東京弁護士会所属。新潟県出身。
交通事故の影響で怪我や病気になってしまうと、体調の不安に加えて、経済的な不安も発生します。
慰謝料を請求するためには、法律上の知識や、過去の交通事故被害がどのような慰謝料額で解決されてきたかという判例の知識が必要です。
我々はこういった法律・判例や過去事例に詳しいため、強い説得力をもって、妥当な損害賠償金を勝ち取ることが期待できます。是非一度ご相談ください。
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交通事故の加害者が負う責任は大きく次の3つに分けることができます。
以下、それぞれ詳しく解説していきます。
交通事故の加害者が負う民事責任とは、被害者に対する損害賠償責任のことです。
賠償の対象となる損害は、大きく「物的損害(物損)」と「人的損害(人損)」に分けることができます。
物損として典型的なのは車が破損したケースです。この場合、車の修理代や修理中に使用する代車の使用料などを被害者に賠償する必要があります。
人損については、次のような損害を被害者に賠償する責任が生じます。
具体的な賠償金額は、用いる算定基準やけがの程度、事故状況や類似事故の裁判例などを総合的に考慮して決定します。
任意保険に加入している場合であれば保険会社が被害者側と示談交渉をおこなってくれますが、任意保険未加入の場合には、加害者自身で示談交渉をおこなう必要があります。
交通事故で加害者が負う刑事責任とは、懲役や罰金などの刑事罰のことです。
交通事故で被害者が死亡した場合や重大な傷害を負った場合には、交通事故の加害者が刑事責任を問われることがあります。
事故現場で現行犯逮捕される場合もあれば、交通事故の発生後に在宅のまま取り調べを受けることもあります。
事故の態様や被害者との示談状況等を総合的に考慮した結果もし起訴されることとなった場合、有罪判決を受けて前科がついてしまう恐れがあります。
逮捕・勾留されれば最大で23日もの間身柄を拘束される可能性がありますし、通常の刑事裁判の手続となった場合はさらに数カ月に渡り拘置所で生活しなくてはいけない可能性があります。
日本の刑事裁判では、起訴されてしまうと99%以上の確率で有罪判決が出ます。前科をつけて今後の生活に悪影響を及ぼさないためには、事故直後に弁護士に相談しておくことが重要になります。
交通事故の加害者が負う行政責任とは、免許の停止や取り消しなどの処分のことを指します。
人身事故を起こすと加害者に必ず免許の点数が加算されるので、加算される点数次第では免許停止や免許取消し処分となることがあります。
もし処分に不服がある場合には「不服申し立て」をおこない処分が不当であることを主張することも可能です。
ただし、交通事故を起こしている以上交通法規に違反していないことを認めてもらうのはハードルが高いです。手続きにも一定の期限があり、判断を覆すには一定の法的知識も必要になるので、不服申し立てを希望するのであれば弁護士に対応を任せるのが良いでしょう。
交通事故の加害者が弁護士に相談・依頼するメリットは、次のとおりです。
交通事故の加害者が弁護士に相談・依頼するメリット
交通事故の加害者である以上一定の責任は負うことになりますが、必要以上の処分を受ける必要はありません。
もし過度な責任を負わされそうになったら、早めに弁護士に相談してアドバイスをもらうことをおすすめします。
弁護士は法律の専門家であり、交渉のプロフェッショナルです。対応を依頼すれば加害者自身が交渉をおこなうよりもスムーズに示談をまとめることができます。
交通事故の場合、被害の程度が重ければ重いほど被害者は加害者に対して感情的になる傾向にあります。そのため、加害者が示談を申し入れてもそもそも話し合いにすら応じてくれないケースも珍しくありません。
弁護士であれば、被害者の感情を逆撫でせずに交渉を進められますし、法的主張を的確におこなうことで効率良く話し合いを進められます。
なお、加害者が任意保険に加入していれば示談交渉を代わりにおこなってくれます。ただし、保険会社が交渉してくれるのは示談金の支払いに限定されます。刑事責任や行政処分に対する対応も依頼したい場合には、弁護士に依頼するのがベストな選択だといえるでしょう。
交通事故に精通している弁護士が対応すれば、被害者に支払う賠償金(示談金)を減額できる可能性が高いです。
賠償額については、具体的な金額が法律で定められているわけではありません。基本的には当事者間での話し合いによって決めるので、事故の当事者での話し合いでは金額について揉める可能性が高いです。
弁護士なら過去の類似の裁判例から適切な賠償額を算出できるので、示談交渉において余計な争いに発展しにくいです。
また、過失割合など賠償金を減額し得る事情を的確に被害者側に主張できるので、法的知識のない方が交渉をおこなうよりも賠償額を減額しやすいです。
交通事故の加害者は、事故を起こした罪悪感やいち早く手続きを終わらせたいという思いから不当な額の賠償請求にも応じてしまいがちです。
加害者といっても不当に高額な賠償金を支払う必要ないので、提示された賠償金額に納得行かない場合には安易に示談書にサインしないようにしましょう。
