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法人の清算人は誰がなる?選任方法や費用を弁護士が解説

弁護士 石木貴治

この記事の執筆者 弁護士 石木貴治

東京弁護士会所属。
メーカー2社で法務部員を務めた後、ロースクールに通って弁護士資格を取得しました。
前職の経験を生かし、ビジネスの実情にあった対応を心がけてまいります。 お気軽に相談いただければ幸いです。

PROFILE:https://vs-group.jp/lawyer/profile/ishiki/

会社の解散や廃業に伴う清算人の選任方法や費用、登記手続きについて弁護士へ相談を検討している経営者のイメージ画像

この記事でわかること

  • 清算人には誰がなるのかがわかる
  • 清算人の選任方法・申し立ての流れがわかる
  • 清算人の選任にかかる費用がわかる

会社の解散を進めようとしているものの、「清算人は誰を選べばよいのか」「自分が清算人にならなければならないのか」「裁判所に選任してもらうことはできるのか」と悩んでいる方も多いでしょう。

清算人は、解散した会社の財産や債務を整理し、最終的に会社を消滅させるための手続きを担う重要な存在です。清算人を選任しなければ、債権者への対応や財産の分配、清算結了登記などを進めることができません。

この記事では、清算人になるのは誰なのか、選任方法や手続きの流れ、費用や報酬の目安などについて、弁護士がわかりやすく説明します。

清算人とは?

会社を適切に清算して消滅させるためには、清算人の選任が必要となります。ここでは、清算人の役割や必要性について説明します。

清算人=会社の財産や債務を整理する人

清算人とは、解散した会社の財産や債務を整理し、会社を最終的に消滅させるための手続きを行う人です。

会社は解散したからといって直ちに消滅するわけではありません。解散後には、未回収の売掛金の回収や借入金・買掛金などの債務の支払い、残っている契約関係の整理など、さまざまな手続きを行う必要があります。

清算人は、こうした清算業務を会社に代わって遂行する立場にあります。会社の財産状況を把握し、債権者への弁済や残余財産の分配などを進めながら、最終的な清算結了に向けた手続きを行います。

なお、清算人は会社の代表者としての権限を持ち、清算の目的の範囲内で会社を代表して各種手続きを行います。

清算人なしでは廃業手続きを進められない

会社の解散後は、清算人がいなければ清算手続きを進めることができません。たとえば、債権者への公告や個別催告、債権回収、債務の弁済、残余財産の分配、清算結了登記などは、いずれも清算人が中心となって行う手続きです。

清算人の選任登記を怠った場合には、会社法に基づき過料の対象となる可能性があります。

また、清算手続きが進まないことで会社の登記が長期間残り続け、税務申告や各種届出への対応が必要になるなど、実務上の負担が生じることもあります。

清算人になるのは誰?選任方法・費用・報酬について

ここでは、清算人の選任方法や手続きの流れ、登記申請、費用や報酬の目安について説明します。

清算人の選任方法・手続きの流れ

清算人の選任方法は、株式会社と持分会社で異なります。

株式会社持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)
定款で定めた者定款で定めた者
株主総会の決議によって選任された者社員(業務執行社員を定款で定めた場合は、その社員)の過半数の同意によって定める者
解散時の取締役(ア、イで清算人になる者がいない場合)業務執行社員(ア、イで清算人になる者がいない場合)
裁判所が選任した者(ア、イ、ウで清算人になる者がいない場合)裁判所が選任した者(ア、イ、ウで清算人になる者がいない場合)

※ 裁判所の解散命令によって会社が解散した場合や、会社設立無効の訴え・株式移転無効の訴えの認容判決が確定した場合には、裁判所が清算人を選任します。

株式会社では、定款や株主総会で清算人が定められていない場合、解散時の取締役が当然に清算人となります(会社法478条)。そのため、実務上は元代表取締役や取締役がそのまま清算人を務めるケースが一般的です。一方、持分会社では、定款による指定や社員の過半数の同意がない場合には、業務執行社員が清算人となります(647条)。

株式会社・持分会社を問わず、上記の方法によっても清算人が定まらない場合には、利害関係人の申立てにより裁判所が清算人を選任します。利害関係人とは、株主、社員、監査役、債権者など、会社の清算について法律上の利害関係を有する者をいいます。

裁判所に清算人選任を申し立てた場合、裁判所は必要に応じて審問を実施します。清算事務が単純である場合には審問が省略されることもありますが、それ以外の事案では申立てから1週間程度で審問期日が指定されるのが一般的です。審問期日において予納金額が決定され、予納金の納付が確認された後に清算人選任決定が行われます。特に問題がなければ、正式な申立てから選任までは10日~2週間程度が目安です。

