最終更新日:2024/5/30
クラウドファンディングで会社設立!メリットや他の資金調達の方法を解説
ベンチャーサポート税理士法人 税理士。
大学を卒業後、他業種で働きながら税理士を志し科目を取得。
その後大手税理士法人を経験し、現在に至る。
PROFILE:https://vs-group.jp/tax/startup/profile_writing/#p-tori
この記事でわかること
- クラウドファンディングとは何か
- クラウドファンディングのメリット・デメリット
- クラウドファンディングを成功させるコツ
会社の設立資金を集めたいときは、クラウドファンディングを検討してみましょう。
クラウドファンディングはネットを使った資金調達方法です。
自己資金が不十分でも会社を設立できる可能性があります。
魅力的な商品を開発できる場合や、会社設立に社会的な意義があれば、十分な開業資金が集まるでしょう。
ただし、クラウドファンディングが必ずしも成功するとは限らないため、代替手段も考えておかなければなりません。
今回は、クラウドファンディングを成功させるコツや、メリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。
目次
クラウドファンディングでどう起業する?
クラウドファンディングでは不特定多数の人に資金提供を呼びかけるため、どう起業するかが重要です。
事業や商品に魅力がなければ資金は集まりません。クラウドファンディングのしくみや種類などの基礎知識を押さえ、上手に活用しましょう。
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは、インターネットを利用した開業資金などの調達方法です。
会社設立時や商品の企画・開発時に、インターネットを通じて不特定多数の支援者からお金を集められます。
クラウドファンディングによる資金調達は、2011年の震災のときに認知度が高まりました。
海外ではネットを使った資金調達が盛んに行われており、アメリカではスタートアップ企業の支援において重要な役割を担っています。
クラウドファンディングのしくみ
クラウドファンディングのしくみは、運営会社のサイトに事業内容を登録し、不特定多数の人に出資や寄付などを募るというものです。
会社設立の費用を募る場合、以下の流れでクラウドファンディングを利用します。
- 会社の設立費用の決定
- クラウドファンディングの運営会社に申請
- 支援者への宣伝
- 資金調達の完了
- 事業のスタート
- 支援者へのリターン
自然保護などの社会的意義がある事業、画期的な商品・サービスなどを企画して効果的にアピールすると、会社の設立資金を調達しやすいでしょう。
クラウドファンディングの運営会社
クラウドファンディングの運営会社には「CAMPFIRE」や「Makuake」などがあり、各社が運営するサイトをプラットフォームといいます。
プラットフォームには審査を通過したプロジェクトのみ掲載されるため、支援者にとっても運営会社の信用度は重要です。
3種類のクラウドファンディング
クラウドファンディングは、大きく以下の3種類に分けられます。
- 購入型クラウドファンディング
- 寄付型クラウドファンディング
- 金融型クラウドファンディング
クラウドファンディングは、その種類によって資金の受け取り方などが変わってきます。上記3種類の違いをしっかり把握することが必要です。
購入型クラウドファンディング
購入型クラウドファンディングとは、プラットフォームに商品やサービスなどを掲載し、支援者に購入してもらうというしくみのクラウドファンディングです。商品やサービスそれ自体が、支援者へのリターンになります。
企画段階でも掲載できるため、「アイデアはあるが開発資金が足りない」というケースでも資金調達が可能です。
購入型クラウドファンディングには、以下の2つのタイプがあります。
- All In型:目標額に到達しなかったとしても支援金を受け取れる
- All or Nothing型:目標額に到達しない場合、支援者にお金が返される
「All In型」では目標額に達していなくてもプロジェクトが成立してしまうため、初めて利用するときは「All or Nothing型」がよいでしょう。
なお、クラウドファンディングの多くは購入型ですが、商品やサービスを支援者に提供すると売上や雑収入が発生するため、収益計上が必要です。
個人の収益なら所得税、法人の場合は法人税がかかるため、必ず確定申告をしてください。
寄付型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディングは、支援者へのリターンがなく、支援者からの寄付を求める形になります。インターネット上で募金活動を行うようなイメージです。
