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会社廃業手続きの進め方|解散・清算の流れと費用の目安を弁護士が詳しく解説

弁護士 中野和馬

この記事の執筆者 弁護士 中野和馬

東京弁護士会所属。
弁護士は敷居が高く感じられるかもしれませんが、話しやすい弁護士でありたいです。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、難しい法律用語も分かりやすくご説明したいと思います。
お客様と弁護士とが密にコミュニケーションをとり協働することにより、より良い解決策を見出すことができると考えております。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/nakano/

会社廃業手続きの進め方|解散・清算の流れと費用の目安を弁護士が詳しく解説

この記事でわかること

  • 会社廃業(解散・清算)の手続きとは
  • 株式会社を廃業するまでの具体的な流れ・期間
  • 会社廃業手続きにかかる費用の目安
  • 債務超過なら通常清算ではなく破産・特別清算を検討する理由

会社の廃業手続きは、短くて2カ月、長ければ半年を超える手続きです。
株主総会による解散決議から債権債務の整理・清算人選任・決算報告の承認・清算結了登記の流れで手続きが進みます。
登記・税務・労務が複雑に絡み合いますが、弁護士が伴走者となれば、自分一人で悩む必要はありません。
会社の廃業を決めたら、まずは手続きについて理解し、自分の人生について主導権を取り戻すための一歩としましょう。
本記事では、廃業をスムーズに進めるための手順を解説します。

会社廃業(解散・清算)の手続きとはどのようなものですか?

会社の廃業とは、解散と清算の2段階の法的手続きを経て法人格を消滅させる行為です。
事業を止めるだけでは廃業とみなされないため、債権債務の整理や清算結了登記など、法律上定められた一連の手続きを正しく進める必要があります。

廃業と倒産の違い

廃業は、経営者が自らの意思で事業を終了し、解散・清算の手続きを経て会社を消滅させる行為です。
特徴として、債務超過や支払い不能を前提とせず、業績が安定しているうちに自主的に幕を引ける点が挙げられます。
一方、倒産は支払い不能や債務超過などの経営破綻を原因とし、破産など法的整理が必要な状態です。
廃業は追い詰められた末の選択ではなく、資金のあるうちできる前向きな決断といえます
早期に動くほど経済的な選択肢が広く残り、経営者自身の再スタートを有利に運べるでしょう。

解散・清算手続きが必要な理由

会社は休眠状態でも登記上は法人として存続し、法人住民税の均等割や役員変更登記の義務は残り続けるため、解散や清算の手続きが必要です。
休眠状態の会社を放置すると義務違反や過料の対象となる可能性があり、最大の法的リスクになるといえます。
会社を法的に消滅させるには、株主総会で解散を決議したうえで清算手続きを行い、債権債務をすべて整理してから清算結了登記の申請が必要です。
解散・清算・清算結了登記の3段階が廃業手続きに関する基本の骨組みで、各ステップには期限や要件が定められています。
会社を法的に正しく消滅させ、自分の将来を守りましょう。

株式会社を廃業するまでの具体的な流れと期間は?

株式会社を廃業するまでの具体的な流れと期間は?

会社廃業の手続きは、解散・清算・清算結了登記の3つのステップで構成されます。
全工程の完了まで早くて2カ月、債権債務が複雑なケースでは半年以上かかる場合もあります。
以下で、各ステップを順に解説します。

①事前準備【解散前にやるべきこと】

選択する手続きが大きく変わるため、解散を決議する前に自社の財務状況を正確に把握する必要があります。
特に重要なのが、債務超過の有無についての確認です。
債務超過とは負債の総額が資産の総額を上回る状態を指します。
債務超過の場合は、通常清算ではなく破産や特別清算の手続きが必要になる可能性があります。

債務超過でない場合も、解散決議の前に契約の整理・従業員への対応方針の決定・各種書類の整備を済ませておく必要があるでしょう。
なお、廃業情報は通知した瞬間に情報が流出し、パニックを引き起こす可能性があります。
自社の財務状況を把握し今後の対応を決めたら、弁護士と策定した時期に取引先や従業員へ一斉に廃業を公表してトラブルを防ぎましょう。

②株主総会での特別決議

解散には株主総会の特別決議が必要で、議決権の過半数を持つ株主が出席し、その3分の2以上の賛成を得なければなりません。
決議と同時に清算人を選任する流れが一般的です。
清算人は会社財産の換価・債務の弁済・残余財産の分配を担い、完了後に初めて解散登記および清算人選任登記へと進みます。
ただし、反対する株主や連絡の取れない株主が存在する場合、後日、決議は無効だと主張される紛争リスクが生じます。
賛否の内訳・出席株主数・議決権数などを漏れなく記録した議事録の整備は、将来の紛争を防ぐうえで重要といえます。

