限は特にありませんが、できれば事故発生から1週間〜10日以内には病院で診察を受けるのが望ましいです。
事故から時間が経てば経つほど、痛みなどの症状が事故により生じたものであることを証明しづらくなります。物損事故で処理後に身体に違和感を感じたら、速やかに病院で受診しましょう。
もし警察に切り替え手続きを拒否されてしまったら、人身事故証明書入手不能理由書を保険会社に提出しましょう。
それでも治療費の支払いを断られてしまった場合には、交通事故に強い弁護士に対応方法を相談してみてください。