実際のプロジェクトとして個人への募金なども多くなっており、たとえば「Yahooネット募金」は寄付型クラウドファンディングに該当します。
支援者へのリターンはないため、立ち上げたプロジェクトの信頼性や「投資したい」と思わせる求心力がポイントです。
プロジェクトに興味を持ってもらうためのアプローチが大事といえるでしょう。
金融型クラウドファンディング
金融型クラウドファンディングは、資金が必要な企業にインターネット上で集めたお金を貸し付け、投資した人に元本と金利を返済するというしくみです。
ソーシャルレンディングとも呼ばれ、日本では「maneo」というサービスが2008年にリリースされて有名になりました。
金融型クラウドファンディングの場合、支援者へのリターンは元本と利息です。支援される側にとってはローンと似たしくみになります。
とくに事業主として起業したい人には最適なクラウドファンディングでしょう。
会社設立でクラウドファンディングを活用するメリット
会社設立にはある程度の費用がかかるため、一般的には自己資金を準備し、不足があれば金融機関から融資を受けます。
一方、クラウドファンディングには以下の2つのメリットがあります。うまく活用できれば、資金調達の悩みを解消できるでしょう。
- 自己資金なし・融資なしでも起業できる
- クラウドファンディングすることに宣伝効果がある
自己資金なし・融資なしでも起業できる
会社設立にクラウドファンディングを利用すると、自己資金や融資がなくても起業できます。
一般に、自己資金の準備は時間がかかるものです。融資を受けるにしても、その審査では自己資金が信用力の指標の1つとなっています。
一方、クラウドファンディングではアイデアだけで資金を集めることが可能です。事業に魅力があれば将来的に収益が出るため、会社の規模も拡大できるでしょう。
クラウドファンディングすることに宣伝効果がある
クラウドファンディングはそれ自体に宣伝効果があり、文章や画像、動画によって事業の将来性や商品の魅力をアピールできます。
プラットフォームに掲載されたプロジェクトは一定の審査を通過しているため、支援者から見ると、魅力的な商品や事業が集約されている状態です。
また、一般的な広告宣伝に比べてターゲットを絞りやすく、コストもほとんどかかりません。クラウドファンディングによる宣伝には、十分な費用対効果が期待できます。
会社設立でクラウドファンディングを活用するデメリット
会社設立にクラウドファンディングを活用する場合、以下のデメリットも考慮しなければなりません。
- アイデアの公開が必要になる
- プロジェクトがうまくいくとは限らない
クラウドファンディングでは、支援金が集まってもすぐには現金化できません。こういったデメリットや注意点は、十分理解しておく必要があります。
アイデアの公開が必要になる
クラウドファンディングを利用する場合、プラットフォームにアイデアを公開しなければなりません。
プラットフォームは誰でも閲覧できるため、第三者にアイデアを盗用される恐れがあります。
アイデアを盗まれると、類似のビジネスモデルや商品企画が増えてしまいます。獲得できたはずのシェアを奪われてしまうリスクもあるわけです。
クラウドファンディングで資金調達をするときは、特許申請も視野に入れるとよいでしょう。
プロジェクトがうまくいくとは限らない
クラウドファンディングを利用しても、プロジェクトがうまくいくとは限りません。
事業や商品に期待感がなければ、起業するだけの資金を集めるのは難しいです。
「All or Nothing型」で資金を集めると、目標額に到達しなかったときに返金が必要になります。場合によっては赤字が発生することもあるでしょう。
プロジェクトが順調に進まなかった場合、支援者が集まったとしても利益が上がらず、リターンを出せない可能性もあります。
クラウドファンディングで資金調達を成功させるコツ
クラウドファンディングで資金調達する場合、以下のコツを実践すると成功率が上がります。
- プロジェクトは詳しく、わかりやすく
- 途中経過を定期的に報告する
- 支援者に魅力的なリターンを提示する
以下、具体的に解説します。
プロジェクトは詳しく、わかりやすく
クラウドファンディングで会社設立の資金を集めるときは、プロジェクトの内容を詳しく掲載しましょう。また、わかりやすさに注意を払うことも重要です。
会社設立を思い立った経緯にストーリー性を持たせ、さらに画像や動画などで事業の魅力をアピールできれば、支援者の注目を集めやすくなります。
支援金の額に応じたリターンの種類、返金やキャンセルの規定、商品の保証期間なども掲載できるとよいです。支援者の不安が解消されるため、支援金が集まりやすくなります。
途中経過を定期的に報告する