③解散・清算人の登記

解散決議後は2週間以内に、解散登記と清算人選任登記を法務局に申請しなければなりません。
期限を過ぎると過料の対象になり得るため、決議後は速やかに手続きを進めましょう。
登記が完了すると会社は通常の事業活動を行えない清算会社となり、債権者保護手続きへと移行します。

なお、登記タイミングによって解散事業年度と清算事業年度の期間が変動し、所得の帰属年度や税額に影響がでる可能性があります。
解散登記を行った日で、属する事業年度が区切られるためです。
節税効果を最大化するには、事前に税理士と登記日の設定を検討する必要があります。

④債権者保護手続き(官報公告・個別通知)

清算会社は、官報への公告と債権者への個別通知の2つの手続きを行わなければなりません。
債権者が申出できる期間は2カ月以上設ける必要があり、期間が経過するまで残余財産の分配は認められません
個別通知は見落としを防ぐための補完措置ですが、官報公告には単なる義務以上の意味があります。
公告から2カ月が満了した時点で申出のなかった(会社が把握していなかった)債権者は、原則として清算手続きから除斥されます。
つまり官報公告は、清算結了後に予期せぬ債権者から請求を受けるリスクを遮断する法的な防波堤として機能するといえるでしょう。

⑤清算の実務(財産の換価・債権回収・債務弁済)

清算業務は、売掛金などの債権回収を行い、在庫や不動産などの資産を換価した後、各債権者への債務弁済へと進みます。
債務弁済後に財産が残った場合は、株主へ持分に応じて残余財産を分配します。
資産換価では経営者の責任として、買い手の言い値で安易に処分せず、適正な評価額を把握したうえで売却交渉を進めましょう
専門家による資産評価を活用すると、不当な買い叩きを防げます。
なお、資産より負債が上回る債務超過の場合は通常清算を続けられないため、破産手続きへの移行を検討する必要があるでしょう。

⑥税務・社会保険・労務の届出

廃業に伴い、税務・社会保険・労務それぞれの届出が必要です。
税務では解散事業年度の確定申告と、その後の清算事業年度ごとの申告を行わなければなりません。
社会保険では被保険者資格の喪失手続きを適切に処理しないと、従業員が離職票や資格喪失証明書を取得できず、再就職や失業給付に支障が生じます。
労務面でも雇用保険の喪失届や労働保険の確定精算が必要です。
手続きに漏れがあれば、従業員とのトラブルに発展するリスクがあります。
廃業後の後始末を誠実に完結させるためにも、税理士・社会保険労務士など専門家への早期相談が有効です。

⑦清算結了登記

清算業務が完了したら決算報告書を作成し、株主総会の承認を得たうえで清算結了登記を申請しましょう。
登記が受理された時点で会社の法人格は消滅し、経営者としての法的責任もすべて解消されます。
申請期限は株主総会承認から2週間以内で、申請を怠ると過料の対象になる可能性があるため、注意が必要です。

会社廃業手続きにかかる費用の目安はいくらですか?

廃業手続きの実費は、登録免許税や官報公告費用だけで約8万円程度かかります。
さらに専門家報酬が加わる上、会社規模や依頼範囲によって総額は変動しますが、将来のトラブル回避への投資と考えれば、合理的な支出です。

登録免許税

株式会社の廃業では、解散登記・清算人選任登記・清算結了登記の3種類の登録免許税が発生します。
内訳は解散登記が3万円、清算人選任登記が9,000円[注1]、清算結了登記が2,000円[注2]で、合計4万1,000円です。
登録免許税は会社の規模や資本金にかかわらず一律に課されます。
廃業を検討する段階で登録免許税だけでなく、専門家報酬などの追加費用も含めた総額を把握しておきましょう。

官報公告代

官報公告は会社法上の債権者保護手続きとして義務付けられており、解散後は官報に解散公告を掲載しなければなりません
掲載料は行数によって変動しますが、解散公告では10〜12行程度の掲載が一般的で、費用の目安は4万〜5万円程度[注3]です。
なお、2025年4月に掲載料金の改定があったため、申込前に最新料金を官報販売所で確認しましょう。
官報公告に加え、すでに把握している債権者には個別に催告書を送付する必要もあります。

専門家報酬

廃業手続きには、以下に例示する複数の専門家が関与します。

  • 登記を担当する司法書士
  • 税務申告を担当する税理士
  • 労務手続きを担当する社会保険労務士
  • 法的リスクへの対応を担う弁護士

報酬は業務範囲や会社の規模・状況によって異なりますが、数十万円程度が目安です。

すべて自分で行った場合、後に数十万~数百万円の損害賠償リスクにつながる恐れがあります。
手続き漏れや法的トラブルを防ぎ、後日の紛争リスクを抑えるための保険としても、専門家への依頼が望ましいです。

