

東京弁護士会所属。
交通事故の程度によっては、入院が必要になったり、定期的な通院、精神的にも疾患を負ったり、PTSDとして現れることもあります。
こうした状況の中で、交渉ごとを被害者本人でまとめようとすることは非常に大変です。
弁護士に示談交渉を依頼することで、直接示談交渉をしたり、資料を準備したりする精神的負担が軽減できます。
つらい事故から一日でもはやく立ち直るためにも、示談交渉は弁護士に任せて、治療に専念してください。

交通事故の被害者は、加害者に対して事故による損害の賠償請求をおこなうことができます。しかし、事故状況や経済的な理由など、さまざまな理由で加害者が損害の賠償を踏み倒そうとしてくることがあります。
加害者が修理費の支払いを拒否した場合、適切な対処を取らないと十分な補償を受けられません。この記事では、修理代を踏み倒されたときの対処法について、弁護士がわかりやすく解説していきます。
交通事故で加害者が修理代を拒否してくる主なケースは、以下の4つです。
交通事故では、信号待ちでうしろから突然追突されたようなケースを除き、当事者双方に事故の責任が認められるのが一般的です。事故当事者の責任(過失)割合を示した数値を「過失割合」と呼びますが、被害者の過失が大きすぎると、加害者側が賠償を拒否してくることがあります。
自社の利益を追求する保険会社は、賠償金の支払いをできる限り抑えるために、加害者に有利な過失割合を主張してくることがあります。
適切な過失割合で交渉を進めるためにも、ドライブレコーダーの映像や防犯カメラの映像、目撃者の証言など客観的な証拠をしっかり集めておくことが重要になります。
車の損傷が「経済的全損」にあたる場合、加害者に修理代の支払いを拒否される可能性が高いです。
物損事故では、損傷の程度に応じて賠償方法が異なります。
| 損傷の程度 | 概要 | 賠償方法 | |
|---|---|---|---|
| 分損 | 事故車両が修理可能で、かつ、その修理費が車両の時価を下回っている場合 | 修理費用の相当額が賠償金として支払われる | |
| 全損 | 物的全損 | 事故車両の修理が不可能な場合 | 車の買換費用が賠償金として支払われる |
| 経済的全損 | 事故車両の修理自体は可能なものの、修理費が事故当時の時価を超えてしまう場合 | 修理費ではなく、車の買換費用が賠償金として支払われる | |
被害者が事故車両に思い入れがあり、どんなに費用が掛かっても修理して乗り続けたいと考えることもあるでしょう。しかし経済的全損に該当するケースでは、修理代より車の買い替え費用の方が安くなるので、修理費を要求しても全額の支払いを拒否されるケースが多いです。
相場と比べてあきらかに高額な修理費を請求した場合、修理費の全額を支払ってもらえない可能性が高いです。事故前からある傷や故障箇所を修理した場合、その部分についての支払いは期待しない方がよいでしょう。
また、目立たない傷に対して全体を塗装するなど、過剰な修理をした場合にも修理代の支払いを拒否されることがあります。修理代を請求する際は、事故と損傷箇所の因果関係や修理の必要性・相当性を、加害者に対して適切に主張する必要があります。
物損事故では、加害者が加入する自賠責保険から被害者へ賠償金が支払われることはありません。そのため、加害者が任意保険に加入していないときには、加害者に直接賠償金の請求をすることになります。
しかし、任意保険未加入の加害者が、素直に賠償金を支払ってくれるケースはほとんどありません。
車の修理代や事故時に損傷した電子機器(衣類・スマホ・PCなど)、代車費用や車の評価損など、賠償項目が多岐にわたると賠償額も高額になりやすく、経済的な理由から賠償を拒否される可能性があります。
交通事故の被害にあったにもかかわらず修理代を踏み倒されそうになった場合には、以下の対処法を検討してみてください。
経済的な理由で賠償金を支払えない場合でも、加害者の不法行為責任がなくなることはありません。加害者と連絡が取れる場合には、示談交渉を通じて賠償責任を認めさせる必要があります。
なお、物損事故の場合、事故の翌日から3年で修理代等の時効が成立します。時効が成立すると基本的に賠償請求が認められなくなります。時効が近い場合には、早めに弁護士等に相談して適切な対応をとる必要があります。
対物超過補償特約とは、対物賠償保険の補償範囲を拡大できる特約です。対物賠償保険の場合、補償されるのは損傷を受けた車両の時価額までが基本です。
一方、この特約があれば車両の修理費が時価額を超えた場合でも、補償を受けることができます。経済的全損にあたる場合でも補償を受けられる場合があるので、加害者の保険に特約が付帯しているかはしっかり確認しておきましょう。
不利な条件で交渉に応じる必要はありませんが、示談金の分割払いや支払い期限の猶予を交渉材料にすることで、交渉がスムーズにまとまる可能性があります。
