最終更新日:2022/6/13
創業融資と保証協会の制度融資、創業時に借りるのはどちらがいい?
ベンチャーサポート税理士法人 大阪オフィス代表税理士。
近畿税理士会 北支部所属(登録番号:121535)
1977年生まれ、奈良県奈良市出身。
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融資の必要性
創業するにあたり、そもそも融資は受ける必要があるのでしょうか?イメージするのは、融資を受けたものの事業が思うように行かず、返済に行き詰まり、返済のために借金をするという悪しきスパイラルです。
確かに融資も借金であり、一つ間違うと身を滅ぼしてしまいます。
ですが、事業をするうえではまとまったお金が不可欠です。
設備投資も必要ですし、従業員を雇うことも必要になってくるでしょう。
それを手持ちの現金だけでやりくりするのはなかなか厳しいところです。
他方で、融資を上手に利用して経費を支払い、残ったお金の半分を返済に充てて、もう半分を貯めていけば自分のお金だけで事業を展開するよりも早くお金を貯めることができます。
さらに創業時の融資は、日本政策金融公庫では無担保無保証のものがありますし、他の金融機関の融資でも通常より金利が低く設定されているものもあります。
ここでは、この融資について見ていくとしましょう。
創業融資
創業融資には大きく分けて2つの制度があります。
一つは日本政策金融公庫の行う創業融資で、もう一つは信用保証協会の関与する制度融資です。
日本政策金融公庫の融資は新たに事業を始める方を対象にした融資で、後述するように担保も要らない、保証人も要らないというのが特徴です。
制度融資
創業者だけでなく、多くの中小企業をその対象としています。
日本政策金融公庫とは違い、銀行から融資を受けるに際して信用保証協会が創業者の保証人になって融資を受ける制度です。
これには保証料等が別途必要になります。
創業融資と制度融資、どちらが得か?
ここまで創業融資と制度融資について概略を見てきました。
それでは、創業者が融資を受ける場合には、どちらを利用する方が得なのでしょうか?結論から言うと日本政策金融公庫の方が得であると考えます。
ここでは、その理由についてさまざまな角度から検証していきます。
(1)借入額
まず借入額です。
日本政策金融公庫の融資の場合は、限度額は3,000万円です。
うち運転資金は1,500万円です。
これに対して制度融資の場合はケースバイケースとなります。
信用保証協会は自治体の傘下であり、資金量が限られているので、融資を受ける金額が日本政策金融公庫の場合に比べて低くなりがちです。
(2)金利
次に金利について見ていきましょう。
両方を見てみるとどちらが有利なのか、はっきりとはわかりません。
ただ、制度融資の場合は利息に加えて信用保証料が必要になります。
これに対して、創業融資の場合は利息のみで信用保証料は不要となります。
また日本政策金融公庫では、一定の条件を満たせば金利を優遇する制度があります。
以下に主だったものを列挙します。
- ・女性、若年、シニアを対象にした起業家資金
- ・雇用の維持または拡大
- ・中小企業の会計に関する指針、又は基本要領の適用
(3)スピード
創業するとわかるのですが、経費の負担は意外に大きなものです。
そのため収入として入ってくるものを早く確保しなければなりません。
そうすると一刻も早く事業を始める必要があるのですが、そのためには融資が不可欠です。
ところが、日本政策金融公庫に比べて信用保証協会の場合は、期間的に大きなロスを生みます。
場合によっては経営相談員の指導を受ける必要が生じたりして、融資の実行が2ヵ月以上遅れる場合もあるのです。
もし実行が遅くなれば、それだけ事業のスタートも遅くなり売上等のベースを崩してしまうかもしれません。
(4)担保・保証
金融機関の融資には保証人や不動産等を担保に入れることが多いでしょう。
しかし、日本政策金融公庫の創業融資の場合は、無担保無保証です。
不動産等を担保に入れる必要もありませんし、保証人を立てる必要もありません。
法人が融資を受ける場合、その会社の代表者は保証人になることがもはや慣例となっています。
ところが、創業融資の場合はこれが求められていないのです。
つまり裏を返せば、万一この会社の経営が悪くなり、借金を返せない状態になっても、代表者は借金を返済する必要もなければ不動産等で支払う必要もないということです。
これに対して、信用保証協会の場合は協会が保証人になっていますし、その保証債権を担保する形で代表者の所有する不動産等に根抵当権等の担保を設定することが多くなっています。
どちらの審査が厳しいか?
日本政策金融公庫にせよ、信用保証協会の融資にせよ、どちらも審査は厳しく一概にこちらが緩いとは言えません。
その時々の担当者の判断や地域の実情によって大きく変わると言わざるを得ないでしょう。
日本政策金融公庫では創業融資の申請書や書き方までホームページに掲載されていますが、これを丸写ししたところで審査を通るのは難しいです。
一説では創業者自身で融資の申込みをして審査を通るのは50%以下と言われています。
まして、今までにない事業をこれから始めるとなるとハードルはさらに高くなるでしょう。
審査の通し方
ここでは、日本政策金融公庫の創業融資を中心に解説していきます。
創業融資の創業計画書等は前述の通り、ホームページに掲載されています。
ここで創業の動機、プロフィール、商品、取引先、必要な資金と調達方法、事業の見通し等を記載していきます。
どれも重要ですが、自分の行う事業とその展開を可視化して経営の数字を語ることができれば、かなり融資承認の可能性は高くなります。
とはいえ、相手がどう受け止めるのかの問題もあり、必ずしも言ったとおりの結果になるとは限りません。
自分で申込みして融資を得るのが難しいと思われた場合は、税理士等の専門家に相談する方が融資はスムーズに得られるでしょう。
まとめ
これまで日本政策金融公庫の創業融資と保証協会を利用した制度融資の違いについて見てきました。
いずれも審査は厳しいのが実情ですが、創業融資の方が無担保無保証で得られるメリットは大きいです。
もし、これから起業してその元手をどうするのか検討している方は、創業融資を利用できるのか検討して頂きたいところです。
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