クラウドファンディングで資金調達する場合、プロジェクトの途中経過を定期的に報告すると目標額を達成しやすくなります。
プロジェクトページは更新できるため、途中経過の報告によって宣伝効果も上がります。
途中経過がわからないプロジェクトには支援者が不安を感じてしまい、「やっぱり支援をやめよう」という判断になりかねません。
途中経過の報告があれば支援者の安心感につながり、新規の支援者も獲得できるでしょう。
支援者に魅力的なリターンを提示する
支援者に魅力的なリターンを提示できれば、資金調達の成功率は上がります。
購入型クラウドファンディングの場合、商品にオリジナルのロゴを入れたりオプションを付けたり、支援金に応じた数種類のリターンを準備するとよいです。
また、会社設立の資金を集める場合、支援金に応じたリターンを具体的な金額で提示すると、支援者に魅力を感じてもらいやすくなります。
魅力的なリターンは支援者の集まりに大きく影響します。高額な資金の調達にもつながるかもしれません。
お金がないけど会社設立したい!クラウドファンディング以外の資金調達方法
クラウドファンディングで創業資金が集まらなかったときは、以下の資金調達方法も検討してください。
- 金融機関からの借入
- 投資家からの出資
- 公的な創業融資
- 助成金・補助金
それぞれ以下の特徴があるため、自分に合う方法を選びましょう。
金融機関からの借入
会社の創業資金が不足しているときは、金融機関に融資を申し込んでみましょう。
金融機関の融資には次の2種類があり、審査の厳しさなどが異なります。
- 保証付融資
- プロパー融資
保証付融資とは、信用保証協会によって保証された融資のことです。返済が滞ったときには信用保証協会が立て替え払いをするため、金融機関側のリスクが小さく、基本的には担保も必要ありません。
ただし、自分(代表者)を連帯保証人に設定しなければならず、金利や返済期間に無理がないかを入念にチェックする必要があります。
一方、プロパー融資とは、信用保証協会による保証などがない、銀行と事業主が直接取引を行う融資のことです。金融機関のリスクが大きいため、審査条件はかなり厳しく設定されています。
創業資金の借入れであれば、保証付融資を検討するのが一般的です。
投資家からの出資
投資家に出資してもらうのも、会社の創業資金を調達する有効な方法です。
ピッチコンテスト(自らの事業計画をプレゼンでアピールするイベント)に参加したり、起業家と投資家のマッチングサイトに登録したりするのもよいでしょう。個人投資家やベンチャーキャピタルが出資してくれるかもしれません。
投資家に出資してもらう場合は担保を用意する必要がなく、経営面のアドバイスも受けられます。効率的な事業運営には欠かせないメリットです。
ただし、投資家は株式の売却益を目的にしているケースが多いため、収益が見込めない事業は停止しなければならない場合があります。
また、会社の収益が上がると経営を乗っ取られ、創業者が追い出されてしまうリスクもあります。
投資家から資金調達するときは、ある程度の警戒も必要です。
公的な創業融資
公的な創業融資を受けたいときは、日本政策金融公庫の「新規開業資金」に申し込んでみましょう。
「新規開業資金」は、新たに創業する人や事業開始後おおむね7年以内の人が対象です。最大で7,200万円(うち運転資金4,800万円)まで融資してもらえます。
また、女性や「35歳未満または55歳以上の人」などは、通常の利率よりも低い特別利率で支援を受けることができます。
金利も低めに設定されており、設備資金であれば20年以内に返済すればよいため、毎月の返済負担も軽くなるでしょう。
ただし、必ずしも審査に通過できるとは限らないため、ほかの調達方法も検討しておく必要があります。
助成金・補助金
国や自治体には創業者向けの助成金や補助金があり、一定条件を満たすと返済不要の資金を受け取れます。
補助金・助成金は、起業や技術振興、雇用促進による地域活性化などを目的としていることが多く、以下のような種類があります。
- ものづくり補助金
- キャリアアップ助成金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 各自治体独自の補助金・助成金
金融機関の融資に比べて審査のハードルは低いため、創業前でもまとまった資金を受け取れる可能性があるでしょう。
ただし、募集期間や採用枠が決まっているため、必ず支給されるわけではありません。
補助金は基本的に後払いのため、ある程度の自己資金も必要です。
会社設立時のクラウドファンディングについてよくある質問
会社設立時のクラウドファンディングについて、よくある質問を紹介します。
具体的な質問項目は、次のとおりです。
- クラウドファンディングの種類は?
