東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。
Contents
会社が倒産したら、会社の資産はすべて手放さなければなりません。
裁判所から選ばれた破産管財人が会社の資産を処分し、現金に換えて債権者に分配する手続きを行います。
破産によって法人格は消滅してしまうため社員は全員解雇となりますが、退職金や未払い賃金は会社としてきちんと支払う必要があります。
新型コロナウイルスの影響で日本経済への打撃が懸念されており、帝国データバンクによると、新型コロナウイルスの影響による会社の倒産数は2022年9月14日段階で全国4,073件となっています。
参考:帝国データバンク「新型コロナウイルス関連倒産」
新型コロナウイルスは、未だに多くの感染者が出ており、今後も倒産する会社が出るのではないかと心配されます。
「会社が倒産することによってどのような影響があるのか」について考えてみましょう。
会社倒産をするということは、ここまで育てた会社の消滅を意味します。
会社がなくなることで、所属する社長や社員だけでなく、会社の取引先、関係先にも大きな影響を与えることになります。
会社倒産では会社の負債(マイナス)と資産(プラス)の清算を行います。
清算のうえで債権者に分配されることになるため、会社が倒産したら会社の資産はすべてなくなってしまいます。
会社が倒産したら、仕事もなくなるため、社員は新しい仕事を探さなくてはいけません。
また、社員の退職金や未払い賃金についても考えなければいけません。
倒産する会社の規模が大きい場合は、それだけ多数の社員に影響が出ます。
会社の規模によってはニュースなどで大きく取り上げられ、社会的反響も大きいことでしょう。
倒産した会社の製品がなくなることで、関係する他の会社の製造や事業運営にも大きな影響を与えてしまうケースがあります。
たとえば、A業界でシェア90%を誇る商品を製造していたB会社があったとします。
商品の仕入れを行っている会社の多くは、このB会社から仕入れをしていました。
B会社が倒産によって消滅したら、今までのような仕入れができず、事業にマイナスの影響が出るかもしれません。
このように、会社が倒産したら連鎖的な倒産や経営難が発生する可能性があるのです。
会社の作っている商品のファンが多い場合や特殊な商品を作っている場合は、消費者への影響も大きくなります。
会社が消滅するということは、商品も基本的に消えてしまうということです。
商品については「その会社の商品だからこそ買っていた」、「長年愛用していた」というファンもいるでしょう。
会社が消滅すればファンは愛用品を購入できなくなりますので、特殊な商品を作っていた場合も、消費者への影響が大きくなるはずです。
会社が倒産すると、その会社を消滅させるための手続きを進めていく必要があります。
それまで会社で雇用していた社員を解雇しなければなりません。
従業員からは様々な意見や問い合わせが来る可能性がありますが、会社が倒産し、その後会社を消滅させるためには、従業員の解雇は必要不可欠な手続きです。
また、会社の倒産の手続きを開始するために裁判所に申し立てを行う前に、会社の債権者に対して通知しなければなりません。
倒産の手続きは弁護士に依頼して行うことがほとんどですから、その弁護士から各債権者に対して、これから倒産に向けて動き始めることを伝えます。
この後、債権者から会社に対して問い合わせがある場合には、すべて弁護士が対応するものとされ、会社は倒産に向けた準備に集中することができます。
会社倒産を検討するうえで社長の生活への影響の有無は重要なポイントです。
会社倒産後の社長の生活や影響について確認しておきましょう。
会社倒産イコール社長個人の倒産ではありませんが、多くの場合は社長個人の自己破産なども必要になります。
なぜなら、会社の資金繰りなどのために社長個人がカードローンなどで融資を受けることが多く、返済に苦慮している状況であることがほとんどだからです。
会社倒産する場合は社長個人の自己破産も同時に行い、債務の免責を受ければ、社長個人の債務の支払い義務はなくなります。
会社倒産のみしてしまうと、社長個人は債務の返済義務を背負い続けることになるため注意しましょう。
社長が自己破産すると、社長の財産や生活に4つの影響があります。
社長個人が会社倒産と同時に自己破産をすると、社長の主な資産は破産手続きの中で処分されてしまいます。
「債務の免責はしてもらいたいが資産は所有していたい」というようなことはできません。