[注1]よくあるご質問等<商業・法人登記関係> (法務局)

[注2]株式会社清算結了登記申請書(法務局)

[注3]官報公告掲載料金(全国官報販売協同組合)

債務超過なら通常清算ではなく破産・特別清算を検討

通常の廃業手続きは、会社の資産で全債務を弁済できる状態が前提です。
資産より負債が上回る債務超過の場合は通常清算を進められないため、破産や特別清算への切り替えが必要となります。
各手続きの違いを解説します。

通常清算・破産・特別清算の違い

通常清算・破産・特別清算の選択基準は、資産で債務を完済できるかどうかです。
通常清算は資産が債務を上回る場合に利用でき、清算人が財産を換価して債務を弁済したうえで残余財産を株主に分配します。
破産は債務超過が明らかで弁済の見込みがない場合に裁判所へ申し立てる手続きで、管財人が財産を処分して債権者へ公平に配当します。
特別清算は解散後に債務超過が判明した場合などに利用され、破産より簡易な手続きで債権者との協定を通じて清算を進める点が特徴です。
いずれの手続きが適切かは、貸借対照表を精査したうえで判断しましょう。

債務超過のまま清算を進めるリスク

債務超過の状態で偏波弁済を行うと、破産手続きへ移行した際に否認権の行使対象となり、個人の損害賠償責任を問われるリスクがあります。
通常清算は、会社の資産で全債務を弁済できる状態が前提です。
清算の実務では、取引先や金融機関など特定の債権者へ優先的に支払いを行うケースが散見されます。
しかし、他の債権者との公平を欠く偏頗弁済にあたる可能性があります。

債務超過が疑われる段階では弁済の順序や方法を誤らないよう、速やかに弁護士へ相談し、破産手続きへの切り替えを検討する必要があります。

会社廃業手続きを弁護士に依頼するメリット

会社廃業は法務・税務・登記が複雑に絡み合う手続きで、一つの漏れが後のトラブルやペナルティにつながります。
弁護士に依頼すれば、リスクの早期把握と手続きの円滑化が期待できるでしょう。
以下で、具体的なメリットを解説します。

経営状況に応じた最適な手続きを選択できる

会社廃業では、財務状況によって選ぶ手続きが異なります。
資産で全債務を弁済できる場合は通常清算、債務超過が明らかな場合は破産、解散後に債務超過が判明した場合は特別清算がそれぞれ想定されます。
どの手続きが適切かは、貸借対照表の精査や債権者構成の確認を経なければ判断できません。
通常清算から破産まで全選択肢を客観的に示せる弁護士へ早期に相談すれば、状況に応じて最適な手続きを選択できます。

債権者・従業員・取引先とのトラブルを未然に防げる

適切な交渉対応と手続き管理を弁護士に一括して委ねれば、廃業過程での関係者トラブルを未然に防ぐ有効な手段になるでしょう。
会社廃業では、債権者への保護手続き・従業員への退職対応・取引先との契約整理など、多くの関係者への対応が同時に求められます。
感情的になりやすい取引先や債権者との交渉も、弁護士が窓口となれば法的な話し合いの場として整理でき、経営者が直接矢面に立つ負担を大幅に軽減できます。

法務・税務・登記を横断した全体設計ができる

会社廃業の手続きを弁護士に依頼すれば、手続きごとに専門家を選ぶ手間やコスト、スケジュールの管理不足によるミスを減らせます。
弁護士は提携する税理士や司法書士と連携し、以下を例とする会社廃業で必要な法務・税務・登記にまたがる手続きを横断した、全体設計ができるためです。

  • 税務申告
  • 清算結了登記
  • 債権者保護手続き

VSG弁護士法人では廃業に関わる手続き全体を一括してサポートし、経営者が次の再スタートを切るまでの最短経路を設計します。
ワンストップで廃業を完結させたい方はご相談ください。

まとめ

会社廃業は、株主総会の解散決議から清算手続き・清算結了登記へと進みます。
財務状況によって通常清算・破産・特別清算のいずれかを選択する必要があり、判断を誤れば役員個人の責任問題に発展するリスクもあります。
登記・税務・債権者対応・従業員対応が複雑に絡み合う手続きを、経営者が一人で抱える必要はありません。
廃業は会社人生の終わりではなく、次の出発点への整理です。
会社の正しい畳み方に悩んだら、プロに相談しましょう。

VSG弁護士法人では、廃業に関するご相談を随時受け付けています。

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