- クラウドファンディングで集めたお金は返さないといけない?
- クラウドファンディングで集めたお金は自己資金として使える?
- クラウドファンディングが達成できないとどうなる?
クラウドファンディングの種類は?
クラウドファンディングには以下の種類があります。
- 購入型クラウドファンディング
- 寄付型クラウドファンディング
- 金融型クラウドファンディング
購入型は商品の提供が支援者へのリターンになっており、利用数の多い資金調達方法です。
寄付型はリターンがないため、環境保全や災害復興など、社会的意義のある事業に向いています。
金融型は資金を貸し付けるしくみで、支援者は利子を受け取れます。
クラウドファンディングで集めたお金は返さないといけない?
クラウドファンディングは融資ではないため、集めたお金を返す必要はありません。
ただし、支援者にリターンを提供する必要があり、支援者が満足できる魅力的なリターンを用意しなければなりません。
たとえば、飲食店の開業資金を集める場合、支援者に無料チケットを提供したり、一日店長を体験してもらったり、さまざまな工夫があります。
このほか、映画製作であれば、試写会に支援者を無料招待し、エンドロールに名前を掲載してもよいでしょう。
クラウドファンディングで集めたお金は自己資金として使える?
クラウドファンディングで集めたお金は使い道が自由になっており、自己資金にしても問題ありません。
ただし、クラウドファンディングによる資金調達は100~150万円程度が相場です。多額の資本金を集めたいなら、自己資金の準備も必要になります。
たとえば、中小企業の資本金は300万円以上が目安です。飲食店の開業であれば、内装工事費などが800万円以上かかるでしょう。
なお、調達した資金を会社の資本金にするときは、発起人の口座に入金(振込み)してください。
クラウドファンディングが達成できないとどうなる?
クラウドファンディングの目標額を達成できなかった場合、All-In方式とAll or Nothing方式で扱いが異なります。
All-In方式では、目標額を達成していなくても全額を受け取れます。その場合、プロジェクトの継続や支援者へのリターンが必要です。
十分な資金が集まらなかったら、自己資金で支援者にリターンを提供しなければならないケースも考えられます。
一方、All or Nothing方式の場合、目標額に達しなかったときはクラウドファンディングがキャンセルとなり、支援者にお金を返さなければなりません。
もちろん、プロジェクトの継続やリターンは不要になります。よって赤字になるリスクはありません。
会社設立の資金調達に迷ったらベンチャーサポートに相談
クラウドファンディングは担保が不要で、事業計画書や実績も必要ありません。アイデアだけで資金調達ができます。
優れたアイデアがあれば、短期間で目標額を達成できる可能性もあるでしょう。
ただし、会社設立の資金を調達できても、プロジェクトの進行に問題が生じてリターンが準備できなくなるケースもあります。
また、高額な資金は集めにくいため、ある程度の自己資金を積み立てたうえで創業融資なども検討することが重要です。
会社設立の資金調達方法に迷うことがあったら、税理士などの専門家に相談するのも有効でしょう。
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