ただし、すべての資産を処分されてしまうと、社長個人の生活が成り立たなくなるため、一部の財産(自由財産)は処分の対象外になります。
自由財産は次の通りです。
逆に考えると、このくらいの資産しか残せないという結論になります。
自己破産は官報に掲載されるため、周囲に知られる可能性があります。
官報は法律家などの専門職の人が読むような冊子なので、一般の人が読んでいる可能性は低いですが、通常の書店などでも入手できるので可能性がゼロとは言い切れません。
また、社長個人の自己破産は会社倒産と同時に行うことが多いため、同僚や取引先、債権者などには社長個人の自己破産は知られると考えた方がよいでしょう。
自己破産で免責されない場合、自治体の倒産者名簿に記録されますが、倒産者名簿は非公開なので、周囲の人に倒産者名簿への記録を通して知られることはありません。
また、住民票や戸籍に自己破産の記録が掲載されることもありません。
社長個人の自己破産では、職業や生活に一部制約が生まれます。
社長が自己破産すると、信用情報に自己破産したという情報(金融事故情報)が記録されます。
信用情報は「個人の金融サービスの契約状況を記録している情報」のことで、個人信用情報機関が管理しています。
金融事故情報が記録されている状態を「ブラックリスト」などと呼び、ブラックリストは金融事故の内容によって一定期間(5~10年)で抹消されるルールになっています。
しかし、抹消されるまでの間は、ローンの申し込みなどで審査に通らない可能性が高く、金融系サービスの契約や利用に影響が出るかもしれません。
自己破産をしたら、特に心配なのは家族への影響ではないでしょうか。
基本的には、自己破産することで家族の資産や生活に影響が出ることはありません。
ただし、以下の2つのパターンにおいては家族への影響が懸念されます。
家族が連帯保証人などになっている場合や、債権者の勘違いなどで家族に債務の支払いを求めている場合は、速やかに弁護士に相談しましょう。
社長が会社倒産を選択したからといって、社長個人に対するペナルティは特にありません。
ただし、会社が倒産したら取引先や債権者に影響が出るため、将来的に新規事業を始めたいと思ったときに協力を得るのが難しくなることは考えられます。
会社倒産にはメリットとデメリットがあります。
会社倒産を検討している場合は、影響だけでなくメリットやデメリットも考えたうえで選択することが重要です。
会社倒産のメリットは4つあります。
会社倒産のメリット
経営難から会社倒産を検討している状況では、債権者の取り立てや返済をどうすべきかなど、会社経営の悩みがつきものです。
会社が倒産したら返済や債権者への対応、経営の苦労などマイナスの面から解放されるというメリットがあります。
会社倒産には4つのデメリットがあります。
会社倒産のデメリット
会社が倒産をすると、会社とその財産がなくなってしまいます。
会社の財産には不動産や預金などの有形財産だけでなく、技術力などの無形財産も含まれます。
有形無形を問わず会社財産を含んだ会社そのものがなくなってしまうことが、会社倒産の最大のデメリットではないでしょうか。
また、会社が倒産したらその会社の社長は「会社倒産した社長」として知られることになります。
大きな会社を会社倒産させた場合、世間的にも大きなニュースになるため、後々まで会社倒産の印象がついて回る可能性があります。
社長は会社の個人保証をしていることが多いため、会社倒産の際は個人の破産も一緒にするケースが少なくありません。
社長が会社倒産と共に個人の破産もする場合などは、社長の資産にも影響が出ます。
会社倒産の手続きは8つのステップで完結します。
会社倒産の手続き
会社倒産で特に問題になるのは、費用です。
費用の中でも特に大きいのが予納金になります。
予納金は20万円ほどの場合もありますが、案件によっては100万円以上になることもあります。
弁護士にあらかじめ確認し、費用の確保をしておきましょう。
会社倒産までの手続きと流れについては、以下の記事に詳しく書かれていますのでご覧ください。
会社が倒産したら社員だけでなく、取引先や消費者にも影響が出ます。
社長は苦労して育てた会社が消えてしまうことへの迷いもあることでしょう。
しかし、債務超過や支払不能の状況で苦心するより、倒産をして新しいスタートを切るという選択肢もあります。
メリットやデメリットなども比較して、後悔しない選択をしましょう。
倒産手続きに不安がある場合は、まず弁護士に相談してみることをおすすめします。