もっとも、実務上は解散時の取締役や業務執行社員がそのまま清算人となるケースが多く、裁判所による選任が必要になるケースはそれほど多くありません

清算人選任後の登記申請

清算人に選任された場合には、法務局で清算人に関する登記を行う必要があります。

取締役が清算人となった場合には会社の解散日から2週間以内それ以外の者が清算人に選任された場合には選任日から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局(地方法務局)へ登記申請を行わなければなりません(会社法928条)。

株式会社では、主に以下の事項を登記します。

会社形態主な登記事項
株式会社・清算人の氏名
・代表清算人の氏名および住所
・清算人会設置会社である場合はその旨
持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)・清算人の氏名または名称および住所
・代表清算人の氏名または名称(代表権のない清算人がいる場合)
・清算人が法人である場合は、その職務を行う者の氏名および住所

登記申請を怠ると過料の対象となる可能性があるため、清算人に就任した場合には速やかに手続きを行うことが重要です。

清算人選任にかかる費用|報酬・予納金はいくら?

解散時の取締役などが通常の手続きによって清算人に就任する場合、裁判所への予納金は必要ありません。一方、清算人となる者がいないため、利害関係人が裁判所へ清算人選任を申し立てる場合には、申立手数料や郵券代に加え、清算人の報酬や活動費用に充てるための予納金を納付する必要があります。

予納金額は一律ではなく、清算人が行う業務の内容や事案の複雑さによって決まります。たとえば、不動産の任意売却を目的とする事案では20万円~50万円程度、債権譲渡通知の受領を目的とする事案では10万円~20万円程度の予納金が求められるケースが多いとされています。

もっとも、会社の財産状況の調査が必要な場合や、債権者との調整など複雑な対応が見込まれる場合には、より高額な予納金が必要になることもあります。裁判所による清算人選任を検討している場合には、事前に弁護士へ相談し、おおよその費用感を確認しておくとよいでしょう。

清算人は何をする人?職務内容とは?

清算人は、解散した会社の財産や債務を整理し、会社を適切に消滅させるためのさまざまな業務を担当します。具体的には、会社に残っている業務の整理、債権回収や債務の弁済、残余財産の分配、清算結了に向けた手続きなどを行います。

解散時に残っている業務の完了

会社が解散した後も、すべての業務が直ちに終了するわけではありません。たとえば、契約上まだ履行が完了していない取引がある場合や、進行中の案件が残っている場合には、それらを整理する必要があります。

清算人は、解散時点で残っている業務を適切に完了させるとともに、新たな事業活動は行わず、清算に必要な範囲で会社を運営します。

債権の回収と債務の弁済

清算人の重要な職務の一つが、会社の債権回収と債務の弁済です。具体的には、売掛金や貸付金などの債権を回収し、その資金をもとに借入金や買掛金、未払金などの債務を支払います

また、債権者保護のため、官報公告や個別催告を行い、債権者に対して債権の申し出を求める手続きも行います。会社の財産を適切に換価し、債権者へ公平に弁済することは、清算人の中心的な役割といえるでしょう。

残余財産の分配

債務の弁済が完了した後も会社に財産が残っている場合には、株主や社員に対して残余財産を分配します。

残余財産とは、会社の財産から債務や清算費用などを差し引いた後に残る財産のことです。株式会社では原則として株式数に応じて、持分会社では定款や法律の定めに従って分配が行われます。

なお、債務の弁済が完了する前に残余財産を分配することはできません

清算結了に向けた各種手続き・登記

すべての清算業務が終了した後は、会社を正式に消滅させるための手続きを行います。具体的には、清算事務の内容や財産の処分状況などをまとめた決算報告書を作成し、株主総会などで承認を受けます。

その後、法務局に対して清算結了登記を申請し、登記が完了すると会社は法人格を失います。

清算人は会社に対して責任を負う?

清算人は会社の財産や債務を管理・処理する重要な立場にあるため、その職務を適切に遂行する義務を負います。そのため、清算人が法令や定款に違反したり、必要な業務を怠ったりしたことで会社に損害が生じた場合には、会社に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

また、清算人はいつでも解任される可能性があります。株式会社では株主総会の決議により、持分会社では社員の過半数の決定により解任できます。

とはいえ、通常の業務を誠実に行っている限り、直ちに責任を問われるわけではありません。清算人に選任された場合には、自らの権限と責任を理解した上で、法令に従って適切に清算手続きを進めることが重要です。