示談交渉がまとまったら、支払いを踏み倒される危険性を防ぐために連帯保証人を設定してもらうと安心です。
また、示談書を作成する際は「支払いを●回怠ったときは、強制執行ができる」などと記載しておき、公正証書として作成しておくと、支払いを受けられないリスクを下げることができます。
「そちらにも過失があるから、修理代の全額は払えない」などと主張され交渉が難航している場合には、弁護士に仲裁を依頼するのがおすすめです。
弁護士が代理人として交渉すれば、加害者に対して「交渉に応じなければ裁判を起こされるかもしれない」というプレッシャーを与えることができます。また、法的根拠に基づいた主張により、相手方の無謀な主張に対して適切に反論することも可能です。
加害者がこちらからの連絡を無視しているようなケースでも、弁護士を入れるだけで話し合いがスムーズに進むこともあります。弁護士費用特約を使えばタダで弁護士に依頼できるケースもあるので、交通事故にあったら、物損・人損問わず弁護士への依頼を検討してみましょう。
加害者との交渉がまとまらない場合には、調停や裁判を通した解決を模索することになるでしょう。裁判で賠償金が認められれば、相手方の財産を強制的に差し押さえる手続きが取れるようになります。
給与口座や給与そのものを差し押さえられれば、相手方の意思に関係なく賠償金を回収できます。裁判で勝訴判決を受ける可能性を高めたいのであれば、専門家である弁護士のサポートは不可欠だといえるでしょう。
交通事故の加害者の中には、賠償金を支払いたくないからと意図的に連絡を絶って所在不明になる者もいます。この場合、訴訟で勝訴判決を得て、加害者の財産へ強制執行をおこなうことでしか解決を図れないのが基本です。
対応を後回しにしていると、請求権の時効が成立してしまう可能性もあります。加害者と連絡が取れなくなってしまったら早めに交通事故に強い弁護士に相談してください。
なお、加害者が仕事中に起こした事故であれば、加害者の雇い主に対して使用者責任を追及することで、損害の賠償を請求できる可能性があります。
交通事故では、被害者にまったく過失がないケースを除き、基本的に被害者も賠償責任を負うことになります。「過失相殺」と呼ばれる方法により賠償金の計算がおこなわれるので、実際にはもらえる賠償金を減額することで処理するケースが多いです。
一方で、被害者の損害よりも加害者の損害が大きい場合、過失割合次第では被害者が加害者へ賠償金を支払うことになる可能性もあります。
ここでは、過失割合や当事者双方の損害から、実際に被害者が賠償金を支払うことになるケースを確認してみましょう。
| 加害者 | 被害者 | |
|---|---|---|
| 損害 | 100万円 ① | 100万円 ② |
| 過失割合 | 90% ③ | 10% ④ |
賠償金の具体的な計算方法は、お互いの損害に相手方の過失割合を乗じて負担額を算出し、負担額の大きい方から少ない方を差し引くことで計算します。
計算式
負担額の大きい方が賠償金を支払う当事者となるので、このケースでは、加害者が被害者に対して80万円を賠償金として支払うことになります。
| 加害者 | 被害者 | |
|---|---|---|
| 損害 | 100万円 ① | 100万円 ② |
| 過失割合 | 60% ③ | 40% ④ |
計算式
このケースでは、加害者が被害者に対して20万円を賠償金として支払うことになります。
| 加害者 | 被害者 | |
|---|---|---|
| 損害 | 200万円 ① | 100万円 ② |
| 過失割合 | 60% ③ | 40% ④ |
計算式
このケースでは、被害者の過失割合が大きくかつ加害者の損害も大きいので、被害者の負担額が加害者の負担額を超えることになります。この結果、被害者が加害者に対して20万円を賠償金として支払うことになります。
物損事故の被害者が少しでも賠償金を多くもらいたいなら、過失割合の認定が大切な要素になってきます。ただし、当事者の主張に食い違いがあると交渉が遅れ、最終的に示談が決裂することも考えられます。
示談交渉が成立せずに時間だけが経過してしまうと、加害者が賠償金の支払いを踏み倒そうとしてきたり、時効が成立して請求が出来なくなってしまったりする恐れがあります。
加害者が交渉に応じてくれない場合や連絡が取れなくなってしまった場合には、裁判を通して財産を強制的に差し押さえるのが有効な対処法となります。被害者に有利な内容で1日でも早く問題の解決を図りたいのであれば、交通事故トラブルに実績のある「VSG弁護士法人」にぜひお気軽にご相談ください。

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