刑事事件の取り調べで不利にならないためのアドバイスをもらえるのも、弁護士に依頼すべき理由の1つです。
取り調べで不利になるような発言をして供述調書を取られてしまうと、刑事裁判で不利に働き前科がついてしまう恐れがあります。
弁護士に依頼すれば正しい取り調べの受け方についてアドバイスをもらえますし、警察官の違法な取り調べを抑止することもできるでしょう。
弁護士が事故直後から適切な弁護活動を行えば、逮捕や勾留も回避しやすくなります。
民事事件と違い刑事事件は厳格な時間制限の下で手続きが進みます。何の対策もせずに警察官の言われるがままに手続きを進めると、あっという間に事件が検察に送られ長期間に渡り身柄を拘束されることにもなりかねません。
一方、弁護士が事故直後から捜査機関に対して「証拠隠滅の恐れ」や「逃亡の恐れ」がないことを主張すれば、逮捕・勾留を回避し早期釈放を実現できる可能性があるでしょう。
身柄を拘束されると学校や会社も休まざるを得なくなるので、日常生活に大きな影響を及ぼしてしまうことになります。
弁護士が適切な刑事弁護をおこなえば、たとえ逮捕されても不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。もし起訴されても執行猶予付きの判決を獲得できる可能性も高いといえるでしょう。
不起訴処分や執行猶予を獲得するには、被害者との示談を成立させることだけでなく、加害者が真摯に反省していることを示す必要があります。
検察に意見書を提出したり、加害者に反省文を書いてもらうなどして加害者が真摯に反省していることを伝えられれば、起訴されずに前科をつけずに済むでしょう。
また、執行猶予付き判決が出ればすぐに刑事罰を受けることはありません。ひき逃げや飲酒運転などの悪質な事故の場合には起訴され有罪判決を受ける可能性が高いです。
これらの事故で加害者になった場合には、できるだけ早く弁護士に依頼すべきだといえるでしょう。
行政処分が軽くなる可能性があることも、弁護士に依頼・相談するメリットといえるでしょう。
免許停止などの行政処分は、加害者に不利益となる処分です。そのため、制度上処分前に加害者から意見を聞く機会が設けられます。
ここで発言する意見次第では、処分内容が変更になったり処分期間が短くなる可能性もあります。意見を述べる際に十分な主張ができるよう事前にしっかり準備をしておく必要があるといえるでしょう。
たとえば、免許がないと仕事ができない配送業者やタクシー運転手の場合、免許停止や免許取消しがされるか否かは死活問題です。このような具体的な不利益を主張し、真摯に反省していることが伝えられれば、行政処分が軽くなる可能性があるのです。
交通事故の加害者が弁護士に依頼すべきケースは、次の2つです。
加害者自身が任意保険に加入していない場合には、対応を弁護士に任せることをおすすめします。
任意保険未加入の場合、加害者自身で被害者側と示談交渉をおこなう必要があります。被害者が弁護士を代理人に立てた場合には、対等な立場で示談交渉をおこなうのは難しいでしょう。
また、事故の加害者が示談交渉をおこなうと被害者の感情を逆撫でしやすく、交渉がスムーズにいかない恐れもあります。
被害者側からの連絡を放置していると裁判を起こされ、最終的に財産を差し押さえられることにもなりかねません。
示談交渉を優位に進め、必要以上の責任を負わないためにも、任意保険未加入の場合には弁護士に対応を依頼することをおすすめします。
刑事責任を追及されるような重大な事故の場合には、できるだけ早く弁護士に依頼してください。
前述したように、刑事事件では厳格な時間制限の下で手続きが進みます。初動が遅れるとあっという間に起訴まで進み、有罪判決が出て前科がついてしまう恐れがあります。
起訴までに被害者との示談が成立していれば、不起訴処分となる可能性は高くなります。また、たとえ起訴後であっても、被害者と示談が成立したり、弁護士が意見書や嘆願書を提出しておけば、執行猶予付きの判決を得られる可能性も高まります。
身柄拘束の期間が長くなればなるほど日常生活への影響も大きくなるので、早期釈放を実現するための弁護活動は非常に重要になるといえるでしょう。
交通事故の加害者が弁護士を選ぶ際は、次のポイントを意識しておくと良いでしょう。
交通事故の加害者が弁護士を選ぶポイント
交通事故における加害者側の弁護活動をおこなっているかは、弁護士によって異なります。
交通事故に力を入れている事務所であればその旨がホームページ等に記載されているので、事前に確認しておくようにしましょう。
なお、交通事故の加害者が弁護士費用特約を使えるかどうかについては、こちらの記事をご覧ください。
→交通事故加害者が弁護士特約を利用できる条件|利用できないケースは誰が負担?
交通事故の加害者は、「民事責任」「刑事責任」「行政責任」の3つの責任を負うことになります。
交通事故の加害者であっても、弁護士に依頼するメリットは大きいです。とくに、任意保険に加入していない場合や刑事責任に問われるような場合には、なるべく早めに弁護士に依頼すべきです。
不当な賠償金を支払うことになったり、重い刑事罰を受けることにならないためにも、早めの行動を心がけましょう。