清算人選任を含む法人破産について弁護士に相談するメリット

会社の解散や清算には専門的な手続きが数多く伴います。また、債務超過の場合には法人破産を検討しなければならないこともあります。

そのため、手続きを進める際は弁護士へ相談することをおすすめします。

清算人の選任や必要な手続きを任せられる

会社を解散する際には、清算人の選任をはじめ、解散・清算に関する登記申請や債権者への公告など、さまざまな手続きが必要になります。

もっとも、「誰を清算人に選任すべきかわからない」「裁判所への申立てが必要なのかわからない」など、手続きの進め方に悩むケースも少なくありません。

弁護士に相談すれば、会社の財産状況や負債の内容を踏まえた上で、通常清算と法人破産のどちらを選択すべきかについてアドバイスを受けることができます。また、必要書類の作成や各種手続きについてもサポートを受けられます。

手続きを誤ると清算の長期化やトラブルにつながるおそれもあるため、専門家のサポートを受けながら進めることが重要です。

債権者対応や複雑な手続きを一任できる

会社の解散や法人破産では、取引先や金融機関などの債権者への対応が必要になります。

特に、支払遅延が発生している場合や債務超過に陥っている場合には、債権者から問い合わせや督促を受けることも少なくありません。また、債権者への通知や必要書類の作成、裁判所への申立てなど、専門的な手続きも数多く発生します。

弁護士に依頼すれば、債権者との窓口を任せることができるため、経営者が個別対応に追われる負担を軽減できます。また、複雑な法的手続きについてもサポートを受けられるため、手続きを適切かつ円滑に進めやすくなります。

会社の経営状況が悪化している場合には、経営者自身が精神的な負担を抱えていることも少なくありません。弁護士に対応を任せることで、本来取り組むべき事業整理や今後の生活設計に集中しやすくなるでしょう。

経営者の責任リスクを抑えながら手続きを進められる

会社の廃業時には、財産の処分方法や債権者への支払い順序などを誤ると、後に法的な問題へ発展する可能性があります。

たとえば、特定の債権者だけを優先して返済した場合や、会社財産の処分が不適切だった場合には、経営者個人の責任が問題となることがあります。

弁護士の助言を受けながら手続きを進めることで、法的リスクを把握しながら適切な対応を取ることができ、経営者の責任追及を受けるリスクを抑えやすくなります

事業再建や再スタートに向けたアドバイスを受けられる

会社の経営が厳しくなった場合でも、必ずしも法人破産しか選択肢がないわけではありません。会社の状況によっては、私的整理や事業譲渡、民事再生などの手段によって事業の継続を目指せる場合もあります。

仮に法人破産を選択する場合であっても、経営者個人の債務整理や今後の事業活動について検討しなければならないことがあります。

弁護士に相談することで、会社の状況に応じた選択肢を比較しながら、事業再建や再スタートに向けたアドバイスを受けることができます

清算人の選任に関してよくある質問(Q&A)

Q. 清算人について欠格事由はある?

清算人には一定の欠格事由が定められており、たとえば法人は清算人になることができません。また、そのほかにも法律上、清算人になることができない場合があります(会社法478条8項、331条1項)。そのため、清算人を選任する際には、候補者が法律上の要件を満たしているか事前に確認することが重要です。

Q. 清算人がいない場合、裁判所が自動で選んでくれる?

いいえ。裁判所が自動的に清算人を選任するわけではありません。定款や株主総会による選任がなく、解散時の取締役も存在しないなど、清算人となる者がいない場合には、利害関係人が裁判所へ清算人選任の申立てを行う必要があります。

Q. スポット的に活動してもらう清算人を裁判所に選任してもらうことはできる?

原則として、特定の業務だけを行うために清算人を選任してもらうことは想定されていません。もっとも、実務上は債権譲渡通知の受領や不動産売却など、特定の清算事務を行う必要性から清算人選任の申立てが行われるケースがあります。
参照:2_2(4)清算人選任申立ての方法等|大阪地方裁判所

Q. 清算人選任申立書のひな形はどこにある?

清算人選任申立書の書式は、以下のページから確認できます。
参照:非訟・過料係からのお知らせ|東京地方裁判所

まとめ 清算人についての悩みは早めに弁護士に相談を

清算人は、解散した会社の財産や債務を整理し、清算結了までの手続きを担う重要な存在です。会社を解散する際には、誰が清算人になるのか、どのように選任するのかを適切に判断しなければなりません。

また、会社の財産状況によっては通常の清算ではなく法人破産を検討すべきケースもあります。手続きの進め方を誤ると、清算の長期化やトラブルにつながるおそれもあるため注意が必要です。

清算人の選任方法や法人破産の要否について判断に迷う場合には、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士であれば、会社の状況に応じた適切な手続きを提案し、解散から清算・破産までをサポートすることができます。

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